「う、う~ん…」
「おっ!起きた?」
「指揮官?」
段ボールの下敷きになってから記憶がない。
けど今は病室で寝ているのは分かる。
「なんか背中が冷たいんですけど。」
「さっきまで氷で冷やしていたからね。」
「背中の打撲らしいよ。」
背中から倒れたからこうなったのだろう。
「テゲトフ流石に怪我しすぎだよ。」
「不可抗力です。」
「それは不運すぎじゃない?」
冷やしてくれたからかそんな痛くない。
でも誰が冷やしてくれた?
「背中冷やしてくれた人って誰ですか?」
「ベル。」
ベルさんかい。
そりゃ完璧に冷やしてくれるでしょうね。
「大変だったらしいよ。ダイドーが鼻血垂れ流してテゲトフの服めくっていたのをベルが見つけて(強制的に)変わったって。」
「変態かな?」
「男に免疫ない奴はほとんどそうだよ~」
「その割にはベルさんとか指揮官って結構免疫ありますよね。」
初めて出会った時も他の人と違って焦ってない。
他にもそういう人はいるが。
「まあ私の家が中々の権力があってね。何度か男とは関わっているんだよ~」
「ベルさんは?」
「ベルか~、ベルは本部からここにきたからな~。」
「あんまりよく知らないや。」
本部から来たKAN-SENは何名かいると聞いたことがある。
その内の一人がベルさんだというのは初めて知ったが。
「じゃあベルさんに感謝しないとですね。」
「そうだね~」
ふと思い、ウェールズから聞いた作戦について聞く。
「来週のユニオンとの合同作戦って連絡船以外の目的ってあるんですか?」
「まあ~、あるっちゃある。」
「それは?」
「ここだけの話、この作戦が成功したらユニオンの基地に戦力を集結させるため。」
ユニオンとロイヤル近辺のセイレーンは撃退したらしいから合同で遠くまでセイレーンと戦いに行くのか?
「セイレーンの主力でも見つけたんですか?」
「テゲトフはあんまり知らないだろうけれど、これはセイレーン以外にもあるよ。」
「?」
「レッドアクシズにバレないようにするためだよ。」
セイレーンではなく、レッドアクシズにバレないようにする?
元とは言え同じアズールレーンだったからそこまでしなくていいものじゃないのか?
「あいつらはセイレーンの技術も使うような奴らでね、私はセイレーンと関わっているんじゃないかと疑っている。」
「敵同士なのにですか?」
「あくまでも私個人の疑いだよ。」
レッドアクシズも表立ってはセイレーンの敵だが、裏では何かあると指揮官は思っているのか。
俺はレッドアクシズの重桜にも鉄血にも詳しくないからそんなことをする人達かどうか判別できない。
話が暗い方向にいっているから少し元に戻そう。
「話は変わるんですけど、俺って来週の作戦に参加できますよね?」
「背中の打撲だって軽度らしいからそれまでには治るはずだよ。」
「怪我の問題というよりかは練度の方です。」
「ウォースパイトを撃破できたんだし、そこまで低くないんじゃない?」
確かに指揮官の言う通り、俺はウェールズとウォースパイトさんを倒すことはできた。
でもロイヤルトップの実力者が入りたての新人にこうも簡単に負けるとは思えない。
どこか手加減されていたような気がする。
「ロイヤルの実力者が俺みたいな兵装も少ない新人に負けますか?」
「…負けないだろうね。」
やっぱりだ。
改めて手加減さえていると知っていると悲しくなる。
「新人だからって手加減してたんですか?」
「多分そうじゃないよ。」
「男性だから手加減したって感じだと思う。」
「それでですか…」
だからベルさんが俺のことを辞めさせようとしていたのか。
女性ばっかのところに男がいきなり入れば誰もが遠慮してしまうだろう。
ベルさんには悪いことをしたと思う。
背中も冷やしてもらって迷惑ばかりかけている。
「テゲトフは男性だからと守られるのが嫌いみたいな性格だからみんな口には出していないけど、本気で男性を傷つけようとする子はいない。」
「躊躇してしまうと。」
「そうだね。」
これが作戦に支障をきたすようであれば、俺はロイヤルを辞めた方がみんなのためだろう。
久しぶりに頭を抱え込んで悩む。
「…作戦に支障をきたす前にテゲトフに命令を出そうか。」
「え?」
「一週間後の合同作戦までに第三艦隊の全員に男性に対する免疫力を付けさせろ!」
「りょ、了解!」
