先行実装転生ゾロアニキ 作:あまも
死ぬほどお久しぶりです
ZAがいよいよとなり、キョウヤくんに狂いながら書きました。
前に書きかけていたものがメモの何処にも見当たらなくて参りましたね……
つまり初投稿みたいな気分ですのでどうか大目に見てください。
よろしくお願いします
スター団。
この野生ポケモンのワイルドさに負けて人間側が割と平和なパルデアにおける、不良グループらしい。
ポケモンは、シリーズを通して悪役とされる組織が登場する。ロケットやマグマやアクア、ギンガにプラズマに……と、真剣に世界征服目指していたり、世界のためにポケモンのためにと言いつつ過激な思想していたり……何かとお騒がせな方々。
スター団ってのは…このパルデア地方の悪の軍団……ってコト?!
「とはいえ、あんまりスター団のヒトら、アジトから出てこないから関わるコトないと思うけど」
とは食堂で出会ったもふもふのイーブイバックの可愛い学生さんの談である。
彼女のことは初めて見たが、おれのことをSNSで見て、そのもふもふをひと目ひとなで試すためだけに来たのだそうな。
……不登校気味か?
理由はなんでも、外に出れて学校に来れたというのは大変よろしいとゾロアは考えるぞ。
本当にひとなでして、バイバイと、とんぼがえりでそそくさ去っていった彼女にみがわり入れ替り立ち替り、今度はネモちゃんがやって来た。食堂に来ておれを視界に入れた途端、彼女の目がキラリと輝いて、大股な数歩で距離を詰めて、しゃがみこんでおれを覗き込んでくる。
顔が近い!
「ゾロア!こんにちは!」
「きゅあんぬ」
今日も今日とて、ネモちゃんは元気がいい。ソワソワと、落ち着かない様子で椅子の上のおれを見つめているが、どうしてそんなにテンションが高いんだい?
「ね、ね、ゾロア。アオキさんのところでお世話になるって、ホント?」
「きゅっ?!」
何それ初耳!!
「違うの?そっか。じゃあジニア先生?」
「きゅ、きゅぬ……?!」
何それ……?
なんの噂なのさ。わからなすぎて怖い。
「SNSでバズってたよ。このふたりが、カフェテラスで真面目な話をしてる所。遠目で分かりにくかったけど、直接聞きに行ったらジニア先生が『あれは、最近話題のゾロアについて、アオキさんと相談していたんですよお』って言ってたから、てっきりふたりのどちらかにおやが決まったのかなって……でも、ゾロアの様子を見るとそれはちがうみたいだね!」
ネモちゃんはうんうんと頷いて、おれの頭をもさもさと撫でる。その相談はきっと、この間のおれの、何か変化が起こっているのでは?の相談だったんだと思う。
……SNSでバズってたって言った?
確かに、あのあまり接点の無さそうな2人がカフェで一緒にご飯食べながら何か話をしてる、なんて……何もなくても何かありそうとか、思ってしまうかもしれないな。
「そだ!ねぇねぇゾロア、この間テラスタル試しにやってみたけどさ、あの時はキミ、あくタイプだったけど通常時は、ノーマル・ゴーストタイプってホント!?だとしたら、すっごい戦略的にも幅が出て、とっても面白いと思うんだけど……」
「きゅ…」
し、知らないよおれのタイプなんて…
ゾロアならあくタイプが当然だと思ってたのに、ノーマル・ゴーストとか言われてこっちだってビックリしたんだから。
ジニア先生の出したラランテスのものすごく手加減された“みねうち”は、おれには当たったし、普通にデコピンされたみたいに痛かった。
痛いんだから、じゃあゴーストタイプじゃないでしょって。
そしたら、なんでもおれが『殴られたら痛い』と思い込んでるからダメージがあるだけで、実際に当たっているのならもっとダメージは入るはず、との……
ライブカメラで見てた、ライムさんの見解だった。
曰く。『生前の記憶を強く残してる子に多い現象さね。……ゾロアの場合は、それとは違うのかもしれないが、強い思い込みはあるだろうね』
だそう。
殴られたら痛いのなんて、当たり前だろ!
――――――――
その時はその後、わざを出してみろと言われてジニア先生のウィンディにまたちょうはつされてなんとか振り絞ってみたものの、なんにも出なかった。
これが予想と違かったのか、ジニア先生とアオキさん、そして画面越しに見てたライムさんはそろって首を傾げてひそひそ話。
予想では、あのボールの中の“なにか”と同期したおれには、わざが使えるようになってるはず…と考えていたらしい。
『あれがゴーストとしてのゾロアのタイプの力そのものだと考えていたのですがあ、ふむふむ。となれば、他に考えられるのは……』
と、ブツブツ呟きながら手元のPCを見つめてそっちに集中してしまい、アオキさんと食堂でご飯食べてから戻ってきてもジニア先生は動いていなかった。
おれのわざとか、タイプの力ってやつについての検証が始まってるけど、どうやらジニア先生はなにかのレポートを作成しているみたいだ。
そして、それに協力するのか、アオキさんが前以上の頻度でアカデミーに来るようになった。
ふたりしてなにかの打ち合わせをよくしてるけど何か予定あるの?
