プロセカ世界の住民がキズナランクを見れるようになった話 (なおキズナランク30な模様)   作:鳩羽しろ

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第1話 キズナランクってなんぞや

『………ごめん。明日の朝、委員会の仕事があるからもう抜ける』

『え〜、朝から仕事があるなんてハードだなぁ』

『そうなんだ。おやすみ、雪』

『私も眠いしもうそろそろ抜けるわ』

 

 作業を始めてからどれだけの時間が経ったかはわからないけど、私もそろそろ疲れてきた。

 首もぐるりと一周させると、グキグキと体が悲鳴を上げているのが聞こえてくる。

 

『私ももう寝ようかなー』

『わかった。おやすみ、えななん、ひより』

 

 あ、ちなみに私の名前は「ひより」ね。

 本名もナイトコードのハンドルネームも「ひより」ね。

 

『そういえばさー、ひよりって明日奏の家に行くんだっけ?』

『そうだよー! お手伝いしに行くの』

『ええー、羨ましいなあ。ひよりに世話してもらえるなんて奏ばっかりズルいよー』

『こら、瑞希。奏を困らせること言わないの』

『…ズルいかな? ……えへへ』

『………奏、嬉しそう』

 

 あ゛あ゛あああ、尊い。微笑ましい。

 聞いているだけで癒されるなあ、やっぱ。

 可愛くない? 本当に可愛くない???

 ただお手伝いに行くだけなのに、こんな可愛い声でえへへとか一生奏の召使いしててもお釣りが出るぐらいなんだけど。

 

『それじゃあね。また明日、奏』

『……うん。楽しみに待ってる』

 

 私はそう言ってナイトコードから抜けた。

 その後は秒速の勢いで眠りについた。

 

 

 

 

 

 寝坊した。

 大寝坊した。

 やべーやべー大惨事。

 

 その辺に落ちてた服を手に取り、秒速で支度を済ませる。

 パンを片手に家を飛び出し、大急ぎで奏の家に向かう。

 しかし、パンを食べながら全力ダッシュなんてそう長く続くわけがないし、運動能力皆無な私であれば10mも持たない。

 ヘロヘロになりながらも、何とか足を動かし続けながら走っていく。

 そういえば──

 

「……奏に、遅れるって…連絡しないと……。───あ゛」

 

 ポケットに手を突っ込んで気がついた。

 

「──スマホない」

 

 私はUターンをしながら、数分前の自分を殴りたい気持ちをどうにか抑えた。

 私の家に再度着いた時には、走ることを半ば諦め欠けていた。

 

 

 

 

 

「ゼェ……ごめん…ハァ……奏」

「と、とにかく落ち着いて! 私は大丈夫だから!」

 

 結果、死ぬ気で走りまくってなんとか奏の家に着くことができた。

 視界もグラグラしていて、辛すぎてまだ奏の顔を見ることができていない。

 でも私がこんなにも遅れてきたのに、私の心配をしてくれる奏は天使様だろうか? いやそうに違いない。

 

「だ、大丈夫? とにかく家に上がって」

「あ、ありがとう、奏! ──え?」

 

 あれ? 私の見間違い?

 奏の頭の上を見ると明らかにおかしなものが見える。

 でも、それを奏が気づいている素振りは一切なく、私の表情が一変したからかコテンと首を傾げている。かわいい。

 その奏の頭の上にあるものをよく見ると何やら文字が書かれていた。

 

宵崎奏

キズナランク 30

 

 あ、これ幻覚だ。

 私の意識は再び消えた。

 

 

 

 

 

 起きたらなんと奏の顔がドアップで映し出された。しあわせ。

 

「──!? ……びっくりした」

「いや、私の方がびっくりしたよ」

 

 奏は私が起きたのに気がつくと、驚いた表情を見せて、顔をほんの少しだけ離した。

 起きた瞬間に誰かの顔が映るってと普通にホラーだと思う。

 奏はかわいいから全然ウェルカムだけど。

 

 ──でも

 

宵崎奏

キズナランク 30

 

 なにこれ???

 本当に何これ??

 

 「宵崎奏」は本名を表してるので間違いないだろうけど、「キズナランク」ってなんだ?

 キズナ……は多分「絆」だよね。

 

 つまり、これは──

 ──好感度メーターだ!

 

 ………いや、現実的に考えてあり得なくない??

 とうとう私、精神疾患でも患ったのかな?

