砲弾を積み終え、演習場で待っていると港の方からウェールズが来た。
「あら、私が一番先だと思ってたのに。」
「最初に指揮官から呼ばれたのでね。」
旗艦はウェールズなので心配はない。
あの中では一番しっかりしている人だし、実力もロイヤルでは上の方だ。
「しかし急に演習をするとは何かあったのだ?」
「まあなんというか…俺が悪い…わけじゃねえな。」
素直に近代化改修の許可を出せばいいだけなのになんで演習するんだか…
そこまで男を信じていないのか、新人だから演習で実力を確認したいのか。
「テゲトフが関わっているのか?」
「近代化改修…」ボソッ
「あ…」
ウェールズは察したのかそれ以上は聞いてこなかった。
多分過去にも近代化改修とかをするための条件に演習があったのだろう。
「お待たせしました~」
サフォークさんもやってきて、次いでジャベリンさん、ユニコーンちゃんと到着し、最後にエディンバラさんが着いて全員集合した。
「全員揃ったようなので明日の演習に向けて確認を行う!」
旗艦であるウェールズが声を張り上げ、全員がウェールズの方を向く。
「はいはい!質問いいですか?」
ジャベリンさんが手を上げる。
最初に話した時は明るい子だなと思ってたけど少し肩が触れただけで鼻血を出してぶっ倒れたのはやべえ奴だと思った。
男性に対しての免疫…以上に低すぎるな。
というか今まで出会った人たちが免疫あり過ぎただけなのか?
「構わない。」
「どうして急に明日演習することになったんですか?大規模な作戦はこの前終えたばかりですし…」
「それは…テゲトフ!お前が説明した方が早い。」
「了解。」
ウェールズの隣にいた俺は一歩前へ出る。
ジャベリンさんとユニコーンちゃんの無垢な目がこちらを見る。
もう俺のことに巻き込むのに罪悪感が出てくる。
「明日急に演習することになったのは俺の近代化改修の条件となっているからだ。」
「迷惑を掛けるようで申し訳ない。」
頭を下げ、先に謝る。
「頭を上げて…お兄ちゃん。誰も迷惑だと思ってないから。」
ユニコーンちゃんが近づいて俺の頭をなでる。
顔を上げると誰も嫌そうな顔をしておらず、むしろ励ましてくれた。
「テゲトフ様のために頑張ります~」
「ジャベリンもこうやって演習に勝って改造することができたのでテゲトフさんが強くなれるのなら喜んで協力します!」
「サフォークさん…ジャベリンさん…、ありがとう。」
一か月くらいしかここにいないのにここまでしてくれることに感謝する。
感激しているところ、ウェールズが咳払いをした。
「こほん…そろそろ陣形の説明をしていいかしら?」
「ごめん、じゃあお願い。」
「別にいいわ、じゃあ陣形を発表するわ。前衛艦隊はジャベリンを先頭としてエディンバラ、サフォークという順番にする。主力艦隊は私を中央として右にユニコーン、左にテゲトフの配置でいく。」
当然ながら戦艦の俺は主力艦隊として後ろから砲撃をすることとなっている。
…兵装的に今まで接近してから砲撃してたんだが?
ウェールズと同じ位置からの砲撃なんて相手の前衛艦隊にすら届かんぞ。
「ちなみにお相手は誰ですか?」
サフォークさんが相手の編成を聞いてくる。
これ知ったら戦意喪失したりしないかな…
サフォークからの質問でウェールズは少し苦い顔をする。
「相手は陛下とウォースパイト、イラストリアスが主力艦隊。前衛艦隊はベルファスト、シリアス、シェフィールドだ。相当な手練れだが勝ち筋はある。」
相手の編成を知りサフォークは不安そうな顔をする。
ジャベリンさんは顎に手を当てて何かを考えている。
エディンバラさんは…
「ふふ…まさかベルが相手になるとは…」
「あの、エディンバラさん?」
不気味な笑いをしてエディンバラさんは続けた。
「安心してください!私は今までベルと比べられて負けていますが、今回の演習で勝ってみせますよ!」
「なのでベルの相手は任せてください!」
エディンバラさんがベルさんの相手をしてくれるみたいだが…大丈夫だろうか?
「あわよくば今までの仕返しを…」
本音漏れてるやん。
もう復讐のことしか考えていないじゃん。
「じゃあベルファストはエディンバラに任せようか。」
「それならジャベリンはシェフィールドさんの相手をします!」
「残った私はシリアスとですか?」
「まあ、そうなるな。」
ジャベリンさんはシェフィールドさんと、サフォークさんはシリアスさんと戦うこととなった。
となれば後は主力艦隊をどうするかだが、俺は誰とも張り合えないんだが?
