時空管理局員の実力至上主義教室潜入調査   作:ウィングゼロ

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5話『4月の終わり……そして』

 

この学校に入学してから暫く立ち、始めての月末に差し掛かっていた。

今では授業も本格的に始まって1ヶ月余り。

慣れ始めて他クラスでは授業中での私語や不適切な行動が起きているという噂を耳にするものの、僕達のクラスは入学式で言った言葉が効いているのかしっかりと公私を分けるように授業に取り組んでいた。

 

(今のところ、目立った動きはない……やっぱり来月から本格的に動き出すんだろう。昨日の内にレポートは出しておいたから、今日は来月のための資料の続きでもしようかな……)

 

今後のことを頭の中で考えつつも並列思考で授業にも取り組む中、お昼休みまで後保健体育の1限目となったのだが、授業の予鈴がなってやって来た星ノ宮先生が持つ紙束やいつにも増して真剣な姿勢に眉をひそめた。

 

「はーい。授業を始めまーす。といいたいんだけど……今日はみんなには小テストをやってもらいます」

いつもとは違う上に抜き打ちのテストが行われることでクラスはざわつき、不満や動揺の声がひそひそと呟かれる中、この光景を予想したであろう笑みを浮かべていた。

 

「今回の小テストは、あくまでも今後の参考用だから、成績表には反映されないよ〜たとえ点数が悪くても大丈夫だから安心して受けてね〜」

 

その言葉に周囲はほっとしたのか不安を漏らす声が鳴りを潜めるなか、星ノ宮先生が告げた気になる言葉を頭の中で考える。

 

(成績には反映されない……か、つまりはそれ以外には反映される可能性があるということ……十中八九、ポイント関連だろうな)

 

今月の授業態度と小テストの成果で来月からのポイントが確定する。小テストとはいえ油断はできないということか

 

そんなことを考えていると背中を突かれ、後ろにいる帆波が僕と同じように答えに辿り着いたことを示し合うために意図してそういった行動に出たのだろう。

授業中なため、迂闊に声を出すわけにはいかず僕は軽く頷くジェスチャーで帆波に返答した後。回ってきたテスト用紙裏返し、始まるまで静かに待つ。

 

「それじゃあ、始め」

 

その合図と共にテストが開始され、裏返していたテストを返して問題文に目を通していく。

 

(これは……簡単な中等教育の範囲ばかり……これなら大抵の生徒なら高得点を出しそうだね)

 

どんな内容なのかと少し拍子抜けしつつも引っかけ問題などがあるかもしれないと考慮して油断せずに答えを記入していき問題を解いていく。

これなら直ぐに終わらせられるだろうと手を動かすが最後の3問に差し掛かったところで手を止めて内容に目を疑う。

 

(ここから難易度が一気に跳ね上がってる授業でもまだ受けていないところだし、最後の1問に関しては大学入試レベルの問題なんじゃないか?)

 

明らかに何かあると言わんばかりの問題。視界に見える限りでも手を動かしていたクラスメイトが完全に行き詰まっている様子が見て取れた。

 

(明らかに意図的に難易度が上げられている3問……個人の成績が反映されないとはいえ、クラス全体への影響がないわけではないはず。それを抜き打ちのテストで出すということは何らかの意味が……)

 

この学園の意図を読み取ろうと思考しながら、同時に最後の3問を同時並行で解いていく。

最後の3問は確かにまだ習っていないし通常なら解くことも難しいが……解けないわけじゃない。

 

伊達に捜査官になる前、叔父のいる本局住まいで無限書庫で勉強をしていたわけではない。

 

そして3問とも答えを導き出し、抜けや誤りは無いかをもう一度、テストを再確認した後。残った時間でこのテストについての意図を考察するのだが、情報が少なすぎてこれといった答えは導き出せず。授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り響く。

 

答案用紙を集めきった星の宮先生は教室から去った後、教室内はいつもより騒がしかった。

唐突に始まった抜き打ちテストに難易度が一気に上がっていた最後の3問。

各々で先程のテストの出来具合を言い合う中、僕達もいつものメンバーが集まって同じようにテストに関して話し合っていた。

 

「いきなりテストとか、本気で止めて欲しいよな……」

「先生側からすればどれだけ勉強しているのかの確認のためだろう。それで、あのテストの出来具合はどうなんだ?俺はケアミスがなければ90点は確実だ。」

「マジかよ……うーん60か70位……最後の3問なんか全くわかんなかった。高杉はどうだったんだ?」

「取りあえず全問回答してるからミスがなければ満点かな……」

「え?マジで?あの3問も解けたのかよ……というかあんなの習ったか?」

「いいや、授業でも習っていないから普通なら解くことも難しい。よく解けたな」

「海外にいたときに図書館に通い詰めてた時期があったから、そのお陰でもあるかな。そうだ帆波の方はテストどうだったの?」

「こうくん。そこで私に振ってくるかな……うーん、最後の3問以外は確実で、他は少し少し自信がないかな……」

 

帆波も神崎くんも流石に満点を取るのは難しいと表情からも察することができる。 

このクラスで勉強ができる二人が満点を取ることができないと言わしめる辺り、それを差し置いて満点を取るかもしれない僕は一際目立ってしまうことに内心で頭を抱えるのであった。

 

「はぁ……何やってるんだろう」

 

それから授業は滞りなく進み、放課後。特に予定ややることもなかった僕は一目散に自室へと戻り、荷物を床に置いたあと、制服のままベッドにへダイブし今日一日……特に抜き打ちテストについて思い返す。

 

(仮に全問正解でクラス内で唯一満点となると……これからクラスの代表として引っ張って行かないといけなくなるだろうな……)

 

入学式の初日でも導き出したこの学校の特異なシステムの仮説を話してクラスでも一目置かれているのだ。今回ことでも一番良い成績を残せば自ずとクラス代表として抜粋される。

 

(かといって、僕はあくまで調査で来ているわけだし、3年間在籍している可能性は低い。そもそも僕は捜査官であって指揮官じゃないし)

(……うまく、リーダーを帆波か神崎くんに譲ってリーダーを支えていくのが僕としてはベストかな)

 

今後の考えが纏まったところでベッドから起き上がり、私服に着替えようと備え付けられているクローゼットに手を掛けたその時、部屋に着信音が鳴り響く。

 

「この音は……」

 

クローゼットに伸ばしていた手を止め音がした方向、机の引き出しの元へいき、引き出しから先程鳴っていた任務用の通信端末を取り出し中を確認するとメッセージが受信していることを確認する。

 

「メッセージ?東京支部から?」

 

送られてきた宛先は東京に構えている管理局の拠点。書かれている内容文を読み終えると唐突な内容にため息を溢す。簡潔にいうと以下の通りだ

 

【本日、17時に東京支部へ出頭せよ】

 

 

 

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