平凡な場所からこんにちは   作:べーニッツ

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初めての戦闘

 

「いよいよか。」

 

今日は俺にとっては初めての作戦参加だ。

不安はあるものの調子は悪くない。

 

「緊張してしまうな…」

 

いつもは慣れている兵装の展開に手間取ってしまう。

饅頭達の助けを借りて何とか無事にできた。

 

「落ち着きがないね~」

 

「指揮官…」

 

「リラックスリラックス。」

 

指揮官が来たことで第三艦隊のみんなが整列をする。

少し遅れて俺もそれに加わる。

 

「みんな揃ってるね~?」

 

「ああ、いつでもいいぞ指揮官。」

 

「お~け~」

 

表情を変え、真剣な顔になる。

 

「今回の作戦は極めて重要なものだ!成功以外は許されない。」

 

「だが、私としては失敗してもいいから誰一人も欠けずに帰還してほしい。」

 

「第三艦隊!出撃せよ!」

 

「「「はっ!」」」

 

全員で返事をし、ユニオン方面に舵を取る。

 

「全艦、進め!」

 

ウェールズの号令で動き出す。

徐々にスピードを上げていきウェールズに合わせる。

基地が見えなくなるところまで進んだところで無線から声が聞こえる。

 

『今のところ大丈夫そ?』

 

「指揮官、まだ出撃して数分しか経っていないぞ。」

 

『私は心配性だからね~』

 

「自分で言うそれ?」

 

さっきのとは違い、指揮官はいつも通りに戻ってた

 

『ユニオンの方も後少ししたら出撃してくるだろうから、合流地点付近の索敵をしておいてね。』

 

「了解。」

 

合流地点を目指し、隊列を組みながら進む。

 

~~~~~~~~~~

 

「後どれくらいだ?」

 

「もう数分進んだら到着する。」

 

ウェールズに確認をし、息を吸う。

その時、フォーミダブルさんが叫んだ。

 

「11時の方向、敵を発見しましたわ!」

 

「残党がいたか…」

 

「方向転換!」

 

全員セイレーンがいる向きへ砲塔を構える。

 

「前衛艦隊、進みます!」

 

ダイドーさんを先頭にセイレーンに向かって進む。

数十秒後、声が聞こえる。

 

「接敵しました!」

 

「テゲトフ!砲撃用意だ!」

 

「おし!」

 

主砲をセイレーンの方に向け、狙う。

セイレーンはKAN-SENと同じような人型ではなく、黒くて所々光っている船だった。

 

「あれがセイレーン…」

 

「…全艦、撃て!」

 

ウェールズの声の直後、砲撃をかます。

弾は山なりに飛んでセイレーンに命中した。

 

弾が当たったセイレーンは数秒後に爆発しながら沈んでいった。

 

「自爆ボートに突破させました!」

 

前衛艦隊が撃ち漏らしたセイレーンが突っ込んでくる。

爆弾をボートに乗せた名前通りの見た目だ。

…饅頭が操縦してる?

 

「危ないテゲトフ!」

 

「え?」

 

回避行動をとるのを忘れてボートがぶつかる…

 

と思ったけどギリギリで避けた。

 

「あっぶね!」

 

倒れそうになったが、バランスを何とか戻す。

 

「ここは戦場だ、油断するんじゃない!」

 

「す、すまないウェールズ。」

 

「それにテゲトフが損傷をしたら悲しいし…」ボソッ

 

ウェールズが最後なんか言っていたけど聞き取れなかった。

また主砲を構えて狙う。

 

「爆撃機が来ますわ!」

 

今度は上空から爆撃機が飛んできた。

機関銃と対空砲で数機は撃ち落とせたが残った機体が爆弾を投下した。

 

「うわぁ!」

 

周りに水しぶきが立つ。

幸い当たったのはわずか一発のみで、被害は少ない。

 

「大丈夫かウェールズ!」

 

「私とフォーミダブルは大丈夫だ。」

 

「よかった…」

 

ほっと胸をなでおろす。

戦闘を終えたのか前衛艦隊のダイドーさん達も帰ってきた。

 

「敵を殲滅しました。」

 

「ご苦労だったな。しかしここまで多いとは…」

 

「残党同士で集まったんじゃないか?」

 

「それにしては多すぎる気がするな。」

 

「とにかくまずは合流地点に行った方がよいと思いますわ。」

 

フォーミダブルさんの一言で艦隊は元の配置に戻る。

 

「悩んでいても仕方がない。合流地点に行ってから考えるか。」

 

艦隊は再び進軍し、合流地点へと向かう。

 

