天与の少女 刃にて荒事を成す   作:皐月の王

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かまぼこ隊、常中修得へ

「これだけ作れば大丈夫でしょ。蝶屋敷に行こうか」

 

私は手作りの和菓子を両手に蝶屋敷に向かっていた。精神的ストレスで和菓子を作りすぎてしまったので、それのおすそ分けなんだけどね。作りすぎた理由はぶっちゃけ柱合会議が苦手だからというのが主な理由だけれども。

 

「カナエさん……怖かったなぁ……」

 

禰豆子ちゃんの襲わない証明の為とはいえ、不死川さんと二人で血を垂らすという事をしたから柱合会議の後、錆兎とカナエさんに詰められた。不死川さんも一緒に。

 

「まぁ、生きた心地はしなかったよねぇ。怖かったもん」

 

そんな事を私は再度ボヤきながら蝶屋敷に到着する。戸を開けるとちょうどしのぶちゃんが居た。

 

「やっほー、しのぶちゃん。遊びに来たよー」

 

「遊びに来たって……遊び相手する余裕は今は無いわよ?タダでさえ那田蜘蛛山の件で重症者多いし……。それより弟弟子のお見舞い?」

 

そう言いながら私の方に来てくれる。相変わらず対応は優しいねぇ。

 

「そんな所だよ。それに、大変だと思っておはぎとかの甘味をもってきたよ。皆で食べて」

 

そう言って私はしのぶちゃんに荷物を渡す。しのぶちゃんは嬉しそうに受け取り

 

「いつもありがとう。忙しくて甘味が食べたくなってたから丁度良かったわ。なほ、きよ、すみの三人は舞銀が作る甘味好きだしね」

 

「私が好きで作ってるしね。それじゃあ上がらせて貰うよ」

 

私は蝶屋敷に上がり、炭治郎達の見舞いに行く。

 

「あっ!八雲さん!」

 

「元気にしている?炭治郎」

 

炭治郎はすぐに気づいて私の方を見る。私は近くの椅子を炭治郎の近くに持っていき座る。そして、頭を下げて先に謝る。

 

「先日はごめんなさい。証明する為とはいえ言って禰豆子ちゃんを試すような真似をしちゃって」

 

「え!?とんでもないですよ!禰豆子の為に腕を切って血を出してまで証明してくれた八雲さんには感謝してますよ!それにあの手紙についても!俺と禰豆子を信じてくれてありがとうございます!!」

 

逆に炭治郎に礼を言われてしまった。真っ直ぐすぎる彼には勝てないなぁと思い頭を上げる。

 

「そう言って貰えると心が軽くなるよ」

 

私がそう言うのと同時に

 

「舞銀も来てたんだ」

 

「言ったら一緒に来たのにな」

 

声のする方を向くと錆兎と真菰が立っていた。

 

「錆兎さん!真菰さん!先日はありがとうございました!」

 

「当然の事だ。あの時にそうすると決めた事だからな。だが、ここまでよく来たな」

 

「義勇も褒めてたよ。下弦と言えどあと少しで十二鬼月を倒せる所まで行ったって。強くなったね炭治郎」

 

二人も炭治郎を褒めていた。うん、私も人の事は言えないけど弟弟子に甘いですよねぇ。

 

「今は傷を癒す時だ。ここでしっかり傷を癒し再び戦えるようになるんだぞ」

 

「はい!」

 

すっかり兄貴分だなぁと見ながら思ってみている。機能回復訓練の頃合になったら顔を出しに来ようか、とか色々考えながら病室を見渡すとイノシシの被ったままベッドに横になっている伊之助を発見した。何故か原作通りに元気が無い。

 

「この子どうしたの?」

 

「伊之助は喉をやったらしくて……」

 

「え?喉?」

 

私は疑問に思う。あの時眠らせた筈だからそんなに喉をやる事なんてなんにも無い筈なのに。

 

「何でも、叫んで自分の喉にトドメを差した見たいですよ」

 

そう言ったのは金髪の少年の我妻善逸だった。

 

「へぇ……よっぽど悔しいことでもあった見たいだね」

 

「……ソウダネ」

 

悔しい事の心当たりなら思い当たる。多分、私だ。薬で眠らされ羽織までかけられたもんね。相当悔しかったんだ……。悪いね伊之助君!

 

「どうしたの舞銀?」

 

「ヴぇ!?何も!!」

 

そんなこんなでしばらく話したあと私たちは蝶屋敷を後にしました。

 

 

その日の晩に任務が無かった真菰を呼んで二人で私の屋敷でご飯を食べました!こうして二人で食事をするのも久々だったし、少し話したいこともあったしね。真菰が任務無くて良かった。私が柱になってから……いや、鬼殺隊に入ってから少なかったしなぁ。そんな事を考えていると。

 

「それでどうしたの?」

 

真菰が不思議そうな表情で私を見ていた。

 

「え?何が?」

 

私は思わず聞き返す。真菰はますます不思議そうな表情で

 

「うん、何かある時は他に人が居ない時に話をするから」

 

そんなつもりは無かったけど……。そうだったのかぁ。そういえば今日は無一郎君は任務で出てるしね。

 

「大丈夫だよ舞銀。ゆっくりでいいから」

 

落ち着いた声色と表情で私を見る。その表情を見るだけで心臓が跳ね上がるのを自分でも感じる。いや、見惚れている場合じゃないのは分かってるけど!

