大鉄人戦記   作:雑草弁士

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第022話:木星圏脱出

 螺旋城と木星圏3バンチコロニーの衝突により、3バンチコロニーは砕けた。コロニーの巨大な破片が、周囲に飛び散る。そのうちの幾つかは、隣接コロニーに命中しそうだ。『わたし』は『叫ぶ』。

 

 

『グラアアアビトオオオォォォン!!』

 

 

 重力子砲(グラビトン)によってまず1つ、破片が消滅する。そしてシグコン・ジェットⅢが飛来し、重力子カートリッジを射出。わたしは胸部装甲を展開すると、使用済みカートリッジを排出し、新たなカートリッジを受け入れる。そしてすぐさま第2射を放つ。

 

 

『グラアアアビトオオオォォォン!!』

 

 

 2つ目の巨大破片が消滅する。あと2つ、破片を破壊せねばならない。だが『わたし』だけでは間に合わない。

 しかし今ここには、頼もしい仲間たちが居る。

 

 

『ストナアアアァァァ……サァン……シャイイイィィィン!!』

 

 

 真ゲッター1が放った光球が、巨大破片に命中するや爆発的なエネルギーを放出し、消滅させる。

 そして真ドラゴンからもすさまじいまでの強大なビームが(ほとばし)る。

 

 

『『『ゲッタアアアァァァ……ビイイイィィィム!!』』』

 

 

 最後の危険な破片も、瞬時にして消滅した。

 

 

【よくやってくれた、ゲッターチームたち】

 

『へっ。やるべき事をやったまでだ』

 

『それよりもだ。ガルファの機獣が避難民の宇宙機を狙っているぞ』

 

『號、渓、凱。避難民を真ドラゴンの図体でかばえるか?』

 

『……ああ』

 

『了解だ、親父!』

 

『任せてくれ、大将!』

 

 

 新旧のゲッターチームは、躊躇(ちゅうちょ)なく行動に移る。『わたし』も、念のために最後の準備済み重力子カートリッジに換装して、敵中に突入した。

 

 

 

*

 

 

 

 電童の動きが危うい。吉良国のセルブースター1番機、ベガ女史のセルブースター2番機が必死で電童を援護しているものの、あれではいつ撃墜されてもおかしくない。

 

 

【電童、もう少し下がって仲間と連携を取るんだ】

 

『『う、うあああ、うわあああぁぁぁ!!』』

 

 

 意味の無い叫び声が返って来る。パニックでも起こしているのか?

 

 

『『あいつら……。あいつらぁ! 許せない!!』』

 

『北斗君! 銀河君! 落ち着いてちょうだい! あ! 危ない!』

 

『ち、やらせないぜっ!!』

 

 

 電童の後ろを取った機獣を、吉良国のセルブースター1番機が撃破する。今回はなんとかなった。だがこのままでは、まずい。

 『わたし』は周辺状況をチェックする。とりあえず小康状態で、『わたし』の助力が必要そうな戦域は無い。『わたし』は電童へ向かい、飛翔した。そしてテキストメッセージではなく、処理が若干重くなるのを承知の上で、音声で話し掛ける。同時に電童の左腕を掴み、動きを封じる。

 

 

『銀河君! 北斗君! 落ち着け! 何があった……』

 

『人、が! 子供が! 俺たちよりもちっちゃい! 女の子が……』

 

『な、生身、で! 真空中なのに! なが、流れてって!』

 

『ゆる、許せね、え! あいつら絶対に!』

 

『許せない! 許しちゃいけない!』

 

 

 なるほど……。子供たちには、きつい、な。恐怖を怒りですり替えた、か。だが、それでは駄目だ……。無茶をして、撃墜されるのが落ちだろう。

 

 と、そこへマジンガーZからの通信が入る。甲児に聞かれていた、か。『わたし』からはともかく、電童はオープン回線で叫んでいたからな。

 

 

『こんの……馬鹿野郎ども!!』

 

『『!!』』

 

『お前らの今の戦い方は、最低だ! お前らの電童は、言わば『神にも悪魔にもなれる力』だ! それを使って、お前ら今、何してた!?

