ドラゴンってイイよね。   作:天然マネー

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目覚め

 

 

 

 異世界転移した世界がドラゴン溢れる特級危険世界だった件について。

 転移後、目が覚めると眼前にドラゴン特有の爬虫類顔がドアップで映し出され思わず手が出てしまった。まぁ人間がドラゴンに勝てるはずが無く、当然の如くぶちのめされたのだが。あのクソトカゲいつか絶対に丸焼きにしてやる……。

 

 その後そのクソトカゲの飼い主から話を聞くと、どうやらこの世界では生まれた頃から生涯の相方となる竜の卵と共に成長していくそうだ。ドラゴンが生まれるとともに子供とドラゴンの両者に契約紋を刻みつける。それによってもしドラゴンが死ぬことがあっても一日経てば全てが元通り蘇るという、この世の摂理に真っ向から逆らった摩訶不思議現象が常識となっている。

 初めは戸惑いつつも、俺をこの世界に送った神はしっかりと特典を付けてくれていた。『万竜召喚(ばんりゅうしょうかん)』というこの世界では神にも等しい力を。誰もが一匹の竜しか持っていない中、DP(ドラゴニックポイント)さへあればいくらでも召喚出来るんだから! そんなの最強に決まってるだろ!!

 

 ――俺はこの能力で成り上がってみせるんだぁ!!

 

 そんな虚しい声が何も無い小さな洞窟の中に響く。

 さっきも言ったようにこの世界では誰もが竜を持っている。つまり相対的に竜を持っていない奴はこの世界では排斥される運命にある。俺がこの能力に気づいた時には既に手遅れだったんだ……。

 

 親切な人にこの世界について教えてもらった後、俺はまず定番のギルドに向かった。ギルドは想像していたのとは違って、役所みたいに綺麗だし新人いびりをしてくるような噛ませ犬もいなかった。何のイベントも無く受付のおねーさんに登録を頼もうとしたけど、そこで致命的なことにドラゴンの提示を求められた。でも、その時まだ能力に気付いていない俺はドラゴンなんて大それた物は持っていない。

 

 その後のことはあっという間に過ぎていった。誰でも持っている筈のドラゴンを持っていない不審者は、騎士団の詰所に無事連行され数日にわたる尋問を受けることになった。そして数日をかけて俺が異種族のスパイでも何でも無いことをなんとか理解してもらえた。

 その結果、都市から追放され現在は森の中の小さな洞窟で一人寂しい夜を過ごしているところだ。

 

 なんで? おかしいでしょ!?

 ドラゴンを持っていないただの人間だって理解したのに捨てるその心とは!?!?

 

 許せねぇ……!

 あの俺をボコボコにしたクソトカゲも、人の魂の叫びを無碍にしやがったクソ騎士もいつか絶対に見返してやるからなぁ!!!

首洗って待ってやがれ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ふぅ、ストレス発散も出来たところで早速『万竜召喚』を試してみるか。頭の中で能力を使いたいと強く念じると、だんだんと《下位竜召喚》という文字が頭に浮かび上がってくる。

 

 ――下位があるってことは中位や上位もいずれは召喚出来るということだろうか……?

 

 浮かんできた《下位竜召喚》を念じると目の前に濃い霧が漂い始めしばらく経つと、チーンという軽快で聞き馴染んだ音とともに霧が晴れていきそこには50cmぐらいのトカゲがいた。濃い緑色の鱗を持ち全身がバランス良く発達しており、その鋭い爪から繰り出される一撃は斬鉄をも容易くこなすだろう事が窺える。よく観察すると、背中からは小さな翼が生えておりただの異常発達したトカゲでは無いことが分かる。とてもじゃ無いが、そんな翼ではその重厚感のある肢体を飛び上がらせることはできないだろう。

 

 そうして初めての相棒になるであろうドラゴンの観察に励んでいると、頭の中で《最も弱い雑魚子竜(ロードラゴネット)》という明らかに貶している種族名が浮かんできた。

 

 …………うん。分かってたよ? 初めは弱いやつしか召喚できないことぐらい。でもさ? 限度があるじゃん限度が……。こんなの洞窟に来るまでに見たちっちゃな草食竜にすら勝て無さそうだよ……。

 

 そうして余りにも雑魚過ぎる竜が召喚されたため落ち込んでいると、主人を励ます為かまるで全て自分に任せろと言わんばかりに片手を上げて呑気に大きな口を開きながら、

 

 ――キシャ!

 

 と、可愛らしい高い声で鳴いた。

 その姿は、まだ異世界に来て日が浅い俺には救いのように見えた。その鋭く立派な爪や、強靭な顎と凶悪な牙を振るえばそこら辺の人間など簡単に屠ることが出来よう。たとえ銃器を持った軍人であっても、鉄壁の鱗が銃弾を全て弾きその内に鋭爪によって装備ごと体を引き裂かれるだろう。

 

 あくまで人間ならの話だが。

 寝床を見つけるため森を彷徨っている間に見た竜たちはさらに巨大で強靭な肉体を誇っていた。特典知識によるとあれが全て草食竜と言うのだから恐ろしいことだ。運のいいことに草食竜としか遭遇しなかったから今も生きているが、もしさらに立派な身体を誇る肉食竜に遭遇していたら今頃俺は胃袋の中で竜の晩御飯になっていたことだろう。

 それを考えると、《最も弱い雑魚子竜》は自身の護衛としては些か、いや、圧倒的に力不足であるとしか言いようがない。しかし、こいつを召喚するために今持っていたDPを全て消費してしまった。つまりこいつを活用してなんとか野生の竜を殺し、DPを稼がなければならない。これは想像以上に厳しい茨の道となるだろう。でも、これも全ては自らが生きるため、そして憎きあの糞共を見返すためだ!!

 

 そのために今は臥薪嘗胆だ……!

 

 臥薪嘗胆、臥薪嘗胆、臥薪嘗胆ゥッ…………!!!

 

 

 




最も弱い雑魚子竜(ロードラゴネット)
この世に存在するあらゆる竜種の中で圧倒的最弱の竜種。
神様特製の新種のため野生には存在しておらず、俺くんの『万竜召喚』のみで生み出すことが出来る。
竜種の中では雑魚だが、人間と比較すると絶大な力を持っている。斬鉄は当然行えるし、人間を焦がす威力のブレスを吐くこともできる。
雑魚であるデメリットを打ち消すために、進化すればあらゆる竜種になることが出来るというメリットも付けられている。

万竜召喚(ばんりゅうしょうかん)
神様から特典として貰ったチート能力。
DP(ドラゴニックポイント)を消費することで無限にドラゴンを召喚できる。
その他にも、ドラゴンの知識や能力強化などの力も複合されている。
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