天与の少女 刃にて荒事を成す   作:皐月の王

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柱合会議-後半

「よく来たね、私の可愛い剣士たち」

 

私を含めその場に集まった面々の視線が屋敷の方に向く。縁側の中、畳の部屋のさらに奥の襖が開きご息女に支えられながらお館様が歩み出てくる。

 

「お早う皆、今日はとてもいい天気だね。空は青いのかな?顔ぶれが変わらずに半年に一度の柱合会議を迎えられたこと嬉しく思うよ」

 

お館様は相変わらず落ち着く声色で話す。私は炭治郎の隣に行き

 

「炭治郎、私の真似して座れる?」

 

「え?」

 

きょとんとする炭治郎に私は崩れそうにはなるけど、耳打ちで

 

「後で説明はするからとりあえず真似して」

 

不死川さんから少し離してから並ぶ。お館様から見て真菰、錆兎、義勇の三人は右側で私は炭治郎と左側に並んで膝を着いている。

 

砂利で膝まづくの慣れないんだけど……どうにかならないのかな?私はそう思いながら膝を着く。

 

「お館様におかれましても御壮健で何よりです。益々の御多幸を切にお祈り申し上げます」

 

「ありがとう、実弥」

 

不死川さんの言葉にお館様が微笑みながら頷く。炭治郎がすごい顔をしているのを思わず笑いそうになる。考えている事は何となく分かるけどさ……。お館様の言葉を聞き顔を上げた不死川さんがさらに続ける。

 

「畏れながら、柱合会議の前にこの竈門炭治郎なる鬼を連れた隊士について、ご説明いただきたく存じますが、よろしいでしょうか?」

 

「そうだね、驚かせてしまってすまなかった」

 

不死川さんの言葉にお館様は頷き

 

「炭治郎と禰豆子のことは私が容認していた。そして皆にも認めてほしいと思っている」

 

『ッ!!』

 

お館様の言葉に柱の面々が息を呑む。まぁ、そりゃそう言う反応になるよねと思いながら私はそれぞれの反応を様子を見る。皆は少しの間を開けお館様の言葉を受け

 

「嗚呼…たとえお館様の願いであっても、私は承知しかねる……」

 

悲鳴嶼さんが涙を流しながら数珠を鳴らして答え

 

「俺も派手に反対する。鬼を連れた鬼殺隊員など認められない」

 

宇髄さんも悲鳴嶼さんの言葉に頷いて言う。

 

「私はいいと容認していいと思います」

 

カナエさんは禰豆子ちゃんを容認する。

 

「僕はどちらでも…すぐに忘れるので……でも、八雲さんが認めるならそっちでも良いです」

 

無一郎君はぼんやりという。いや、まぁこの時は仕方ないけどもう少し柱としてね……。私が全てじゃないでしょうに

 

「「「「…………」」」」

 

私、真菰、錆兎、義勇は無言で片膝を着いて待っている。お館様が言ってくれる以上

 

「信用しない信用しない。そもそも鬼は大嫌いだ」

 

伊黒さんは炭治郎と禰豆子ちゃんの入った箱を指さしながら言いう。

 

「心より尊敬するお館様であるが、理解できないお考えだ!!全力で反対する!!」

 

煉獄さんはハキハキと答え

 

「鬼を滅殺してこその鬼殺隊。竈門・冨岡・鱗滝錆兎・鱗滝真菰・八雲の五名の処罰を願います」

 

不死川さんは鋭い視線で憎々しげに言う。でも、最後の不死川さんの表情には悔しさというか何処か納得出来なさそうな表情も見える。まぁ、どうしてそうまでしてとか聞きたいんだろうね。

 

それぞれの柱の言葉を聞き頷いたお館様は

 

「では、手紙を」

 

「はい」

 

ご息女が着物から手紙を取りだした。という事は鱗滝さんからの手紙かな。

 

「こちらの手紙は元柱である鱗滝左近次様から頂いたものです。一部抜粋して読み上げます」

 

そう断ってから読み始める。

 