 ベガさんや吉良国の機体が必死になって無理にかばってるの、気付かなかったか!? ワンセブンはいつでも味方を助けにいけるように、周辺に注意してたのに、それをお前らだけのために手を掛けさせてたの、わからなかったか!?』

 

 

 甲児は更に、言いつのる。

 

 

『それだけじゃねえ! 怒りにまかせたお前らの戦い方は、『悪魔になる』戦い方だ! 違うだろ!? そんなんじゃ、駄目だろ!?

 お前らが電童の拳に宿す想いは何だ!? 護りたいからじゃねえのか!? だったら、やれる事はまだあるだろうが! 『神にも悪魔にも』なるな! お前らは『人のまま』でいいんだ!』

 

『『あ、ああ……』』

 

『冷たい言い方だが、死んだ奴はもう助けらんねえ! けどな! 今必死になって逃げてる3バンチコロニーからの脱出者は、きちんと護ってやらねえと死ぬ! そのためには、『悪魔になる』戦い方をしてるんじゃねえ!』

 

 

 そう語る間も、甲児のマジンガーZはガルファ機獣を倒すのを忘れてはいない。アイアンカッターが、イチナナ式の後ろに迫る大型機獣をなます斬りにする。ミサイルパンチの連発が、3バンチコロニーからの避難民を襲おうとした素体タイプのガルファ機獣を吹き飛ばす。

 電童の機体から、力が抜けた。『わたし』は掴んでいた電童の左腕を放す。

 

 

『お、俺……。大事な事、忘れてた……。母ちゃんが、いつも言ってたんだ。『力は心なり』って。だけど、俺はそれを忘れてたんだ』

 

『ガルファへの怒りや憎しみにとらわれて、周りを……。皆さんを、みんなを、見てなかった……。 暴れるだけ暴れて、言い訳のできない事をした……。 ごめんなさい!』

 

 

 声は、まだ涙声だ。だがなんとかなったか?『わたし』はテキストメッセージを、ベガ女史と吉良国のセルブースター2番機1番機に送る。

 

 

【まだ精神状態が不安定だろうから、少し気を付けてやってくれ】

 

『『了解!』』

 

 

 ちょうど向こうで、ウッソ君、マーベット女史、シュラク隊の面々が少し手こずっている。『わたし』はそれに助勢すべく飛翔した。

 

 

 

*

 

 

 

 螺旋城からは、次から次へと機獣が出現する。各自必死に抑え込んでいるが、何時突破されてもおかしくは無い。

 

 

『オーバーハングキャノンを撃ちます! 離れて!』

 

『なんて数だ!』

 

 

 そして敵に、新たな動きが出る。螺旋城から、3体の指揮官級の奴が出張って来たのだ。まずいな。

 

 

『我が名は機将ギガアブゾルート』

 

『我は機将ギガグルメイ』

 

『我は機将ギガウィッター』

 

『『『人間どもよ、おとなしく滅びを享受するがよい』』』

 

 

 機獣どもの動きが変わる。今まで漫然と攻撃してきていた奴らが、指揮官……機将の指揮に従う事で、戦術的に動く様になったのだ。

 まずい、シュラク隊のマヘリア女史が、集中的に狙われている。

 

 

【シロウ、支援攻撃を】

 

『まかせろってぇ!! うおおお!!』

 

 

 ヒュッケバインNextが敵集団に向かい、リープ・スラッシャーを、グラビトン・ライフルを、フォトン・ライフルを次々に撃ち放ち、ビーム・ソードで斬りかかる。その隙に『わたし』はマヘリア女史のガンイージを庇う。幾つかビームなりミサイルなりが『わたし』に着弾するが、この程度ならば屁でもないんだ、これが。

 

 

【無事かね? ジュンコさん、マヘリアさんはいったん艦に帰した方がいい】

 

『……そうだね。マヘリア! 一度ラー・カイラムに戻って、応急処置を受けておいで!』

 

『わ、わかった!』

 

 

