大鉄人戦記   作:雑草弁士

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第034話:ゴップ議長の私邸にて

 ふむ、ようやくの事で満足行く小型の意識端末が完成した。これで『わたし』もゴップ議長の私邸に赴く事ができる。

 

 

「お、ワンセブン。完成したのかよ」

 

『ああ、シロウ。基本はハロなんだがね。中身は全く違う。『わたし』の意識端末としての機能を中心に、色々と詰め込んであるよ』

 

「へぇ……。なんか、ヤバい機能まであるんじゃねえの?」

 

『流石にゴップ議長の私邸に行くための機体に、それは無いな』

 

「なんだ。前面にある『17』マークが開いて、そこからミニ重力子砲(グラビトン)でも撃つのかと思ったぜ」

 

 

 うん、考えなかったと言えば嘘になる。だがそのサイズだと、結局威力はびっくり箱程度になってしまうからね。

 さて、視点を本体の『(センサー)』に戻してシグコン・シップの右後方を見遣れば、そこには両舷にゴラオンとグラン・ガランを無理矢理に連結した真ドラゴンが、他のオーラ・シップを置いて行かない程度の速度に抑えて飛翔しているのが見える。うん、ゴラオンとグラン・ガランがちょっと遅すぎたんで、真ドラゴンに運ばせているんだ。うん。

 

 やがてアフリカ大陸北西部の海岸線が、遠くに見えて来た。やれやれ、あとほんの少しだな。いよいよゴップ議長との面談か……。口腔も気管も肺も横隔膜も無いんだが、溜息が出そうだった。

 

 

 

*

 

 

 

 ダカールの海上に艦を浮遊させ、『わたし』たちはヘリコプターでダカールに上陸した。そこでキャンベル大将と合流、挨拶の後に送迎のリムジン数台に分乗し、ゴップ議長の私邸へと向かう。公邸ではなく別に構えている私邸だと言うのは、公の面談では無いという事だろうか。それとも単に我々に気を遣ったのだろうか。まあ、考えても分らんものは分からんな。

 

 ゴップ議長の私邸に到着する。それはけっこうな豪邸と言えるレベルの物であった。玄関口までリムジンで入り、そこで我々は降車。皆の表情は硬い。例外はシーラ女王陛下ぐらいな物だろうか。彼女はいつも通り、冷静な平然とした表情をまったく崩していない。

 

 そして『わたし』たちは応接室へと通された。お茶とお茶菓子を供され、少しの間だけ待たされる。やがてSPらと共にゴップ議長が入室して来た。一同は立ち上がって礼をしようとするが、それをゴップ議長が制する。

 

 

「ああ、いや。そのまま、そのまま。どうかゆるりとして欲しい。さて、わたしも掛けさせてもらおうかな」

 

「は、はあ……」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「では、その様に……」

 

『……了解』

 

 

 各々が各々、短く返答する。そしてゴップ議長は、小さくシーラ女王陛下、エレ女王陛下に礼をすると口を開く。

 

 

「さて、此度はシーラ・ラパーナ女王陛下、エレ・ハンム女王陛下にはご機嫌麗しゅう。キャンベル大将も、ご苦労だったね。ノア大佐、車少佐も、色々と大変だがこれからも頑張って欲しい。そしてワンセブン……君、だったな。君には感謝しているよ」

 

「ありがとうございます」

 

「「「はっ! ありがとうございます!」」」

 

『こちらこそ、議長の尽力には感謝している』

 

 

 とりあえずエレ女王陛下、キャンベル大将、ブライト大佐、弁慶が礼の言葉を述べ、『わたし』もそれに倣う。シーラ女王陛下もまた、礼の言葉を述べるが、それにはちょっとしたオマケがくっついていた。

 

 

「ありがとうございます。ですがその様に(かしこ)まらないでくださいませ。……エレ女王陛下とも事前に話し合いましたが、わたくしたちはそちらからすれば、唐突にあなた方の世界に出現した、巨大な武力を持った単なる武装勢力。わたしとエレ女王陛下は、単にその武装勢力のトップに居るだけの小娘でしかありませんわ」

 

「し、シーラさま! い、いえ失礼を!!」

 

 

 随伴してきていたグラン・ガラン艦長のカワッセが、泡を喰った様に叫びかけるが、必死に自制する。ゴラオン艦長のエイブも目を見開きかけるが、だが瞑目して自身を落ち着かせている様だ。

 エレ女王陛下は、小さく溜息を吐く。しかし何も言わない。彼女が女王に即位したのはバイストン・ウェルからこの世界に追放される直前の事であり、女王としての経験はあまりにも少ない。故に、事前に聞かされた話ではシーラ女王陛下に全て任せる事になっているらしかった。

 

 

