ポケットモンスター 〜THE LEGEND OF SAGA〜 REMAKE   作:虎武士

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#8 旅は続く、自由に…そして風の赴くままに

 ポケモン・ワールド・カルナヴァル…昼中にて宣言されたあの催し事の告知を聞き、世界は色めき立っている事だろう。

 全てのポケモントレーナー、コーディネーター、パフォーマー……凡ゆる分野を極める者は勿論の事、各地方のジムリーダーや四天王、フロンティアブレーンやチャンピオンまでも巻き込む様な祭り事。

 彼女──タマモは何を以てあの様な宣言をしたのか、何も分からないままサトシとのバトルは中断したままでマサラを出発した。

 だが、彼女は去り際に言った。

「バトルの続きはカルナヴァルで行いましょう。その時は貴方も本気で来て下さい、心置きなくね♪」

 挑発めいた言動だったが、彼女は自分に期待している事を断言している。

 きっとこの祭り事……唯のバトルの祭典とは限らない、嘗ての旅仲間や学友達、更に好敵手(ライバル)達も参加するつもりであろう。

 互いに敵としての潰し合いが行われる、バトルロイヤルの様な趣向とも捉えられる事だろう。

 弱肉強食、自然淘汰、優勝劣敗──凡ゆる側面があるかもだが、こんなバトルの祭典が開かれるとは思わなんだ。

 更に──ジン、あの男こそがずっと追い続けていた目標だった。

 飄々としているものの、穏やかな雰囲気に隠された刃の様な眼光。

 ロケット団を赤子の様に足らい、当時の組織を壊滅に追い込む程の実力、更にタマモの様な強きトレーナーを弟子にしている程の懐の深さ。

 正に彼は、ポケモンマスターとも呼んでいい程の実力者だった。

 

 

「──いや〜美味えわ、相変わらずお前の作る料理は美味すぎるわ」

 そんな彼は今、サトシの家にて料理を口に運んでグルメを嗜んでいた。

 箸でご飯を、フォークやスプーンでオードブルを口に運んでいく。

 楽しげに食事をしていき、サトシは見ながらも食事を進める。

「調子に乗らないの」

「相変わらずじゃな、この二人は」

「ママさん、ジンさんの前ではこんな感じなんですね」

 同じく招かれたオーキドとケンジもその風景を眺めながら苦笑いする。

 ピカチュウがポケモンフーズを食す傍ら、サトシは黙々と食べ続けていく。

 そして溜め込んだ物を喉を通して飲み込んでいき、一息ついた所で彼は口を開く。

「……ママ」

「なあに?」

「ケンジ、オーキド博士」

「どうしたんだい?」

「む?」

 一人一人に彼が声を掛けていく中、箸を置いてジンは無言で静観を貫く。

「……俺、旅に出るよ」

 淡々と、サトシは静かに告げる。

 旅立つ事に関して特に問題はない、だが動機に問題があった。

「あのポケモン・ワールド・カルナヴァルに出場したい。ポケモン達全員の力を合わせて、これまでの旅で培ってきたもの全て使って──絶対優勝してみせる」

 あの宣言はいい導火線となった様だ、ジンはほくそ笑みながら彼を見て思った。

「成程な。良い啖呵を切るじゃねえか──だがそれだけじゃねえんだろ?」

 見透かした様な言い方をされ、核心を突かれると面を食らう。

「あのデザイアって連中の事だろう?」

「……うん」

 正直に答えていくしかなかった。

「ポケモンの、そして人の命をあんな風に軽々しく踏み躙る連中を野放しになんて出来ない。あの時戦ったゼノンって奴は特に……だから俺、デザイアの暴挙を止めたい」

 特にあのゼノンと言う男は極めて危険性が高い。ロケット団、否、今までに遭遇してきたどの犯罪者や敵組織よりも危険過ぎる。

「ダメよサトシ、危険な事は」

「ママ……」

「この間どれだけ大変な目に遭ったのを忘れたの? 今日目覚めたばかりなのに、これ以上危険な事に関わるのは止めなさい」

 母の真剣な表情と紡がれる言葉はとても心に響き、何とも言えない表情を浮かべてしまう。

 唯でさえ一方的に敗北を喫した上に殺されかけた、普通であれば心が折れても致し方ない事に値する。

「ごめんママ……こればかりは守れそうにない。マサラタウンを襲い、あんな事が平気で出来る連中を放って置けないよ」

「サトシ、いい加減にして! 何度も同じ事を言わせないで!」

「──良いんじゃねぇの」

 そんな時に意外な人物からの言葉が紡がれた。

「ジン!」

「少し自分の息子を信じてやれや。我が子を成長させる為に送り出す、それを見守んのが親の務めだろ」

 暢気でありながらも芯の強さがあるジンの言葉に何も言えず、ハナコは「……分かったわ」と不本意ではあるものの従う。

「でも約束して、生きて帰る事…分かった?」

「うん」

 そんな親子のやり取りに思わず微笑ましく、表情筋が緩んでいく。

 

