大鉄人戦記   作:雑草弁士

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第025話:不死鳥のごとく

 マジンガーチームとグレンダイザーが、凰牙に連続して斬りかかる、撃ちかかる、殴りかかる、突きかかる。だが凰牙はそれらを腕のタービンで受け流し、ぎりぎりで見切って(かわ)し、あるいは耐えきり、あるいは弾き返す。ユニコーンドリルを取られた事で動揺はしていても、流石は凰牙だと言えよう。

 更に真ゲッター2がゲッタードリルで突きかかるが、凰牙は再度のイリュージョンフラッシュでいなし、反撃の蹴りで真ゲッター2を吹き飛ばす。その間『わたし』は電童を護り、これまでの戦いで消耗したデンチを交換させていた。

 

 

『北斗君、銀河君! デンチ交換よ!』

 

『はい! ベガさん!』

 

『ありがてえ!』

 

 

 そして凰牙は、武器形態のバイパーウィップが装着された左腕を振り上げる。狙いは電童だ。

 

 

『バイパーウィップ……ファイナル! アタック!』

 

 

 だが電童もまた、既にデンチ交換は完了し、戦闘準備は整っている。そして電童もまた、右腕に武器形態で宿るユニコーンドリルを駆動。

 

 

『『ユニコーンドリル! ファイナルアターック!!』』

 

 

 雷を(まと)ったバイパーウィップが、凰牙左腕より射出され、超高速で電童に迫る。高速回転するユニコーンドリルから、光の渦が発生し、強烈なビームと化して凰牙へと迫る。

 2つのファイナルアタックは、電童と凰牙の中央で衝突した。ほんのわずか、2つの威力はそこで拮抗する。しかし次の瞬間、バイパーウィップが押し負けて光の渦のビームが凰牙に直撃した。

 

 この結果は、凰牙のデンチが消耗していたのに対し、電童のデンチが交換直後でフル充電であった事が理由だろう。ただしそれでもバイパーウィップの威力はたいした物で、ユニコーンドリルのファイナルアタックは、威力を相当に減衰させられていた模様だ。

 とっさにガードの姿勢を取った凰牙は、大きくダメージを負ったものの、稼働には影響は無さそうである。操縦士(パイロット)であるアルテア……。名前は実はまだ教えてもらっていないのだが、奴は語る。

 

 

『フン、さすがの威力よ。今日の所はこれまでとするが、だが覚えて置け! レオサークルとユニコーンドリル、2つのデータウェポンは必ずや貰い受ける! そしてそのGEAR、電童もまた! それまで怯えて過ごすがよいわ!

 我が名はアルテア! 貴様らを地獄へ送る者の名だ! さらばだ!』

 

『ま、負け惜しみを!』

 

『ベガさんっ! もっかいデンチくれっ!』

 

『わかったわ! 受け取って!』

 

 

 電童に新品のデンチがセットされる。だが一瞬早く、凰牙は飛翔した。その行く手に突然、透明感のある材質で出来た巨大な戦艦が出現する。アニメ知識ではアレは、アルテアの母艦であるアルデバランであった気がするんだが……。しかしこの世界では何と呼ばれているのかは、不明なままである。

 そしてアルテアの母艦は、アルテアの帰艦を援護すべく機獣の群れをばら撒く。それはザンスカール、ゾルタン隊(仮)、ネオ・ジオンの自称ミネバ派、そして我々の区別なく、襲い掛かって来る。アルテアの母艦は、そのまま姿を消した。

 

 

『冗談ではない!』

 

『ええい! インコム! ファンネルッ!!』

 

 

 シャア大佐とカミーユ君が、次々にガルファ機獣を叩き落とす。特にカミーユ君のサイコΖガンダムは、追加した武装であるインコムとファンネルを駆使して、八面六臂の活躍を見せる。

 ちなみにサイコΖガンダムの大型ファンネルは、合計4基と少数だけの搭載だ。大型だけあって、かなり長時間の稼働が保証されている。一方のインコムは、これは敵が強力なNT(ニュータイプ)や強化人間であった場合の事を考えての武装だ。有線であるインコムは、無線であるファンネル類に比して、攻撃意図の『(ライン)』が『()』えづらいと言う話を聞いたので、載せてみたのである。

 

 一方で、アムロ大尉とジュドー君、そしてシロウはゲドラフやコンティオ、ゾロアットと言ったザンスカール帝国のMS(モビルスーツ)を撃墜して回っている。アムロ大尉が苛立たし気に叫んだ。

 

 