 そこへもう2つ悪い知らせが入る。甲児とカミーユ君からだ。

 

 

『ワンセブン! シローのイチナナ式は、限界が近い! いったんシグコン・シップに帰らせたい!』

 

『こちらもすまないんですが、ファの疲労が酷い。百式Rをいったん艦に下がらせたいです』

 

【どちらも了承した。いそいで帰艦させてくれ】

 

 

 しかしこれで3機、味方が戦線から減った。撃墜されたわけでは無いが、もの凄く痛い。それでもここで踏ん張らなければ、木星の人々が虐殺されてしまう。……まずい、ナラティブガンダムが被弾した。

 

 

【ヨナ少尉、損害を報告】

 

『装甲が少し削れただけです、まだやれる!』

 

【すまん。少し無理をしてくれ】

 

 

 ここでナラティブガンダムにまで下がられるわけにはいかない。A装備タイプだから、機動力で敵戦線をかき回してくれるんだ。ヨナ少尉に抜けられると、痛いどころじゃない。

 

 そして突然、戦場に閃光が(はし)った。

 

 

 

*

 

 

 

 オープン回線で、絶叫が響く。

 

 

『おおおぉぉぉ!! ハイメガキャノン、最大出力!!』

 

 

 この声は、既に遠い昔に、TVの前でよく聞いた声だ。間違いない……。彼の、名は。

 

 

 

*

 

 

 

 ラー・カイラムのブライト大佐が、叫ぶ。

 

 

『ジュドー!? ジュドー・アーシタか!?』

 

 

 ハイメガキャノンの閃光が、敵の機獣を薙ぎ払って行く。機将たちは泡を食った。

 

 

『な! そ、そんな馬鹿な!』

 

『おのれ!』

 

『やってくれたな人間ども!』

 

 

 ジュドー君の声が聞こえる。

 

 

『ブライトさんかい!? まさか、夢じゃないのか!? 木星くんだりまで、わざわざ来てくれたのか!?』

 

『ジュドー! 無事だったか!』

 

『それが、そうでも無いんだコレがさ。俺は大丈夫だけど、ΖΖが……。しばらくまともな整備ができなかった上に、俺が居たコロニーにあのデカいネジみたいのがぶつかって来やがったせいで、脱出中に飛び散った破片で損傷くらって……。

 特に電装系がヤバい。なんで動いてるのか、不思議なくらいでさ』

 

『ジュドー! 艦に下がれ! いや、ラー・カイラムよりはシグコン・シップの方が近いか!』

 

『いや、まだなんとかあと1発はハイメガ撃てる! それ撃ってからだ! いっけえええぇぇぇ!!』

 

 

 再度のハイメガキャノンが、宇宙を(はし)る。盛大な爆光が、周囲を(いろど)った。だが激高した機将ギガグルメイが、動きがガタガタのΖΖに襲い掛かる。

 

 

『このちっぽけなゴミクズの人間めがあ! よくもやってくれおったな!』

 

『ちぃっ、え? う、動けΖΖ! なぜ動かねえって、色々壊れてた! わーーー!』

 

 

 そこへ割って入った青い影。それは機将ギガグルメイが射出した両腕を、見事な拳捌きではじき返す。

 

 

『『疾風三連撃!!』』

 

『なにっ!?』

 

 

 機将ギガグルメイの叫びが響く。ΖΖと機将ギガグルメイの間に割って入ったのは、電童であった。

 

 

『ちょうど良い。ここで電童を始末してしまえば、かなりの手柄になるというものよ』

 

『そうはいくか! こっちこそてめえを潰せば、避難民が助かるんだ! さっきの醜態を、汚名挽回してやるぜ!』

 

『それは汚名返上だって! だけど、石にかじりついても、さっきの醜態は帳消しにしてやる!』

 

『『……んのぉ……やあああぁぁぁってやるーーー!!』』

 

 

ガオオオォォォウ!!