「羨ましいね〜、こう言う家族の仲良し子よしが良いんだよな」

「お前さんも娘さんと早く仲直りすれば良いんじゃがな」

「上げて落とすの止めてくんね?」

 心に矢が刺さり、ジンは笑顔から一変して苦い表情でオーキドを睨む。

「娘さん…って、ジンさんはご結婚されて……ってまあママさんと同年代だからおかしくないのか」

「彼方の親子に比べりゃあギクシャク気味だけどな、さてとこれからどうなる事やら」

 まだ見ぬ未来を思いながら、夜は更けていき──一時の平穏を享受していった──

 

 


 

 

 晴れやかな蒼穹が澄んでおり、心地良い微風が吹いて木の葉が青空に舞う。

 研究所内の一部の機械にスマホロトムを設置すると、パソコンをオーキドが操作してスマホロトムをアップロードする。

 パソコンの画面がアップロードを終えるとオーキドがサトシにスマホを手渡す。

「ほれ、これで終わったぞ」

「ありがとう御座います!」

 サトシが一礼してスマホロトムを操作する、あの宣言で話していたルールブックを確認する為である。

 暫くすると着信音が響く、メールを開いて例のルールブックを確認していった。

 

 

 ポケモン・ワールド・カルナヴァル 〜主なルール〜

 ① 試合のバトル方式は専用のドローンロトムが裁定する。シングルバトル・ダブルバトル・タッグバトル・コンテストバトル……バトルの人数や方式はその場で判断される。

 ② バトルにてメガシンカ・Z技・ダイマックスはバトルでいずれかを一回だけ使用を許可される。

 ③ バトルの勝利に応じてトークンが与えられる。トークンの数によって"試験官"なるポケモンの格タイプのエリートのトレーナーが現れ、様々な試験やバトルを提示してくる。

 ④ また、ポケモンへの過度な虐待時には"執行人"なる者が執行する場合もある。

 ⑤ ③で試験官に負けてしまった場合トークンを全て失い、一からやり直しとなる。

 ⑥ トークンを100個以上を獲得したトレーナー100人が本戦へと出場が可能となる。

 ※ 以上が主なルールとなるが、進行状況によって新たなルールが記載されていきます。

 ポケモンリーグ&ポケモンコンテスト実行委員会

 

 


 

 

「成程な……一体どれだけ強いトレーナーやコーディネーター、パフォーマーがいるんだろうなぁ」

 記載されたルールを読み上げてサトシは心を昂らせ、自然に拳を握り締める。

 三度の飯よりもバトルが好きである性分の彼にはもってこいの趣向である、その傍らでピカチュウも同じく心を昂らせている。

「勝ち抜いたトレーナーを試す試験官、酷いトレーナーを罰する執行人……ちょっと厳しいルールみたいだね」

「どんなルールだろうと俺は勝ちまくってやるぜ! そして、本戦にまで勝ち上がってみせる!」

 純粋なまで闘志を燃やすサトシは研究所内の庭に移動、そして自らのポケモン達を集めていった。

 

 

「皆、聞いてくれ! 俺、ポケモン・ワールド・カルナヴァルって言うポケモンバトルの大きな祭に参加する事になった!」

 ポケモン達はそれを聞くなり険しい表情となる、サトシの放つ雰囲気でその祭が穏やかなものではないと察したからだ。

「お前達全員の力が必要なんだ! 皆でこのバトルの祭を楽しもうぜ!」

『おう!』と言っているのかポケモン達は一斉に嘶く、彼等のやる気は十二分に伝わってくるのが分かる。

「だけど此処にいる全員じゃ足りない。多分別れた仲間達の力も借りなくちゃいけないと思う」

 だが他の面々もそれぞれの事情がある為、無理強いするわけにもいかない。特に野生に帰ってしまったポケモン達に関しては行方も掴めずじまいだ。

「だからこれから、皆に会いに行きながら歩いていこうと思うんだ」

 ポケモン達も同意して嬉しそうに嘶く、そんなサトシの姿にハナコはある人物の面影を感じ取った。

「じゃあママ! オーキド博士にケンジ、行ってきます!」

「はあ……もう、ちゃんと行ってくるのよ」

 苦笑いしながら見送る母達に挨拶して、視線を樹に背中を預けるジンに向ける。

「ジンさん……今度会った時、パパの事を教えて下さい」

「……いいぜ、それから頂点にまで駆け上って来な」

「はい!」

 腹を括ったのか複雑な笑みを見せた後、サトシはモンスターボールにポケモン達を戻してオーキド研究所を発った。

 

 

 少年の運命は静かに動き出した。

 そしてそれは、徐々に戦いの渦へと誘って行く。

 その果てに待つのは希望か、絶望か、それとも──

 新たな決意を胸に秘め、サトシの果てしなき冒険が幕を開けた。

 

 

 To be continued

 

 

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