『――炭治郎が鬼の妹と共にあることをどうか御許しください。禰豆子は強靭な精神力で人としての理性を保っています。飢餓状態であっても人を喰わず、そのまま二年以上の歳月が経過いたしました。俄には信じ難い状況ですが紛れもない事実です。もしも、禰豆子が人に襲い掛かった場合、竈門炭治郎及び、鱗滝左近次、鱗滝錆兎、冨岡義勇、鱗滝真菰、八雲舞銀が腹を切ってお詫びいたします』

 

その言葉に手紙の存在を知らなかった炭治郎はボロボロと涙を流し、私の方を見る。私は言葉はかけないけど、優しく炭治郎を見て頷いた。無一郎君も私の方を見ていた。信じられないと言った表情は浮かべて居ないけど、何故か少し怒っているような気がする目だけど……。

 

「……切腹するから何だと言うのか。死にたいなら勝手に死に腐れよ!何の保証にもなりはしません!」

 

「……不死川の言う通りです!人を食い殺せば取り返しがつかない!!殺された人は戻らない!」

 

不死川さんの言葉に煉獄さんが頷いてそう言う。確かに襲わない保証は無い。けど、

 

「必ず襲うと言う確証は何処にあるんですか?」

 

私は二人に問いを投げる。

 

「鬼は人を食うだろうが!!気でも触れたか!?」

 

「確かに、人を襲わないと言う保証は出来ない。証明ができない。ただ、舞銀の言うように人を襲うという事も証明ができない」

 

お館様が言うと不死川さんは悔しそうな表情で息を呑み私を睨みつける。

 

「禰豆子が二年以上もの間、人を喰わずにいるという事実があり、禰豆子のために六人の者の命が懸けられている。これを否定するためには、否定する側もそれ以上のものを差し出さなければならない」

 

「……ッ!」

 

「……むぅ!」

 

お館様の言葉に不死川さんと煉獄さんが押し黙る。まぁ、六人の命以上のものを準備しろと言う方が難しい話だ。

 

「それに炭治郎は鬼舞辻と遭遇している」

 

お館様が鬼舞辻無惨の話をする。その瞬間私を除く皆が炭治郎に詰め寄る。

 

「そんなまさか……!」

 

「柱ですら誰も接触したことが無いと言うのに……!!」

 

「こいつが!?」

 

「どんな姿だった!?能力は!?」

 

「戦ったの?」

 

「鬼舞辻は何をしていた!?根城は突き止めたのか!?おい!答えろ!!」

 

「黙れ俺が先に聞いているんだ!!」

 

矢継ぎ早に質問される炭治郎。しかも私を挟んで行われるから少しイラッとする。

 

「まずは、鬼舞辻の能力を!」

 

「矢継ぎ早に質問しても炭治郎が答えられないでしょ!!それにお館様の話の途中!!!」

 

私が声を張り上げて他の柱を制止する。それと同時にお館様も手元に指を持ってきて静かにするように

 

「しーっ」

 

と声を出す。皆はそれで座り直す。

 

「鬼舞辻はね、炭治郎に向けて追っ手を放っているんだよ。その理由は単なる口封じかもしれない。だけど、私は初めて鬼舞辻が見せた尻尾を掴んで離したくない。恐らくは禰豆子にも鬼舞辻にとっても予想外の何かが起きているのだと思うんだ。わかってくれるかな?」

 

皆は押し黙る。しかし、不死川さんはそうはいかない。唇から血を流すほどに強く噛みながら

 

「分かりませんお館様……!人間なら生かしておいてもいいが鬼はダメです承知できない」

 

怒りの形相でそう言う。私は立ち上がり、炭治郎に

 

「禰豆子ちゃんにも君にも辛いけど少し我慢してね」

 

「え?」

 

返答を待たず、禰豆子ちゃんの箱を奪い取り、不死川さんに向かって言う。

 

「それじゃあ、一緒に確かめよう。禰豆子ちゃんが人を襲うか否か」

 

「はぁ?何をするつもりだ?」

 

私は箱を持ち、お館様の方に歩み寄り。

 

「申し訳ございません。上がらせて頂きます」

 

「構わないよ」

 

