先行実装転生ゾロアニキ 作:あまも
タイム先生のテスト、下手な鉄砲戦法で合格もらったので未だに威力の計算出来ないです
雪やこんこ
「アオキさん。こんにちはー! っと、きみが例のゾロアだね? こんにちは!」
おおう、こんにちは……圧がすごい。こりゃ確かにアオキのおじちゃんたじたじだろうなぁ。
んでもってそれはおれもちょっぴり苦手なタイプ。
ポニテ、緑メッシュの髪はきっと名のある者に違いない。そばかすはあるけど顔立ちは可愛い。スラッとしてて背も高い。見た目は満点運動部系お姉様ですわー!
明るくて、元気で、腕のグローブと半袖短パンがスポーティーな印象の若い女の子。若い子ほどお肌を出すんですよ。半袖で雪山?死ぬ気?
何はともあれ学生服が良く似合う。
この……陽の者め!
「きみは……バトルは好き?」
あ、そういうタイプの方ですか?
「ネモさん。ハッサクさんは?」
「ポケモンの回復してから来るそうです!いやー……つよかったなぁ、先生のセグレイブ……」
「そうですか」
恋する乙女みたいな顔で、そんなことを言っている。強かったんだ?先生の……セグレイブってポケモンは知らないけど、きっとポケモン。ドラゴン使いってんなら、ドラゴンタイプなんだろうなぁ。名前からして強そう。
そういえばオンバーンもドラゴンタイプだっけ?
「あ! アオキさん、あの時の私のパーモット、強くなりました!ぜひ、バトルして下さい!」
「……それはまた今度に」
「はい!」
おもむろにボールを取り出そうとして、手のひらで壁を作ったアオキさんに止められている。パーモット。これも聞いた事のないポケモンだ。
ひょっとして、パルデア地方のポケモンか?
「アオキさんが保護したんですよね、このゾロア。じゃあ、いずれはアオキさんが引き取るんですか?」
「……ゾロアが望むなら、そうなりますね」
む、無表情〜!嫌も諦めも呆れもなんもない。好意もないけど!言葉でも読めないなあ。伊達にサラリーマンしてないね。
言いぶり素振りはおれが嫌いとは言ってないし、……嫌いではないだろうけど、好んで好きでもあるまいて。いやいやおれもアオキさん好きだよ?お引き取りはお引き取りくださいだけど。ね、おじちゃん。
「もし引き取られたら、ノーマルタイプっぽいし……いずれはジムにも出ますかね?!」
「…………このゾロアのどこを見て、ノーマルタイプだと?」
「え、なんか……アオキさんが近くにいるし……白いトコとか!普通の犬ポケモンみたいにしてるところとか!」
「普通……?」
「なにを言ってるんだ彼女は」というアオキさんの副音声が聞こえてくる声色は分かった。確かに、おれは普通のゾロアではないよねぇ。色違うし。
てか、おれあくタイプですわよ?わるいキツネだし………………ジム?
「バトルしてみれば、わかるのでは?!」
「しません。ゾロアも望んでいないのでは?」
「きゅぬ?」
すちゃりとグローブつけた右手を握り締める様子に、アオキさんは静かに首を振った。
にしても、ジム……ジム?
おいおい、アオキさんよお。ジムって、事務?
違うよね、ジムだよね。この世界では戦いの場だよね?
ネモちゃんの口振りでは、まるでアオキさんとネモちゃんがジムでバトったかのような…………まさか、リーグ委員会で働いてるって、アンタ、ジムトレーナーなの?!見た目こんなサラリーマンなのに?!てっきり営業の人かと……
てことは……ちょっとは腕に自信あるんですか?!このナリで!?そんなの詐欺じゃん!
「あはは。なんかきゅぬきゅぬ言ってる」
「たぶん文句でしょう。よく喋るんです」
「きゅっ」
喋れって言われたから喋ってやってるんだが?
悪い笑われ方じゃないから、いいけどさぁ。おれは人に笑顔をお届けするわるいキツネですぞ。
――――――――――
ハッサク先生とクラベル校長がやってきて、アオキさんがようやく一息ついた。おじちゃんたちのお話はさておき、おれは想像力を働かせる。
アオキさんとネモちゃんのバトル、どんな感じだったんだろう。
だってネモちゃんこれ……主人公級強者のバトル狂だろ?件の関連トレーナーとして呼び出されてるし、 おれのタイプとか、技なに使えるのかとか、いちいちアオキさんに訊ねるんだもの。そんなんアオキさん知らんて。おれも知らんのに。
パーモットってのはどんなポケモンだろう。タイプもわからん。そもそもアオキさん何……ポケモン持ってるの?スマホと書類とパソコンと、持ってても一、二匹くらいしかポケモンいないんじゃないの?
