ポケットモンスター 〜THE LEGEND OF SAGA〜 REMAKE   作:虎武士

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久々の更新です。


#24 もう一度触れ合う為に

「あ、皆〜」

 丁度リハビリが終わったのか、サトシがピカチュウを伴ってベンチに近付いて来る。

『!!』

 一瞬強張って振り返り、今の会話を聞かれていないか警戒してしまうカスミ達。

「ど、どうしたのよ?」

「ちょっと疲れたから休もうとしたんだ。……って、トウマにタツキ? 何話してたんだよ」

「お、おう! オメェの旅の話を聞いてたんだよ、な、トウマ」

「うむ……お前が何処まで無謀な事をしていたのかをな」

「お、おい! カスミ、タケシ! 変な事、教えてないよな!?」

 赤裸々な黒歴史を話したのかと勘繰ってしまい、顔を赤く染めて問うも「さ、さあ?」と二人は咄嗟に誤魔化す。

「んな事よりよ」

「んな事!?」

「トウマ……バトルしようや」

 どうでも良さそうに流されてサトシがショックを受ける一方、タツキはトウマにバトルを持ち掛ける。

 突然の話に驚く様子もなく、ある程度予測していた彼は溜息を吐く。

「相変わらず短絡的な要求だな。それに言葉足らずだ」

「へへ…」

 貶されても可笑しくない言葉だが、彼女は単にバトルを持ち掛けたわけでもない。

「もしかして……」

「そう言う事だな……」

「ピカピカ……」

「…?」

 カスミとタケシ、ピカチュウは発言の意図を理解して笑みを浮かべる。一人に至っては首を傾げていて疑問を浮かべているが。

「だが丁度いい機会だ。其処にいる阿呆を奮い立たせる意味でもな」

「さっすがマサラタウンの秀才! IQ190!」

「皮肉なら後で勝手に言うがいい」

 ベンチから立ち上がり、一度火が点いた闘志は止められない。

 二人の持つスマホロトムが鳴り響き、その合図を知らせた。

『ポケモン・ワールド・カルナヴァルのバトル承認を確認、バトル承認を確認』

 お互いにカルナヴァルの参加者である事を示唆しており、毎度お馴染みのドローンロトムが飛来して来る。

 

《Ladies & Gentlemen! ポケモン・ワールド・カルナヴァルの時間がやって来たぜェ!!》

 公園にいる人々はその声音に耳を傾ける。

 そしてわらわらと集まり、野次馬が出来上がる。

《本日の対戦カードは! マサラタウンのタツキ、そして同じくマサラタウンのトウマ! 奇しくもあの世界チャンピオンと同じマサラタウン出身同士のバトルだァァ!!》

 野次馬達の歓声が一気に高くなる。

 本人いるんだけど、とカスミとタケシはチラッと真剣な眼差しで見つめるサトシを見る。

 これは唯のバトルではない、サトシの心に再び熱い闘志を燃え滾らせる為の必要なバトルだ。

 二人の視線が一瞬サトシに移るも、二人はこれから始まるバトルに意識を向ける。

「丁度いいタイミングではあるな」

「おうよ。見せてやろうぜ、彼奴に。オレ達が旅立ってこの三年、何もしてなかったわけじゃねえってな」

 互いに好戦的に笑みを綻ばせ、モンスターボールを構える。

『使用ポケモンはお互い三体! 何方かのポケモン三体全てがバトルOFFとなった時点でWinnerだ! さあ、両者──バトルスタート!!』

 ドローンロトムが宣言すると共に、二人のバトルは始まった。

 


 

「さあ──(はし)れ!!」

「……戦闘開始」

 二人は同時にモンスターボールを投擲、ボールが開くと一番手を務めるポケモンが姿を見せる。

 

「ドロォォォ!」

「グルァァァ!」

 

 タツキは毒・ドラゴンタイプのドラミドロ、トウマは悪タイプのグラエナを繰り出した。

 