「じゃあお大事にね~」
指揮官は命令を下し、部屋を出て行った。
「…期間短くくね?」
~~~~~
「テゲトフも気づいていたか…」
執務室までに戻っている最中、独り言をつぶやく。
初の男性KAN-SENだから私もどうやって対応すればいいか手探り状態だ。
「男を傷つけさせないのは女としての本能だから仕方がないと思うんだけどな~…」
ここで男性との関わりがあるのはメイド隊の一部だけだ。
「あんな命令でよかったのかな?」
同じ第三艦隊のウェールズはテゲトフと組むことが多いから元からついている免疫はさらに上がっているだろう。
ダイドーが一番の問題だ。
もしこの変態行為がバレれば一発で解体だろう。
私も仲間は失いたくないからしないけど。
テゲトフも普通の男とは違うし、多少のセクハラは許してくれる…はず。
「さてどうしたものか。」
テゲトフのことだからぶっ飛んだ案で免疫をつけさせたりはしない。
例えばテゲトフから抱き着いたりとか。
…最終手段としてやってもらうかもしれないが。
「これはテゲトフにすべて任せよう。」
私がテゲトフに出した命令だけど、達成できなかったら第三艦隊の代わりで第二艦隊に行ってもらおう。
「でもあの時のベル…」
テゲトフが初めて演習をした相手。
ベルファスト。
あの時は手加減しているように見えた。
今思い返してみると本気だったのだろう。
ベルよりも強いはずのウェールズとウォースパイトが負けたのだ。
そこまで手加減していなかったかもしれない。
しかし、演習相手で一番テゲトフに損傷を与えたのはベルだ。
「他の子と違って実弾使っているからな~…」
もし私が見ていることに気が付いてなかったら…
テゲトフにそのまま当てていたんじゃないのか?
…少しだけベルについて調べてみよう。
「忠誠は誓っていてくれているから悪いんだけどね。」
ここにはいないベルに悪気を感じながら執務室へと帰る。
~~~~~
「困ったな…」
男性の免疫をつけさせるって…
どうやれと?
今まで男と関わらなかった人が一週間で免疫が付くのは無理だろう。
「これ失敗したら除隊?」
俺一人のせいで艦隊が崩壊したら元も子もない。
何とかしていい案を出さないと…
「ウェールズは問題ない。」
今日の昼食の時にセクハラしてくるくらいだしな。
なら一番の問題は…
「ダイドーさんか…」
鼻血が垂れていたであろう床を見る。
ベルさんが掃除したのだろう。
シミなどは残っておらず、言われなければただの奇麗な床だ。
「鼻血が出るほどなんだから相当だよな。」
免疫をつけさせるなら何度か関わっていたら自然と付く。
だが期限が一週間だけ。
「フォーミダブルさんとアマゾンさんもあるしな。」
残る二人にも悩む。
今のところ免疫がないとは知らないが、多分ない。
グロスターさんはありそうだから大丈夫。
「…よし!これで行こう!」
俺の中ではいい案が思いついたからある人のところへ向かう。
~~~~~
~~~~~
「はぁ?ダイドーを一週間貸してほしい?」
「はい。」
エリザベスさんにそう頼む。
俺の考えた案はこう。
一週間の間ダイドーさんと一緒に過ごす。
その間にアマゾンさんとフォーミダブルさんとも関わる。
「なんでそんな事しなくちゃいけないのよ。」
「諸事情と言いますかね…」
ダイドーさんもメイド隊の一人。
普段メイド隊は指揮官やエリザベスさん、ロイヤルの貴族階級のKAN-SENの皆さんの世話をする。
他にもロイヤル全体の掃除もある。
俺の服とかもベルさんが用意してくれている。
掃除もだ。
「ふ~ん…秘密ってわけね。」
「…はい。」
空気が重たくなる。
自分の世話をしてくれる人を減らしてまで俺に貸す理由がない。
駄目そうだ。
「いいわよ。」
「そこを何とか…」
「…え?」
「いいわ、ダイドーを一週間貸すわ!」
「ええ?」(困惑)
まさかの許可が出た。
なんで?
「理由を聞いても?」
「面白そうだからよ!」
私情かよ。
メイド隊のみんないつもこんな人に振り回されているの?
とにかく許可はもらえた。
後はダイドーさんによるけど。
「ありがとうございます。」
「別にいいわ、何かあったらベルがどうにかしてくれるだろうし。」
人使い荒いなこの人。
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