今『わたし』は、宇宙空間を航行する間の時間を使って、アムロ大尉、カミーユ君、甲児とディスカッションを行っていた。その内容は、アムロ大尉とシャア大佐のためのフル・サイコフレーム機の開発、そしてその前段階としてのΖガンダムの全フレーム換装してのフル・サイコフレーム化、その更なる前段階としての百式Rへのサイコフレーム搭載、そしてそれらとは別系統の話ながら、新型マジンガーの設計開発についてである。
「……このマニピュレーター部分なんだけどよ。強度が足りなく無いか?」
「
「Ζのフレーム見直し、完了しましたよ。全フレームを一気にサイコフレームに換装する事は、可能です。ただ改修工事に時間はかかりますね。代替機としてバイオセンサー搭載のジェダを使わざるを得ません。ですが戦力低下を考えると、実作業は木星圏から帰って来てからの方がいいです。
百式Rへのサイコフレーム搭載工事は、そこまで時間かかりません。ファの機体はフル・サイコフレーム機にするわけじゃ無いですからね。木星圏へ到達前に、作業とテスト全て終わります」
『生産技術面では、問題無いな。サイコフレームの量産技術は確立した。『わたし』本体の体内工場を使わずとも、シグコン・シップの艦内工場で生産できる』
「ところで俺が研究してた、新型マジンガーなんだが。光子力反応炉はワンセブンの体内工場ならば、超生産能力で製造できるって話だったよな? ただ新合金の超合金ニューZαなんだが……。もう少し各素材の配合と分子結合を煮詰めないとなあ……」
『理論は完成しているのだろう? 試しに幾つか、サンプルを『わたし』の超生産能力で試作してみようか?』
しばしの間、熱くディスカッションしていた『わたし』たちだったが、やがて木星圏へ共に行く連邦軍の艦とのランデブー時刻になる。『わたし』たちはディスカッションを終えて、その準備に入った。
センサー手のジェイミーが、報告をくれる。
「ワンセブン、連邦軍のカイラム級をセンサーで捉えました。識別信号は、カイラム級1番艦『ラー・カイラム』です。指揮官は……えっ。ぶ、ブライト・ノア大佐、です!」
『そうか。通信を繋いでくれ。弁慶、まずは頼んだ』
「おう」
そうか、ブライトさん、いやブライト大佐の艦だったか。カイラム級と聞いた時から、おそらく、とは思っていたんだが。……とりあえず、アムロ大尉とシャア大佐、カミーユ君、ファさんを
いや、原作アニメ知識によるバイアスがかかっているわけじゃない。アムロ大尉やカミーユ君から色々話を聞いて、アニメのブライトさんと、この世界のブライト大佐の人品に大差がない事を確信しているからだ。うん。たぶん。おそらく。きっと。だといいな。
そしてブライト大佐の姿が、主スクリーンに映る。弁慶が敬礼をすると、向こうは答礼を返して来た。
「おひさしぶりですな、ブライト大佐。地球連邦軍特務部隊、車弁慶隊の指揮官、車弁慶少佐です」
『久しぶりだな、弁慶。地球連邦宇宙軍独立機動艦隊、部隊司令ブライト・ノアだ。もっとも艦隊と言っても、所属艦は今現在このラー・カイラム1隻だけだがな』
「さて、早速ですが……。大佐はこちらの内情を、どれだけ聞かされておりますか?」
『ジオン残党軍やザンスカール帝国に抵抗するレジスタンス組織を、形の上だけでも指揮下に置くために、少佐である弁慶がトップに収まっていると聞いたが』
「まあ、そんなところですな。そして本来のレジスタンス組織リーダーが、彼です。ワンセブン!」
そしてシグコンシップ甲板上で、『わたし』はロボット形態である『戦闘ワンセブン』に変形する。そのまま『わたし』は、ラー・カイラムへ向けて敬礼の姿勢を取った。
『こ、これは!』
【お初にお目にかかる、ブライト・ノア大佐。『わたし』はそちらの分類で言う
『じ、
「彼はこちらに所属している全員の、厚い信頼を受けていますよ。無論、俺も含めまして、ね」
スクリーンの通信映像に映るブライト大佐は、目を白黒させている。やっぱりそうなるよな。ちなみにシグコン・シップと並走している真ドラゴンからも、少し興味深げな視線を感じる。彼らは仲間に加わってまだ日が浅いからな。
いや、號ではないかと思われる視線は、ちょっとだけ雰囲気が違うな? なんというか仲間意識というか……。號はある意味、人造人間だからなあ。
そしてここで、アムロ大尉、シャア大佐、カミーユ君、ファさんがシグコン・シップ
『アムロ! 生きていたのか! ……!? シャア!? 何故……!! カミーユとファも!?』