~~~~~~~~~~

 

「やはり何かがおかしい…」

 

合流地点に着き周辺の警戒をしているとウェールズが呟いた。

 

「本当にここが合流地点なのか指揮官?」

 

『そうなんだけど…何かあった?』

 

「ユニオンの艦隊がいない。」

 

合流地点に到着してから数十分経過ているのに艦隊は見つからない。

 

『時間もあっているはずなんだけど…」

 

「もう少し待ってみるが、何もなかったら帰還する。」

 

『分かった。』

 

指揮官との通信を終えたウェールズに近寄る。

 

「ユニオンの方でトラブルでもあったんじゃない?」

 

「いやユニオンは自由なKAN-SENが多いからそれで遅れているんだろう。」

 

ウェールズが冗談で返し、少し笑ってしまった。

フォーミダブルさんも偵察機を飛ばしているが情報は無い。

 

「前衛艦隊は特に被害なしで今のところ問題点は無いんだけど。」

 

ユニオンも同じくセイレーンと遭遇して戦闘中かもしれない。

けどいつまで経ってもユニオンの艦隊は来ない。

 

 

~もう数十分後~

 

「…仕方がない。帰還することにするわ。」

 

「了解。」

 

第三艦隊の全員が来た方向を戻る。

 

 

…はずだった。

 

「!?」

 

どこからかセイレーンが突然現れ進路を塞がれる。

 

「この…!」

 

主砲で撃破しようとした刹那、上空から話しかけられる。

 

「その砲塔を下げなさい。」

 

「誰だ!」

 

「下げなさいと言ったはずだ。」

 

攻撃をされる。

が、わざと外したのか、その攻撃は当たらなかった。

 

「だ、誰よ!」

 

「我々は取引をしに来た。」

 

「何が目的だ!」

 

「うるさい。黙れ。」

 

「…っ!」

 

今度は撃つとばかりに主砲みたいなものを向けられる。

これにはウェールズも大人しく従うしかなかった。

 

「率直に言おうか。その男をよこせ。」

 

「俺か?」

 

指を差され驚く。

 

「素直にこちらに来たらここら辺の海域からは撤退しよう。」

 

つまり、俺と海域の取引。

一体何が目的だ?

 

「…ません。」

 

「ん?」

 

「テゲトフ様は渡しません!」

 

「ダイドーさん!?」

 

声を荒げたのはダイドーさん。

そいつに主砲を向け、威嚇する。

 

「テゲトフ様は私…いいえ、ロイヤルにとっての大切な仲間です!渡すわけにはいきません!」

 

「その通りですわ。テゲトフさんとの付き合いはまだ短いですがそれでも大切な仲間なんですの。」

 

「ここはお引き取り願えませんこと?」

 

「それが回答か?」

 

奴は砲塔を上に向けたかと思うと

 

「ならば沈め。」

 

空に向けて砲撃をした。

瞬間、セイレーンが大量に出現。

一瞬にして俺たちは囲まれてしまった。

 

「畜生ッ!」

 

「やらせはしません。」

 

必死に攻撃をするが数隻沈めるたびにまた数隻現れるの繰り返し。

 

「くっ…!」

 

次第に損傷が増えていく。

ユニオンの艦隊が来ないのもあいつが手を打っていたのだろう。

 

「喰らえ!」

 

空中にいるあいつに向け砲撃する。

数発の命中が確認できた。

 

「無駄だ。」

 

「なっ…」

 

攻撃が当たっても動じずに奴は余裕の笑みを浮かべていた。

成すすべがない。

 

「何とか穴さえ作ることができれば…!」

 

ウェールズはこの囲いに穴を空けてそこから脱出させるつもりだろう。

だがここまで敵の数が多いとそれも無理がある。

弾薬も底をつきかけている。

 