お館様の許可が下りたので私は履き物を脱いで上がり日光が当たらないところに丁寧に箱を置く。

 

「舞銀……何をするつもりなの?」

 

真菰が不安そうな表情で私に聞いてくる。私は日輪刀を抜刀しながら。

 

「上弦の弐が私の血を稀血と言っていました。禰豆子ちゃんは那田蜘蛛山での戦い、そして不死川さんに刺されたことにより消耗している筈です。そこに血を垂らせば答えが分かるという事です。確か、不死川さんの血も特殊なんですよね風噂で聞いた程度ですけど」

 

私は不死川さんを見ながらに言う。不死川さんは

 

「あぁん?そうだ、それ……そういう事か!」

 

「私の血が納得出来ないと言われてもアレなのでどうぞ、互いに血を箱の穴から垂らしましょうか」

 

「八雲ォ……!お館様失礼仕る!」

 

獰猛な笑みを浮かべた不死川さんが私の隣に立つ。私はそれを見てから自身の腕を少し斬る。不死川さんも自身の腕を斬り、血を垂らす。

 

「出て来い鬼ィィ!お前の大好きな人間の血だァ!!!」

 

私は箱を開けて、より血の匂いが分かるようにする。炭治郎は縁側の近くまで来て禰豆子ちゃんの名を叫んでいる。

 

二人の稀血滴る腕を禰豆子ちゃんは見る。その差し出された出された腕、そこから滴る血に一瞬鼻息を荒くした禰豆子ちゃんだが

 

「ウッ!!」

 

プイと腕から顔を背けた。その光景に一堂息を呑む中、私は思わず

 

「禰豆子ちゃんは偉いね」

 

そう言葉をもらした。

 

「どうしたのかな?」

 

お館様が結果を聞く。ご息女は

 

「鬼の女の子はそっぽを向きました」

 

「目の前に血まみれの腕があったのに、我慢して噛まなかったです」

 

「そうか……」

 

その言葉に頷いたお館様は

 

「これで、禰豆子が人を襲わないという証明にみんな納得できたね」

 

お館様の言葉に不死川さんを含め、だれも反対する意見を言う者はいない。私は血に濡れていない方の手で禰豆子ちゃんの頭を撫でながら話を聞く。

 

「……炭治郎それでもまだ、禰豆子のことを快く思わない者もいるだろう。証明しなければいけない、これから。炭治郎と禰豆子が鬼殺隊として戦えること、役に立てることを」

 

「……はい」

 

 炭治郎は頭を下げてお館様の話を聞いていた。その言葉に炭治郎は頷く。

 

「十二鬼月を倒しておいで。そうしたら、皆に認められる。炭治郎の言葉の重みが変わってくる」

 

「……はい!」

 

「炭治郎は大きく頷き

 

俺は…俺と禰豆子は鬼舞辻無惨を倒します!!俺と禰豆子が必ず!!悲しみの連鎖を断ち切る刃を振るう!!」

 

真剣な顔でそう宣言する。けど、まだまだ実力不足は否めないね

 

「今の炭治郎にはできないから、まずは十二鬼月を一人倒そうね」

 

「……はい」

 

それはお館様も分かっているようでしっかりと話していた。錆兎、真菰、義勇は微笑ましそうに炭治郎を見ていた。何人かの柱は笑いを堪えているように見えたが私はとりあえずひと段落着いたなぁと思った。

 

「それじゃあ炭治郎の話はここまで。下がっていいよ」

 

「でしたら、炭治郎くんは怪我もしていますしお友達もいますので、蝶屋敷でお預かりしましょう!」

 

カナエさんがそう言うと隠の人が来て炭治郎を運んで行く。不死川さんに文句があるみたいだったけど、無一郎くんに石をぶつけられてあえなく運ばれていった。

 

「義勇も真菰も下がっていいよ」

 

「「御意」」

 

二人も屋敷から出ていく。真菰が何かが言いたそうな表情だけど……あとが怖いなぁ。

 

「それじゃあ、柱合会議を始めよう」

 

そこから村田さんを巻き込んで柱合会議が行われた。




無限列車が見えてきた……!

激遅ですまぬ
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