ポケットモンスター 〜THE LEGEND OF SAGA〜 REMAKE   作:虎武士

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#14 パルデア地方のポケモン達

「ぶべえええ!」

 ドルクの悲鳴が港の一角に響く。

 空を舞って倒れるヒヒダルマの巨体に押し潰され、ニョロモ系列特有の苦しげな声を上げる。

 そもそもさっきまで優勢だったのに、ほんの数分で小さなイーブイに肉薄にされ、しかも真似っこを駆使して水タイプの技であっという間に秒殺された。

 何このオーバーキル、何この無理ゲー?

 ドルクの脳裏に疑問が渦巻いており、気付けばぼろ負けだった。

 勝利を収めた少女はイーブイを労っており、スマホロトムを片手にイーブイを抱き上げる。

 多分警察に連絡している。早く逃げようにもヒヒダルマの巨体の下敷きになっている為、思うように持ち上がれない。

「あ、あれ? もう終わってる…?」

 其処に二人の少年少女と一人の青年と言う三人組が現れる、しかもその内の一人は見覚えがある。

(せ、せ、世界チャンピオンだと…!?)

 ドルクはサトシの姿を見て焦りを覚える、もし抗っていたとしてもこの少年相手では分が悪い。

「港の人からデザイアの構成員と女の子がバトルしていると聞いたけど、もう終わっちゃったみたいね」

「しかもあの女の子の勝利でな」

 カスミとタケシは目を丸くして少女とイーブイの実力を評価する、そしてその少女の下へサトシは駆け寄る。

「よっ、久しぶりだなコハル」

「サトシ!?」

『ええ!?』

 まさかの再会に少女──サクラギ博士の一人娘、コハルは驚く。イーブイも同様の反応を見せている。

「無事で良かったよ! マサラタウンが襲撃されたって聞いて、心配したんだからね!?」

「この通り大丈夫だよ。それよりサクラギ所長から聞いたけど、今旅しているんだって?」

「う、うん」

 彼の問いにコハルは頷く。

「もしかしてこの娘が…」

「嗚呼。サクラギ所長の娘さんだよ」

「そうか君が…俺はタケシ、ゴウから君の事は聞いているよ」

「あ、貴方がタケシさん。私もゴウから聞いています、もしかして其方の方は…?」

「聞いているかもしれないけど、カスミよ。今はサトシ達と旅しているわ」

 すると一台の白バイクが港に到着する、白バイクに跨っていた婦警──ジュンサーはサトシ達に駆け寄る。

「此方で噂のデザイアの構成員を無力化したと言う通報を受けたのだけど、無力化したのは貴女?」

「は、はい。サクラギ・コハルと言います」

「さて……デザイアの構成員、貴方を拘束させて頂きます」

「ちくしょ〜〜……」

 その後ドルクはヒヒダルマ共々手錠を掛けられ、ジュンサーの呼んだパトカーによって連行されていった。

 

 


 

 

「お父さん、只今!」

「お帰りコハル! ……怪我はないみたいだね」

 研究所に戻って早々、コハルは父に抱き締められてしまう。

 でも満更でもない表情を見せているので、サトシ達はそれを温かく見つめる。

「ワンパチ、只今。キクナさんにレンジさんも」

 次にワンパチ達にも挨拶し、サトシ達はサクラギパークへと向かう。

「改めてタケシさんにカスミさん。サクラギ・コハルです、宜しくお願いします」

「此方こそ。あ、でも別にそこまで畏まらなくていいわよ。サトシと同じように砕けた感じでいいからね」

「え? じゃ、じゃあ……カスミにタケシ、改めて宜しく」

 コハルは二人と握手を交わす。イーブイも嬉しそうに嘶く。

「このイーブイはコハルのポケモン?」

「うん。少し特殊な子で、色んなポケモンの真似をするのが好きなんだ」

 ピカチュウもまた会えて嬉しいのか、イーブイと共に追いかけっこをしている。

「そう言えばコハルは旅に出てからポケモンをGETしてるのか?」

「うん、紹介するね。皆、出て来て!」

 五つのモンスターボールを投げ、其処から選り取り見どりのポケモン達が姿を見せる。

「おお!」

 ジョウト地方の電気タイプのメリープ。

 イッシュ地方の水・飛行タイプのコアルヒー。

 草・ドラゴンタイプを持つ果実のようなフォルムのカジッチュ。

 氷・鋼タイプのアローラサンド。

「色んなポケモンをGETしているのね」

 褒められてコハルは頬を掻く、頬もほんのり赤く染めている。

 

 

