フォーミダブルさんの下敷きになった。
けどそこまで痛くはない。
「いたぁ…」
手を抑え込んで痛がっているみたい。
でも俺も痛くないわけじゃないんですけど。
「あの~、俺が潰されているんですが。」
「え?」
今気付いたのかよ。
「わぁぁぁ!?申し訳ございません!」
顔が青ざめたフォーミダブルさんが謝ってくれる。
でも俺の上から退いてない。
頼む、退いてくれ。
「取り敢えず退いてくれません?」
早く立ちたかったのもあるが、フォーミダブルさんが段々と重たく感じてきたから早めに退いて欲しかった。
「は、はい。」
慎重にゆっくりと退いてくれるフォーミダブルさん。
それに合わせて俺も立とうとする…が、
「うわ!」
フォーミダブルさんが手を滑らせてまた尻餅をつく。
そして俺の右手も潰される。
「いってぇ!?」
流石にこれは痛く、右手を引っ張り出そうとするが、ビクともしない。
「も、申し訳ございません!」
これにはすぐに気づいてくれて、腰を上げてくれたから手を戻す。
手がズキズキして痛い。
「フォーミダブルさんは大丈夫ですか?」
「私は大丈夫なのですけど…」
めっちゃ申し訳なさそうにするフォーミダブルさん。
もう怪我なんて俺からしたら日常茶飯事だからいいけども。
「俺は慣れているので大丈夫ですよ。」
「慣れている…?」
今日も病室のお世話になっているし。
常人からしたらマジでおかしなことは言っている。
「じゃあ俺は手を冷やしてきますね。」
「あ、待ってくださいませ!」
「どうかしました?」
「やっぱどこが怪我してました?」
KAN-SENの人達は俺とは違って日常生活では怪我しないって指揮官が言ってたと思うんだけどな。
「私の責任ですし、私もついて行きますわ。」
「まあ、フォーミダブルさんも怪我してないか診てもらうために一緒に行きますか。」
~~~~~~~~~~
「テゲトフ様?またお怪我をなされたのですか?」
「はは…そうですね。」
病室ではシリアスさんが棚の中を掃除していた。
…大丈夫かな。
「氷ってどこにあるかな?」
「氷でしたらこちらに。」
部屋の隅っこの方に置かれたクーラーボックスを持ってくる。
クーラーボックスを開けて袋に氷を詰めて渡してくれる。
「ありがとうシリアスさん。」
「この卑しきメイドにはもったいないお言葉…」
卑しい…わ。
薬のことまだ記憶に残ってるわ。
「それとフォーミダブルさんがどこか怪我してないか診てくれない?」
「フォーミダブル様ですか?」
「うん。ちょうどそこに…ってあれ?」
後ろを振り返るがフォーミダブルさんはどこにもいなかった。
「お疲れでしたらシリアスが膝枕でも…」
「失礼しました。」
急いで病室から出る。
ベルさんに説教されたはずなのに反省しているのかなあの人?
「随分とお早いですわね。」
病室のドアの隣でフォーミダブルさんは待っていたらしい。
中にシリアスさんいるの確認して入るのやめたな。
「適当なところで休みますか。」
「なら私、いいところを知っていますわ。」
今も右手に氷を当てて冷やしているが、休める場所があるのなら案内をお願いしよう。
「じゃあ案内をお願いします。」
~~~~~~~~~~
フォーミダブルさんに案内された場所はエリザベスさんが毎回お茶会とかしている庭だった。
…少し風景が寂しいけど。
「よっこいしょ。」
お茶会で使われてる椅子に座る。
背もたれに所々穴が開いているから背中が痛い。
座る部分も小さいから俺からしたら痛い。
氷で冷やしている右手を机の上に置く。
マナーが悪いと思われそうだけど、今は俺とフォーミダブルさんしかいないし大丈夫か。
「テゲトフさん…怪我をさせた私が言うのもですがマナーが悪いですわ。」
「ごめん。でも今だけは見逃してくれない?」
「仕方がないですわ。」
日差しが強くなる。
机には傘が差されているのであまり変わらないが。
「お久しぶりですわ~テゲトフさま♪」
「イラストリアスさん…」
ぼーっとしてたが、イラストリアスさんが声をかけてくる。
「昨日か一昨日くらいに見てませんでしたか?」
「見ただけでお話はしておられませんよ~?」
「そう…ですね。」
演習で顔合わせくらいはしてたが、話してはいなかった。
まあ話しかけづらいのもあるんだが…
「三人もいるのですからお茶会をいませんか~?」
「私は構わないわ。」
「俺も別にいいんですけど…」
前回のお茶会はあんまりいい思い出ができなかったのもあってお茶会に少し抵抗感がある。
こんな偏見はすぐにでも直したいものだが、いかんせん戻らない。
今回のお茶会で慣れていけばいいか。
「じゃあ準備をお願いしますわ~」
「かしこまりました。」
イラストリアスさんが連れて来たのか、グロスターさんがコップとかポッドを運んでくる。
アニメや漫画でよく見るお菓子が置いてあるのもあった。
「失礼いたします。」
机の上に次々とお茶会のセットを並べていくグロスターさん。
手際がいい。
時々こっちを見てくるが、やはりマナーについてかな?
