ドラゴンってイイよね。 作:天然マネー
転移初日から一日が経ち、俺は今DP稼ぎで《
たまに木陰で小休憩を挟みつつ探索を進めること数時間。お日様が天辺に登る頃、過酷な森の中で唯一とも言えるオアシス、大湖を見つけた。今もギラギラと照りつけている太陽光を水面が反射し、キラキラと幻想的な輝きを放っている。
普段は何も思わないことだけれど、こんな右も左も分からない状況に置かれると些細なことが貴重な心の癒しになることが感じられる。
それを感じるのは俺だけではないようで、大湖の周りには小型から大型の草食竜たちが群で水を飲んでいる。探索していたときから気にかかっていたが、どうやらこの森には肉食竜が生息していないようだ。人間の都市が近いから近寄らないのか、肉食竜の生活には適さない環境なのかは分からないが、着の身着のまま放り出された俺からしたらありがたいことこの上ない。
水を飲み僅かでも英気を養うと、再び森の中に戻る。そのまま森の中を大湖に沿って進んでいく。目的地まで着き、茂みの中から先程目を付けた獲物の様子を窺う。
そこには、おそらく群れから孤立したであろう深緑の竜鱗を持つ2mほどの小型竜《
草食竜の中ではかなり危険な方なのに今回コイツを狩る理由は、一匹で行動している点が大きい。こっちには《最も弱い雑魚子竜》一匹しかいない時点で、二匹以上で行動しているドラゴンは狩りの対象から外すしかない。
それに大湖の周りには木がないため、ヤツらにとって非常に不利であるからだ。ヤツらはその発達した前腕を持つ代わりに後脚は退化しており、地上での移動能力は《最も弱い雑魚子竜》以下だ。だから樹上に逃すことなく戦闘を継続すれば、勝てる確率は上がる。その鱗も柔らかい腹を狙えば関係無いし、体格の大きさから《最も弱い雑魚子竜》が腹に潜り込むのは簡単だろう。
ここからさらにチート特典の一つである
これで準備は整った。
「いけるか? ドラゴネット」
「キシャァァ!」
ドラゴネットのやる気も十分なようだ。
《爪竜》が水を飲むため顔を湖に
「グルゥルァァアアゥッ!!」
斬られた本体も初めは余りにも不意の出来事に困惑した様子を見せていたが、不意打ちを受けたことに気付くと咆哮を上げ威嚇をしながら反撃の右爪による剛撃をぶちかます。
しかし、ドラゴネットは後退することもなく更に前進する。そして鉤爪が当たろうとすると、突如ドラゴネットと《爪竜》の間に淡い紫紺の障壁が現れ反撃の一撃は弾かれる。それによりあっさりと体勢を崩した《爪竜》に対して追撃として右腕を斬り飛ばそうとするが、スレスレのところで左腕による防御を受けわずかに左腕の肉を抉るだけとなった。
これによって流石に不利を悟った《爪竜》は樹上への逃亡を図り、右腕で土を掴み取りドラゴネットの顔面へと投げつける。豪速球で投げられたそれはドラゴネットも避けられず、思わず追撃の手を止めてしまった。
その内に《爪竜》は森へもう少しというところまで辿り着いていた。《爪竜》の生存の芽も見えてきたかと思われたが、現実は無情にも降りかかる。横からどこからともなく飛んできた1mもの巨大な拳撃によって再び湖まで戻される。
再び逃げようと《爪竜》が立ち直った頃にはドラゴネットも復帰しており、何も無いとこから飛んでくる拳撃とドラゴネットによる爪撃の両方を捌くことはただのぼっちな《爪竜》に出来るはずもなく徐々に追い詰められていき、最後は呆気なくドラゴネットによる爪撃によって首を刎ねられたのだった。
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初めての狩りを終えた俺は、念じてDPが獲得されていることを確認する。どうやら今の《爪竜》からは30DPを確保できたようだ。《下位竜召喚》一回につき10DPを消費するから、単純計算で《爪竜》は《最も弱い雑魚子竜》三体分の価値を持っていたのだろう。初めドラゴネットを召喚したときは一体どうなることかと思ったが、この調子で狩りをして使役竜を増やしていけば成り上がって見返すときは案外近いのかもしれない。
そう思うと、胸の奥底から沸々とやる気が湧き上がってくる。
――この調子でトップドラゴンテイマーまで一気に駆け上がるぞーー!!
少しでも現状の不安を吹き飛ばすため、そう自身に再び喝を入れるのだった。