天与の少女 刃にて荒事を成す   作:皐月の王

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風の呼吸と焦燥

「12歳の子供に柱が勤まるわけないでしょという話なんですよね。それに鬼殺隊入ってまだ2ヶ月目ですよ。ほんとどうかと思うよ」

 

「いや、御館様の話を聞いた上で柱の話を蹴ったお前の方がどうかと思うぞ俺は」

 

風の呼吸の育手に拳骨を落とされながら風の呼吸を型の練習をしている舞銀です。怒られたあとは全速力で逃げました。まぁ、クソガキムーヴをかましてしまいましたね。

 

「ま、まぁ失礼だったなぁと反省はしてますよ?ですが、自分でも合わないと思っている呼吸で柱になって鬼に殺されたらどうするんですか?鬼殺隊として」

 

「ハッハッハ。お前を殺すような鬼は間違いなく十二鬼月だろうな。しかも上弦だろうよ」

 

笑いながらに言うこの人を見ながら私は技を放とうかと一瞬思考がよぎってしまう。シャレにならないよ上弦が来るなんて。いくら天与呪縛の完全呪力0のフィジカルギフテットがあると言っても私の体はまだ成長途上だし、全集中常中もまだ7〜8ヶ月しか経ってない。常中での身体能力の上昇はたかが知れてる。足りない、それじゃ足りない。最後のピースも足りてない。

 

「案外足りてなんですよ……何もかも。まだ、常中の期間が短い、まだ12歳と言う小さい体。そして何より……自分に合った呼吸に辿り着いていない。そんな人が、たかだか鬼数匹程度を倒した程度で柱に成れると?柱になるのが面倒というのもありますけど。会いたい人に逢いに行く時間が削られるのは嫌なので」

 

家族に会いに行きたいというのもあるし、真菰にもいずれ会いに行きたい。柱になったらそれだけで拘束されるし。利点はあるんだけどね。

 

「ふーむ、お前はお前で考えているんだな。普段、そのふざけた身体能力を制限してまで」

 

「この力に頼りきりも良くないですし、それでも常中や鍛えた後には擦り合わせはしないといざと言う時のズレもあるんですよ。イメージと実際の動きがズレてたら話にならないでしょ?」

 

「いめーじ?外国の言葉まで使うんだなお前」

 

度々この言葉の壁というか時の壁を感じますね。前世で普通に使っていた言葉を使って通じないのはたまに精神的にくる。

 

「聞く機会があったんですよ。あと、御館様の話を蹴ったと言いましたが、話し合いで落とし所はつけて、条件付きで伸ばしてもらったんですよ」

 

「お、おう。御館様に条件を叩きつける辺り神経図太いな……どんな条件をつけたんだよ」

 

私は手を止めて育手の方を見て答える。

 

「私が自分に合う呼吸を会得するか、もう一体十二鬼月を倒したらと言う条件ですね」

 

それを聞いた育手がなおも苦笑いをする。私は無視をして風の呼吸の鍛錬をする。結論から言うと、悪くは無いが違和感も拭えない。使用感は全然違うが手応えは雷の呼吸と同じくらいである。何かが足りない。その歯痒さは腹立たしいものを感じる。しかし学ぶ期間も終わりを告げて任務に戻らないと行けない。

 

「2週間お世話になりました」

 

「本当に2週間でものにしやがった。いや、鬼殺隊としてはこれ以上無いくらいに頼もしいな。活躍を桑島殿と鱗滝殿と同様に楽しみにしているぞ」

 

私は手を振ってこの場を離れます。そして、任務に行ったり、森の開けている所で刀を振るうと言うのを更に4ヵ月続けました。

 

しかし、この間に十二鬼月に会うことも、自分に合う呼吸ができることも無く時間が過ぎました。時の流れが早くて困りますね。師匠には恵まれて天与呪縛もあるのに、剣の才能は平凡と来たのかな。そう弱音を思った瞬間腹の底から情けなさで怒りが込み上げてきた。

 

「はは……かっこつかないだろ……!そんなんじゃ!!」

 

私はその激情を刃に乗せて振るう。しかし激情に任せた刃では無駄に体力を使うというのも知っているし、無駄だとは知っている。だから心だけ激情に任せ、頭は冷静に型は丁寧に繰り返し、模索して日輪刀を振るう。その時はらしくなく、疲れ果てるまで刃を振るった。それこそ水を飲むこと軽い仮眠以外で休憩せずに三日三晩、刃を振るいました。疲れ果て仰向けで寝転がり全集中の呼吸を絶やさないように息をする。

 

「はぁ……くっそ!」

 

そしてこういう時に限って刺激臭が鼻に付く。

 

「今、忙しいんだけど……!」

 

起き上がって日輪刀を持ち息を吐きながら構える。刺激臭の正体である鬼が近くまで来ていた。

 

「稀血の匂いだ!お前稀血だよなぁ!!」

 

「みんなで食おうぜ!なぁ!!」

 

鬼が一気に5匹程襲来してくる。というか稀血!?私が!?どこ出血してるの!? 確認をすると爪が割れて出血していた。こんな小さな出血だけでも鬼からしたら匂うのか、めんどくさい。というかよりによって稀血ですか私は!

