夢を見た。天与呪縛のフィジカルギフテットの夢を。天与の暴君と呼ばれた人物の動きと、そこに並んだ鬼神の戦いの夢を見た。私にとっては遠い世界だったが、今は同じ領域に居るはずだけど、遠い。私が感じた率直な感想である。多分、彼らに持っていて私に持ってない何かがある。今の私には過ぎたる力だと思い知らされてる気もした。力にそう言った指針が無いのも知っている。だけど、無駄に意識しているから囚われているのも事実。
(悔しいなぁ、何処かで満足しているだろうね……私)
泣きたくなる。前世を含めても今が1番努力していると言えるけど、何も得られてない。満足出来る結果に届いていない。このままじゃ、人を助けて鬼を殺すなんて限界が来る。
「そんなの……認められるかよ!!!」
「うわっ!?びっくりした!」
気がつけば私は知らない天井が視界に入り、真菰の声が耳に届いた。
「え?」
「急に大きな声出さないでよ。でも、目が覚めて良かった」
「ちょっと待って真菰……。ここどこ?病院?」
真菰は首を横に振り答えてくれた
「ここは蝶屋敷。花柱の胡蝶カナエさんの屋敷で、隊士の治療所だよ」
私は内心驚いた。4ヶ月前には柱の中には居なかったからだ。そのくらい時が経ったという事だなぁと内心思った。
「そ、そうなんだ。……で、そ、その……なんでそんなに怒ってるの?真菰」
真菰の方を見ると笑顔だ。ただ、その笑顔に圧力を感じた。怖い!怖いよ!真菰!
「まさかとは思うけど、心当たりが無いと言うのかな?もしもそうなら、死ぬ気で考えるしかないと思うんだけど……?」
私はすぐさまベットの上で土下座をして謝罪をする。
「何ヶ月も連絡を怠り、行方を晦ましてすいませんでした!」
「舞銀なら大丈夫と思っていたけど、心配はしたんだよ。手紙の無いし、藤の家にも顔を出てないって言うし。近辺の人に聞けば、白い髪の女の子が山に入ったきり出てこないと聞いて、急いで来たんだよ?それまでに錆兎と義勇にも探すの手伝ってもらったし。2人も心配していたんだよ」
「はい、ごめんなさい」
ここまで圧倒されて言われると素直に謝るしかないと私は思ってしまった。現に心配させたのは事実だし、義勇と錆兎も来てたとなれば本当に心配させたんだなぁと思った。
「分かったらいいよ」
真菰からの圧は消えた。それと同時に
「目が覚めましたか?」
入口から声が聞こえて声の主が入ってきた。そちらの方を見ると入ってきたのは花柱・胡蝶カナエだった。カナエさんって柱なっていたんだ。
「初めましてこの蝶屋敷を仕切っています。花柱の胡蝶カナエです。無事に目が覚めて良かったわ」
微笑みながらに挨拶してくる。私ももう一度頭を下げて
「八雲舞銀です。この度は受け入れていただきありがとうございます。花柱様」
「そんなに畏まらなくて良いわよ!女の子同士仲良くしましょう!しのぶー!」
カナエさんが人を呼ぶともう1人入ってきた。その人物は小柄の少女だ。
「どうしたのよ姉さん。そんなに呼んで」
「紹介するわ!私の可愛い妹の胡蝶しのぶよ!」
「ちょっと姉さん!自己紹介なら自分で出来るわよ!」
少し顔を赤くしながらもカナエから離れて、咳払いをしてしのぶは自己紹介をした。私は一連の流れを微笑ましく思っていた。
「私は胡蝶しのぶよ。目が覚めて良かったわ」
「は、はい。ありがとうございます」
お礼を言うとぐぅ〜とお腹が鳴る。そう言えばろくに食べてなかった。恥ずかしさのあまりに顔が熱くなるのを感じる。
「お腹すいてる?舞銀」
「起きてお腹がすいてるて子どもですか」
「良いじゃない!それほど元気ってことよ!直ぐに準備するから待っててね!真菰ちゃんもまだよね?一緒に食べましょ!ほら、準備手伝ってしのぶ!」
「分かった、分かったから押さないで姉さん!」
そのままカナエさんとしのぶさんは出ていった。なんと言うか凄い勢いだったなぁ。
「仲良いよねあの二人」
「だね」
「舞銀のお姉さんもあんな感じなの?」
真菰の質問に私は思い返す。もう二、三年会って無いなぁと思い返しながらも
「うーん、あんな感じかも。家族思いで優しかったし」
「そうなんだ」
それきり会話が途切れた。何を話せばいいか思いつかない自分を殴りたいと思いながらもただただ時が経つのを待っていた。すると、真菰から話を振ってきた。
「舞銀はどうして鬼殺隊に入ろうと思ったの?」
初めて聞かれた内容だった。私の勝手な想像だけど他のみんなは復讐とか誰も悲しませないためにとか守りたい人がいるとかそん感じだろう。私の守りたい人は居るし傷ついて欲しくはない。だけど、始まりは……
「ただ、鬼を殺せる術が欲しかった」
呟くように私は言った。その答えに真菰は驚いていた。
「私の家族は運良く鱗滝さんが来てくれたから誰も欠ける事無く全員生きているけど、それでも鬼を殺せる術が無いと一生脅かされ続けるからね。だから、殺せる術が欲しかったんだよ」
そう言うと真菰は納得したように私の顔を見ていた。
「それでも、人のために刃を振るうのは舞銀の優しさだよね」
微笑みながらに真菰が言う。かぁっと顔が熱くなるのを感じて背ける。なんでそう恥ずかしげもなく言えるんだろうそんな事が。そんな事を思っていると