『くそ、ガルファが、外宇宙からの侵略者が目の前にいるんだぞ!? にもかかわらず、こちらを目の(かたき)にして!』

 

『ガルファ倒す間ぐらい、協力しようって気には……。ならないんだろうな、こいつらはっ! っと!』

 

『仕方ねえよ、アムロ大尉! ジュドー! もう俺ぁ、割り切ったぜ! こいつらは『そういう』奴らだって、よぉ!!』

 

 

 ジュドー君のジェダが、ちょっと苦しそうだ。だが流石にシロウのヒュッケバインNextはおろか、アムロ大尉のリ・ガズィBWSにも及ばない機体だとは言え、よくやっている……。

 

 そしてシャア大佐のリ・ガズィが、バックウェポンシステムを切り離した。そのバックウェポンシステムはそのまま真直ぐ飛ぶと、自称ミネバ派のギラ・ドーガを狙ったビームの射線に割り込んでそれを防ぎ、破壊される。

 ビームを撃ったMS(モビルスーツ)、シナンジュ・スタインがゾルタンの声で、オープン回線でわめく。

 

 

『なーにしてくれちゃってんですかねえ!? 邪魔するんなら、そっちから()ちろってもんだよなあ!?』

 

『なんだ? この念は……。強化人間、なのか?』

 

 

 シャア大佐はMS(モビルスーツ)形態になったリ・ガズィでシナンジュ・スタインとドッグファイトに入る。そして唐突に、ゾルタンが『切れ』た。

 

 

『……その動き、見たことがあるぜ。何度も、何度も、こうなれ、この様になれって……。まさか、てめえ、もしや! 生きて、生きていやがったのかあああぁぁぁ!?』

 

 

 次の瞬間、シナンジュ・スタインの機体のあちこちから、ゾルタンの激怒に感応したのかサイコフレームの輝きが漏れ出す。シャア大佐のリ・ガズィもまた、バイオセンサーが全開稼働し、機体をうす紅い光が取り巻いた。

 

 

(生きて、生きていやがったのか、赤い彗星のシャアあああぁぁぁ!! なんでてめえ、生きていやがる!? なんでてめえ、姿を消しやがった!? てめえのせいで、俺は、俺は、俺はあああぁぁぁ!!

 身体を切り刻まれ、心を切り刻まれ、あげくに失敗作だとよ! ぜんぶてめえのせいだ! 失敗作だって、失敗作にだって、傷つく心はあるんだよ!)

 

(ゾルタン・アッカネン? おまえの、名前、か。『赤い彗星』の再来を生み出す計画の……失敗作か。不幸中の幸い、だな。成功作などにならなくて)

 

(て、てめえ!? てめえがそれを言いやが……)

 

(幸いだ、と言っているのだ! このような、存在そのものが間違いであった男の、似姿になどならなくて! わたしは結局、何も残せなかった! 何も為せなかった! 人々を導くこともできず、あげくにやったのは、明らかに間違いであったアクシズ落としだけだ!

 しかもそれすらも完遂できずに! 宿命と思っていたライバルとの決戦にも完全敗北し! 世界に害悪と混乱を振り撒いただけの迷惑な男でしか無かったのだ! 『赤い彗星』の名に、そんな価値は無い! そのような男の複製(コピー)品になど、なるものではない!)

 

 

 血を吐く様な、両者の叫び。ゾルタンとシャア大佐は、凄まじいドッグファイトを繰り広げながら、思念で語り合っている。……何故だ? 何故『わたし』には『その声』が『聞こえ』る?

 そして『わたし』は気付いた。『わたし』の体内にある、サンプルとして体内工場で生産してそのまま保管していた、『サイコフレーム資材』が反応している。何に反応しているのだ? まさか、『わたし』の意志に、か!?

 

 シャア大佐は思念で叫ぶ。絶叫する。

 

 

(目を覚ませ! おまえには、『価値がある』! 『赤い彗星』などという虚名を掲げる必要すらも無い! 『わたし』のコピーではない、ただそれだけで! おまえには『価値がある』んだ! 『わたし』の何倍も! 何十倍も! 何百倍も!!)

 

(てめえ自身に価値が無いと思ってるやつから、言われてもなあ! ゼロは何倍したって、ゼロだろうがよ!! 人は解り合えない!! こんな能力を持っていようが、持っていまいが、関係ねえ! 人は解り合えないんだ!!)

 

(絶望するな!)

 

(絶望してる奴に言われたか、ねえってんだ!!)