「……ん?」

 サトシは右端にいる一体のポケモンに気付く。

 頭部の先端に炎を宿し、黒と赤が基調色の見慣れない存在だった。

「コハル…このポケモンは?」

「あ、うん。今日帰って来たのはこの子の元々暮らす地方についてお父さんに伝えようとしたんだ」

「このポケモンは……カルボウだね」

 同行していたサクラギ博士はそのポケモン──カルボウをじっくりと見つめる、カルボウはサクラギから離れてコハルの足にしがみつく。

「ああすまない、怖がらせるつもりはないんだ。カルボウは遥か遠くにある地・パルデア地方のポケモンなんだ」

『パルデア地方?』

 一斉に首を傾げ、その場にいる全員がサクラギに視線を投げ掛ける。

「パルデア地方は広大な自然が広がっている。その地方にしかいないポケモンも生息しているし、パルデア特有の観光地も存在するそうだ」

 更に付け加えると気候が変わる事があり、様々な環境下を楽しめる趣もあるそうだ。

「コハル。このカルボウとは何処で?」

「とある育て屋に立ち寄った時にタマゴを譲り受けたの。どんなポケモンが生まれてくるんだろうって思ったけど、まさか別の地方のポケモンだったなんて」

 それも未開の地方ときた。サトシは「すっげー!」と興奮する様子を見受けられる。

「それだけじゃない。パルデア地方にはテラスタルと言う現象があるそうだ」

『テラスタル?』

「私も詳しくは分からないんだが、何でもポケモンがクリスタル状に輝きを帯び、そのポケモンの持つタイプの技を強化するらしい。Zワザやメガシンカ、ダイマックスとも違うポケモンの新たな可能性の一つとも言えるだろう」

 未知なる遭遇にサトシでなくとも心躍らざるを得ない、また新しい世界の扉が開いたような気がしてならない。

「そうだ! 折角だから皆、パルデアのポケモンに触れ合ってみてみないかい? パルデアの研究者仲間からポケモンを取り寄せたんだが、どうだい?」

「はいはーい! 見てみたい!」

「私も!」

「えっと、私も見てみようかしら」

「俺も賛成です。どんなポケモンが生息しているか、この目で見てみたいです」

 全員の意思表明を確認してサクラギはモンスターボールを三個取り出して空へと投げる。

 ボールから光が飛び出し、収まると三体のポケモンが姿を見せる。

 四本足で歩く緑色の体毛を持つ猫みたいなポケモン。

 大きな口が特徴の鰐みたいな赤いポケモン。

 水鳥のような白い体毛に水色の前髪を持つポケモン。

「この子達がパルデア地方のポケモンかぁ」

「嗚呼。草タイプのニャオハ、炎タイプのホゲータ、水タイプのクワッス。皆元気で良い子達だよ」

 ニャオハはその場で丸まって欠伸をし、ホゲータは天を仰いで鳥ポケモン達を追い掛け、クワッスは池の水面に映る自分を見て前髪を整えている。

 皆それぞれ愛嬌があって微笑ましくある、サトシ達は思わず微笑んでしまう。

「可愛い〜。特にクワッスは前髪を整える姿、断然に可愛いじゃない」

 カスミは惹かれたのかクワッスを褒め讃えてくる、クワッスは気にせずに前髪を整えるが、サトシ達は苦笑いする。

「あれが平常運転なの?」的な目をコハルが送り、サトシとタケシは無言で頷く。

 とまあ確かにパルデアと言うまだ行った事のない新天地のポケモン、その一端を垣間見れるのは一人のトレーナーとしては嬉しい。

 続けてサトシはニャオハ、タケシはホゲータに近付いて挨拶していく。

「宜しくな、ニャオハ」

「ホゲータもな」

 ニャオハとホゲータも嬉しそうに鳴き、サトシ達は釣られて笑みを零す。

 一時の安らぎとは言え、時には身体を休めるには当たり前の時間だろう。

 

 


 

 

 そこは精密機器が並ぶコンピュータールームだった。

 幾つもの計器類の測量がモニターに映され、上限値に達している。

「ギヒ…ギヒヒヒヒ! 遂に、遂に完成したわい!」

 その静寂な空間にいる唯一の人間、一人の初老の男が高らかに笑う。

 長く揃えた口髭に白髪、モノクルアイを掛けたその男は狂ったように笑っていた。

「遂に儂の研究成果が愚鈍なこの世に出される時が来た…! 何十年の時を積み重ね、愚民共にその力の一端を見せる時が来たのだ!!」

 老人は醜悪な笑みを浮かべており、目の前にある──自らの"作品"に恍惚的な眼差しを向ける。

「見ているがいい…この世の愚鈍共! このDr.キリングの天才的な発明の力を!!」

 狂気の笑みを浮かべて老人──キリングは高らかに笑い続ける。

 この男の生み出した"作品"が猛威を振るうのは、もう間もなくである──

 

 

 To be continued

 

 

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