平凡な場所からこんにちは   作:べーニッツ

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急激な成長

ロイヤルに来ての3日目の朝が訪れる。

窓から差し込む太陽光で俺は目が覚める。

 

「うわっ…眩し…」

 

今日は快晴で、雲がほとんどなかった。

ベットから起き上がってパジャマから制服に着替える。

 

「さっさと練習場所に行かないとまた何か言われるし、早めに行こう。」

 

昨日の演習でのベルさんにボコボコにされたため、また何かの拍子に演習をさせられたらたまったものじゃないため、昨日より早く部屋を出る。

 

「おはようございます、テゲトフ様。本日の朝の練習は動きながらの砲撃となっております。」

 

「…へ?」

 

ドアを開けると部屋の前にはベルさんが昨日と同じように立っていた。

 

 

「あの~…なんで部屋の前にいるんですか?」

 

「本日の練習メニューと、シリアスによってお怪我をなされたテゲトフ様を支えるために来た所存でございます。」

 

「はぁ…」

 

練習については昨日の演習の後に言われたし、腰の痛みに関しては昨日もらった薬がよかったのかほとんど感じてなく、問題なく動き回れるくらいである。

 

「怪我に関してはほとんど治っているようなものなんですが…」

 

「万が一のことを考え、私が完治と判断するまでお傍にいるよう、ご主人様に命令されただけでございます。」

 

「そこまでするくらいだったら今日の練習なしにした方がいいんじゃ…」

 

「テゲトフ様は基礎的なこともままならないのです。このような状態で休むなど言語道断です。」

 

もはや鬼教育かというくらいなことを言われ、ぐうの音も出なかった。

確かにベルさんの言っていることは正しい。

戦時中で少し怪我したから練習休むと言うのは舐め腐っているだろう。

元居たところとは根本的な考え方が違うのだ。

 

「分かりました、じゃあさっそく行きましょうか。」

 

「はい。」

 

ベルさんと共に昨日来た練習場所まで歩いていく。

途中何度か視線を感じたが、練習場所まで行く途中で誰ともすれ違ってはいない。

多分俺の気のせいだろう。

練習場所に着き、艤装を出す。

昨日の的は少し変わっており、二種類あった。

一つ目は昨日と同じ止まっているものだが、二つ目は動いていた。

 

「では私が初めにお見せいたしますので、同じようにテゲトフ様は続けて撃ってみてくださいませ。」

 

ベルさんが動き出し、止まっている的に砲弾を見事に当てる。

続けて俺が動き出して的に向けて射撃する。

弾は的には当たらなかったが、的の近くに落ちた。

 

「少し惜しいかったな。」

 

昨日のと比べると練習の難易度は変わってはいるが、今日中にできないことではないと思った。

 

「もう一度行きましょう。」

 

ベルさんに促され、再び動いて的へ射撃した。

今度はしっかりと命中させることができた。

 

「お見事でございます、テゲトフ様。お次は動いている的にも同じように射撃をします。」

 

ベルさんが近寄ってきて褒めてくれる。

次はあの動いている的だが、こっちは骨が折れると思う。

何故ならあの的は左右に動いているだけじゃなく、前後にも動いているのだ。

 

「どうぞ。」

 

今回はベルさんのお手本は無いらしい。

また動いて的を狙う。

俺と的、どっちも動いているから狙うのは難しかったが、あの的は向きを変える時に少し止まる。

その隙をついて撃つ。

運がいいのか知らないか、まさかの一発で当たった。

ベルさんの方を見ると、一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに元の表情に戻った。

 

「実にお見事でございます。」

 

ベルさんにまた褒められ、照れてしまう。

その後も何度か撃った結果…

何発かは外れてしまったが、六、七割くらいの砲弾が的に当たった。

昨日はあんなにも散々だったのに今日は調子がいい。

 

「本日はこれ位にいたしましょう。」

 

ベルさんと一緒に切り上げる。

ちょうど腰にも違和感を感じ始めた頃だから助かった。

朝食を食べる前に部屋に戻って薬を塗ろう。

 

 

~~~~~

 

今回のテゲトフ様の成長には驚きを隠せませんでした。

昨日はあまり芳しくないものでしたから不安でしたが、本日の結果から考えればセイレーンとの戦いには後数週間程度でお行きになるでしょう。

 

「しかし、ここまでの急成長もこちらとしては予想外…」

 

テゲトフ様に元々戦闘に関しての才能が有り、開花したか、はたまた飲み込みが早いのか…

 

「わざわざご主人様に無理を言ってテゲトフ様の教育担当にさせてもらいましたのに…」

 

ご主人様が多大な配慮によりテゲトフ様のお傍に入れることとなりましたが、それも後少しで解かれるのが和み惜しいので朝早くからテゲトフ様のお部屋の前で待機しておられましたが、テゲトフ様を驚かせてしまわれたでしょうか?

 

「ここはもう一度テゲトフ様に演習を申し込み大破させて戦線に行くのを遅れさせることにすれば…」

 

周りから見たら異常者と思われるはずですが、私はそれでもテゲトフ様のお傍にいたい。

あわよくば私自身に依存させたいくらいでございます。

ああ…テゲトフ様…

ご安心してください。

テゲトフ様に近づく雌はこのベルファストが…

 

 

 

 

 

「本気をもってお相手いたします♡」

 

 

