輝かせたくて   作:インスタント脳味噌汁大好き

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第62話 玉手箱

将来的にはコラボしたいけど今はコラボ出来ない。その理由を聞くため、玉手箱本社へと向かう。今の時期から2D3Dと玉手箱はコラボ回数が増え、相互にチャンネル登録数を伸ばしていく時期に入る。そこで自分に対し「今だけコラボ無理」と言われたら理由が気になるけど、何が原因だ……?

 

そして玉手箱の本社に着くと、事務員なのになぜかチャンネル登録数3万人を突破している玉手箱のA子さんに出迎えられ、奥の部屋へと案内される。事務所の雰囲気は2D3Dの本社より緩い感じだね。何か大きな画面で何人かのVtuberの放送を流してるし。

 

ちなみに今回玉手箱を訪問できた理由は、玉手箱社長の華山亜季さんに呼ばれたから。話がしたいとは言われたけど、何の用かは知らない。もしかしたら、向こうに気を遣わせたのかな。

 

ついでに2D3D運営からは『コラボの誘いなら受けても良い』みたいなエールを貰ってる。いやそのコラボを出来ないって向こうから言われてるんだけど……?

 

しばらく1人で部屋にいると、扉から1人の女性が入って来るけど一目でこの人が華山さんなんだろうなとすぐに分かる。というか声で分かった。元リスナーだしね。

 

「本当なら、2020年の8月以降にお会いしたかったのですが……玉手箱社長の華山亜季です。鬼塚あみの中の人、で大丈夫ですわよね?」

「あ、本名言わなくても大丈夫ですか?……鬼塚あみの中の人で間違いないのじゃ」

 

最初だけ真面目な挨拶をして、すぐにRP口調になる辺り自分よりこういう会話してるの慣れてそうな雰囲気だ。というか外でRP口調は身バレリスクが高いんだけど、ここ社長の私室っぽい感じだし流石に大丈夫だろう。

 

「2020年の8月以降、ということはそれまで避けられ続ける予定だった、のかの?」

「察しが良いですわね。まあ私はそこまでの知識ですので、それ以降なら接触して問題ないという判断でしたわ」

 

……?そこまでの知識?

 

…………あっ。そういうことか。この人、もしかしなくても同類か。いやこれすっとぼけてた方がこっち有利ってあああああ!あれだけ予言しておいて同類じゃないって言い張るの無理だ。

 

「……すっとぼけても良いかの?」

「私から明かしたのですっとぼけるのは止めて欲しいですわね。で、いつまでなんですか?貴方の知識は」

「……具体的な期限を言うと思うのかの?」

「今までの予言の内容的に2022年か2023年頃まででしょう?

それに、活動終了時期はこちらとしても把握しておきたいので」

 

話していると、この社長さんがとても怖い存在に思えて来る。何で予言の時期が切れるタイミングで引退するって理解しているんだよ。ああ、この人も最初は予言キャラで行こうとしたのか。自分より頭良さそうだし、自分より出来事は多く記憶してそうな人だから予言キャラやったら間違いなく成功してたな。

 

「2022年12月17日。5年目の誕生日じゃな。その日はライブを行う予定じゃ」

「……ありがとうございますわ」

 

何故そこで辞めるのか、とかは聞いてこないな。Vtuberの第一人者だし、全部理解してそうだ。まあ引退の時期は、人それぞれだ。自分の場合はそこから予言が出来なくなるのも理由の1つだけど、それ以上に前世の鬼塚あみが引退を決めた日というのが大きい。

 

あの日、本来の鬼塚あみが死んだのなら、そこで今世の鬼塚あみも死ぬべきだろう。活動を続けて行くうちに、強くそう思うようになった。

 

Vtuberはどう生きて行くのかではなく、どう死ぬかの方が大事だ。ほとんどのVtuberは、フェードアウトという言い方がピッタリな辞め方だし、会社とのトラブルが発生しての引退や炎上引退も絶えない。

 

後は、問題行動を起こしてからの契約解除か。もはや急死みたいなものだし、大半があまり良いイメージのない引退だ。だからこそ、鬼塚あみはきっちり引退ライブをやり切ってから死にたい。というか引退してからも、後々に語られるほどの存在になりたい。

 

ダラダラ続けててもいつか活動出来なくなったり、本人が急死したりするリスクがあるから辞める時期を決めるのは個人的にとても大切だと思う。……人間だって、どう死ぬかの方が大事なぐらいだ。生き死にしやすいVtuberは、それ以上に死に方には拘るべきだろう。

 

「次は儂からじゃな。今まで玉手箱とのコラボも避けられていたのは、その知識からかの?」

「それは……こちら側だけの問題かもしれないので切り出し辛いですわね。もしも今後、2020年の夏より前に私とコラボするのであれば、予言だけは絶対に止めていただきたいです」

「それはまあ可能なのじゃが、そもそもコラボしたいのかの?」

「それはもちろん。互いにメリットは大きいですし、間違いなく成功すると思ってますわ」

 

お互いにお互いが、どう歴史を改変したのかは分からない。ただ現状、こちらの方が持っている情報のアドバンテージは大きそうだ。2020年の夏頃までの知識という言葉が、嘘かもしれないけど、もしその先の知識まで持っていたなら絶対にこの人は潤井ジュリアを玉手箱に入れなかった。

 

今日は互いの、知識の時期の交換までで良いかな。後は自分の引退時期を明かしたので、今後は玉手箱の動きが大きく変わって来るかもしれない。というか結局コラボ出来ない理由は曖昧なまま濁されるのか。コラボしたいのに出来ないって、個人的な理由とかもあるのかな。

 

この後はVtuber高校でトラブルが発生し、結果的には玉手箱がVtuber高校から人を掻っ攫う構図となるだろう。……ここら辺、もしかしてこの人は元知識ありきで動いていたのか?

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