平凡な場所からこんにちは   作:べーニッツ

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顔合わせ

俺の名前はテゲトフということになり、今はさっきいた部屋で再び呼ばれるまで待機している。

 

「大丈夫かなぁ…」

 

自分の兵装を見たとき、主砲などは新品そのものであまり不安などは無かったが、指揮官の話を聞いた後は少しではあるが不安になった。

指揮官とは軍服のあの人で、意外と高い立場いる人みたいだ。

名前を聞く時間がなかったから名前は知らないが…

 

「テゲトフ…か。」

 

少しだけ自分の名前に関して考えてみる。

ミリオタの友達から聞いたことがあるが、テゲトフは二重帝国の戦艦で、戦後にイタリアに賠償艦として引き渡されたとしか知らない。

 

「それにしては何故、俺はロイヤルに来たのか?」

 

ロイヤルは元の世界で例えるのならイギリスと同じ立ち位置だ。

イタリアに引き渡された艦なのだから、イタリアと同じ立ち位置のサディアに連れて行くのが普通ではないのか?

 

 

「考えれば考えるほど分からなくなる…」

 

なんで俺は戦艦テゲトフとしてユニオンに来たのか。

関連性が見いだせない。

 

「…まだ読み終わってなかったな。」

 

机の上に放置されていた本を手に取り、また読み始める。

 

 

~~~~~

 

「テゲトフの登録書類送っておいた?」

 

「はい、完了いたしました。」

 

後は受理されるまで待つだけだ。

視察のために上層部から人が送りこまれてくるだろうが、私の母親の部下の人達なら大丈夫だろう。

 

「他の皆様方へはどう対応いたしましょうか?」

 

「エリザベス達への説明か~」

 

エリザベス達はテゲトフのことを拒んだりしないだろう。

むしろ…

 

「そろそろ来るんじゃないの?」

 

バァーン!

 

噂をすればきたみたいだ。

“エリザベス”が。

 

「ちょっと下僕!新しい子が来たらしいじゃない!どこにいるのよ!」

 

「エリザベス様、ドアはノックをしてから…」

 

「今はそんなことはいいのよ!説教なら後で聞くわ!」

 

エリザベスは少し自己中心的なところがあるのだが、ここまで来るとは思わなかった。

 

「サフォークから聞いたわよ!今回の下僕は中々面白いらしいじゃない!」

 

何やってんだサフォーク…

ていうか会ってもいないのに既に下僕扱いかよ…

 

「何をやっているのですかサフォーク…」

 

「わ、私はエリザベス様に何も言っていないです~…」

 

近くで聞き耳でも立ててたのだろう。

それで興味を持ったエリザベスが来たと。

 

「それでどこにいるのよ?このエリザベス様に挨拶もしないなんて不敬罪だわ!」

 

あたかも自分が地球の中心であるような発言をしているが、エリザベスはいつもこんな感じだ。

もはやエリザベスの下僕扱いにも慣れた。

 

「陛下、いきなり部屋に入るのは失礼かと…」

 

「ウォースパイト!あんたの説教も後でいいのよ!」

 

ウォースパイトの言葉も聞かないでエリザベスは執務室の周りを見渡す。

 

「そ・れ・で、どこにいるのよ、その新しい下僕は!」

 

「はぁ…テゲトフなら来客用の部屋で待機してもらっているよ。」

 

私は諦めて、テゲトフの名前と場所をエリザベスに伝える。

 

 

「新しい下僕はテゲトフというのね?少し高貴が感じれないけどいいわ!私が直々に会いに行ってやるわ!」

 

そういってエリザベスは執務室から出て行った。

 

「陛下!もう…それよりテゲトフって…」

 

ウォースパイトもエリザベスについて行くような形で執務室を後にした。

止めてもエリザベスは強硬手段に出るだろう。

しかし、テゲトフは男だからなぁ…

エリザベスとウォースパイトだけでは不安だ。

 

「ベル。」

 

「かしこまりました。」

 

私が何も言わなくてもベルは理解してくれたようで、ドアの方まで歩いて行った。

 

「サフォーク、後のことは頼みました。」

 

「え?は、はい!」

 

「では、失礼いたします。」

 

バタン

 

乱暴に開けられたドアをベルは丁寧に閉じて、執務室を出た。

 

 

~~~~~

 

廊下の方から荒々しく足音が聞こえる。

めちゃくちゃドスドス聞こえるのだ。

今、集中して本を読んでいるからやめてほしいものだ。

俺の願いが通じたのか、足音は聞こえなくなった。

代わりに話し声が聞こえる。

 

「ここ…?ベル…」

 

「さ……ます。」

 

「じゃ…く…わよ!」

 

次の瞬間、扉が思いっきり開けられた。

 