~~~~~

 

朝食を食べ終え、今は執務室へと歩いて行ってる。

朝食の時はまたユニコーンちゃんと一緒に食べていたが、近くにいたイラストリアスさんが割って入ろうとしてエリザベスさんに止められていたのは実に修羅場だった。

執務室の前に着き、ノックをして入る。

 

「テゲトフです。」ガチャ

 

「すまないね~、わざわざ来てもらっちゃって。」

 

「いえ、こちらはもう指揮官の部下ですから。」

 

今回は暇だから指揮官に任務とかもらいに行ったわけじゃなく、指揮官から呼び出されたので来た。

 

「それで、何故呼び出しをしたんですか?」

 

「実は今日の朝の演習見ていてさ。」

 

昨日のベルさんとの演習の時も見ていたが、今回のも見ていたそうだ。

 

「昨日と比べて結構上手になったね~」

 

「はは、うれしい限りです。」

 

指揮官に褒められ、頭をかく。

 

「それで今回の呼び出しについてはね、私の隣にいるんだけどさ…」

 

指揮官の隣を見ると、金髪の赤い上着を羽織った人がいた。

その人が一歩前へ出て、俺にしゃべりかける。

 

「ジョージ五世二番艦プリンス・オブ・ウェールズだ。テゲトフ、よろしく頼む。」

 

「テゲトフ級二番艦のテゲトフです。こちらこそよろしくお願いします。ウェールズさん。」

 

ウェールズさんが手を差し出してきたので握り返して握手をする。

 

「自己紹介も終わったところで、本題に行くけど、いいかな?」

 

「いいぞ。」

 

「大丈夫です。」

 

ウェールズさんと共に答え、指揮官が本題を話始める。

 

「今朝のテゲトフの成長ぶりを踏まて、午後からの練習はウェールズがテゲトフに教えることにした。」

 

「俺の演習担当はベルさんじゃなかったんですか?」

 

「ベルはテゲトフの教育担当ではあるんだけど、流石に軽巡に戦艦の相手をさせてもね~、だから同じ艦種の戦艦のウェールズを選んだ。」

 

「私からも質問をするが、いいか?指揮官。」

 

「いいよ~」

 

俺の質問に答えると次はウェールズさんが指揮官に質問をする。

 

「戦艦を選というのは分かったが、何故私になったんだ?戦艦ならフッドとかウォースパイトもいるはずだ。」

 

「それに関してはテゲトフはフッド達とすでに関わりがあるからね。まだ関わりがないウェールズを選んだのがその理由だよ~」

 

「そうか、分かった。ありがとう、指揮官。」

 

ウェールズさんは満足したのか一歩下がった。

 

「じゃあゆっくりでもいいから演習場に行って来てね。今はセイレーンの侵攻があまりないけど、テゲトフを早いとこ主力として艦隊に編成したいからね。」

 

「了解!」

 

「じゃあね~」

 

ウェールズさんが指揮官に返事をし、執務室から出ていく。

ウェールズさんの後に続いて俺も執務室から出ていく。

 

「失礼しました。」

 

 

~~~~~

 

~~~~~

 

「それで、何故テゲトフはKAN-SENになったんだ?」

 

演習場に向けて歩いているとウェールズさんが俺にKAN-SENになった理由を聞いてきた。

ベルさんと指揮官だけが今のところ俺がどうやってKAN-SENとなり、ロイヤルに所属することになった経緯はこの二人しか知らない。

ウェールズさんや他の人達も悪い人ではないだろうが、まだあまり彼女らのことを知らないのでしゃべらない方がいいだろう。

 

「いや~、なんか朝起きたら艤装が出ていたんですよ。」

 

「そんなことあるか?」

 

「自分でもいまだ信じられないですよ。」

 

「お前がKAN-SENになったのはまだいいが、どうしてロイヤルに?男性は基本、政府の元で暮らしていると思うのだが…」

 

朝起きて艤装が出ているのがまだいいって…

 

「正直、俺はセイレーンと戦っているのが女性であるKAN-SENだけというのがおかしいと思うんですよ。軍隊に所属している人もほとんどが女性。そんなの可哀想じゃないですか。男もこうやって戦いに出れるようにした方が俺はいいと思っているのでここに来ました。」

 

「ふむ、珍しいな。男性でこんな考え方をしているのは世界中どこを見てもお前だけだろうな。」

 

「自分でもおかしいとは分かってますよ。」

 

「私はおかしいとは思わないぞ。」

 

「そう言ってもらえるとありがたいです。」

 

演習場に着くまでウェールズさんと話しながら歩いて行った。

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