天与の少女 刃にて荒事を成す   作:皐月の王

3 / 31
水の呼吸の子供達

どうも、舞銀です。元水柱の鱗滝さんに師事して一年半が経ちました。炭治郎がしていたように、山に登って、罠を掻い潜りながら空気の薄い山を下る。うん!そんなに標高高くないはずなのに物凄く空気が薄くてびっくりしましたよ。

 

何でこんなに空気が薄いんでしょうね?そしてそれが終われば素振りを千回が待ってます。時には滝壺に飛び込んだり、滝に打たれたりと、色々修行をしましたね。厳しいですが、それまでに似たような事をしていたから、初めてやるよりもマシ程度の疲れで済んでいますね。それも、1ヶ月経てばもう慣れてもう少し鍛錬の量を増やしてますね。

 

「舞銀!手合わせをするぞ!今日こそ勝たせてもらうぞ!」

 

「受けて立つよ錆兎。今日も私が勝つから!」

 

「二人とも程々にだよ」

 

「明日もある。二人とも怪我をしない程度にな」

 

錆兎と私は木刀を手に向かい合う。そして、少し離れた所で、真菰と義勇がその手合わせの審判兼止める係として見ている。

 

私が錆兎とこうして手合わせをし始めて一年半が経っている。連勝記録とか連敗記録とか互いにつけて競っていますね。でも、あの炭治郎を鍛えた錆兎と打ち合えるなんて嬉しく思えます。そして打ち合って分かるのは物凄く強いですね!あの手鬼が一番強かったと言うだけあって手合わせをして一番強いと思ったのは錆兎だね。父さんと鱗滝さんは除くけど。

 

手合わせは通算五十戦目で、私が49勝で、今のところ全戦全勝。まぁ、天与呪縛のブーストやそれまでに学んだ剣術とか体術があるから勝ているだけだけど。ですが、錆兎と対峙するに当たって……ぶつかり合いになった時には技の練度の差で負けそうになるから気が一切抜けない。それを加味した上で、速さと鋭さで叩く。

 

私と錆兎は木刀を構えて、全集中の呼吸をしながら戦う。だけど、天与呪縛の身体能力を抑えながらの打ち合いだ。それでも基本的には私のペースを作ることが出来る。そんな中、先に技を仕掛けたのは……錆兎の方だった

 

「水の呼吸 弐ノ型 水車!!」

 

垂直方向に身体ごと一回転しながら攻撃してくる。思うんだけどあれで目が回らないのが不思議だよね。自分も、目を回さないけどさ……。

 

私は半身ずらし、ステップで回避する。そして技の後隙を狙い、踏み込んで水の呼吸最速の技を放つ

 

「水の呼吸 漆ノ型 雫波紋突き!」

 

「っ!このっ!」

 

私の雫波紋突きに間一髪反応した錆兎は体を捻りながら回転し突きを防ぐために技を放つ

 

「水の呼吸 陸ノ型 ねじれ渦!!!」

 

私の突きをねじれ渦で弾き返す。やっぱり私たちの中では一番技の練度が高い!

 

「今日こそ勝って明後日の自信にさせてもらう!覚悟しろ、舞銀ッ!!!」

 

「負かして凹ましてあげる!錆兎!」

 

錆兎が突っ込んでくる。私も木刀を握り直して、突っ込み打ち合う……。そして

 

―――――

 

 

 

 

 

「……最後に勝てたのは自信に繋がった。手合わせありがとうな、舞銀」

 

「はぁ……うー、負けて悔しいのに……そんなこと言われたら何も言えないじゃん」

 

最後の最後で私の初黒星だ。錆兎は初白星。私は地面に大の字で寝転がり肩で息をしている。

 

「お疲れ様、いい試合だったよ舞銀。本当に強いね。はい、これで顔拭いて」

 

「手応えは良いみたいだな。錆兎」

 

「ああ、明後日の最終選別に向けての仕上げに手応えがあった……。良い感覚だ」

 

真菰は手拭いをくれて、義勇は錆兎と話している。明後日、錆兎と義勇は鬼殺隊の最終選別に行く。つまり、明日から一週間居ない訳だけど、転生者である私は知っている。錆兎が山の鬼をほとんど狩った為に、刀が脆くなり、錆兎自身も疲弊し、手鬼に敗れて喰われてしまう事になると……。本来の流れならそうなるけど、この世界線の錆兎なら超えれると信じている。何せ、私が加わった事で鍛錬が増えただろうし、私との手合わせもありました。

 

そして、何と最終選別に行く前に我ら鱗滝一門は全員全集中・常中を習得しました!最終選別勝ったな!