「ドラミドロとグラエナか」

「方や毒とドラゴンタイプ、方や悪タイプ……油断出来ないわね」

 特にドラミドロの特性は毒の棘、うっかり接触すれば猛毒状態になる恐れがある。

「先手必勝って奴だ。ドラミドロ、ポイズンテール!」

「……アイアンテール」

 毒を纏った尾と強靭な鋼鉄の尾が激突する。

 両者はお互いに一旦距離を取り、それぞれのトレーナーからの指示を待つ。

「悪の波動」

「ハイドロポンプ!」

 漆黒の波動と水流がぶつかり合う。しかし水流が勢いを増して波動を霧散させ、グラエナに直撃する。

 横たわったグラエナは直ぐに立ち上がり、体毛に着いた水滴を身体を左右に揺らして水飛沫を振り払う。

 

「遠吠え」

 グラエナが吠えると身体が沸騰した様に筋肉が漲る。

 遠吠えは自分の攻撃力を上げる技、短期戦に持ち込むつもりであろう。

「ヘドロ爆弾をお見舞いしてやんな」

「全て回避しろ」

 ヘドロの塊が次々に発射される。グラエナはしなやかな動き避け続け、ドラミドロとの距離を縮めていく。

「サイコファング」

 口内を開いた牙が光を纏い付き、ドラミドロに噛み付く。

 エスパー技で瓦割りと同様、リフレクターや光の壁の効果を打ち消す技であり、同時に弱点も突いている。

「一旦戻んな」

 モンスターボールを掲げ、タツキはドラミドロを戻す。

「楽しいバトルはまだまだこれからだぜ? 行って来い!」

 次に出したモンスターボールを投げるとボールが開口、同時に重々しい着地音が轟く。

「ゴロォ!」

 カントーを代表する岩・地面タイプのイシツブテの最終進化形──ゴローニャが吼える。

「ゴローニャ!?」

「パワー重視のポケモンでグラエナに対処するのか?」

 ゴローニャの素早さはグラエナよりも低く、却って都合の良い標的に過ぎない。

「ゴローニャ、ロックカット」

 タツキからの指示でゴローニャは全身を磨き上げていき、トウマとグラエナは警戒する。

「貴様……もしや……()()()()()()

 だが同時にタツキ(彼女)の戦略を察し、トウマは溜息を吐く。

 何故溜息を吐くのかをカスミとタケシは首を傾げる、サトシは「もしかして……」と何かに気付いた様子だ。

「行くぜえ…! ゴローニャ、転がる攻撃!」

 ギュンッと丸まったゴローニャの身体が恐ろしいスピードで転がり、あっという間に距離を詰められたグラエナは空中へ跳ね飛ばされる。

「……ゴローニャに飛び乗れ」

「!?」

 トウマ(トレーナー)からの無茶な指示に空を舞うグラエナは驚き、転がるを繰り返すゴローニャの身体に飛び乗る。

 回転が掛かってバランスが取れず、慌てて走るグラエナに対し、ゴローニャは回転してバトルフィールドを駆け回る。

 タツキはニヤリと口端を吊り上げ、高らかに声を張り上げる。

「さあ、このバトルを見ている民衆達! とっておきのショーを御照覧あれ!」

 ゴローニャの回転スピードが更に上がる、グラエナも必死で走り続ける。まるでサーカスの玉乗りの様に走り回り、見学者から歓喜の声が上がる。

「すっごーい! まるでサーカスみたい!」

「相手のポケモンとこう言う演出をするとはな」

「それが彼奴の長所なんだよ」

 サトシが若干嬉しそうに言う。

「タツキは昔から皆を明るくするムードメーカーなんだ。喧嘩がある所や暗い雰囲気になっていたら、たまに悪戯したり、人を揶揄ったり、リュウヤみたいな弱い者虐めをする連中を懲らしめたり、大人達に怒られる事が多いけど、それでも懲りずに皆を明るくするのが好きなんだ」

 今みたいにこうやって相手のポケモンを利用してこんな風に明るい雰囲気にしている辺り、ある意味才能を持ち合わせているのだろう。

 そんな人徳もあるからこそ、この様な発想が思い付くのだろう。

 

「そろそろフィニッシュだ。ゴローニャ、跳び上がれ!」

 転がるの回転速度が速くなり、その勢いで空中へと跳躍した。

「!?」

 その場でグラエナは転び、ゆっくり立ち上がろうとするとゴローニャは転がるの体勢を解き、急降下してくる。

「ボディプレス!」

 まるでミサイルが落ちた様な衝撃と轟音が轟き、土煙が舞い上がる。

 ド派手な土煙に誰もが咳払いしていき、やがて煙が晴れて視界が明るみになっていく。

「あ……」

「………」

『グラエナ、バトルOFF!』

 目を回して横たわるグラエナを見てドローンロトムは判定を下す。タツキは「イエーイ!」と両手でピースサインを送っていき、民衆から歓喜の声が上がる。

「先ずはタツキが一勝ね」

「嗚呼……対するトウマは二体目のポケモンに何を」

 トウマはグラエナを戻し、二体目のポケモンが入ったモンスターボールを投擲。

 