横のアオキさんの顔を見上げると、視線を合わせてくれた彼はおれを抱えて近くの椅子の上に上げてくれた。
アオキさんはその隣に座り、タブレット端末を取り出す。
「ジニア先生のシンオウ地方出張の話がまとまりまして。行程表も決まりました。あちらで案内のガイドとして、ナナカマド研究所の方に協力を頼んだのですが、そのかわりにあなたについての調査結果をまとめたものを提出出来ないかと、急いで準備しているそうです」
ほぇ〜。そいや旅行の話もあったっけねぇ。
画面には、でっかいどうな形をしたシンオウ地方のマップに、日付と矢印が描かれている。旅行日程みたいな?
シンオウ地方かあ。おれの記憶が確かなら、この矢印の先の点は、湖や山、神殿とかの遺跡なんじゃない?
「ゾロアの件も、これまで先方には何度も協力を頼んでいます。随分便宜を図っていただいて、発見がある度、報告はしていましたが、改めてあちらで発見された昔のポケモン図鑑の記録と、現在のあなたとの比較情報くらいはまとめてから行くことにしたのだそうですが…」
ここで、からりとジニア先生が椅子のキャスターを動かしてこちらに体を向けた。途中から話を聞いていたらしい。
「えへへ。自分用にまとめてはあったんですがあ…困ったことに、このゾロアは体色も体格も、性質も性格も、図鑑にまとめられていた“ヒスイのすがたのゾロア”とは全く違っていたんですよ。
……個体差がここまで大きいと、ある意味これもリージョンフォームなのでは?なんて言ってしまいそうになりますねえ」
たはは、なんて笑いながら、ジニア先生が顔を上げて研究者ジョークをかましてきた。ジョークだよね?
「リージョンフォームでは無いんですね?」
「はい。この子はとても個性的ですが、先日の活動性能を見るに雪山で暮らすことは十分可能でしょう。食べ物も、好物とされるマメ、キノコ、ライスが好きという記録と比べても、遜色無く…草食傾向の雑食ですからねえ。
この人懐っこさやタイプの事を抜きにしても、個体差、及び時代の変化に伴う誤差、の程度だと考えても良いと、判断してますよお」
検証にはなりませんがねえ、と締めて、おれの頭を撫でてくれる。
一通り、その集まりでの発表と、ついでにおれのお話の発表内容のまとめは終わったようだ。
そっかぁ、ジニア先生、しばらくいないのかぁ。
「……ゾロアも行きますよ」
「きゅっ!?」
えっおれも!?
「アオキさんもいきますよお」
「きゅきゅぬ!?」
アオキさんも!?
おれはともかく、アオキさんなんで!?
「あなたが行くからです。ゾロア」
「今回、先方から、『件のゾロアも連れてきてほしい』と強い要望をいただきましてえ」
ジニア先生が机の上の画面をこちらに見せてくれて、そちらに表示された、文字は読めないけど表にされてるそれの横に、さっきアオキさんにみせてもらったマップと矢印があった。
前にも聞いたが、シンオウ地方には、ギラティナを含めたシンオウの三柱に、
その彼女はチャンピオンになって、ハードマウンテンって僻地の麓にあるバトルゾーンでバトル漬けの毎日を送る戦闘民族で、今回フタバタウンへの里帰りついでに研究所に寄っていくから、ギラティナやアルセウスにゾロアについて何か聞けるかも、ということらしい。
……自由な人だな、推定ダイパ主人公。
ついでにパルデアで起きた“時空の歪み”現象についての確認をね、したいらしい。おれはそれに巻き込まれた事故なのさ。
「先日の件で、あなたの事を誘拐してでも手に入れたい人間は確実にいる、ということがわかりました。よって、今回の出張は人数を最小限に抑え、ジニア先生1人に。さらに私が、表向きはパルデアポケモンリーグから派遣されてジニア先生の助手としてついていくことになりますが、実際はゾロアの護衛です。現地では私から離れないように」
「きゅあんぬ」
了解やで。
あのお人間さんは仕事とお金に困ってあんなことをしてしまったらしく、根っこはいいお人間さんだったから、今はパルデアリーグで職員の人たちに監視されながら仕事の手伝いしてるそうな。
そういう、金掴まされて誘拐してくるひととかいるかもしれないもんね。
それにあっちには、しつこく1匹のメチャ強はちゃかわピッピカチュウを付け狙って一生ついてくるロケット団みたいな、粘着質なひととか、悪い組織のひととかもいるもんね。
