輝かせたくて   作:インスタント脳味噌汁大好き

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第88話 相手の得

「で、ここから解決案を出すとしたら2択じゃな。ローナちゃんがキャラ被りを容認するか、ラビュリンスさんが今のキャラを止める。まあ、それが簡単には出来ないからこうやって話し合っておるのじゃが。

お、肉来たから食べて行くのじゃ。……今の空気でも食べたら美味しいとは思うのじゃが、可能ならもっと良い雰囲気で食べたいの」

 

どちらかが引けるなら、すぐに解決する話ではある。だけどそれが出来ないから拗れたわけだし、前世では最悪な結末を招いた。折衷案なんて存在しないので、この場で解決するにはどちらかが我慢するか、2人とも我慢する流れにするしかない。

 

「今から儂がやるのは解決案の押し付けじゃが……聞いてくれんかの?

ローナちゃん側は、今後ラビュリンスさんのキャラ被りについて一切言及しない。またラビュリンスさん側は、可能な限りキャラ被りを避ける。これでどうじゃ?」

「それじゃあ結局私に我慢しろってことですか!?」

「いや、可能な限りと言ったじゃろ。別にキャラ被りをしても良いのじゃ。良いのじゃが、その場合儂はローナちゃんとコラボし、ラビュリンスさんがローナちゃんのキャラに近づくにつれ、ローナちゃんとのコラボ回数が増える。別に、この場合でもラビュリンスさんは損しないのじゃ」

 

自分がラビュリンスさん側に、我慢するような発言をちょっとしただけでヒステリックに叫ぶ辺りはラビュリンスさんローナちゃんに似たキャラでVtuberとして活動していきたいんだろうなあ。そしてキャラ被りし続ける毎に、ペナルティを設定したいところだけど、それパワハラと変わらないんよ。

 

だからキャラ被りする毎に、ローナちゃんが得をする設定にする。自分とのコラボだけじゃなく、積極的に自分の周りのライバーとコラボを成立させるよう助力することもローナちゃんに告げると、すごく微妙な感じで、でも笑顔をくれるローナちゃん。うんまあ上位とのコラボはVtuberでチャンネル登録数を伸ばす一番の方法だからね。

 

面白い、チャンネル登録数が多い、そんなライバーとのコラボが数字は一番伸びやすい。幸い、自分が付き合いのある面子はチャンネル登録数が30万人を突破したリリィちゃん、とうこちゃんら2期生組を中心に、モーナちゃんや華山さん、ココアさんがいる。

 

「……それで、抑制効果はあるんですか?」

「嫌いな人が相手であれば、自分が我慢してでも相手の利益を減らすのが日本人じゃからな」

 

2人とも黙り込んで、今の自分の案について考える素振りを見せる。その途中、ローナちゃんがちゃんと抑制効果があるのか質問して来たけど、日本人は基本、自分が我慢すれば嫌いな人が損をする、みたいな状況になると我慢する傾向にある。

 

「分かりやすい例を出そうかの。

ローナちゃん、今儂のほっぺにチューしてくれたら1万円あげるのじゃ」

「えっ!?本当ですか!?」

「ただ、その場合ラビュリンスさんに10万円あげるのじゃ。

……ほれ、今考え込んだじゃろ?そういうことじゃ。まあキスはいつでも待っているから悩むのじゃ」

 

分かりやすい例を示すと、ローナちゃんはうぐぅという顔をした後、ラビュリンスさんからのジト目に気付き睨み返す。いやこれ相当仲拗れてるし、もしかしてDMで言い合ったりした後か?ここから仲良くさせたいとか、ちょっと無茶だったのかもしれない。

 

互いに、ちょっと泣きそうにもなっているけど途中でラビュリンスさん側が何かに気付いた様子。そして自分の案に、賛成をしてくれる。その後で、ローナちゃんも賛成した直後に、ラビュリンスさんは質問をする。

 

「これ、私がローナ先輩と仲良くなって、それからキャラをローナ先輩に似せてもあみ先輩はローナ先輩とコラボしてくれますか?そこに私も交ざって、3人でコラボとかは出来ますか?」

「またキャラが被った時点で私は貴方のことを嫌いになる!」

「あみ先輩とのコラボがどれだけ大きいかローナ先輩は分かってないんですか!?」

 

どうやらこの口約束、どれほど効果が大きいものかラビュリンスさん側は気付いた模様。うんまあ自分が『将来伸びる人とのコラボ』を優先し続けたせいで、自分とのコラボ価値は極めて高い状態ではあるんだよね。

 

特に上位層との絡みが今までなかったローナちゃんにとっては、良いきっかけにはなる。ローナちゃんもそれに気付き、それでもグッと我慢した表情になった後、自分に迫って来る。えっ何!?

 

「んー!?」

「っぷはっ、これで11万円くれるんですね!?」

 

直後、ローナちゃんから熱烈なキスを受けてびっくりし硬直した自分。ほっぺにチューしたらって言ったのにどうして口付けになるんだ。まあ良いや。ローナちゃんに気付かせるための例え話だったわけだしね。

 

約束通り、ローナちゃんに1万円、ラビュリンスさんに10万円を渡すとラビュリンスさんはローナちゃんに5万円を差し出す。ここでラビュリンスさんは4万5千円じゃなくて5万円渡せる辺り、根は腐り切ってなさそうだね。最悪渡さないことも想像したけど、ここでお金を分配出来るなら可能性は感じる。

 

最初の互いの心象は最悪だっただろうけど、良い感じに改善されそうで良かった。重苦しい空気が緩和されたので、焼肉が美味しくなった。……自分もローナちゃんも焼肉を食べた直後のキスだったため、初キスの味は焼肉味でした。これ良い感じに話を弄って配信のネタにしてやろう。

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