何かしら秘密の活動をしてる結束バンドの面々   作:ルテニウム

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ぼっちちゃんは肉体能力超強化されてます。


暗殺家業と下北系魔法少女

「──はぁ、はあっ……」

 

 後藤ひとりは息を荒げながら走っていた。手に待つのは、その体に見合わない大きめの拳銃。

 慌てて駆け込むように路地裏へ滑り込む。流れるようにホルダーから弾倉を取り出し、拳銃の下から音を立てて押し込む。

 

「な、なんで私がこんなことする羽目に……」

 

 そして、思い返されるのは土下座スタイルで頭を下げる父の姿。

 

『すまん!! ほんっとうっに申し訳ないんだが──ひとり!! 家業が今結構詰まってて……代わりにこの依頼頼まれてくれないか?!』

 

『あ、はい──……え?』

 

 いやまあ、ひとりが流されたのが悪い気がしないでない。だがひとりは『大体に流されろ』をスローガンに生きていると言っても過言でもない女。

 元々ギター練習の裏側家業の鍛錬はしていたが、ここまで早い活躍になるとは思っていなかった。

 

(や、やっぱり私なんかが暗殺家業なんて継げる訳が……だけどふたりにやらせるわけにも……)

 

 思い浮かぶのは純真無垢な笑顔を浮かべたふたりの姿。笑顔で描いた絵を見せてくるふたりの姿。笑顔で狩ってきた獲物を見せてくれるふたりの姿……笑顔で包丁を握った……頬に血を付けていたふたりの……。

 

(い、いや……気のせい気のせい! と、取り敢えず今は目の前の仕事に集中しないと──!)

 

 立ち上がり、後ろ手に配管を掴みその勢いで跳びあがる。トトン、と軽く音が鳴り、そして辿り着いたのは一段下がった屋上。

 身を潜めながら駆ける。

 

(後ろ手に来ていた追っ手が4人……相手方の護衛は4人っていう情報だったけど、多分このペースだと前に2人はいる追い方……どどどどうしよう?! 後ろの敵を先に……い、いや、それだと警戒されてる分難しい……前の敵を先に始末──あぁ、分からない!)

 

「探せ! 探し出せ!! まさか俺達が依頼主殺されてだんまり決め込むわけねえよなぁ?! 草の根一本残さず荒らせ!! あぁ、だが油断するなよ!! 敵は()()ゴトーだ!!」

 

「おう!!」

 

「分かってますぜ兄貴!!」

 

 (──ひぃいい!! なんでかバレてる! バレてる!! ど、どうしよう! このままだとお父さんに怒られる! 早くコイツら始末しないと──)

 

 音から位置を割り出す。下に四人固まって──固まっている?

 

「おう! その意気だテメェら!」

 

 激しい怒りが伝わってくる。今からやろうとしていることの、余りの怖さに意識を失いそうになる。

 

(……で、でででも! 上手くいけば全部上手く……)

 

「それじゃぁあいくぞ!!」

 

 そしてその合図で動きだす3つの気配。ひとりの脳裏にあらゆる考えが浮かび上がり、そして──

 

(──もうどうにでもなれ!!!)

 

 流れるように体を動かした。音は鳴らせない。自由落下に身を任せる。横から地面へ落ちる。

 

 開けた視界の中、一瞬で状況を把握する。

 

(──2時方向に二人、5時方向に一人……下に一人──!)

 

 ぶわっ、と一気に重量がかかる。それを無視して、2時方向へ2発。弾けるような振動が体を吹き飛ばずが、それも予想の範囲内。空中でバク転をしながら最後に一射。

 そのまま地面を削るように着地する。ザァァ──と付けていた手袋が削れる音が鳴る。

 

「な──!」

 

 リーダー格の男が驚愕の目線を向ける。だが、直ぐに男はニヒルな笑みを浮かべ、片手に銃を握り締め反応した。

 

「……三人とも頭を一発、か──やるじゃねぇ」

 

 流れるままひとりは撃った。

 

「──かぁ?」

 

 プチュン、と儚げな音が鳴り、そしてドサリと倒れる。それを見届け、ひとりはハァ、と一息。

 

「……お、おわっ──」

 

「──こっちだ!! こっちにゴトーの奴がいる!! 最後の通信は近い!! 急げ!!」

 

 ひとりの顔が崩壊した。途中から忘れていた。そうだ、前にまだいると言ったのはひとりではないか。

 

「……あ、あははははは……──!!!」

 

 そして、完全に壊れた絶叫を出しながら、ひとりは声が鳴る方へ全力で駆けだした。

 

 

「な、なんだ! なんで獣がここに──女ぁ?!」

 

 

 そして、銃声が鳴り止んだのは数分経った後のことであった。

 

 

           ◆◇

 

 

 夕日も沈み初めだけ逢魔が時。銃撃戦が繰り広げられたそこに、一人の少女が座り込んでいた。

 

 

「──ここで争いがあったのは間違いないわよね!」

 

「キュッキュップルーイ!!」

 

 

 その少女は、まるで魔法少女のような格好をしていた。そしてその正体は、紛うことなくそのまま魔法少女である。

 となりに浮かぶ謎の兎のような生命体は、奇怪な鳴き声を上げて少女へ同調していた。

 

「なにが理由かは分からないわ──けど! 悪事は絶対許さないわよ! この下北系魔法少女──喜多郁代がね!!」

 

 キターン!! ──そんな幻聴を空耳させながら、眩い夕日よりも更に眩しく、喜多郁代は笑顔で路地裏に向かって宣言した。

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