 

 

 ゾルタンには、その声は届かない。

 

 その一方で、カミーユ君のサイコΖガンダムとシロウのヒュッケバインNextも、その力を発動しようとしていた。

 

 

『うおおおあああぁぁぁ!!』

 

『だらああああああぁぁぁっ!!』

 

 

 カミーユ君のサイコΖガンダムは、ウェーブライダー形態に変形するとサイコフレームの放つ輝きに包まれ、まるで何処ぞのまだ未登場MS(V2ガンダム)みたいな光の翼を広げつつ、敵中を突っ切って行く。それに触れたゾロアットもゲドラフもコンティオもアマルティア級戦艦も、そして当然ながらガルファ機獣も吹き千切られて爆散する。

 シロウのヒュッケバインNextは、装甲のあちらこちらから蒼碧(あおみどり)色の輝きを漏らしている他は、一見変わりなく見える。いや、見えた。次の瞬間ヒュッケバインNextは、今までが嘘の様な凄まじい速度で宇宙を駆ける。左手に握ったグラビトン・ライフルが、凄まじい速度で連射された。更に右手に持たれたビーム・ソードの刃が、今までの数倍の長さと太さの輝きを放ち、敵の戦艦を真っ二つに断つ。

 

 ヒュッケバインNext……。間違いない、ブラックホール・エンジンが稼働、それも安定的に稼働している。サイコフレームがシロウの念を受けて、ブラックホール・エンジンのプロテクトを外し、正常に稼働させているのだ。

 うん。シロウにブラックホール・エンジン稼働時のヒュッケバインNext、シミュレーターで訓練させておいて良かった。普通だったら確実に振り回されていただろう。

 

 この分なら、どうにか……。そう思った時だった。

 

 

 

*

 

 

 

 ヨナ少尉の戸惑った声が聞こえた。

 

 

『えっ……。な、なんだ!?』

 

 

 そしてそのA型装備の機動力をもってして、敵を撹乱(かくらん)し続けていたナラティブガンダムの、動きが変わったのである。

 ヨナ少尉が叫ぶ。

 

 

『なっ!? や、やめろ!! それは敵じゃな……。だ、め……。』

 

 

 ナラティブガンダムは、シロウのヒュッケバインNextに向けて、ハイ・メガ・キャノンを撃ち放つ。ヒュッケバインNextは、だが軽々とその射線を(かわ)す。シロウが怒鳴った。

 

 

『なにやってやがる! 標的を見やがれ!』

 

『倒さ……な、い、と……。()とさ、な、けれ、ば……。リ、タ、が……』

 

 

 そしてナラティブガンダムは、次にシナンジュ・スタインに目標を定める。凄まじい勢いで突進したかと思うと、機体の両脇に伸びたフレームの先端から大型のビームサーベルを伸ばし、斬りかかる。

 シャア大佐とのドッグファイトに集中していたゾルタンだったが、しかし機械が勝手に攻撃した程度の動きは軽々と避けてみせる。その思念が叫ぶ。

 

 

(邪魔だっつってんだろぉ!?)

 

 

 シナンジュ・スタインの放ったビームが、ナラティブガンダムに至近弾になる。若干の損傷を受けたナラティブガンダムだが、その動きは止まらない。次の目標はサイコΖガンダムの模様だ。サイコΖガンダムの飛翔する後を追うナラティブガンダムだったが、サイコΖガンダムには追い付けない模様で、置いて行かれた。

 そしてナラティブガンダムの次の目標になったのは、アムロ大尉のリ・ガズィBWSだ。

 

 

『何をしている! 操縦士(パイロット)から制御を奪っているのか!? いや、それどころか操縦士(パイロット)を操ろうと!』

 

 

 ……『わたし』は、この手の挙動を取るシステムに、心当たりがあった。前世の知識はこの世界での確証が無い限り、使いたくはなかったんだが。だが、そうも言っていられない。このシステムは、EXAMシステム、もしくはNT-Dシステムではなかろうか。

 『わたし』は急ぎ、マジンガーチームとグレンダイザー、ゲッターチーム、シュラク隊、マーベット女史、電童チームにテキストメッセージを送った。共通点は、NT(ニュータイプ)能力を持たない事、だ。

 

 

【ナラティブガンダムが、暴走している。おそらく対ニュータイプ用OSの類が積まれていたと思われる。君たちは手を出さない限り狙われる事は無いはずだ。

 故に、マジンガーチーム、グレンダイザー、ゲッターチームは車弁慶少佐指揮下に入り、ザンスカール及び偽の『袖付き』、そしてガルファ機獣を撃破してくれ。シュラク隊とマーベットさん、それに電童チームは手分けをして味方艦の直掩だ。第42独立戦隊も、ミネバ派ネオ・ジオンも、いい加減に機動部隊は限界が来ている】