 

「──ダアアアアァァァァイ!!」

 

 ──木霊したのは咆哮。

 

 青白い光と共に飛び出したその姿は獰猛そのもので、両眼の眼光は今にも獲物を喰らいつくさんばかりに鋭い。

 

 炎を思わせる尾鰭は魂の様に揺めき、生者を死の世界へと誘わんとする様で恐ろしい風貌だった。

 

 見た事もないそのポケモンの姿に誰しもが驚く。タツキは目を丸くし、サトシ達は唯々驚くしかない。

 

「おいおいおいおい……見た目だけで危ねえ奴を手持ちにしてんのか」

「育てれば愛嬌のある奴なのだがな」

 トウマの言葉には深みがあり、そのポケモンに対する愛情を感じられる。

 

「な、何なんだ!? あのポケモン……」

「水タイプのポケモンみたいだけど、ギャラドスと比べて大分全長が低いわね……」

 

 観客から驚きと戸惑いの混じった声が響く、その目は不思議そうな眼差しが込められている。

 

「あのポケモンって……似てないか? バスラオに」

 

「あ……確かに似ているな」

 

「かっこいい……!」

 

 傍でカスミが見惚れる中、サトシとタケシはそのポケモンの風貌に気付く。

 確かにその風貌はイッシュ地方などで生息する水ポケモン、バスラオに酷似している。

 だが全長1mのバスラオと比較すれば、彼方は3m程の大きさがある。

 

「このポケモンの名はイダイトウ。遥か昔のシンオウ地方……ヒスイ地方と呼ばれた時代において存在したバスラオが進化した姿だ」

 そんな彼等の疑問に答えるかの様に、トウマが淡々と説明する。

「バスラオの進化形…!?」

「ヒスイ地方……タマモさんのゾロアと同じ……」

「過去の文献にそんな記録が残っている事は聞いた事があるが、まさか本当に実在していたとは」

 過去の歴史に存在したポケモンが目の前にいると言う光景、生物としての本能からか探究心と知能を刺激する。

「本来バスラオは赤い筋、青い筋の姿が存在する。──だが嘗てのヒスイ地方には白い筋のバスラオが生息し、そのバスラオから進化した存在こそ、このイダイトウなのだ」

 律儀にトウマは解説……そして同時に指示を飛ばす。

「やべっ…! ゴローニャ、かわ──」

「遅いな。アクアジェット」

 イダイトウの全身が水を纏い、勢いよくゴローニャに向けて特攻。

 アクアジェットは先制技、それも効果抜群の水タイプの技な為、ゴローニャは回避もままならず真面に直撃を受けてしまう。

 それでも何とか持ち堪えるゴローニャ。だがその隙をトウマは見逃さない。

「ウェーブタックル」

「十万馬力!」

 させないとタツキはゴローニャに指示を飛ばす。

 アクアジェットよりも強力な特攻を掛けるイダイトウに対し、ゴローニャは防御に転じて十万馬力で防ぐ。

 お互い相殺された反動で吹き飛ばされる。特にゴローニャは水タイプの技を立て続けに受けている為、最早体力が限界に近い。

 

「ウェーブタックル」

「ゴローニャ、悪足掻きくらいはしてやれ。ステルスロック…!」

 容赦なくイダイトウの特攻が決まる。同時にゴローニャの身体から石の棘が放たれ、それは空中に舞う。

『ゴローニャ、バトルOFF!』

 水浸しで力尽きたゴローニャをタツキはモンスターボールへと戻す。

「此処でステルスロックか……」

「トウマの次のポケモンに対する布石かしら…?」

 カスミとタケシが深読みする中、サトシだけは「すっげー……」と唯々呟く。

『?』

「あの二人……こんなに強くなってたんだな。今まで会わない間に……それに比べて俺は」

 また自己嫌悪に陥るサトシを一瞥し、タツキは新たなモンスターボールを取る。

「ドラミドロ、もう一度行って来い!」

 再びドラミドロがバトルフィールドに再顕現。

「一つ聞いていいか?」

「何だ」

「さっきイダイトウが使ったウェーブタックルって技、恐らく捨て身タックルや突進の様に自分にもダメージが跳ね返る技だと思ってんだが、当たってるか?」

「……自分で想像するがいい」

 確認を取るとタツキはニヤッと笑みを浮かべる、それも獰猛なものである。

 