「久しぶりだ、ブライト。驚くのも無理は無いな。……俺はシャアのアクシズ落としの後、連邦軍に拘束されて北米のシャイアン基地に幽閉されていたんだ。カミーユ達はもっと酷い。せっかく人格崩壊から回復したと言うのに、北米の強化人間研究所、オーガスタ研に閉じ込められて、実験台としての日々を送らされていた。
俺は、俺の幽閉先を突き止めたジオン残党軍とザンスカールに襲われ、危ないところをワンセブンとシロウとシャアに助けられた。そしてシャアの情報により、オーガスタ研にカミーユ達が居る事を教えられて、救出した。結果、
『そうか……。何も知らなかった……。何も、わたしはできなかったんだな』
ブライト大佐は
やがてブライト大佐は、シャア大佐に目を向ける。
『シャア……。アムロとカミーユたちの救出に尽力してくれた事は、礼を言おう。だが、それは我々がお前を許すという事では無いのも、理解しているだろう』
「ああ。わたしは許されてはならない。許されようとも思っていない。今のわたしは、ただわたしにできる事を、ひたすらに行うだけだ」
『……』
そしてブライト大佐は気持ちを切り替えたか、ラー・カイラム
『貴様たち、この通信内容は部外秘だ。一切の口外を禁じる。
……弁慶、そしてワンセブン。当艦はこれよりそちらにドッキングする。その後に当方機動部隊の隊員たちをそちらに送るので、交流を深めて欲しい』
「了解です、大佐」
【では早速ドッキングに入ろうか。時間は有限だ。ドッキングが完了したら、シグコン・シップと真ドラゴンはそのまま第三宇宙速度まで加速、地球圏を離脱してワープ機関稼働可能域まで航行する】
我々はその言葉通り、ドッキング完了後即座に加速を開始、ワープ機関が安全に稼働できる惑星間宇宙目指して飛翔した。
*
我々はシグコン・シップの食堂で、ラー・カイラムの機動部隊の面々と顔合わせを行った。そしておそらくはほぼ全員が、内心で頭を抱えたと思う。
「ウッソ・エヴィンです。Vダッシュガンダムのパイロットです。リガ・ミリティアから派遣されました。こいつは僕のハロです」
彼の後に、マーベット・フィンガーハット女史、ジュンコ・ジェンコ女史、ケイト・ブッシュ女史、コニー・フランシス女史、ペギー・リー女史、ヘレン・ジャクソン女史、マヘリア・メリル女史が連続して自己紹介をしたが、ウッソ君の年齢インパクトのせいで半ば流された感じがある。渡された記録によれば、ウッソ君は13歳の様だが……。
竜馬が右掌で顔面を覆い、天井を仰いで呟く。
「またガキが増えやがった……」
「子供扱いしないでください。僕はこれでも、今まで最前線で戦って来たんです。それに、そちらにも僕よりも幼い子がいるじゃないですか」
ここで『わたし』が口を挟む。このままだと、互いの間に棘が生えそうだからな。
『竜馬が言ってるのは、そういう意味じゃないんだ。北斗君と銀河君の事もそうなんだが、本来子供ってのは、未来を担うために子供の内は、大人に護られてしかるべきなんだ。子供扱いするな、と言ったところで、実年齢が低いのは仕方ないだろう?
君がリガ・ミリティア、そしてブライト艦長のロンド・ベル隊で、スペシャルとして扱われ、それだけの実力と成果を示してきたのは理解している。だが『わたし』たち大人としては……。どうしようもない事だと言うのは理解するが、子供たちを護るどころか、殺し合いの現場……。それも最前線の矢面に出すと言うだけで、自分たちの不甲斐なさに心が潰れそうになるんだよ』
「……あなたがワンセブン、ですか。あなたは
『これでも相応に長い期間、稼働してきたものでね。そして大人とか子供とか言う前の段階として、『わたし』としては本来なら護るべき人間たちが殺し合うのも『胸が痛い』問題ではあるね』
ウッソ君は一瞬瞑目するが、やがて口を開く。
「皆さん、心配してくださってありがとうございます。ですが僕は既に、何機もベスパの……ザンスカールの
もう僕は……僕は、大丈夫なんですよ。目的のためなら、行方不明になった
『……君は、既に覚悟ができているんだな。『撃つ覚悟』と『撃たれる覚悟』、そして……いざと言うときには『殺してでも生きる覚悟』を』
「はい!」
もし『わたし』に生身の『目』があったのなら。『わたし』は痛ましいものを見る視線を、彼に送っていただろう。そして凄惨な笑みを浮かべた顔で、竜馬が言う。
「よし、わかった。覚悟があんなら、しかたあんめえ。ガキ扱いはするが、子供扱いはしねえ。それでいいな?」
「ど、どう違うんです?」
「てめえで考えろ」
「この人、滅茶苦茶ですよ!」
「「「「「『まあ竜馬だし』」」」」」
一方で、その様子を見て深く考え込んでいる者たちもいる。北斗少年、銀河少年の電童