 

『こちら弁慶、了解だ。お前さんはどうするんだ、ワンセブン』

 

【『わたし』の体内には、サンプル品のサイコフレーム資材がそのまま積まれていた。それが何かしらナラティブガンダムの行動に影響する可能性がある。故に、『わたし』もナラティブガンダムの抑えに回る】

 

 

 続けて『わたし』は、残りのNT(ニュータイプ)能力持ちの面々にテキストメッセージを送ろうとした。だがそれに先んじて、ウッソ君、カミーユ君が叫ぶ。

 

 

『なんだ!? 何か、何か来ます! 気を付けて!』

 

『敵意は無い! だけど!』

 

 

 金色の輝きが、宇宙を()んだ。誰もが、『それ』に一瞬目を奪われる。『それ』は進路に居たガルファ機獣やザンスカールのMS(モビルスーツ)を一瞬で粉砕すると、ナラティブガンダムの前に停止する。……『それ』は金色のユニコーンガンダム、だった。

 ラー・カイラムから、叫び声にも似た通信が走る。

 

 

『ヨナ! それを、フェネクスを捕えて!』

 

『ミシェルさん、今は戦闘中だ! 控えていてもらおう! それにナラティブガンダムは今、暴走中だ!』

 

『そちらとルオ商会の契約では、フェネクスを捕えるのは……』

 

『時と場合を考えろと言っている! ましてやナラティブに積まれていた暴走を誘発したシステム、アレはなんだ!? 必要とあらば貴女を拘束して、直接ルオ商会と話をつけるぞ!』

 

 

 ブライト大佐の怒声が響く。そしてナラティブガンダムが、動きを止めた。ヨナ少尉の声が聞こえる。

 

 

『り、リ……タ……』

 

 

 ナラティブガンダムのハイ・メガ・キャノンに光が宿る。そしてフェネクスと呼ばれた金色のユニコーンガンダムに向け、その光芒が放たれる。

 

 

『リ、タ、アアア、アアアアアアァァァ!』

 

 

 ぎりぎりで、ナラティブガンダムのハイ・メガ・キャノンは目標を外れた。たぶん、いや間違いなく、ヨナ少尉が狙いを逸らしたのだ。そしてナラティブガンダムの暴走は停止する。それどころか、見た限りでは全てのシステムが落ちている模様だ。

 

 それと同時に、グレンダイザーのスクリュークラッシャーパンチによって、最後のアマルティア級戦艦が沈む。ザンスカールの部隊は、今や全て撃墜されていた。ガルファ機獣の姿も、もう無い。

 次の瞬間、フェネクスはスラスターを全開にし、サイコフレームの輝きを残して現宙域を超高速で離脱して行く。

 

 シナンジュ・スタインが、オープン回線でぼやいた。

 

 

『しらけちまったよ。おい! 撤退だ! あーあ、ったく』

 

『『『『『『りょ、了解!』』』』』』

 

 

 ゾルタンの率いる偽『袖付き』部隊は、この宙域を離脱して行く。だがゾルタンは、最後に捨て台詞を残して行った。

 

 

『おい。てめえは俺が殺す。覚えて置くんだぜぇ?』

 

『……』

 

 

 言われたのは、やはりと言うかシャア大佐だ。だがシャア大佐は、返答を返さない。ゾルタンもそれを期待してはいなかったらしく、スラスターを全開にして去って行った。

 

 こうして戦いは終わった。しかしこの戦いは、色々な意味で後に尾を引きそうである。まずは『わたし』はブライト大佐に了解を取り、稼働停止したナラティブガンダムをシグコン・シップに運び込む事にした。理由はシグコン・シップであればラー・カイラムよりも詳細な調査が出来るからだ。

 特にOS周りのシステムは念入りに調査が必要だろう。正直、比喩的な意味合いではあったが、頭が痛かった。




今話にて、ちょっと大事なことがありました。ヒュッケバインNextのブラックホール・エンジン起動? それも大事ですね。サイコΖガンダムの超パワー的なアレ? それも大事ですね。ゾルタン様とシャアの対話? それも大事ですね。

でも、こっそりそこはかとなく、とっても大事だったのが……。ワンセブンが体内工場で製造して体内に貯蔵してたサイコフレーム資材が、『ワンセブンの意志』に反応した事です。……ワンセブンの更なる魔改造フラグが、今ここに!
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