 

言おうとしていたことは大した事ない話。だけど、真菰と目が合うと顔が熱くなる。可愛いんだもん真菰。この世界で初めて出来た同性の友達。そりゃ、私の前世は男だし、その意識があるにはあるから真菰を魅力的に見えるのかもしれないけどさ。でもこの世界に転生して女性として生きてそっちの認識の方が強いから、この想いは友情と思っていたけど……。と考えた所で私は一度深呼吸をしてから落ち着きを取り戻そうとして

 

「炭治郎達についてなんだけど」

 

「うん」

 

真菰は真剣に話を聞いてくれる。私は安心して話を続ける。

 

「任務が無いときでいいから、機能回復が始まったらあの三人に全集中・常中を教えてあげて欲しいんだ」

 

「私が?教えるのは別に大丈夫だけど……どうして私なの?カナエさんやしのぶちゃんだって……」

 

真菰の言う通りなんだけど、それ以上に私が真菰に頼む理由は。

 

「だって、私が水の呼吸の技を振り返ってた時の教え方が三人の中で一番上手で、分かりやすかったから。それに、教えるのが1番向いてると思うし、真菰だからお願いしたいから」

 

実際に真菰には教えてもらったことが多いしその全てが分かりやすかった。だからこそ、炭治郎達のこれからのことを考えると確実に教えてくれる人が居た方がいいと思った。柱と何ら遜色ない実力を持っている真菰なら鍛え上げることが出ると私はそう思った。

 

「勿論、真菰の都合が着くときで全然いいし、私も協力するよ。主で先生をして欲しいという話なんだ。お願いしてもいい?」

 

真菰は少し考えて一度頷いて

 

「うん、分かった。舞銀がそこまで言うなら任せて。常中が出来るように教え込むよ。死ぬ気でやれば出来る範囲だから」

 

と言ってくれた。少し、怖いとも思ったけど真菰はしっかり相手に伝わるように言うことが出来るし、何より彼らも誰か一人覚えたら最後まで修得出来るから大丈夫。

 

「交換条件という訳じゃないんだけど……いい?」

 

真菰もふとそんな事を言い出した。何だろう?まぁ、先生頼むわけだし。

 

「うん、いいよ」

 

私は二つ返事で答える。真菰は顔を赤くして

 

「あ、ありがとう。えっと……互いに任務が無い時に一緒に街を歩いて回りたいな……って」

 

恥ずかしそうに言っている真菰を見て私はどうにかなりそうだった。とりあえず答えねば

 

「うん!任務がない時一緒に行こ!一緒に見て回ろう!」

 

「うん、約束だよ舞銀」

 

そうして真菰を見送った。私は布団を敷き眠ろうとしたが眠れなかった。だって、それは真菰からのデートの誘いに他なかったから。

 

それから私は任務で色んな所に行き鬼を狩り続けたり、煉獄さんの所に行き、甘露寺さんの鍛錬をつけたり、炭治郎達の鍛錬の手伝いをしたり。

 

ある意味で充実した日々を過ごしていました。そんな中で善逸君や伊之助君とも話しました。

 

「え!?それじゃあ八雲さんって雷の呼吸も使えるの!?水も風も使えるの!?嵐柱だから4つ!?バケモンじゃん!!柱って皆そうなの!?」

 

「こ、呼吸を4つだと!?面白ぇじゃねぇか!!」

 

「善逸!八雲さんに失礼じゃないか!」

 

「この感じ久々だなぁ。とりあえず、次の山駆けの回数倍行っとく?」

 

「程々にしてよ、舞銀」

 

休憩時間に自分の話をしたらドン引きされたり、逆に滾らせたりと三者三様で面白かった。あとは師匠が同じという所で驚いてたね。いい反応だったなぁ。まぁ、それはそれとして山駆けの回数を倍にしたけど

 

ちなみに真菰は教えるのが本当に上手で一週間位で皆が全集中・常中を会得していたよ。何て速いんだ。こっちはまだ店のリサーチもできて無いのに。そんな時に真菰から

 

「炎柱と三人の任務に同行する事になったの。無限列車と言うのに鬼が出るらしいって。それで行ってくるね。それが終わったら約束守ってね?」

 

微笑んで言ってくる真菰に私は思わず固まった。真菰の実力は知っている。童磨と戦った時より数段腕を上げているのも知っている。それでもなお私は不安を感じていた。それは早い段階で童磨を狩った弊害として猗窩座が原作より強くなっていたり、他の上弦の鬼が来るかもしれないと。でも、言い出したらキリが無い。

 

「勿論、私も楽しみにしているんだから。絶対に生きて帰ってくるように!」

 

だから、見送るしかない。真菰なら私の不安なんて切り伏せるだろうと思って。私は真菰の手を握って祈る様に言う。

 

「分かってるよ。全員で帰ってくるから」

 

そう言って離れていく真菰を見送る。そして私は直ぐに無限列車の通るルートを調べ始める。誰も死んで欲しくないし、泣いて欲しくないし……私自身、後悔なんてしたくないから。




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