『そっちは旧ゲッターを始めとする
【ありがとう竜馬。……周辺地域に散った
ゲッター線の濃度が尋常じゃなく高い、か。まさか真ドラゴンが月に隠れている可能性は? あまり多くは無い可能性だが……。いくらなんでもあれだけの大きさの物が宇宙に飛べば、簡単に見つかっている。粉々のバラバラに分離して、量産ゲッターG状態で飛んだとしても、今度は数が多いから見つかり易い。
『そっちは格納庫だ。今は残骸しか無えはずだ』
【一応確認しておこう】
【次へ行くとしよう】
『待て、ワンセブン! 今あった残骸、前見たのと形が違うぞ!』
次の瞬間、竜馬の指摘したその残骸が姿を変える。メカの類にインベーダーが取り
それだけではない。周囲の機材などに擬態していたインベーダーが、次々に正体を現した。
【各機、緊急出撃。シグコン・シップは現在位置より浮上。艦の指揮は副長に移譲する】
『こちら副長、了解! 操舵手、操舵を!』
『こちら操舵手、アイハブコントロール!!』
廃棄基地周辺の岩塊が、次々に擬態を解いてインベーダーへと姿を変える。そして廃棄基地全てが、ビリビリと鳴動し始めた。
アムロ大尉が叫ぶ。
『気をつけろ! 廃棄基地全てから、異様な意志を……。これは……。飢え? ゲッター線への、飢え、だと!?』
『こいつぁ……。基地すべてが、巨大なメタルビースト、なのかよ。やってくれるぜ……』
不敵な笑みを満面に浮かべて、竜馬が語った。めりめり、みしみしと軋みつつ、廃棄基地は巨大なタワー状の構造を中心部に持つ、巨大なメタルビーストへと姿を変えて行く。
そしてタワーの頂点には、半ば埋め込まれる様な形で量産ゲッタードラゴンの姿があった。量産ゲッタードラゴンの顔は、天空にある地球を見つめている。
『……!? まさか!?』
そして隼人が驚愕の声を上げた。次の瞬間、隼人は大声で叫ぶ。
『おい! あの巨大メタルビーストは、量産ゲッタードラゴンは倒すな! 倒すのは待つんだ!』
『何ぃ!? 気でも狂ったか、隼人!』
『俺は正気だ! ……奴は、奴は月面に満ち満ちているこのゲッター線を集めて、ゲッタービームにして地球へ撃つつもりだ! 理由はただ1つ! 地球にいる真ドラゴンに、ゲッター線のエネルギーを届けるためだ!』
『『『『『『!!』』』』』』
聞いていた一同は、驚愕する。竜馬が叫んだ。
『馬鹿野郎! それならなおさら、さっさと奴を倒さねえと! むざむざ真ドラゴンに餌を……。ち、そういう事か』
『そうだ。ワンセブン、奴が撃ったゲッタービームの射線を解析して、地球のどこに着弾するか観測してくれ。そこに真ドラゴンが居る』
『だ、だがよ。真ドラゴンがゲッター線のエネルギーを得たら……』
弁慶の疑問に、しかし隼人は頷く。
『ああ。だから、ゲッタービームを撃たせるのは一瞬だけだ。一瞬だけ、ビームを撃たせる。後は即座にコイツを叩き潰して、それ以上のエネルギーは一欠片たりともくれてやらん』
『あとはコイツを倒して、即座に地球に取って返す、か。上等だ隼人! ワンセブン!?』
【任された。だが全力を観測と解析に回すので、わたしは戦闘からは後方に外れるし、
『了解した。全機、まずは周囲のインベーダーとノーマルのメタルビーストを殲滅するぞ。シグコン・シップはワンセブンを甲板上に乗せたまま、7時方向に後退。直接に戦闘には参加せずに、観測役のワンセブンの護衛に専念しろ。
アムロは単騎で遊撃とピンチの者の支援に。カミーユ、ファ、シロウはわたしに付いて来てくれ。ゲッターチームとマジンガーチーム、グレンダイザーはチームを組んで、あまり互いに離れん様に。敵がゲッタービームを地球に撃ったら、君たちはすかさず各自の最大威力を巨大メタルビーストに叩き込むんだ。ねらい目は先端部の量産ゲッタードラゴンだ』
『『『『『『了解!』』』』』』
そしてシャア大佐の指揮の下、我々はインベーダーどもに襲い掛かった。
*
メタルビーストの数は、なかなか減らなかった。理由は、少し減らすと廃棄基地が変形した巨大メタルビーストの体内から、次から次へと這い出て来るからである。
だがそれもようやく種切れしたのか、しばし前に出て来たのを最後に、メタルビーストは増えなくなった。そして残るは6体、と言ったときである。
『見ろ! 量産ゲッタードラゴンが!』
弁慶の叫びと同時に、タワー状の構造の頂点に同化している量産型ゲッタードラゴンの額から、まばゆいまでのピンク色の光条が