 ……まあ、あとで調べてみよ。

 

「具合はどう?」

「えーっと、全然大丈夫だよ!」

「……良かった。突然ひよりが倒れた時は心臓が止まるかと思った……」

「そ、そんな大袈裟な」

 

 私がそう言うと明らかに奏はムスーと不満げな表情になり、首を大きく横に振った。

 

「大袈裟じゃない。ひよりはわたしにとって大切な人」

 

 え? なにこのイケメン。

 大好きすぎる。

 

 あまりの恥ずかしさに目を逸らしたくなるけれど、奏の視線が真っ直ぐ過ぎて逸らそうにも逸せない。

 絶対に今の私の顔は真っ赤だ。

 

「──わ、わかったから。わかっからいったんどいて…」

「え? ……ごめん、嫌だった?」

「ち、ちがうよ」

 

 もう本当にこっちが心臓止まるかと思った。

 奏の可愛さとイケメンさは本当に末恐ろしい。

 

「そう……良かった」

「私が奏を嫌うはずないじゃん! 大好きなんだから」

「……そういうとこだよ

「え? なんか言った?」

「……別に」

 

 奏はそう言うと次はそっぽを向いて拗ねたような表情へと早変わりしていた。尊い。

 でもなんで拗ねてるんだ?

 私は事実を言っただけなのに。

 

「……そうだ。本題に入るけど……」

 

 奏は拗ねた顔から普通の顔に一旦戻して、私のお手伝いの話に切り替えた。

 表情がコロコロ変わるところは本当に幼女を彷彿とさせる。憎めない。

 

 さて、ここからは私のお手伝いの話なので割愛!

 

 

 

 

 

 一通りお手伝いが終わったので、私は差し入れとして持ってきたクッキーを奏と一緒に食べる。

 奏はとても美味しそうに頬張っていて、これまた幼女を彷彿とさせる。大事なので2度言う。

 

「今日はありがとう、ひより。……とっても嬉しかった」

「これぐらいお安い御用だよ!」

「それにこのクッキーも……美味しい」

「え!? 嬉しい! それ私が作ったんだよ!」

「そうなの? ……本当にありがとう、ひより」

 

 あ゛あ゛あああ、抱きしめたい。

 私より一つ年上だけど存分に甘やかしたい。

 

「……そういえば、具合はどう? あれから大丈夫そうには見えるけど……」

「あ……うん、全然大丈夫になった!」

 

 あれから、ずっと奏の頭の上にはあの文字が浮かんでいる。

 

宵崎奏

キズナランク 30

 

 もしこれが本当に好感度メーターだとしたら、30っていうのは仲はいい方なのだろうか?

 もしかしてそんなに仲良くない……?

 いや、流石にあり得ないか。

 もしそうだったら、ギャン泣きするけど。いや割と真面目に。

 

 疑問と悲しさばっかりになった。考えるのやめよ。

 

「美味しかった。ごちそうさま」

 

 奏も私もクッキーを食べ終わって、いつものように寝転がってゴロゴロと暇を潰している。

 お手伝いの後は必ず奏の家で休ませてもらっている。

 迷惑だしいいよって言っても奏は聞く耳も持たないので、最初は仕方なくだったけれど今となっては習慣みたいになっている。

 

 ……そういえば、私と同じ状況の人はいるのかな?

 私はスマホを取り出し、さっそく調べてみた。

 

「『好感度メーター 頭の上』っと……まあ出ないよね」

 

 出るわけはないと思っていたが、当たり前のように出なかった。

 他に調べれそうなことだったら……

 

「『精神病 幻覚』っと……わっ、いっぱい出てきた」

 

 流石にこちらはたくさんあるようで、ゴロゴロとそれらしい記事が出てくる。

 流石に大変だなあ。これを全部見るのは骨は折れないけど心は折れそうだ。

 

「まあ頑張って行くか……さてさて最初の記事は──」

 

 私なりには頑張ったのだが、時間が経つと眠くなったから寝落ちしてしまった。

 もう一度言う。私は頑張った。

 

 

 

 

 

Now Loading…

 

 

 

 

 

 わたしには大好きな人がいる。

 その人の名前は如月(きさらぎ)ひより。

 私を救ってくれた大切な人。

 

 普段はナイトコードで共に曲作りをしていて、ひよりは他のみんなのサポートなどを主にしてくれている。

 もとは雪との2人から始まり、えななん、Amiaと段々と増えていき、最終的にひよりが参加してくれた。

 その過程でトラブルに遭うことはあったけれど、みんなが協力してくれて今では昔よりもはるかにいい曲を作れるようになってきている。

 

