私と真菰が恋仲になってから三日後。私は戦線に復帰しました。流石、天与呪縛のフィジカルギフテッド……。傷の治りが早くて助かる。
機能回復訓練もカナエさんを圧倒して合格しました。これで誰も文句は言わせないと言う奴ですよ。それはそれとして任務の時間までは真菰や他の人の見舞いに顔を出す。
「もう復帰したのか八雲!傷の治りが早いな!」
「まぁ、頑丈なのが取り柄なので!それはそれとして……もどかしい気持ちはあるとは思いますが、しっかり傷を癒して下さい。上弦の鬼と戦った経験は確実に任務前の煉獄さんより強くしてますから」
それを聞いた煉獄さんは強く頷いて大きな声で言う。
「勿論だ!この経験は無駄にはしない!今度は勝つつもりだ!!」
煉獄さんらしいなぁ。無限列車に無理矢理来たかいがあった……。それでも、反省はしないと行けないよね。それは私個人の話だし、これ以上は振り返らない次に活かすと決めたから。
「流石、炎柱!それじゃあ炭治郎君の所に行ってきますね」
「うむ!竈門少年によろしく頼む!」
そう言われて私はかまぼこ隊のいる病室に来ました。私は普通に戸を開けて手を挙げながら。
「やあ、皆。安静している?」
三人は色々な表情を浮かべていた。炭治郎は驚いた様に、善逸は……信じられないモノを見るように、伊之助は……ワクワクしてる?
「え!?八雲さん!?隊服!?もう、大丈夫なんですか!?」
「おかしいよ!あの中で一番の重症で生きてるかどうかも分からない位に何の音も聞こえてなかったのに!?蝶屋敷に入って五日で戦線復帰はおかしいよ!!本当に俺たちと同じ人間!?」
「すげぇ!タダもんじゃねぇ!上弦の鬼とやり合える奴は違ぇ!!」
三人の反応面白いなぁ。普通の反応はそうだよねぇ。特に善逸のは。普通の人間かと言われれば、普通では無いね。そんなこと言ったら悲鳴嶼さんも普通では無いけどね。
「我妻君失礼だなぁ。私はどう見ても人間でしょ?まぁ、そうは言っても五日で復帰するのは流石におかしいかな?」
「おかしいよ!どれだけ鍛錬積んできたらそうなるんですか!?何を食べたらそうなるんだよ!おかしいよ!」
「善逸!八雲さんに失礼だろ!」
「俺と勝負だ山芋!」
「八雲さんだ!伊之助!」
ギャーギャー騒いでいる三人は面白い。
「それだけの元気があれば大丈夫だね」
私は腕を組んで頷いてから少し声のトーンを落として真面目な雰囲気を作り出し。
「上弦の鬼を見て、柱と上弦の鬼の戦う姿を見るという他の隊士では経験出来ないような事を君たちは経験した。その時は無力に思えたとしても、その経験は絶対的に活きる。まぁ、感じた無力さは鍛え上げるまでは取っといた方がいいという事だね」
「はい!」
「おう!」
炭治郎と伊之助は元気よく返事してくれた。善逸は少し気絶してる様に見える。まぁ、大丈夫でしょ。
「そういう話なら……真菰はこれから強くなるよ」
「真菰さんですか?」
炭治郎が聞き返してくる。私は心底嬉しくなり笑顔で答える。だって……。
「上弦の鬼と二回対峙して死線潜ってるしね!」
経験が活きるなら、真菰は強くなる。一度目の経験から今までで柱と変わらない強さだし。階級も甲だしね。
「真菰さんが上弦の鬼と二回も!?」
「まぁね。よし、とりあえず、機能回復訓練を受けられる様になったら頑張ってね。私は真菰の見舞いにも行ってくるから」
私は真菰と何を話すか楽しみにしながら炭治郎達の部屋を出た。そして病室の戸を開ける。
「真菰、起きてる?」
声に反応して真菰がこっちを向いてくれる。微笑みながら真菰は答えてくれた。
「起きてるよ、舞銀。隊服という事は今日から復帰なの?」
真菰は私の姿を見ながら尋ねてくる。私は頷きながら真菰のベッドの横の椅子に座って。