 

「全く、タイミング悪いって……こっちは疲れてるのに……!」

 

一瞬クラっとした頭を鞘で叩いて意識をはっきりさせる。

 

「なんだァもうフラフラだぞ!チャンスだ!稀血で鬼狩りだ!殺した上に食っても美味いなんて得しかないぜ!!」

 

「舐めんな!」

 

フラフラであろうと木っ端の鬼に負ける訳には行かない。私はバラバラに襲いかかってくる二人の鬼の首を落とす。しかし

 

「貰った!」

 

「死ねぇ!鬼狩り!」

 

「稀血だぁ!」

 

三方向から鬼が襲いかかってくる。何時もなら難なく捌ける。だが、今の状態じゃ二人を仕留めることは出来るが、あとの一人は受けるしかない。鈍った思考、疲れ果てた体では思うように体を動かすことが出来ない。

 

(不味ったなぁ……。これは未熟という事で、授業料として受けるしかない……致命傷だけは回避しないと)

 

私は攻撃を受けることを覚悟して鬼の首を落とし、受ける所を決めた所に迫る所に力を入れる。しかし痛みは来ず、変わりに聞き覚えのある声が私の耳に入る。

 

「水の呼吸 弐ノ型 水車!」

 

最後の鬼の首が中に舞う。そしてその人物は私の方を見る。月明かりに照らされた人物は私の耳に聞こえた人物と一致していた。そしてその人物は私に微笑みかけながらに近づいてきた。

 

「らしくないね舞銀。この程度の鬼に一撃貰いそうになってるなんて。いや、無茶なことをして疲れ切っているからかな?何にせよ、久しぶりだね」

 

「真菰?」

 

「そうだよ。貴方の姉弟子の真菰だよ。4、5ヶ月ぶりだね。色々と噂は聞いてるよ?御館様の柱の件を蹴った恐れ多い女剣士が居るとか様々な呼吸を使う剣士とか、十二鬼月を小半刻で余裕を持って討伐したとか。色々と凄いことしてるみたいだけど」

 

真菰は話をしているけど、お腹すいてるし、眠たいし、疲れ切っている私の視界は歪んでフラフラしている。ダメだ、どんどん声が遠くなって行く。私のてから日輪刀が落ち体の力が抜けて前のめりに倒れそうになる。

 

「おっと」

 

倒れる前に真菰が優しく受け止めてくれる。

 

「でも、私にとっては同じ鱗滝さんの元で水の呼吸を学んだ妹弟子だし、命の恩人だし、そしてかけがえのない大切な友達だしね。無事で良かったよ」

 

優しい真菰の声が耳に入る。頭も撫でられ恥ずかしいけど、なんだか安心した。そう思ったら意識が途切れてしまった。

 

第三者side

 

「寝ちゃった」

 

真菰は舞銀を抱きとめながらにつぶやく。月を見上げながらに言う。

 

「噂を聞いてどこか遠くに行ったような気がしてたけど。変わらない所もあるんだ。世話のかかる所とか、気負いすぎるところとか。もっと頼ってくれてもいいのにね」

 

舞銀の寝顔を見ながら微笑む。真菰は胸にモヤモヤした気持ちを抱えていた。この気持ちは友人に対する思いなのか、舞銀だからなのかは分からないが、この時が少し長く続けばいいと思ってしまった。すると奥から二人の鬼殺隊員が走ってくる。

 

「真菰、舞銀は見つかったか?」

 

「うん、この通り眠ってる」

 

「怪我は……無さそうだな」

 

「全く、最後の一人がこんな所に篭っているとは思わなかったぞ。世話が焼けるな」

 

「言いっこなしだよ錆兎。義勇も来てくれてありがとう」

 

錆兎と義勇も舞銀を探していたのだ。と言うのも、三人は連絡を取り合っていたり、会っていたりしていたが舞銀だけが何もせず、また、最後に人とか関わったのが任務以外では4ヶ月前と言う。音信不通だった。

 

「大きな怪我はないとは言えど、だいぶ疲れているようだ。とりあえず蝶屋敷に運ぼう」

 

義勇の提案で三人は舞銀を蝶屋敷に運んだ。




流石に疲労が溜まれば鈍りますよね?

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