 もちろん、他の三人のことも大切だと思っている。

 でも、ひよりとは少しだけ違った大切さだとも感じることがある。

 ひよりへの感情は語ってしまうと止まらない。

 

 そして、そんなひよりが今日は私の家に来てくれる。

 一ヶ月に何回かひよりは私の家にお手伝いとしてきてくれることがある。

 望月さんは家事代行をしてくれるのに対して、ひよりはそれも少ししてくれるけれど、機械類のメンテナンスをしてくれることが多い。

 ひよりはどうやら機械に強いらしく、壊れてしまった器具を直してくれたりする。

 機材が壊れて音楽を作れなくなってしまい、どうしようかと本当に悩んでいた時、ひよりが私なら多分直せると言ってくれたのは記憶に新しい。

 それ以来、ひよりは私の家にお手伝いとしてくることになった。

 わたしはひよりの迷惑になるからいいよと断ったけれど、ひよりは聞く耳を持たなかった。

 とっても嬉しかったけど、最初は罪悪感があった。

 でも最近は……この時間が楽しみになってきた。

 ひよりと直で会って、他愛もない話をするのが好きになってきた。

 これは……いい傾向なのかな?

 

 

 

 

 

 ひよりは予定の時間を少し遅れたぐらいで、連絡が来た。

 スマホを忘れたらしく、取りに戻っていた

 

 ひよりがわたしの家に着いたのは連絡が来てからそこまで時間は経たなかったけれど、明らかにひよりはぐったりとしている。

 

「ゼェ……ごめん…ハァ……奏」

「と、とにかく落ち着いて! 私は大丈夫だから!」

 

 本当にわたしは大丈夫だ。

 むしろわたしの方がお手伝いをお願いしているのに、ひよりにこんな負担をかけさせてしまうのは申し訳なくなる。

 わたしは全力で、問題がないことをアピールした。

 

「だ、大丈夫? とにかく家に上がって」

「あ、ありがとう、奏!」

 

 ひよりは満面の笑みで返事を返し、ほんの少し嬉し泣きをしている。

 その様子を見ているとわたしの心はぽかぽかと温まり、さっきまでの心配から穏やかな感情へと変わっていく。

 

 ──でも、その瞬間、ひよりの顔が明らかに変わった。

 

「──え?」

 

 ひよりの目線はわたしに合っていなくて、わたしのほんの少し上を見ているかのようだった。

 ひよりの瞳は錯乱し、目の焦点があっていない。

 

 明らかにおかしいひよりの様子を見て、わたしはすぐさま駆け寄った。

 

「──っ!? 大丈夫!?」

 

 ひよりは気を失ってしまったのか、前はふらついて倒れてしまいそうになった。

 間一髪だった。

 なんとか倒れる前に支えることができた。

 ひよりを見るとだいぶ汗をかいていることがすぐにわかり、息もかなり荒い。

 とにかく休ませないとまずい。

 

「──心臓止まるかと思った……」

 

 比喩でもなんでもなく、そう感じた。

 

 

 

 

 

 とりあえず、ひよりはベッドに寝かせて、タオルで汗を拭いてあげた。

 ほんの数分も経てば、さっきまでの汗と息の荒々しさがなくなり、穏やかな吐息へと変わった。

 

「──良かった……」

 

 久しぶりにこんなに焦った。

 もう2度とこんな経験したくない。

 でも、この焦りも作曲のインスピレーションへと変わるのだろうとも思うと、なかなか複雑な気持ちになる。

 

「……きれいな髪だな」

 

 こんなにもひよりと密着したことは今までほとんどなく、タオルで拭いていた時から思っていたことをつぶやく。

 もっと近くで見たい。

 その想いがだんだんと強くなっていったのが、わたしでもすぐにわかった。

 ちょっとぐらい……いいよね?