「情報提供の序でだ、相応の礼を受けてもらう──怪しい光」

「うげっ!?」

 イダイトウが眼光を鋭くさせると淡い光が放たれる。その光が命中し、ドラミドロは心ここに在らずとばかりの様子となった。

「まさか其奴……ゴーストタイプを持ってんのかよ!」

「そうだ。状態異常となればこの技が効果覿面だ──祟り目」

 ドラミドロの周囲に黒い瘴気が発生、その瘴気は瞬く間に襲い掛かり、ドラミドロに大ダメージを与える。

 祟り目は状態異常のポケモンに大ダメージを与える技、それにドラミドロの体力は大きく削られる。

「一気に殲滅するがいい……ウェーブタックル」

 弾丸の如くまたイダイトウは特攻、真面に食らってドラミドロから悲鳴が上がる。

 決まったか!?とサトシ達を含めた誰もが声を上げる中、タツキの口角が釣り上がる。ドラミドロの尾がイダイトウの身体に巻き付き、逃げられる事など不可能だ。

「!?」

「これを待っていたぜ。お前の天才的な知識と、それに見合ったバトルスタイルは大したもんだ。付け入る隙なんて滅多にねえから攻略なんて一苦労だ」

 だがな、と息を吸って吐く。

「頭ばかり使ってっと隙が出来ちまうぞ、この頭脳バカ。お陰でチャンスが出来た」

「まさか……ウェーブタックルの効果について問うたのは」

 全てこの為の一手、タツキは声を張り上げる。

「吹っ飛ばせぇ! 龍の波動!」

 龍を模った衝撃波はイダイトウごと自分を巻き込み、ドラミドロは爆風に吹き飛ばされる。

 両者二匹は地面に横たわる。身体に鞭を打ち、立ち上がろうとする──だが後一歩の所、お互い力尽きた。

《両者、バトルOFF!》

 ドローンロトムが判定を下し、戦闘不能の二体はモンスターボールに戻される。

「引き分け……これでお互い一体ずつ」

「二人の出すポケモンはやはり…」

 カスミとタケシがそれを予想する中、サトシはギュッと膝に置いた手を握り締める。

「タツキもトウマも……こんなに熱いバトルをしている。俺は……!」

 段々と立ち止まっている自分を恥じていき、少しずつ──こんな情けない自分に怒りが沸いて来る。

 このままではいけないと分かっているのに、身体が無意識にポケモンとの接触を拒んでいる。

 どうすればいいのかと思索する中、二人は最後のポケモンの入ったモンスターボールを構える。

 

「さてと……これが最後のバトルだ! 相棒、頼むぜ!」

「フシギバナ……戦闘開始」

 モンスターボールからリザードン、そしてフシギダネの最終進化形──フシギバナが姿を見せる。

「バッ!?」

 だが現れた直後、石で出来た杭がフシギバナの身体に食い込む。

 ゴローニャの残したステルスロックが現れたフシギバナを攻撃し、小規模であるがダメージを与えた。

 しかしその事にトウマは顔色はおろか表情一つ変えず、冷静に徹して指示を出す。

「蔓の鞭」

「っ! シャドークローで受け流せ!!」

 放たれた蔓を影を纏う爪で遇らうリザードン、だがフシギバナは気にすることなく蔓で攻撃を続ける。

 攻撃と防御の応酬の中、サトシが口を開く。

「すっげえ……!」

 少しずつ──少しずつだが、彼の瞳に光が徐々に灯されていく。

 