 

 

 北斗少年と銀河少年が叫んだ瞬間、ΖΖガンダムから虹色の光が分離したかと思うと、白色に変わる。そしてそこには巨大な獅子型のロボットの様な、白い機体が姿を現した。機将ギガアブゾルートが、ベガ女史が、驚きの声を上げる。

 

 

『データウェポン! やはりこの宙域に潜んでいたか!』

 

『そうか! あのボロボロのMS(モビルスーツ)が何とか動いていたのは……。データウェポンが、制御面で力を貸していたのね!』

 

『え! 何! 何なのさ! ΖΖの基本システムが、全部死んだ!? わーーー!!』

 

 

 なるほど、整備不良と螺旋城の激突でイカれたΖΖのシステムを、あのデータウェポン……レオサークルが何とか生かして、動かせる様に助けてくれてたって事か。おそらくジュドー君の『勇気』に感応したんだろう。

 そして今、そのレオサークルが見つめる先は……。

 

 

『え? お、俺を見つめてる?』

 

『銀河!』

 

『銀河君! ギア・コマンダーを使って、『ファイルセーブ』って叫ぶのよ! そしてその子の名前を呼んで! 急いで!』

 

『ベガさん……。わかった! ファイルセーブ、レオサークル!!』

 

 

 銀河少年は、レオサークルの名前を知らなかったはずなのに、何の躊躇(ためら)いも無くその名を呼ぶ。するとレオサークルが輝きに変じ、電童の胸に吸い込まれる様に消えた。

 

 

『ぎ、ギアコマンダーにレオの表示が』

 

『今よ! レオ・ドライブをインストールして! そして敵めがけて、ファイナルアタック!』

 

『お、おお! レオ・ドライブ・インストール!!』

 

『ま、まずい!』

 

 

 機将ギガグルメイが狼狽の声を上げる。武器形態に変形したレオサークルが、電童の右脚に装着された。そして北斗少年と銀河少年が、声を合わせて叫ぶ。

 

 

『『レオサークル! ファイナル……アタック!!』』

 

 

 わたしも今現在使える最後の重力子砲(グラビトン)を放つ。

 

 

『グラアアアビトオオオォォォン!!』

 

 

 真ゲッターが、必殺の技を撃つ。

 

 

『ストナアアアァァァ……サァンシャイイイィィィン!!』

 

 

 そして派手な爆炎と閃光。3体の機将は、それに飲み込まれた。……だが、まだ生きている。ぎりぎり最後の瞬間に、大型の機獣が数体、自らの身を挺して機将どもを(かば)ったのだ。

 結果、大きな傷は負ったものの三機将は生きながらえている。さっさと倒れてしまえばいいものを。

 

 

『お、おのれ……。よくもやってくれおったな!』

 

『いや、だがこれ以上はまずい。口惜しいが、撤退するぞ』

 

『なんたる無様な! 覚えて置くぞ、人間……地球人ども! だが貴様らもただでは済まんぞ!』

 

 

 機将3体と、機獣たちがあたふたと言う感じで螺旋城へと帰還して行く。そして螺旋城がゆっくりと動き出して、他のコロニーへ向けて移動を開始しようとした。なるほど、こちらにとって一番嫌な事をやる気だな。……戦う力のないコロニーを、螺旋城そのもので蹂躙するつもりだ。

 どうする? こうなれば螺旋城に乗り込んで、中枢の螺旋城AIを叩き潰すしかないか? だが、間に合うか?

 

 

『デンチ交換よ! 北斗君、銀河君!』

 

 

 ベガ女史のセルブースター2番機からハイパー電童デンチが射出され、電童のエネルギーが完全回復する。周辺の機獣が螺旋城に帰還したことで、周辺に広く散って機獣を抑え込んでいた仲間たちも、集結して来た。

 最初から近場に居たシロウとゲッターチームたちに電童チーム。それに遠くで戦っていたマジンガーチームにグレンダイザー、カミーユ君。同じく離れたところで機獣どもを掃討していたウッソ君にマーベット女史とシュラク隊。遊撃をしてくれていたアムロ大尉とシャア大佐、ヨナ少尉。いったん帰艦して補給と修理を受けていたシロー君のイチナナ式、ファさんの百式R、マヘリア女史のガンイージも戦線に復帰している。