「一足先にね。でも、毎日来るから安心して!」
「大丈夫だよ、無理しなくても」
「別に無理なんかじゃ……」
私が何かを言う前に真菰は私の手を握り
「だって、舞銀のこと信じてるから。舞銀が私を信じてくれるように、私は舞銀を信じる。それくらい、こ、恋人だったら当然だから」
自分で言いながら顔を赤くする真菰を見て思わず拝みたくなった。今この場にカメラが無い事を心底腹立たしく思う。
「可愛いなぁ……」
「うー……」
恥ずかしそうに顔を下に向ける真菰を見て胸がいっぱいになった。まだまだいけそうだけどこれ以上は後ろ髪引かれて出ることが出来なくなってしまう。
「とりあえず、任務終わったらお土産持ってくるから」
私がそう言って病室を出ようとした時
「待って、舞銀」
真菰に呼び止められる。私は振り返る。
「どうしたの?」
と尋ねる。真菰は私の目を見る。決意を宿した瞳で。
「私が機能回復訓練を終えたら……一緒に鍛錬して欲しい」
復帰したら私と鍛錬がしたいと言い出した。多分、私の身体能力や強さを信頼しての事だと思う。恋仲だからという事ではなくて。
「それは全然いいけど……」
「ありがとう。上弦の鬼とも引けを取らない舞銀と鍛錬をしたら……何か掴めると思うの。それに、舞銀なら本気で付き合ってくれるでしょ?勿論加減なんてしないでね」
心がきゅっとなる。それは……真菰を傷つける事にもなる。しかも加減無しとなればどんな大怪我に繋がるかと私は震えながら何かを言おうとすると
「大丈夫。舞銀が信じてくれる私ならきっと大丈夫だから」
手を添えてそう言ってくる。敵わないな……。それなら私は私を信じる真菰を信じるしかないし。私は頷いて
「分かった。言っとくけど、私の本気はかなり厳しいから!」
「望む所だよ」
真菰は微笑みながらにそう言った。そして私は再び鬼狩りの日々へと戻る。
真菰side
任務に向かった恋人を見送り私は天井を見上げていた。あの日の夜の事は一生忘れないだろうと私は思い出しては顔がほころんでしまう。皆の前ではしないようにしないととは思うけど、指摘されたらダメなんだろうなぁと思う。
「強くなりたいと言った時の舞銀……戸惑っていたなぁ。多分、本気でやってと言ったからだろうけど……分かりやすいよ舞銀」
上弦の鬼と互角以上に渡り合う舞銀と本気で手合わせをしたら多分相手にならないと言うのは分かってるし、舞銀は優しいから……。私を怪我させるかと危惧しているんだと思う。
でも、やっぱり強くなりたい。私の心はそう告げていた。私の恋人、八雲舞銀の隣に立って鬼を倒したいと言うのが本音。
現状隣に立つには色々足らないと私自身が感じている。
「弱いからって……諦めるのはもう終わり」
舞銀と笑って過ごせるように、舞銀に笑って欲しいから。舞銀が悔やまなくても良いように、私が無力で嘆かないように、強くなりたい。私が私で居られるように。
「うん、私が舞銀の隣に立つのを誇れるように」
舞銀は力がなくても笑顔で私を受け入れてくれている。とても嬉しくて、胸がいっぱいで幸せ。でも、私にも意地があるから。守られるだけじゃ何も進まないから。
「全力で喰らいつくからね……強くなる為に」
私は月に手を伸ばして任務に出向いている舞銀に思いを馳せて笑みを浮かべる。色んなモノが心に渦巻いているのが分かる。
「かなり甘える事になるけど……手は抜かないでね舞銀」
こんな恋人でごめんと謝りたい気持ちと、二人での鍛錬で何処まで強くなれるのかと言う楽しみにしている自分がいる。
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