 

その経緯として今から2週間前に私は全集中・常中の鍛錬を始めました。基礎中の基礎、全集中の呼吸を続けること。これが実際にやって見ると難しい。主に寝ている時もするのが。

 

「全集中・常中の修行か。そこに辿り着いて鍛錬を始めるとはな」

 

そんな時に鱗滝さんから話しかけられた。

 

「はい、ずっと出来ていたらいいかなぁと思いまして……」

 

「いい着眼点を持っているな。良い機会―錆兎、義勇、真菰を呼んで来るんだ。全集中・常中を教える」

 

私はその言葉を聞いて三人を呼んでくる。

 

「全集中・常中ですか」

 

「ああ、全集中・常中は通常の全集中の呼吸よりさらに地道かつ過酷な鍛練の積み重ねにより、睡眠時を含む四六時中全集中の呼吸を継続させるのことを言う」

 

「それを体得すれば、今より強くなれるのですか!」

 

錆兎の質問に頷く鱗滝さん。そして続ける

 

「体得に成功して、直ぐに強くなるというものでは無い。強くなっていくための呼吸と考えろ。柱と呼ばれる鬼殺隊の上位の剣士達は例外なくこの全集中・常中を体得している。では、錆兎と義勇は二週間後の最終選別までの鍛錬とする。真菰と舞銀も同期間で修得するんだ」

 

そういうと、鱗滝さんはどこからか大きい瓢箪を出した。並の子供サイズの大きさだ。

 

「これを息を吐くだけで割れるほど鍛えないと、全集中の呼吸を常時維持する事はできない。これからの鍛錬は全集中の呼吸を意識して鍛錬をし、夜は瞑想して肺を休ませる。寝ている間も全集中の呼吸を絶やさないようにするようにするんだ。分かったな」

 

「「「「はいっ!」」」」

 

というのがあり、今では皆が全集中・常中を

 

 

そしてその晩、ご馳走が鱗滝さんから振る舞われた。私も真菰も義勇も錆兎も沢山食べて明日に備えようとしたが、私は外で月を見ていた。

 

「なんだ、眠れないのか?」

 

「まぁね、そういう錆兎も?」

 

「まぁ……そうだな」

 

沈黙が支配する。うっわ気まず!手合わせで負けた私と勝った錆兎じゃん。いつも話してるし特に話すことなんてないんだけど。

 

「そういや、舞銀はどうしてここに来たんだ?話を聞けば、家族は全員存命なんだろ?俺や真菰、義勇と違って孤児じゃないし、鬼に誰かを殺された訳じゃないんだろ?」

 

錆兎が唐突な質問をしてくる。そう言えば話してなかった気がする。

 

「うん、家族全員生きてるし、鬼に対して恨みとかは無いよ。けどさ……」

 

私は続ける。それがここに居る理由と言わんばかりに言う

 

「私は鱗滝さんに助けられた。そして鬼を殺せる術があることを知った。だったらそれを会得したいと思ったの。それが理由かな」

 

「そうなのか。前から思っていたが変わったヤツだな」

 

錆兎は少し可笑しそうに笑う。そうかな?まぁ、前世より色々出来るし、世界が世界だから会得出来るものは会得しておきたいな。私はふと思い出したように

 

「そう言えば明日最終選別なんでしょ?」

 

「ああ、明日から俺と義勇は鬼殺隊に入るための最終選別に行くな」

 

私の頭には原作では炭治郎が倒した手鬼がチラついた。錆兎に死んで欲しくない。転生者としてでは無く、妹弟子として

 

「錆兎、何があっても生き残る事を優先してね」

 

「……どうしたんだ突然?俺が最終選別突破できないというのか?」

 