 

 グレートマジンガーの剣鉄也が、方針を訊ねて来る。

 

 

『さて、どうするワンセブン? 俺の意見では、あのデカブツには内部に突入するしか無いと思う』

 

【同意する。『わたし』もそのつもりだった。だが『わたし』は重力子砲(グラビトン)を撃ち尽くしている。敵中枢へのとどめは、他の皆に任せるしかない。

 ……待て、何か来るぞ。全員、注意しろ】

 

『『『『『『!?』』』』』』

 

 

 全員が螺旋城へ突入する覚悟を決めたとき、戦場に突然1隻の船が現れた。それは最大速度でこちらへ突入して来る。……ジュピトリス級だ。何番艦かは判らない。だが全長2,000mにも及ぶ巨大な船体は、核パルスエンジンを全開にして螺旋城へと突っ込んで行く。

 螺旋城からは、無数のビームやミサイルが放たれる。だがジュピトリス級はどうにかこうにか、その攻撃に耐えた。オープン回線で、必死の叫び声が届く。

 

 

『木星は! わしが全てを賭けた! わしが一生をかけて開拓し、開発したのだ! 男の一生の仕事だったのだ!! それを持って行こうと言うならば、思い知るがいい、人間の業の深さを! 想いの強さを!

 木星を、ただではやらぬ! これ以上1人たりとて、木星の民の命はやらぬ! 代価を、高い対価を、払ってもらおうか!!』

 

『ドゥガチ総帥!!』

 

 

 ブライト大佐の驚愕の声が響いた。クラックス・ドゥガチ木星公社総帥!? なんであの人が……。

 

 そしてジュピトリス級が、今まさに3バンチコロニーの残骸から離れようとしていた螺旋城に特攻し、螺旋城の巨体を自身の巨体をもってして、3バンチコロニー残骸に押し付ける。ジュピトリス級の船首が砕け散った。

 それと同時に、木星の各コロニーに装備されていた核パルスエンジンが、次々に噴射炎を噴き上げる。3バンチコロニーを脱出していた避難民たちは、既に他のコロニーに辿り着いていた。ゆっくりと、全ての木星コロニーが動き出し始める。その速度は、徐々に上がって行った。

 

 だが、このままではまずい。『わたし』は全速力で、突っ込む。その一瞬、ノイズだらけの映像で、血まみれで側近に支えられたドゥガチ総帥の姿が見えた。側近たちも血まみれで、覚悟を決めた顔をしている。

 

 

カッ!!

 

 

 そしてジュピトリス級は大爆発を起こした。それは3バンチコロニーの残骸と、それにくっついていた核パルスエンジンを巻き込んで更なる大爆発を誘発する。

 そして爆発が収まった後には、大きく傷つき、しかしながら未だ健在な螺旋城が残された。螺旋城からは、先ほど撤退したはずの機獣たちが再出撃して来る。いや、それどころでは無い数……。無数の、それこそ無数の機獣が螺旋城の周囲に陣を張った。

 

 しかしそれらは、こちらに攻撃を仕掛けては来ない。傷ついた螺旋城を護ることに専念しているのだ。

 

 

『『『『『『ワンセブン!!』』』』』』

 

【大丈夫。大丈夫だ】

 

 

 まあ、なんとかかんとか大丈夫とは言えど、体中あちこちの損傷部位に、バチバチとスパークの火花が散っている。けっこうな損傷ではある。その『わたし』の腕には、『わたし』が間一髪もぎ取って来た、ジュピトリス級の艦橋(ブリッジ)が抱えられていた。

 うん、さっき突進して、艦橋(ブリッジ)だけもぎ取って、爆発直前に脱出して来たんだ。と言うか、ちょっと爆発に巻き込まれて損傷(おおけが)負ったけど。ちなみに生命反応は艦橋(ブリッジ)にしか無かった。こんなでかい船、短時間とは言えほぼ全自動で動かせるんだ。すごいね。

 

 ドゥガチ総帥の声が、接触回線で聞こえて来る。

 

 