「舞銀ちゃん!真菰ちゃん!ご飯ができたからこっちに来て!」
カナエさんが呼びに来た。私達二人はカナエさんに案内されて居間に通される。そこには和食のご馳走が並んでいた。そこにしのぶさんも座っていた。
「早く座りなさいよ。姉さんと作った料理が冷めちゃうでしょ」
「うん、ほら座るよ舞銀」
「え、あ、うん」
久々だなぁこんなご馳走を食べるなんて。そして全員座って4人でいただきますを言って食べ出す。
「うん!美味しい!この煮物、味噌汁どれも美味しいです!」
「嬉しいこと言ってくれるわねぇ。遠慮なく食べていいのよ」
「はい!おかわり!」
私がお代わりするとしのぶさんは苦笑いをしながら
「す、凄い勢いで食べるわね。真菰、この子っていつもこんな感じなの?」
「まぁ、錆兎といい勝負する位には食べてたかなぁ。私と義勇は毎回それを見て呆れていたけど」
失敬な!あの時も今回もお腹がすいているからだし、そんな人を食いしん坊見たいに言わなくても。そんな事を考えながら食べ終える。そして
「で、舞銀は何に悩んでいるの?」
真菰が切り込んできた。カナエさんもしのぶさんも真剣に聞いている。誤魔化すつもりも無いけど、なんて答えたらいいか。そう考えたけど、結局正直に話した。
「実は……自分に合った呼吸に巡り会えなくて」
「え?水の呼吸合わないの?」
「全く合わないということは無いんだろうけど、少ししっくり来ないと言うか……。それで鱗滝さんに紹介状を書いてもらったの、その次でも紹介状書いてもらって……」
「待って、その話で行くと今どの呼吸が使えるのよ?」
しのぶさんが少し驚きながらに私に質問をする。
「ええと、水の呼吸と雷の呼吸と風の呼吸の三種類は使えるかな」
「み、三つも使えるの!?」
「すごいわね」
胡蝶姉妹は驚いてるけど、真菰は
「水の呼吸以外も学んでいるんだ……」
なんか黒いオーラが出ていた。何とも言い難い形容し難いものが出ていた。私は思わず少し下がり
「え、なんでそんな黒いオーラ出してるの真菰!?」
「なんのことかな?」
ひぃ怖い!なんか見えては行けないものが見えた気がする!
「まぁ、水の呼吸も含めて三つも呼吸を習ったのに自分に合わなかったということなの?」
しのぶが先を促すように質問をする。
「うん、どれもなんかしっくり来ないんだよね」
そう言うとカナエさんが
「それぞれの呼吸から派生とかも考えたの?私の花の呼吸も水の呼吸からの派生なのよ?」
と言われたが、実際に水の呼吸からの派生、雷の呼吸からの派生、風の呼吸からの派生なら考えたけど、それぞれから派生させようとしたけど、そのどれも上手くいかなかった。
「その反応を見るに上手くいかなかった見たいね……。試しに」
カナエさんが何かを言おうとしたけどそれよりも早く真菰が思いついたように
「ねぇ、舞銀。三つの呼吸全部を混ぜてみたらどう?」
「三つの呼吸を?」
「うん、舞銀はそれぞれから派生させようとして上手くいかなかったんだよね話を聞く限り」
「うん、そうだけど……」
「だったら、最後の試しで、水の呼吸、雷の呼吸、風の呼吸の三つ呼吸の特徴と型を取り入れた呼吸を作ってみるのありじゃない?」
「確かに、それはまだ試してないわよね?」
「でもそんなことできるの?ただでさえ、三つ呼吸を使えるってだけでもすごいのに、三つを合わせるなんて」
三人が話すのを聞いて私は考えた。三つそれぞれからの派生は考えた。だけど、三つを合わせるなんてとんでもな発想は思い浮かば無かった。何かパズルのピースが埋まった気がした。私が勘で二本持ちたいといった日輪刀にも繋がりそう。それを言われて私の心が踊った。
「そっか、そうだね、そうかもね!三つの呼吸を合わせる。誰もしたことも無いことをせずに何を得られるんだって話だよね!ありがとう真菰!活路が見えた気がした!カナエさん、しのぶさん!ご飯ご馳走様でした!!」
私は日輪刀を持って飛び出そうとするけど、その前に
「教えてくれてありがとう真菰。これでまだ、私は強くなれる。あと、今度はちょくちょく会いに行くからね!」
そう言って私は飛び出した。そして前にいた開けた場所に行き
「水の呼吸の強みは対応力、雷の呼吸は迅さ、風の呼吸は手数の攻撃力……!」
私の戦いが始まった。
第三者side
真菰は飛び出す舞銀を止めることが出来ず見送ることしか出来なかった。
「疾風のような人ね真菰ちゃん」
「いや、いくら全集中・常中しているからと言ってあの身体能力はおかしいと思うわ姉さん。忍びかなんかなの?あの子の家は」
しのぶは呆れながらに言うが、真菰からの返答が帰ってこない。しのぶとカナエが真菰を見ると少し顔を赤くして動揺している表情が見れた。
「あら!あらあら!」
「真菰!惚けてるわよ!」
「え!?そ、そんな事ないよ!」
カナエはいいものを見たと笑顔でしのぶは肩を落としながらも
「まぁ、頑張りなさいよ」
「私は応援するわよ!真菰ちゃん!」
真菰は顔を真っ赤にしながら
「だからそんなんじゃ……!」
だが、思い返して再び真っ赤になり動けなくなるのであった。
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