でも主人公らしき図鑑完成させた人がバトルゾーンで鎬を削っているなら、あっちのギンガな団はとっくに壊滅させられたのだろうな。
……残党はいるかもしれないか。
――――――
トントン拍子であれよあれよと決まって、サクッと飛んだパルデア空港……に、お見送りに来ていたクラベル校長とオモダカ理事長と……
「あれえ?なんでいらっしゃるんですかあ? レホール先生」
むふんと鼻を鳴らしたレホール先生。
普通の大きめなリュックを片っぽの肩に引っ掛け、小さめなキャリーケースを隣に置いてトレードマークの白衣を脱いだだいぶだらしないもっさりした青年の格好のジニア先生は、メガネをくいと上げてマジマジとレホール先生を観察しておられる。
おれの入ったピクニックバックと旅行用の荷物、そしていつものビジネスバッグとボストンバッグを両手に持ったアオキさんは遠い目で、窓の外の飛び立っていく飛行機を眺めている。
現実逃避が早すぎるよ、アオキさん。
ジニア先生のようにマジマジと見なくてもわかる。
レホール先生の足元には、アオキさんのボストンバッグよりもジニア先生のキャリーケースよりも小さな、けれどパンパンに夢の詰まったバックパックが鎮座していた。中身は怖いので気にしない。アオキさんは着替えくらいしか入ってない気がするが、レホール先生のバックには着替えが入ってる気がしない。
「……あの、クラベル校長…」
「申し訳ない。止めきれませんでした」
ソワソワと、遠足前の子供のようにキラキラと目を輝かせた――ううん、これは爛々と、の方が適切な表現――レホール先生を視界にチラリと入れた後、謝罪会見の企業会長の如く頭を深々と下げたクラベル校長。隣のオモダカ理事長が口を開いた。
「新たに発見されたミオ図書館所蔵の資料の中でいくつか、その目で実物を確認したい資料がある、とのことでしたので、一泊だけ私が出張許可を出しました。アオキ、頼みましたよ」
「……………………はい」
いつもデンヂムシみたいな無感情な目をしているけど、ついに反射する事すらなく真っ黒な目になってしまわれたアオキのおじちゃんである。
深淵〜!
「ジニア先生には前にも言ったが、ワタシはあくまでこのパルデア地方の歴史への興味と好奇心から向かうだけさ。あちらの新資料である、シンオウ地方の名の由来と考えられる“シンオウ”についての資料。似た文化なのか、はたまた流入し、受容されたのか、それはこちらからなのか、そちらからなのか、始まりはどこか、近隣国家との戦争の歴史と、遺された遺産、太陽信仰の礎――手がかりとならずもとも構わない。その当時の出来事と、何かしら重なるものがある可能性にかけている。
安心するといい。今回は、ワタシは間違いなく一泊で済ませ、パルデアへと帰還しよう。これが行程表だ」
「……はい……承りました」
レホール先生のスマホロトムが『送信したロト!』と飛び回りながら言って、アオキさんのスマホロトムが『受け取ったロト!』と元気よく答える。
そのやり取りの横で、元気の無いアオキさんがたっぷり溜めたため息を飲み込んで、絞り出すようなお返事を返していた。
飛行機の席は、なんとシンオウ地方のナナカマド博士が出してくれてのビジネスクラス。なんとなんと、おれの分の席まで取ってくれていた。初めて飛行機に乗るおれが、具合が悪くなったりした時に対処できるように、らしい。
至れり尽くせり!
レホール先生の出張は急遽も急遽だったからか、アカデミー側の資金で行くのでひとりエコノミー。
目、離して大丈夫そう?
「……飛行機の中で何かしてしまったら、立派なテロリストですから……流石にそこまでの奇行はしないと思いますが…」
そうかなぁ?アオキさんの遠い目の独白に、ジニア先生はそおですねえ。だけの無責任な肯定。
初めての飛行機!そして初めての新たな土地!
話によると、シンオウ地方こそがおれの本来の生息地なのでは?と目されているが、果たして今のシンオウ地方の街並みを見て、おれは故郷を感じられるんだろうか?
おれの記憶では、大自然な大雪山な景色だったけど。
今回、行程表にはテンガンざん、キッサキしんでんといった、シンオウ神話にまつわる遺跡も見学できるらしい。ワクワクである。
見たら何か……おれはわかるのかねぇ?
すいませんが続きは気長にお待ちいただければと……
それでも待ってて下さった方、ありがとうございます。
すいません、とても嬉しいです。ありがとうございます。読んでくださり、ありがとうございます