「くたばれ!」

 

量産型の船も爆弾ボートも何隻沈めたか覚えれなくなった時、

奴が攻撃をやめさせまた話しかけてくる。

 

「勝てないのは分かっただろう?」

 

「…」

 

「今ならまだ他の奴らは見逃してやろう。こちらに来い。」

 

「…俺は、どうすれば…」

 

仲間だとダイドーさんに言われ、うれしかった。

でも俺が奴の元に行かないとウェールズもダイドーさんも、みんな助けられなくなるかもしれない。

 

『私としては失敗してもいいから誰一人も欠けずに帰還してほしい。』

 

指揮官の言葉を思い出す。

二つの思いがぶつかり合う。

その結果俺が出した答えは…

 

「俺は…」

 

「そこまでよ!」

 

「何?」

 

横から砲撃音が聞こえ、振り返るとエリザベスさん率いる第一艦隊がいた。

 

「グロスターのSOS信号を受けて来たわ。感謝しなさい。」

 

奴と話していた時、グロスターさんだけ静かだったのはSOS信号を発信していたからなのか。

 

「ロイヤルの第一艦隊か…これでは分が悪いな。」

 

「覚えておいた方がいい。我々はまだ貴様、テゲトフを諦めていない。」

 

「待ちなさいよ!」

 

追撃にエリザベスさんが一斉射撃をするが、躱される。

奴が消えると周りにいたセイレーンも消えて行った。

 

「ふん!腰抜けね!」

 

「ありがとうございますエリザベスさん。」

 

「構わないわ。仲間を守るのはロイヤルの女王としての責務なのだからね!」

 

仲間…ね。

 

他の第一艦隊の人達はウェールズ達の救護をしていた。

俺とダイドーさんはまだ進むくらいはできるが、アマゾンさんやグロスターさんにはそれもきつそうだった。

フォーミダブルさんも艦載機の発艦ができない状態だ。

でもウェールズが一番ひどかった。

 

砲塔の先は壊れ、体のところどころからは血が流れ落ち、立っているのが不思議なくらいだ。

 

「ウェールズ、大丈夫か?」

 

「大丈夫に見える…?」

 

「見えないよ…」

 

肩を貸してウェールズを支える。

 

「私もお手伝いいたします。」

 

反対側からもベルさんが肩を貸し、二人で基地までウェールズを連れて行った。

 

~~~~~~~~~~

「報告は以上だ。」

 

「まさかそんなことが起きていたとはね。」

 

執務室で起きたことをありのまま報告した。

突然現れ、交渉を仕掛けられ、ボロボロになるまで戦い、今に至る。

 

「しかし、何故そいつはテゲトフを欲したんだ?」

 

「そこまでは分からない。男のが目的なのか、男のKAN-SENが目的なのか…」

 

「まあ、テゲトフも休んできたら?損傷が少ない方だったとはいえ怪我をしていないわけではないんだから。」

 

「そうだが…」

 

「ウェールズ達のお見舞いでもしてきな。多分治療は終わっている頃だろうし。」

 

「…そうさせてもらうよ。」

 

執務室を出て病室へと向かう。

 

「…しゃべるセイレーン…」

 

「ユニオンの方にも聞いておこう。」

 

 

~病室~

 

「体は痛くないウェールズ?」

 

「ああ、大丈夫だ。」

 

さっきまであった傷は消えている。

他の人達もそうだ。

 

「グロスターさん。ありがとうございます。」

 

「何がでしょうか?」

 

「エリザベスさん達を呼んでくれたのはグロスターさんですよね?これで俺たちは助かったんですよ。」

 

「私はただ当然のことをしたまでです。」

 

俺から目を背ける。

もしかしてこの前手に触れたことで嫌われている?

 

「アマゾンさんは?」

 

「先に戻って行ったわ。」

 

アマゾンさんも結構損傷があったはずなんだけどな。

流石だな。

 

「私もそろそろ部屋に戻ろうかしら。」

 

「あんまり無理はしないでくれよ?」

 

「それはテゲトフね。」

 

「はは、そうかもね。」

 

俺も部屋へ帰ろうか。

 




詰め込み過ぎたわ。

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