私は時間が確保出来ずまだ見に行く事ができて無いんです……。
最初に内心に浮かんだ言葉は避けられなかったか。炭治郎と禰豆子を本部に連れて来いと言う指令が出て、柱合会議まで庭で待つ柱の面々を見ながら私は内心天を仰ぐ。とりあえず私と錆兎は堂々と立ち、その近くに真菰と義勇も立っていた。今回の件では彼らは隊律を破ったとして色々話もされる事となっている。正直に言うと気が重い。
「俺が居ない間にバレたのか……、いつかバレる事だ今更言っても詮無いことだ。すまん」
錆兎は那田蜘蛛山の件の時には別の場所で任務に当たっていたため合流ができていなかったのだ。それなのに謝罪をしてくる。私は首を横に振り
「錆兎は悪くないよ。しくじったのは私だしね。私以外の柱も同行することになったし。幸いなことにカナエさんだったからとりあえずは首の皮は繋がっているかな」
「カナエさんにも迷惑かけてしまうね……。それより義勇の方が」
「いい……。大丈夫だ」
話を聞けば義勇はしのぶちゃんの猛攻を刀に鞘をつけて伝連が来るまで耐え忍んでいたらしい。勿論追いかけるとなった際には立ちはだかり徹底的に妨害をし続けたらしい。本編時空よりマシな対応だと思うから凹まなくてもいいと思うけどな……。まぁ、本編より情緒が豊だから別の意味で凹んでいるのかな?
そんな中、炭治郎が後藤さんに起こされる。カナエさんが近づき炭治郎に話しかける。
「怪我は大丈夫?ここは鬼殺隊の本部よ。貴方は今から裁判を受けることになるわ。竈門炭治郎君」
伝えるのが心苦しいのか悲しげな表情を浮かべて話す。その後ろで堂々と
「裁判の必要などないだろう!鬼を庇うなど明らかな隊律違反!我らのみで対処可能!鬼もろとも斬首する!」
炎柱・煉獄杏寿郎が言う。それに同意する形で
「ならば俺が派手に頸を斬ってやろう。誰よりも派手な血飛沫を見せてやるぜ。もう、派手派手だ」
音柱・宇髄天元が自分が殺ると言う。
「あぁ……なんというみすぼらしい子供だ可哀想に。生まれてきたこと自体が可哀想だ」
岩柱・悲鳴嶼行冥が炭治郎を憐れむ。
無一郎は興味が無さげに、私達の近くで空を見上げていた。どう言った心境なんだろう?そんなことを思っていると木の上から声が聞こえた。
「そんな事より、錆兎、冨岡、真菰、舞銀の四人が拘束されていない事に俺は頭痛してくるんだが。胡蝶妹の話によれば隊律違反はコイツらも同じだろう。何かしらの処分はあってしかるべきだ。でなければ下の者に示しがつかん」
伊黒さんが、木の上から横になり言ってくる。当然の言い分だねと私は思いながら聞き流す。錆兎が一歩前に出る。
「俺達にどんな処分が下ろうが甘んじて受ける。だが、炭治郎の処遇はお館様の下、厳正な裁判による判断を求める」
堂々と錆兎はそれだけを言うと一歩下がる。錆兎ありがとう!私が言うより錆兎が言う方が力が入るんだよね!
「錆兎君もこう言っているし、その話も御館様が来てからにしましょう!それより、私は炭治郎君から話が聞きたいわ」
カナエさんがそう言うと全員が炭治郎の方を見る。
「君が鬼殺隊員の身でありながら鬼を連れて任務にあたっていたこと。そのことを貴方の口から、貴方の言葉でちゃんと説明を聞いておきたいの」
そう言ってカナエさんは優しく促すように炭治郎に視線を向け
「しのぶから聞いたのだけど、鬼を妹と言っていたみたいだけど。鬼を連れていたこと自体は鬼殺隊の隊律違反に当たるの。そのことは知っていたかな?」
「ッ!」
カナエさんの問いに炭治郎は息を飲み、ゆっくりと身を起こす。代わりに説明してあげたいけど、これは当人の口から言った方がいいよね……。
「ゆっくりでいいから、教えてくれる?」
「…………」
本当に優しい表情と声色で言うカナエさんの言葉に炭治郎は意を決し
「俺の……俺の妹――ガハッゲホッ!!」
思い出す。炭治郎は下弦の鬼と戦って疲労困憊の重症だったはずと。どう説明したらいいかと迷っているとカナエさんが落ち着いて水を出して
「ゆっくりで良いわ、この水を飲んで。鎮痛剤を溶かしているから痛みが少し和らぐわ。でも、怪我が治る訳じゃないからね」
しゃがみこみゆっくりと飲ませてた。
「どうかしら?話せそう?」
「は、はい。ありがとうございます」