「火炎放射!」

「……岩雪崩れ」

 攻撃が放たれたのはほぼ同じタイミング。

 放たれた炎にフシギバナは飲み込まれ、頭上に顕現した岩にリザードンは押し潰される。

 お互い効果抜群のダメージを受けて、静寂が訪れたのはほんの一瞬。

「相棒! 雷パンチで岩を吹っ飛ばせ!」

 岩に出来た山に亀裂が入り、破砕されると共にリザードンが飛び出す。

「日本晴れ」

 煤だらけのフシギバナが唸り声を上げる。日輪の太陽がバトルフィールドに陽が射し、フシギバナの花の中心に陽の光が集束していく。

「もういっちょ火炎放射!」

「ソーラービーム……放て」

 満開の花の中心から光が放射、灼熱の炎と激突して相殺される。

「構うな。日本晴れの効果が切れるまで、連射するといい」

「チッ! 相棒、全部避け続けろ!」

 次々と発射される太陽の光をリザードンは錐揉み回転の要領で飛び舞いながら避け続け、フシギバナとの距離を詰めていく。

「岩雪崩れ」

 だが反撃を許すトウマではない。リザードンの頭上に向けて無数の岩が降り注ぐ、しかしタツキもそれに怯む弱い心を持ち合わせていない。

「一点集中…! フレアドライブ!!」

 赤き竜は灼熱の業火を纏う。その熱温で岩が溶解し、そのまま弾丸となりてフシギバナにダメージを与える。

 フシギバナが炎に悶える一方、リザードンもフレアドライブによるダメージに苦悶の声を上げる。

 観客から歓声が上がっていき、サトシは心が昂っていくのを自身で理解した。

 早く自分もまたバトルをしたいと心に思い、カスミとタケシも、ピカチュウもその心境を察した。

 タツキもトウマも彼の状態に気付きつつも、互いの相棒(パートナー)の状態に気付く。

 最早も体力が限界が近い、次の技で最後となるだろう。

「さあ……これで決着(ケリ)付けるとしようや」

「そうだな……あの()鹿()()を奮い立たせる為にも」

 花の中心に光を集中させるフシギバナ、その身に炎を纏うリザードン。

「ソーラービーム」

「フレアドライブ!!」

 タイプの相性など関係なく双方は最強の一撃を放ち、バトルフィールドは爆炎に包まれた。

 


 

《両者、バトルOFF! よってこのバトルは引き分け!!》

 

 黒煙は程なくして晴れていき、その晴れた先には二匹が倒れ伏していた。

 

《両者の健闘を讃えて、お互いトークンを申請するぜェ!》

 

 タツキとトウマはお互いの相棒(パートナー)をモンスターボールに戻し、スマホの画面でトークンの授与を確認。

 

 周囲から拍手喝采が起こり、二人は観客達に手を振っていく。

「お互い良いバトルだった」

「そうね……あんたの幼馴染達、凄いじゃないサトシ」

 猛突でスピード勝負に長けるタツキに頭脳戦を得意とするトウマ。

 相反する二人だが、サトシ()の為に互いにポケモンバトルで人を奮い立たせる傾向は正に理に叶っていると言えよう。

「嗚呼……俺、もう一度バトルしたい」

 このまま惨めな思いはもう沢山である。だからこそ──

「俺……ピカチュウと、他のポケモンと触れ合いたい…! 色んなポケモンと出会って、世界中のポケモンと友達になりたい」

 両眼から大粒の雫が滴り落ち、自らの意思で決意を吐露する。

 ピカチュウも、カスミとタケシも、熱いバトルを演じたタツキとトウマも笑みを零す。

 だが先ずは彼の心の傷だ、それをどの様にして乗り越えるべきなのか。

 

「──お困りの様だね」

『?』

 突然と掛けられる声、振り向いてみるといつからいたのか、一人の男が立っていた。

 テンガロンハットを被り、首元に赤いスカーフを巻いて、ベストを纏った初老の男だ。

 年齢は推定70〜80代であろうか、かなりの高齢と思われる。

「おっさん誰だ?」

「貴方は一体…?」

 男はフッと口角を吊り上げ、テンガロンハットの鍔に手を触れる。

「私の名はイシオ。何者かと言われれば……そうだな、()()()()()さ」

 カウボーイ風の男性の言葉に息を飲む一同、同時に高齢者らしからぬ風格と鋭い瞳をその男は宿していた。

 

 To be continued

 

 




最後に登場した御仁のイメージCVは特撮で有名な森次晃嗣さんです。

次回は彼の中の人ネタの名台詞を少々…。
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