「ううん、全然思わない。だけどさ、疲弊して刀が折れた場合は……どんな使い手だって勝てないでしょ?しかも、錆兎は強いから一人でやろうとすればできちゃうんだろうし……。無茶しそうなんだよね。どうしようもない時は逃げてもいいと思うんだよ。帰ってこられればまた、挑めるから」

 

「逃げろとはなんだ!鬼を前にして逃げるなんて出来るわけないだろ……!」

 

私の言葉に怒ったように言う。怒鳴らず低い声で。私はビクッと驚いて逃げるように

 

「錆兎は直ぐに無茶するしなー。と思ったから言っただけだよ」

 

「そうなのか?」

 

「そうだよ。人助けは余っ程身内じゃない限り、まず自分が助からないと」

 

そう言うが自分はどうなのかと言われたらなんも言い返せないかもしれないけど、少なくてもそうしたいと考えている。見知らぬ誰かを助ける時は自分に勝算がある時だ。命をかけるのは、自分の周りの人を助けたい時。そういう風に私はしたい。

 

「……そろそろ寝たら?明日から向かうんでしょ?私も寝るし」

 

私は寝るように促す。錆兎は頷きながら先に戻った。私も戻って眠る。次の日の朝

 

「生きて必ず帰って来い」

 

「頑張ってね錆兎、義勇」

 

鱗滝さんと真菰、そして私が最終選別に行く錆兎と義勇を見送る。

 

「二人とも無事で帰ってきたら!私が珍しい料理と好きな料理作ってあげるから!」

 

「ああ!突破してくる!行くぞ義勇!」

 

「ああ!鮭大根楽しみにしてる」

 

二人はそのまま走って行った。

 

「行っちゃったね」

 

「それじゃあ、私たちは鍛錬しますか!」

 

「うん。二人に負けないように頑張ろう」

 

真菰と二人で鍛錬を開始する。私達二人も次の最終選別に行くつもりだ。だから、それまでに完成度をさらに上げる必要がある。さぁて頑張るぞ。

 




人物
八雲 舞銀(やくも ましろ)
鱗滝左近次の元に来て1年半経過して11歳に全集中・常中まで会得。鱗滝一門の中での末っ子ポジションにいているが、剣術に置いては1番上であり、四人の中では一番強い。手合わせの時はできる限り天与呪縛の力を抑えて手合わせしている。水の呼吸は使いこなしているが、自分には少し合わないかなと感じている。錆兎・真菰に対しては最終選別で死んで欲しくないと思っている。義勇対しては、鬼殺隊に入ったあと皆と上手くいくかなぁと心配している。前世が男性の為、錆兎と義勇とも波長が合う。真菰に対しては、前世のこともあり、距離が近い時はドキドキしている。


鱗滝 真菰(うろこだき まこも)
本作では全集中・常中を会得し、原作より大きくパワーアップをしている人物。鱗滝左近次の養子であり、錆兎とは義兄妹である。本作では舞銀より一つ歳上である。舞銀に対しては同性ということもあり親友に近い感じで距離が近めになっている。舞銀から鍛錬や買い物に誘ってくれるのが密かに嬉しいという。



鱗滝 錆兎(うろこだき さびと)
真菰同様に全集中・常中を会得して原作より大きくパワーアップしている人物。鱗滝左近次の養子であり、真菰と義兄妹である。鱗滝一門では長男ポジションを獲得しており、リーダーシップがあるが、結構無茶をするタイプの人物となっている。義勇の親友であり、義勇の通訳になる可能性がある。舞銀に対しては手合わせしてて楽しいが手のかかる妹とという認識である。舞銀と打ち合えている時点でかなり強くなっている。

冨岡 義勇(とみおか ぎゆう)
上記の人物達同様に全集中・常中を会得して大きくパワーアップしている人物。錆兎が生きているため、原作より比較的明るく話はするが、若干言葉が足りないところがあるかもしれない。親友である錆兎のストッパーになる可能性がある。舞銀に対しては、少しやんちゃな妹と言う印象。料理出来てすごいなぁと思っている。


鱗滝 左近次(うろこだき さこんじ)
四人の育手で天狗の面をつけている人物。最終選別に行かせるのはあんまり気乗りしない。舞銀の鍛錬を見て全集中・常中を急遽教えることにして四人に全集中・常中を教えた。この子達なら最終選別を突破してくるのではと期待もしている。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。