本当に、子供のうちにそんな覚悟はさせたく無いんだがね……。以前の世界で、心ならずも三郎を、『ブレイン』との戦いに巻き込んでしまった『わたし』の言う事でもないが。
と、そこへ遅れて来たもう1人の、ラー・カイラム機動部隊員が入室して来る。彼は女性1人を
「遅れて申し訳ありません。自分は地球連邦宇宙軍所属、ヨナ・バシュタ少尉です。ナラティブガンダムを預かっています」
「わたしはミシェル・ルオ。ナラティブの運用アドバイザーという立場でラー・カイラムに乗艦しています。ナラティブガンダムの本来の任務を逸脱する今回の命令は、正直心外なのですがね」
「ふむ……。だが今回の件は、地球圏どころか人類全体における一大危機だ。ことに木星圏でヘリウム3採掘従事者たちの、その生命と技術を喪失することは、人類にとって多大などころではない損失となる。
その事に関しては、姉君ステファニー・ルオ女史も理解を示してくれている。ご理解、願えないかね?」
不満気なミシェル女史に、シャア大佐が説得の言葉を……。いや、説得の形を取ったルオ商会からの命令を伝える。ミシェル女史はしばし黙していたが、やがて無表情で頷いた。だがその瞳は、承服したとは言い難い
しかしやはり、シャア大佐はルオ商会と繋がりがあったか……。あまり積極的には、接触を取ってはいない様だったけれど。
*
GEARのメカニック担当Dr.井上が、溜息を吐く。彼の眼前、シグコン・シップの艦内工場にて、今まで設計図しか無かったセルファイター及びそれをコアにする宇宙機セルブースターが最終組み上げ段階に入っていたからだ。
「これは凄いですねえ……。この設備がGEAR本部にも欲しいですよ、まったく」
『電童を運用するにあたり、この機体は無いと困るだろう。シグコン・ジェットⅢでこの手のシステムには経験があるからな』
「シグコン・ジェットⅢですか……。ジェットとは言っても、ジェット/ロケット両用機で何も追加装備無しで宇宙空間での運用も可能な、ワンセブン
我々のセルファイターと、極めて似た機体ですが……。発想の
うん、悪かった。技術自体はこちらの独自開発なんだが、発想ははっきり言って、アニメの『GEAR戦士電童』からの借り物なんだ。
そこへ吉良国とベガ女史がやって来る。疲労の色が濃いが、表情は明るい。いやベガ女史は仮面被ってるから分からんのだが。
「ありがとう! ありがとうワンセブン! セルファイター、セルブースターがあれば、これまで以上に電童の助けになれるぜ!」
「今、シミュレーターでセルブースターを試して見たんだけど……。まさに注文通りね。実機も遜色ないのでしょう?」
『実機は、木星圏へのショートレンジワープ後に、航行中に時間を取るから乗って確かめてくれ。シミュレーターだけで、ぶっつけ本番でやらせる真似はしないとも』
わたしの言葉に、ベガ女史、吉良国、Dr.井上はぐっと胸を抑えて苦し気に
……ああ、そうか。そう言えば電童の
すまん、悪かった。
『さて、そろそろ木星圏へショートレンジのワープをする時刻だ。この部屋で構わないから、壁から座席を引っ張り出して着座、ベルトをしっかり締めてくれ』
「「「了解……」」」
あー、まだ駄目か。木星圏へ跳んだら、何がしか美味い物でも差し入れしようかね。
そんなわけで、主人公たちは木星圏へと急ぎます。急ぐと言っても、惑星間航行なので途中にショートレンジのワープを挟んでも、結構な時間がかかりますが。
そしてガルファが木星圏を攻撃したとの事情から、もしや木星圏にデータウェポンが!? と電童チームもシグコン・シップに乗り込んで来ました。
更にはブライトさんとウッソとマーベットとシュラク隊とナラティブ勢が合流です。シグコン・シップは1km級艦ですので、ある程度のサイズの艦艇ならばドッキングして運べます。なので、現状アキラ・キャンベル大将とムバラク・スターン大将という連邦軍の2大良心が動かせる中で、もっとも戦果をあげている艦を送り込みました。
……けれどその内実は、1stガンダムのホワイトベース隊よりは若干だけマシ? いや、同じ程度? と悩むこと必定の、大半ゲリラ組織(リガ・ミリティア)からの借り物パイロットと借り物MS。唯一のまっとう? な連邦軍人パイロットと機体は、変なヒモ(ミシェル)付き。
あげくにリガ・ミリティアから来た連中は、ザンスカールと連邦がガルファと言う外圧の前に手打ちをするかもしれない事に、正直不満を抱えてます。ブライトさんの胃壁の明日はどっちだ。
……真ドラゴンに艦を曳航させたりすれば、もう1~2隻の艦艇を木星圏に送り込めたかなあ。ああ、でもあまり地球圏から部隊を引き抜き過ぎても、なあ。