あー……病院にいた頃、オモダカさんが彼はフットワーク軽い的なこと言ってたっけ? んじゃ気軽に空を飛んでける…………そういえばおれを見つけたのはアオキさんのムクホークなんだっけか。
そうか、そうか。ムクホークか。
ぽくは……ないですねぇ! ノーマルタイプ……ひこうタイプ?んー……エアリーな頭と雲柄空色のネクタイ、スーツの襟が若干のひこうタイプ感?でも普通のサラリーマンだろ?ほなノーマルタイプか。
…………都会のビルの屋上が似合う顔やめーや!
ムクホークと戦ったパーモット……ムクホークは見るからにひこうタイプだし、初見でも知ってても、相性取るならきっとでんきかこおりかいわタイプだろ。
ネモちゃんはこおりって感じしない。
つまり……でんきかいわタイプ!
そして良い勝負、てか負けたってんなら、かくとう、むし、くさタイプもあったのかな。ムクホークのノーマルタイプを見ておれをノーマルタイプ?って聞いたからにはアオキさんはきっとノーマルタイプのジムトレーナー。
すなわち……選ばれたのはかくとうタイプ!
いわ・かくとうタイプか、でんき・かくとうタイプと見た!
いや、見た目わからんのだけどね。ムキムキのピカチュウが頭に浮かぶ。おまえは絶対違う。ミーム汚染やめろ。
まぁ、知らないポケモン。しかも他に存在するかもわからない複合タイプ。きっとパルデア地方から出た新しいポケモンなんだろう。そりゃ主人公級トレーナーが使いそうなもんだ。そしてネモちゃんが使うんだから……かっこいいか、きゃわたんなんだろうなぁ。
……………………おれとかわいさが被っちゃうのはダメですよ!
想像しようにもそんな推測しか出来ない。実際見て見ないと、わからないのだよ。
つい先程もね。おれの使えるわざは何とか、とくせいはだのと聞かれたがね。おれも知らん。
ゾロアのとくせいといえばイリュージョン。使ってみてよと言われたが、おれこれパパさんに教えて貰ってないのである。今まさに教えて貰うぞ〜ってベストタイミングでなんか災害に巻き込まれたもんでよ。
でもパパさんがちょいちょいなんか使ってたのは見たことある。怪しいオーラ的なやつ。
言われて請われて、ほならね と。
なんか、出ろ〜!って試しにやってみたけど、おれの青い毛が青く光って何か出そう、で終わった。めっちゃ疲れた。何も出なかった。ネモちゃんのガッカリした顔が忘れられない。くそ、なんか出そうな気はしたのに……
幻影とかでは、なさそうな気もしたけど。いやいや、へもミも出てないです。
イメージ力が大事なんですかねぇ?
『 想像力が 足りないよ』ってか?
想像したムキムキのピカチュウがマッスルなポーズで煽ってきた。はっ飛ばすぞ暫定パーモットくん。
おれがイメージの中の怪物に喧嘩売ってる間に、各々椅子に座って落ち着いたらしい。
「オンバーン、カイリュー共に今は落ち着きましたが、かなり気が立っている様子でしたね」
「なるほど……では、ネモさん。遭遇した、その見かけないポケモンと、あった出来事について説明をもう一度お願いできますか」
「はい。あれは……」
とまぁ、おじちゃん二人おじいさん一人、ピチピチのかわいこちゃん二人(一匹)による説明会。
さて、ネモちゃん曰くの事。
アオキさんとの戦いで、まだまだ戦略も、経験も、鍛錬も足りないと痛感したネモちゃん。
(ここでアオキさんを見たら目を逸らされた。何……何?あれ?もしやおれの考えてるよりアオキさん……あれ?)