『な、何故だ。何故死なせてくれなかった! わしは死んでも良かったのだ! 一生を賭けた木星が、この様なやつらに蹂躙され、奪われてしまうのを見るくらいならば、せめて一矢報いて死にたかったのだ……!!』

 

『総帥閣下……』

 

 

 ちょっと負担だが、わたしもテキストメッセージではなく音声で語り掛ける。

 

 

『貴方は生きなければならない。貴方には、貴方にしかできない仕事がある。木星市民の生き残りたちを導く事もそうだ。そして木星を取り返した後に、木星を復興させるのも、貴方以外の誰にできると言うのか。

 地球圏の者たちには、我々を送り込んでくれた者の様な、素晴らしい人もいる。だが、どうしようもないクズやクソ野郎、ゴミカスも多いのは、貴方も知っているだろう。前者と力を合わせ、後者に騙されず、木星を再び復興させ、そして後継者を育成する』

 

『!!』

 

『できるできないではない、やるかやらないかだ、とは良く聞く言葉だ。だが厳然とした事実として、貴方以外に誰ができる。木星市民たちを、命を賭して脱出させた、貴方以外に誰がいると言うのだ』

 

『……ふ、ふふふふふふ、ふはははははは! そこまで、そこまで言われてはな! 貴様、いや貴公はもしや人工知能(AI)ロボットではないのか? 側近の者の言う事には、人が乗っておっては先ほどの様な機動は不可能だとの事よ。人工知能(AI)ロボットならば、説明はつく!

 しかし、その言い様、我らと同じ、熱い魂を感じざるを得ぬわ! 貴公の名を、貴公より聞きたいのう』

 

 

 そして『わたし』は答える。

 

 

『『わたし』の名は、『大鉄人17(ワンセブン)』。かつて人類が世界の害になると計算し、人類を滅ぼさんとした(スーパー)コンピューター『ブレイン』により、その先兵として生み出され、そして人類を護らんが為に創造主『ブレイン』を打倒(うちたお)した反逆者だ』

 

『よかろう、わしが命ある限り、覚えて置こう。偉大なる反逆者、人類の守護者、『大鉄人17(ワンセブン)』よ』

 

 

 流石に『わたし』はボロボロなので、シグコン・シップの方で迎えに来てもらう。ジュピトリス級の艦橋(ブリッジ)をその船倉に格納すると、わたしは甲板の上にへたりこんだ。

 ブライト大佐の声が聞こえる。

 

 

『……木星スペースコロニー群は、既に速度に乗った。作戦は成功。大きな犠牲は払ったが……。我々は追撃に注意を払いつつ、これより木星圏を撤退する』

 

『『『『『『了解!』』』』』』

 

 

 電童がジュドー君のΖΖガンダムを曳航して、シグコン・シップへ戻って来る。機動部隊の面々も、各々の母艦へと帰艦した。そして真ドラゴンを殿(しんがり)にして、艦隊は木星圏の離脱軌道を取ったのである。




本当は、特攻って好きではありません。いえ、大嫌いです。艦を爆発させるくらいなら、最初から爆発して相手にダメージを与える様に作られているミサイルを撃ちこんだ方が、費用対効果の面からも効果的だと思いますし。艦は自分の爆発でダメージを与えるようには設計されてはいないはずなのです。

ですので、ドゥガチ総帥にはかっこよく死んでもらわないで、生き延びてもらう事にしました。彼にはこれからも政治闘争が待っています。

で、北斗と銀河。本当はもっとヤバい残酷なモノを見せつけられるシーンを用意していたのですが、『ありゃ? これだと娯楽作品からはるか遠くなるんじゃね?』と、ぎりぎりで思いとどまった次第であります。そんなヤバいモノを見たら、そう簡単に復活できないでしょうし。

で、ジュドーとΖΖガンダム。ΖΖはけっこう酷使の上にダメージ山盛りで、かろうじて動くと言ったところでした。特に電装系がヤバかったのですが、データウェポン・レオサークルがジュドーの『勇気』に感じ入り、制御を裏からこっそり手伝ってくれました。
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