 

 わたしの顔をひよりの顔へとゆっくり近づけていく。

 もっと近くで見ると、ひよりのまつ毛や唇がいつもよりもはっきりと見え、わたしの心が魅了されていく。

 

「……かわいいなぁ」

 

 こころの底からそう思った。

 どんどんと私は近づいていこうとするけれど、良くないことにひよりが起きてしまった。

 

「──!? ……びっくりした」

「いや、私の方がびっくりしたよ」

 

 流石に調子に乗り過ぎたかもしれない。

 ……それはともかく、今はひよりの体調が気になる。

 

「具合はどう?」

「えーっと、全然大丈夫だよ!」

「……良かった。突然ひよりが倒れた時は心臓が止まるかと思った……」

 

 比喩でもなんでもないわたしの言葉に、ひよりは苦笑いしながら答える。

 

「そ、そんな大袈裟な」

 

 ……わたしは自分の顔が明らかに不満げなものになっていくのを感じた。

 大袈裟なんかじゃない。

 ひよりが倒れた後、あのまま辛そうに寝てたら本当にわたしは泣いていたと思う。

 だから、大袈裟なんて言わないでほしい。

 

「大袈裟じゃない。ひよりはわたしにとって大切な人」

 

 紛れもない事実だ。

 ひよりがいなくなったらわたしは生きていけない。

 

 部屋が暗いのと、少し顔を離したせいで、ひよりの表情があまり読み取れない。

 一体今どんな顔をしてるのかな。

 

「わ、わかったから。わかっからいったんどいて…」

「──え?」

 

 うそ、嫌われた?

 全身から寒気がしてきて、心が冷水をかけられたみたいに冷たくなってる。

 ごめん、ごめん、ごめんなさい。

 やっぱり調子に乗り過ぎちゃったかな?

 

「……ごめん、嫌だった?」

「ち、ちがうよ」

 

 私が謝った瞬間、ひよりはさっきよりも驚いた顔になってすぐに否定してきた。

 ……良かった。

 嫌われたわけじゃないんだ。

 

「私が奏を嫌うはずないじゃん! 大好きなんだから」

 

 ……ずるい。

 反則だと思う。今の流れでこれを言うのは。

 わたしの顔がまた、どんどん赤く変わっていっているのがわかる。

 仕方ないと思う。

 こんなこと言われて、恥ずかしくならないわけがない。

 

「……そういうとこだよ

「え? なんか言った?」

「……別に」

 

 絶対にひよりはわたしの気持ちをわかっていないし、わかっても悪びれもしない。

 ひよりのこういうところはあまり好きじゃない。

 

 

 

 

 

 その後、わたしはひよりに動かなくなった機材を見せたり、一緒に片付けなどをした。

 やっぱり今となってはひよりがわたしの家に来てくれるのは嬉しいし、楽しい。

 

「今日はありがとう、ひより。……とっても嬉しかった」

「これぐらいお安い御用だよ!」

 

 わたしの感謝の言葉にひよりは太陽みたいな明るい笑顔で返事した。

 それに、クッキーを作ってくれたみたいでひよりと一緒に食べることにした。

 とても美味しく、なぜか心がぽかぽかと温まる。

 

 

 

 

 

 クッキーを食べ終わった後、ひよりはいつものようにわたしの家でくつろいでくれた。

 これぐらいしかお礼としてできることはない。

 

 その間、わたしはひよりに直してもらった機材の確認など、ほんの少しだけ作業をした。

 ひよりを見ていると熱心にスマホで何か調べている。

 

 ……そこから何時間経っただろうか。

 日も落ちてきていい時間になっていた時にはわたしは一旦作業をやめて、ひよりの方を見た。

 どうやら眠っているらしく、スマホを片手に穏やかな寝息を立てている。

 

「ふふっ、疲れたのかな?」

 

 わたしはひよりの元へ向かった。

 今思っても、ひよりがニーゴに入ってから、わたしはかなり救われていると思う。

 いつかまふゆを救える曲を作るという目標もひよりが一番意気込んでいた。

 ひよりが来てくれたおかげでニーゴは成長したし、わたしも成長したと思う。

 

「……あれ? スマホの電源、まだ着いてる」

 

 まだ着いてるところを見ると、寝たのはついさっきなのかな?

 でもこれじゃあ充電がもったいないし、とりあえず……

 

「消さなきゃ──

 

 ひよりの手がほんの少し動いたことにより、スマホの画面があらわになった。

 その画面の中の文字がわたしの目にこびりつくように入ってきた。

 

 

 

 

『精神病 幻覚』




ここまで読んでくれてありがとうございます!!
プロセカ最近ハマったんで書いてみました。

やっぱ曇らせはニーゴだね。間違いない。

感想で誰々のどんな話が見たい!!などの要望ウェルカムです!
お気に入りと高評価もお願いします!
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