ㅤ 一念発起、パルデアをもう一度半周しながら鍛錬の旅へ。
辿り着いた東北東は竹林にて、見たこともない大嵐と、巻き込まれたポケモンと……真っ赤な目で、とても大きなポケモンに襲われている学生を見つけたという。
パルデア育ちのネモちゃんが見たことないというその大嵐、まるでアカデミーのボールのモニュメントみたいなドーム状の雲が一帯を覆い、中では様子のおかしなポケモンたちが、競い合うように大喧嘩していたそうな。
以前他地方の特集番組で見たより、はるかにめちゃくちゃでっかいけど知る限りでは形状ゴルバットにパーモットで挑み、マヒでしびれさせた(脳内ムキムキピカチュウが巨大ゴルバットをホールドしてほっぺすりすりしてるイメージが浮かび、変な顔している所をハッサク先生に宥められた)スキに学生を救出。暗い雲の範囲から出ると、風は強いが周りはいつものポケモンが慌てている様子だけ。
はてこれはいったいなんだろう、と考えている合間に、雲を突き抜けて件のでかいゴルバットが突っ込んできて……そこをまた別のトレーナーに助けられたそうな。
コノヨザル(コノヨザル????)を使うそのトレーナーは、長身をフードとマントで覆い、雄叫びをあげてゴルバットの前に、ポケモンと並び立ちはだかり……ネモちゃんが学生を現場から離す間、時間稼ぎしてくれたそうな。近くのポケモンセンターに学生を預け、戻る合間にみるみるうちに黒い雲の大嵐のドームは掻き消えて、巨大なゴルバットも、間に入ったトレーナーも居なくなってしまった、と。
だから、自分だけではなく、そのトレーナーも一緒に戦ってくれた人であり。
「ぜひもう一度会って、
ぜぇったい、今副音声流れてたって。表情の輝きも煌めいてるし。
声と、ちらりと見えた下半身の逞しいけど滑らかな足は、きっと女性だろうとネモちゃん。近場には妙な旗とバリケード。きっとそこから来たに違いないと、遠目で見ていたら星柄ヘルメットに星型ゴーグルの学生(想像だけでダサいと言える。逆にオシャレならそれはそれですごい)にすげなく追い払われたそうな。
そんなネモちゃんの、乙女心が止まらない煌めく笑顔でなされた強者話を聞いて、おじちゃん三人難しい顔。
「そのトレーナーは現在、レンジャーの皆さんと捜索中です。……にしても、またもやとは」
「ゴルバット……ですか」
「ネモさんが見たゴルバットの大きさは、どれぐらいだったかわかりますか?」
「はい! えーっと……その校長先生の机より大きいです!」
言われて皆で机を見る。うん……分かりにくいねぇ。〜より大きい、小さいはイマイチ伝わらない。
ゴルバット、ゴルバット……どんくらいの大きさだったっけな。まず、この場、この地方にいないものの大きさが分からない説ない?
「襲われていた学生は、そもそも何故あのエリアに? バッジも持っていないのでしたね」
「ええ。治療中に話を聞いてもらいましたミモザさんが言うには、
『輝く竹と、タケノコを探しに来ていた』とのことです。輝く竹は小生わかりませんが、タケノコなら食べてよし、売ってよしの山の幸ですからね」
「それに、彼女もオンバーンは連れてましたよ!凄く飛ぶのが速くて、警戒心強い子!たぶん、あそこのポケモンなら囲まれでもしない限りは逃げられるんじゃないかな」
「……いつ見たんですか?」
「戦闘開始までは見守ってたんです」
えへ。と頬を掻いて笑ってますけども。人が戦ってるところを、横取りするのはマナー違反って……どこぞのMMOか何か?
つまりはネモちゃん。鍛錬中、嵐に遭遇。同時に近くで同じく巻き込まれたその学生も、ポケモンセンターへと向かおうと立ち上がったその時。襲われた学生が連れていたオンバーンが警戒の鳴き声を上げるも、回避は間に合わず交戦……一撃は耐えたが、その後の一撃は人間の方を狙っていた上、本人もこんらんしたオンバーンも防げそうに無かったので、助太刀致したと、詳しく話すとそういうことらしい。
それなら最初から詳しく話してぇ?
「小生もポケモンセンターで様子を見せていただきましたが、トレーナーとは信頼関係はしっかりと。小柄で、速さに特化させた個体だったようですね。連戦や長期戦には不向きですが、戦闘目的での育成でないならば納得ですよ」
ドラゴンタイプに詳しいらしいハッサク先生が言うならそうなんだろう。見抜いたネモちゃんの審美眼よ。
「やはり、その出現した巨大なゴルバットの方が異常だったのでしょう。ネモさん、他に何かありましたか?見かけないポケモンなどは?」
「あとはゴースト、オドシシ……あ、そうそう、ポニータ! 初めて見ました!」
「ポニータですって?」
ハッサク先生がスマホロトムに検索させる。出てきたかわいらしい、ほのおのたてがみの仔馬のようなポケモンの画像を確認させ、ネモちゃんはコレコレ!と頷いている。
ポニータねぇ。色違いが白くて青い炎で、ちょっぴりは親近感が湧くのだ。カッチョイイよねぇ。つまりおれもカッチョイイ……ってコト?!
「ネモさん。こちらの……このポケモンは見かけませんでしたか?」
「? どれですか?」
「この……ここです。この白い……」
クラベル校長のスマホロトムが見せている……何?悲鳴聞こえてきたんだけど。動画?
再生途中で止めた、静止画像。それを見て、ネモちゃんが一瞬おれと、クラベル校長と、画像を見比べる。
ちょっと、それおれにも見してくださいよ。何ヒトだけで内緒話してるんだ。
抗議のとびはねるを繰り出していたら、気を利かせたハッサク先生がキャッチしておれにも動画を再生して見せてくれた。ナイスーです。
んでまあ。
雪の降り積もった白く薄暗い森の中、振り返る白いもふもふ、カメラに襲いかかる何か、倒れたカメラを覗き込むきょうだいとパパさんのそっくりさん……
ってかゾロアとゾロアークやないかい!
ネモちゃん捕獲苦手ってわりには珍しいの持ってるじゃん……ねぇ……みつふし……
オンバーンすこです
もうちょっとだけ校長室続きます