そして量産ゲッタードラゴンは、その外装が瞬時にズタボロになって砕けて行く。しかしながら、周囲を固めているメタルビーストの細胞が寄り集まり、それを補修する。ゲッタービームを撃ち終わるまでは、なんとしても量産ゲッタードラゴンを量産ゲッタードラゴンの形のままで、とどめて置くつもりなのだ。
『ワンセブン!!』
【観測は成功した。目標地点は日本の……。星見町だ】
『わたし』が叫ばなかったのは、音声ではなくテキストメッセージだというソレだけの理由でしかない。なんでよりによって、星見町なんだ。おそらくは、あの街にはGEAR本部が在るに違いないのだ。
【シグコン・シップ、通信士、至急地球連邦軍に長距離レーザー通信。星見町に連邦軍を派遣してもらうんだ。ただし直接戦闘は避けて、足止めと敵逃走時の追跡だけにしてもらうんだ】
『りょ、了解です!!』
前線では、真ゲッター1、グレートマジンガー、マジンガーZ、イチナナ式、グレンダイザーが、全開の火力を巨大メタルビーストに叩き込んでいる。特に真ゲッター1は、相手が真ドラゴンではない事から、遠慮なしに最大出力のゲッタービームをお見舞いしていた。
『ゲッタアアアァァァ……ビイイイィィィム!!』
『『『トリプル・バーニング・ファイヤー!!』』』
『スペース・サンダー!!』
更にはアムロ大尉とシャア大佐がリ・ガズィのメガビーム砲を、シロウが2丁のグラビトン・ライフル連射を、カミーユ君がハイパー・メガ・ランチャーを、ファさんがロング・メガ・バスターを叩き込む。巨大メタルビーストは、自分が放つ常識外れの出力のゲッタービームと、外から加えられる圧倒的な攻撃の双方に耐えきれず、グズグズと光芒の中で輪郭を崩し、次の瞬間大爆発を起こした。
『やった!』
『く、だが予想以上に時間を使わされた。可能であれば一瞬だけしかエネルギーを送らせないはずだったが、けっこうな量を送られてしまった』
『反省してるヒマはねえ! 急いで地球に向かうぞ!』
竜馬の言う通りだ。『わたし』たちは大至急シグコン・シップに乗り込む。そしてシグコン・シップは可能な限りの速度で地球へと向かった。まあ可能な限りとは言っても、限度はあるのだが。惑星間や恒星間航行をするわけでもあるまいし。
下手な真似をして、地球に突っ込んだりあるいは地球を外れて宇宙のかなたへカッ飛ぶのは、
*
地球の高軌道に到達した。ここから軌道を調整して、日本の星見町近辺に降下できる様に移動しなければならない。『わたし』は軌道計算を始める。と、何がしかの衝撃が艦に加わった。もしやスペースデブリでも衝突したのだろうか。
運が悪い……。スペースデブリの少ない軌道を選んでいたと言うのに。場合によっては装甲板を張り変える必要があるな、まったく。……しかし、妙に気になる。こんな事はあって当然の事なのだが、何か……妙に気になるのだ。
……まるで、わたしの『魂』に、何かが干渉しているかの様だ。
と、そこへアムロ大尉が話し掛けてくる。何かしら、思い詰めたような表情だ。
「ワンセブン……」
『アムロ大尉、どうしたね?』
「何か、何か無かったか? いや、妙に胸騒ぎがするんだ。ただ、その胸騒ぎなんだが、悪い物じゃない」
『……今しがた、スペースデブリと衝突した模様だ。場所は艦の右側面、B-328-AAXブロックの中央部だ』
「……見に行っても、構わないだろうか」
『わたし』は少し考える。突入軌道に移るまでの時間はそれほど無い。しかし……妙に気になる。
『15分だ。15分間だけ、EVA(船外活動)を許可する。宇宙遊泳は禁止だ。吸着靴で艦の表面を歩いて、そのスペースデブリを見て来るだけだ。命綱と万一のラウンドムーバーも忘れるな』
「ありがとう。行って来る」
アムロ大尉は出て行く。入れ替わりに、シャア大佐が
『どうしたね、シャア大佐?』
「いや……。アムロと何を?」
『EVAの許可を求められたので、15分間だけ許可を出した』
「……そうか」
『シャア大佐も、何がしかを感じたのかね?』
シャア大佐の右眉が上がる。どうやら図星だったらしい。
「ああ。しかしどちらかと言うと、アムロに近しい波動だったな。彼を案ずる様な……」
『そうか……』
シャア大佐は、そのまま立ち去る。そして15分もしない内に、パイロット用ノーマルスーツ姿のまま、ヘルメットだけを脱いだアムロ大尉が現れた。その瞳が、少しばかり
「ワンセブン、許可を出してくれて感謝するよ」
『何かあったのかね?』
「これを見つけた」