 

~~~~~

 

ご主人様に命令され、エリザベス様とウォースパイト様をテゲトフ様のお部屋の前まで案内いたします。

 

「こちらです。」

 

「ここであっているのよね?ベル?」

 

「左様でございます。」

 

「じゃあさっそく入るわよ!」

 

エリザベス様は勢いよくドアを開けられ、テゲトフ様のお部屋へ入っていかれました。

 

 

~~~~~

 

部屋の中に知らない人が二人入ってきた。

その後ろにはベルさんもいる。

 

「光栄に思いなさい!この私、エリザベスが直々に…」

 

王冠を被った方の子は俺の顔を見て固まっていた。

 

「え?」

 

ケモミミが付いた方の子は驚いたような顔をして、口を押えていた。

 

「やはりこうなられましたか…」

 

ベルさんは何か呆れたような表情をしていた。

 

「えっと…男?」

 

先に動いたのはケモミミが付いた方の子だった。

下を穿いているのかギリギリなラインの服装の子だ。

元居た世界では痴女扱い確定だろう。

 

「そうですけど…あなたは?」

 

このままだと俺の中でこの人のイメージが変になりそうだから名前を聞いて紛らわそうとする。

 

「わ、私はク、クイーンエリザベス級高速戦艦ウォースパイト…そ、その…よろしく頼む。」

 

ケモミミの子の名前はウォースパイトさんというらしい。

ようやく俺と同じ艦種である戦艦の人に出会えた。

けど…

 

「…」

 

軽巡洋艦のベルさんと比べるとなんだか小さく見えてしまう。

もう一人の子の方もウォースパイトさんと同じ身長で、姉妹かと思えるほどだった。

 

「あなたの名前は?」

 

「あ…が…」

 

王冠を被った方の子は突っ立ったまま目を点にしている。

痺れを切らしたのか、ベルさんが割って入ってくる。

 

「こちらのお方はエリザベス級戦艦一番艦のエリザベス様です。ウォースパイト様とは同じ級ですが、姉妹関係はございません。」

 

丁寧にベルさんが教えてくれる。

 

「テゲトフ様のお名前は事前に執務室の方でご主人様からお二方へと伝えられておりますので、テゲトフ様自身の紹介は不要だと存じます。」

 

俺も自己紹介をしようとするが、ベルさんが止めてくれる。

 

「そういえばウォースパイトさんとエリザベスさんは何をしに?」

 

いきなり入ってきたから何事かと思ったが、実際は何をしに来たのか分からない。

 

「わ、私はただ陛下についてきているだけなので…」

 

ウォースパイトさんはエリザベスさんについてきているだけで、目的などはないようだった。

となればエリザベスさんに聞くのがいいんだろうけど…

 

「あ…あ…」

 

ショートしたみたいに動かないので聞きようがない。

 

「ここまで男性に対しての免疫がないとは思いもしませんでした。」

 

ベルさんはさらに呆れた表情をしていた。

男性に対しての免疫がないだけでここまでなるものかと思うが、1:100ならありえる…のか?

それにしてはベルさんは男性に対しての免疫が結構ある方なのだろう。

 

「自己紹介も終わったことですので、戻られてはいかがでしょうか?」

 

ベルさんがウォースパイトさんとエリザベスさんに提案をしているようだった。

 

「そ、そうさせてもらうわ…陛下、一旦戻りましょう。」

 

ウォースパイトさんは動かないエリザベスさんを引っ張って部屋から出て行った。

 

「失礼いたしました。」

 

ベルさんは最後に出て行った。

艦種によって身長などが変わると本には書いてあったが、あの二人は例外なのだろうか?

一応二人とも戦艦らしいし。

他の人達はどうだろうか?

もう少しで読み終わるから、俺は再び本に目を落とした。

 

 

~~~~~

 

「久しぶりの歓迎会だね~」

 

大広間の中ではロイヤルメイド隊が歓迎会の準備をしている。

厨房で料理をしている者もいれば、長机の準備をしている者もいる。

KAN-SENの建造なんて滅多にできるものではない。

大体のKAN-SENは他の港などから移籍してきた者が多い。

時々セイレーンから取り返した海域などから拾われてくる者もいる。

 

「ほとんど終わりましたぁ~」

 

私に設営の状況を報告しに来たサフォークはセイレーンから取り返した海域で拾われた子だ。

他にも何人かいるが、建造で来た子は両手で数えられるくらいしかいない。

 

「おっけー、じゃあ終わった人は他の人の手伝いでもしていて。」

 

一人一人が大切だから毎回新しい子が来るたびに歓迎会などを開いている。

今は戦時中なのだからこんなことをするのは咎められるのかもしれないが、こうでもしないと絆ははぐくまれないのだ。

それに夜にするわけでもないのだから多少はいいだろう。

 

「ベル。」

 

「はっ。」

 

いつの間にか戻ってきていたベルにまたお願いをする。

 

「もう少しで15時だし、テゲトフ呼んできておいて。」

 

「承知いたしました。」

 

「お願いね~」

 

今はテゲトフが強い弱いとか関係なく、歓迎会を楽しめるようにしよう。

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