「イラストリアスお姉ちゃんはユニコーンが…何とかしてみる。」
「じゃあ私は陛下のお相手をしよう。ウォースパイトは任せたぞ、テゲトフ。」
「兵装的に近づかないと射程圏内に入らないんですけど?」
「それは…少し作戦を建てようか。」
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ウェールズが建てた作戦はこうだ。
ユニコーンちゃんに偵察機を出して相手の位置を把握したら前衛艦隊が戦闘を挑みに行き、俺がその後について行く。
爆撃機からの空襲から守るためにユニコーンちゃんから戦闘機を前衛艦隊と俺の護衛に半分使う。
相手の前衛艦隊と接敵したらこっちの前衛艦隊は先制攻撃が可能であればする。
無理だったら散らばってさっき言ったようにそれぞれの担当と戦う。
その間に俺は前衛艦隊から離れて主砲が届く距離まで近づき、砲撃をする。
ウェールズとユニコーンちゃんは変わらずエリザベスさん達の相手をする。
「これなら勝てるのではないか?」
「相手がどういう作戦でくるかによるけどもね。」
「試しに作戦通りに動いてみよう。」
立案された作戦通りに動く。
ユニコーンちゃんが偵察機を出し、敵を発見。
前衛艦隊と俺がそれに向かう。
前衛艦隊が戦闘に入ったら俺は離れて主力艦隊に近づく。
ウェールズとユニコーンちゃんも主力艦隊に向け攻撃。
問題はなかった。
「大丈夫だな。」
「相手を聞いた時は不安になったけどこの艦隊でもエリザベスさん達に勝てる…はず。」」
「やはり不安はまだあるか。」
「まあ…性能的にね?」
俺の兵装では経験が多い軽巡洋艦のベルさんにすら勝てない。
ましてや同じ戦艦でベルさんより強いとされるエリザベスさんとウォースパイトさんの足元に及ぶのかすら分からない。
「性能だけが勝敗の決め手じゃない…と言いたいがテゲトフではやっぱり厳しいかもね。」
「そうなりますよね。」
「最悪、旗艦の陛下だけでも集中砲火で倒せたら判定勝ちにはなる。」
「途中で作戦が失敗したらそうしますか。」
「みんなには私から伝えておく。テゲトフは午前中も演習をしていたしもう帰って休んだらどうだ?」
午前中にユニコーンちゃんとの演習、午後には艦隊での演習。
今日は気づかぬうちにハードスケジュールに変わっていた。
「言葉に甘えさせてもらえますよ。後はお願いします。」
「任せておきなさい。」
みんなより一足先に港へと帰る。
陸地に上がって倉庫に余った砲弾をまたしまう。
作業が終わって部屋へと帰る途中にベルさんと会う。
「お久しぶりです、テゲトフ様。」
「久しぶりベルさん。」
倉庫での怪我以来まったくベルさんとは話しておらず、半月ぶりにしゃべったものだ。
「ベルさんも指揮官から話は聞いている?」
「はい、ご主人様からは既にご説明を受けております。」
「明日は一緒に頑張りましょうね!」
「そのことについてですが…」
ベルさんの表情が暗くなる。
ベルさんと話始めた時も嫌な予感は感じていたがあまり気にしてはいなかった。
まさか予感が的中するとは思ってないからだ。
「テゲトフ様は演習、近代化改修ともに辞退し、普通の一般人として過ごされた方が安全と進言いたします。」
「…へ?」
ベルさんが言ったことが斜め上過ぎることで一瞬、考えることを止めてしまった。
もしかして近代化改修のことって相手にも知らされるの?
「え~と…急になんでそんな進言を?」
「テゲトフ様の身を考慮した結果の進言でございます。」
「いや、俺の決意ベルさんも聞いてなかったけ?」
ドックで指揮官に聞かれた時にベルさんもその場にいたはずだ。
「いえ、しかと聞いておりました。」
「なら何故そういうことを俺に言うのですか?」
「…この前のテゲトフ様への襲撃によるお怪我の話を聞いた際にKAN-SENとして守るべきお方をこれ以上危険にさらさないためにこのようなことを言わせてもらいました。」
俺が怪我をした時にベルさんも当然ながら怪我していたことを聞いていたらしく、俺を守るために言った…か。
指揮官にしか俺の目的は言っていないし仕方ないとは思うが、まさか直接言ってくるか…
「悪いですけど、何度言われてもやめませんよ。最悪沈むまで戦う覚悟はできてます。」
「はぁ…仕方がありません。明日の演習は容赦いたしません。」
「望むところですよ。」
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