アムロ大尉の手の中の物を見て、『わたし』は驚愕する。もし人間であったなら、目を見開いていただろう。そこにはT字型の若干透明感のあるブロック状の何がしかが存在していた。……『逆襲のシャア』のアニメ映画に登場した、サイコフレームのサンプルだった。
『わたし』は動揺を抑えて、アムロ大尉に問う。
『それは?』
「ワンセブンが欲しがっていた物さ。サイコフレームのサンプルだよ。……シャアのアクシズ落としの際に、アクシズを押し返すための奇跡の、最後の一押しをしてくれた一欠片さ」
『……そうか』
「もし良ければ、解析が終わったなら俺に貰えると、ありがたいんだが……」
『もちろんだ。と言うか、『わたし』が預かってかまわないのかい?』
アムロ大尉は小さく苦笑いをすると、頷く。
「ああ」
『では、わたしの本体まで持ってきてくれるとありがたい。そこで作業ロボットのロボターに渡してくれ。
解析が終わったら、それをペンダントトップにして首から下げられる様にして、返すよ』
「ありがとう」
アムロ大尉は
「チェーン……。君はいつも俺を助けてくれるんだな……。ありがとう……」
『わたし』は何も聞こえていない振りをした。
*
そして『わたし』たちは地球上へと降下完了する。位置的には星見町のある海岸の、その沖合だ。シグコン・シップは地球上で出せる最大戦速で、星見町へと向かっていた。
星見町では現在、急行した地球連邦軍のジェガン部隊と、真ドラゴンがにらみ合っている状態である。真ドラゴンの周囲にはメタルビースト、インベーダーの他に量産型ゲッターGが円陣を組み、待ち構えている模様だ。
だが妙な事に、インベーダーどもも量産型ゲッターGも、真ドラゴンそのものも全く動きを見せない。いや厳密には、何がしかを警戒している様なしぐさは見せるらしいのだが。
格納庫の真ゲッター1から、竜馬の苛立たし気な声が響く。
『ジジイめ、何考えてやがる……』
『俺たちを待ち構えてる、とか?』
甲児の意見も無くは無いかもしれない。だがどうにもその動きが妙なのだ。
……そこへ、アムロ大尉、シャア大佐、カミーユ君と言った我々のうちでも感受性がもっとも高い、
『なんだ、このざらっとした敵意……。はるか上の方から、来る! 何と言うのか、機械的な?』
『だが、機械がこの様な『意志』を持てるのか?』
『それを言うなら、方向性は善意と悪意で180度違いますが、ワンセブンって実例があるでしょうに!』
『違い無え……!! なんだこいつら、吐気がすんぜ!』
悪意を持つ機械……。まさか……。『わたし』はアムロ大尉が言った、上空の方へとセンサーを集中した。……何かが大気圏突入して来る。降下位置は……星見町だ。
望遠映像が、『ソレ』を捉えた。急ぎ多重のフィルターをかけて、画像ノイズや余計な発光を徹底的に除去する。
【映像により確認完了。デューク・フリードよりデータを提供された、ガルファ機獣素体タイプ。目標地点は、星見町と思われる】
『な! ちくしょう、余計な奴らが!』
竜馬が怒声を上げた。わたしも現実逃避をしたい気分だ。だがそうも行くまい。
【やむを得ない。まず現地に急ぎ、作戦は即興でやるしかあるまい。こう言う事はやりたくは無かったし、言いたくは無かったが。つまりは『高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処する』だ】
『ワンセブンでも、『いきばた』にやる場合あるんだな』
【言わんでくれ、シロウ。わかっているんだ】
三つどもえの戦いになるか? その隙に乗じて真ドラゴンに逃げられでもしたら、目もあてられん。真ドラゴンやインベーダーどもが警戒していたのは、間違いなくガルファだろうな。
まったく面倒な事になったものだ。連邦軍にも働いてもらわないといけないかもな。
月からゲッタービームで、地球の真ドラゴンまでゲッター線を届ける作戦は、随分前から考えておりました。でもどこかで見たような覚えがあるなあ、と我ながら思っていて、必死で思い出そうとしていたのですが……。
そう言えば、『GS美神』で月の魔力を地球に送る作戦って、確か有ったなあ、と思い出してしまいました。
……まあそっくり似ているけど、やっちまえ。
そして軌道上でサイコフレームをデブリとして拾う話。これも当初からその予定でありました。で、偶然拾ったわけじゃないです。アムロのために、チェーンの残留思念が頑張ったのです。
最後に、星見町での真ドラゴン軍団とガルファ機獣と主人公勢との三つどもえ。これも当初からの予定通りです。この3件を消化できて、ほっと一安心しています。