炭治郎は意を決した様に話し始めた。
「鬼は、俺の妹なんです」
炭治郎は大きく深呼吸し、話し始める。
「俺が……家を留守にしている間に家族が鬼に襲われ、辛うじて息があった妹が鬼になって……!だけど、妹は人を食ったことはないんです!今までも、これからも、人を傷つけることは絶対にしません!!」
炭治郎は禰豆子に危険性がない事を必死に伝える。私達四人は、その二年間を任務の合間に見に行くことで見張り、それを見届けているから嘘偽り無い話だと知っている。けど、他の人はそう簡単には行かない。
「くだらない妄言を吐き散らすな、そもそも身内なら庇って当たり前。言うこと全て信用できない。俺は信用しない」
伊黒さんは冷徹に言い放ち
「あああ……鬼に取り憑かれているのだ。早くこの哀れな子どもを殺して解き放ってあげよう」
悲鳴嶼さんは涙を流しながら言う。他の柱たちもそれぞれ意見に差異はあったけど概ね同じ意見だった。鬼に取り憑かれているとかなんだろうね……言い方になんか腹が立ちそうになってると言われたい放題が堪えているのか他の三人も険しい顔をしている。
「それ以上は言いっ子無しですよ。お館様が炭治郎と禰豆子を連れて本部に連れて来るように言ったんですよ?それを勝手な判断で死体と塵にするつもりですか?」
私は我慢が出来ずに言葉を発する。勿論睨みつけて圧を出しながら。けど、発した圧はこっちに向かせる程度しか役には立たない。覚悟が決まっている柱じゃ効果は無い。
「やめておけ舞銀。炭治郎を思ってのことだろうが、今俺達が何を言っても炭治郎の立場を危うくするだけだ。判断はお館様がなさる」
錆兎が私の肩を掴んでそう言う。錆兎の言う通りだと分かっていてもつい言ってしまった。情けなくなって私は口を噤んだ。
その時
「オイオイ何だか面白いことになってるなァ」
最後の柱がこの場に現れた。私は頭を抱えそうになった。この手の話題で絶対に否と答える人間が来たのだから。
「鬼を連れた馬鹿隊員はそいつかいィ。一体全体どういうつもりだァ?」
風柱の不死川さんが禰豆子が入っている箱を担ぎながらに来た。まぁ、そうだよねぇ。
「胡蝶様申し訳ありません……」
カナエさんは悲しそうに眉をひそめて不死川さんに言う。
「不死川くん。勝手にそういう事されると困るだけど……隠しの人も皆も困るから」
カナエさんがそう言うけど不死川さんは聞く耳持たずで
「鬼が鬼殺隊として人を守る為に戦えるゥ?そんなことは有り得ねぇんだよ馬鹿がァ!!」
そういうと日輪刀を抜刀し箱に入っている禰豆子を突き刺した。箱から聞こえる苦悶の声、箱から滴る血。私達四人とカナエさんは眉をひそめて私と真菰は拳を強く握りしめていた。しかし、妹を傷つけられた炭治郎は黙ってもじっともしてられない。
「俺の妹を傷つけるやつは!!柱だろうが何だろうが許さない!!」
叫びながら不死川さんに突っ込む。そんな炭治郎に不死川さんは獰猛な笑みで迎え打つ体勢を取り
「ハハハハ!!そうかい、そいつはよかったなァ!!」
楽しそうに言う。私はタイミングを見計らって
「ダメ!もうすぐお館様がいらっしゃるから!!」
そう叫ぶ。その言葉に不死川さんが気を取られて一瞬反応の遅れた。タイミングがズレたことで後退りながら刀を振るう。しかし、炭治郎は縛られたまま大きく飛び上がり、そのまま頭突きをして不死川さんに一撃を入れることになる。
皆が静まり返る。伊黒さんと不死川さんがこっちを見て来るけど、意に介さずに様子を見るのに徹する。要するに無視を決め込んでます。
炭治郎は体を起こし禰豆子ちゃんの入った箱を背中に庇い
「善良な鬼と悪い鬼の区別もつかないなら、柱なんてやめてしまえ!!」
不死川さんを睨みつけ叫ぶ。原作で不死川さんの事を知っている私は少し複雑な表情になる。こればかりは同情しか出来ないと
「てめェェ…」
不死川さんは怒りの形相で鼻血を流しながら上体を起こして炭治郎を睨みつけて叫ぶ。
「ぶっ殺してやる!!」
今にも襲い掛かりそうになったけど、それよりも先に
「「お館様のお成りです」」
お館様のご息女達の声が響いた。
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