「完了いたしました。」
並べ終わったのか後ろに下がっていく。
早いなー
「してテゲトフさま、その右手はどうしました?」
「あ、これですか?」
「それなら私が説明するわ。」
「フォーミダブルさん?」
説明しようとしたが、フォーミダブルさんが割って入ってくる。
でもまあ…いいか。
「私が不甲斐ないことにテゲトフさんの右手を押しつぶしてしまったのですわ。」
「あら~、申し訳ございませんテゲトフさま。」
「気にしていないから大丈夫ですよ。」
ペコリと頭をイラストリアスさんが下げる。
事故だったし責める気もないからいいのだが…
目線に困る。
「せっかく注いでくれた紅茶も冷めてしまいますし、お茶会を始めません?」
「テゲトフさまはお優しいのですね~」
「そうでもないですよ。」
イラストリアスさんも椅子に座って紅茶を飲む。
こんな暑い中よく飲めますね。
フォーミダブルさんも紅茶を飲む。
…熱くないの?
もしかしてロイヤルの人たちってそういうの気にしない?
あっ、フォーミダブルさんが少し悶えている。
やっぱ熱いんだ。
ちょっと試しに飲んでみるか。
「…」
…利き手冷やしているからカップが持てねえ。
左手で持とうとしたが、持ち上げる時にちょっとこぼれて不安定だったからやめといた。
「どうかしましたか?」
「利き手が使えないので飲めないです。」
「なら私が飲ませて差し上げますわ~」
「え?」
イラストリアスさんが椅子から立ってこっちに来る。
カップを持って俺の口に当てて傾ける。
「…」ぐびっ
…あっつ!?
舌火傷するわ!
イラストリアスさんがまた飲ませようと口にカップを近づける。
「ちょ、ちょっと待ってイラストリアスさん!?」
「どうしました~?」
止まってくれたようでよかった…
口の中ヒリヒリする。
「一度そのカップを置きません?」
「どうしてですか~?それだとテゲトフさまに紅茶を飲ませることができませんわ~」
その飲んでいる紅茶が熱くて死にそうなんですよ。
右手以外にも段ボールで全身やられているんですよ。
口まで終わったら慢心用意なんだわ。
「ていうかその…当たってるんですが…」
「当てているのですよ~?」
悪質過ぎるだろ!
男子中学生の俺には耐えるのがきついのでやめてください。
「取り敢えず離れてください。」
「仕方がないですわ~」
イラストリアスさんは俺から離れてくれた。
離れてくれたけど…
なんで俺のカップの紅茶を飲んでいるの?
「おいしいですわ~」
天然なのかマイペースなのか…
もしかして気をひこうとしてる?
…流石に自意識過剰か。
「イラストリアス姉さん…それって間接キス…」
「何のことでしょうか~?」
確信犯じゃねぇか。
イラストリアスさんって肉食系なの?
もう突っ込み疲れたよ俺?
「続けてお菓子も…」
「それくらいは左手でも食えますので大丈夫です。」
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