「ご自分を卑下されるものではありませんぞ?」

 

「いえ、事実を申したまでです、議長閣下。それでも閣下はわたくしたちに、何がしかの利用価値を見出しておられると存じあげます。ですがわたくしたちは若輩の身。そちらが何をこちらに望んでいるのか、考える材料が足りない事もあり、想像が付きません。

 どうか願わくは胸襟(きょうきん)を開いて語り合い、お互いが協力できるところを見つけ出して、力を合わせてこの苦境を乗り切る事ができれば、と思っております」

 

「ふふふ、ですからそう卑下されるのは、やめにしていただきたい。わたしはそちらに対し、利用価値を見出しているのは確かです。つまり、あなた方は『単なる武装勢力の長』どころでは無いのですよ。たとえ自らの王国から時空の壁、次元の壁により切り離された放浪者であろうとも。

 そう、こちらが敬意を表し、協力を仰ぎたいほどには、あなた方には価値がある。その理由を、お話ししましょう。……彼を呼びたまえ」

 

「はっ!!」

 

 

 ゴップ議長の言葉に、SPにまぎれていた秘書の1人が動く。彼は壁のインターホンに何事か話し掛けていたが、やがてこの部屋に、別の1人の男が姿を見せた。スーツ姿のその男を見て、驚きの声を上げたのはエイブとカワッセだ。

 

 

「なっ!?」

 

「ぜ、ゼット・ライト!?」

 

「エイブ! そ、それは本当なのですか!?」

 

「ま、間違いありませんエレ様! 絵姿で見たことがありまする!」

 

「……ワンセブン、どっかで聞いた気がするんだが。誰なんだ?」

 

 

 弁慶が小声で『わたし』に問いかける。一見ハロの姿をした『わたし』の意識端末に話しかけると言うのは、ちょっとアレに見えるかも知れないな。

 

 

『ゼット・ライトはオーラ・マシンの開発者であるショット・ウェポン配下の技術者だ。ちなみにショット・ウェポンはドレイク・ルフトの懐刀でもあるんだが、『わたし』の不確定情報によれば、自身で権力を握る事を画策しているな。

 更にこれも『わたし』の不確定情報ではあるが、オーラ・マシンの開発にはゼット・ライトの貢献がかなり大きかった、いや、システム面での根幹は全て彼が作ったと言って良いはずだ。だがロボットとしてのガワを作ったに過ぎないショット・ウェポンにその功績を全て掠め取られて、ショットの下で苦労してたはずだが』

 

「よく知ってるな、そこの玉っころは……。だが、今の俺は議長閣下の『犬』だ。もう、奴ともドレイクともオサラバした」

 

「「「「!!」」」」

 

 

 エレ女王陛下、シーラ女王陛下、エイブ、カワッセが目を見開く。流石にシーラ女王陛下でも、この情報は驚きであった模様だ。シーラ女王は、ゼットに問う。

 

 

「ショット・ウェポンはどうしたのです」

 

「奴は……。奴と奴の女であるミュージィ・ポーは……」

 

 

 ゼットは言い淀む。その顔に冷や汗が流れ、少し身を震わせていた。……もしや、消された、か?

 と、ここでゴップ議長が言葉を(つむ)いだ。

 

 

「ショット・ウェポンは、最初わたしに売り込みをかけて来たんだ。自身の技術開発力と保有戦力、そして自身の政治的な能力を商品にして、ね。……だがね。

 わたしは同類を見分ける鼻が利くんだよ……。彼は典型的な、人民に寄生する寄生虫だ。わたしと同じく、ね」

 

「……」

 

「わたしと彼が、致命的に違う点は……。人類を愛しているか、否か、それだけだ。そして彼は、彼の思惑は、わたしを踏み台にして自身がこの世界で栄達する事、だ。だが彼は人類を愛していない、いや憎んですらいる。彼と関わりが無いはずの、この世界の人類をも、ね。

 彼に力を与えたならば。彼は枯死するまで人民、人類から全てを吸い上げ尽くすだろう。馬鹿な話だ。宿り主を愛さない寄生虫が迎えるのは、宿り主の死による自身の滅びだ。いや、奴はそうなったら別の宿り主に移る気かも知れんな」

 

 

 そしてゴップ議長は、真摯な瞳で重々しく言った。

 

 

「そんな事が、許せるか」

 

 

 沈黙がその場を支配する。だがしばし後に、キャンベル大将が口を開いた。

 

 

「不愉快な男の話は、このぐらいにいたしませんか。もう、『いない』のでしょう? その男は」

 

「そうだね。キャンベル君の言う通りだ。さて、わたしが両女王陛下に願う事は、大きく3つです。

 1つ、『あなた方の戦力を、ザンスカール、インベーダー、ガルファ、その他人類を害し得る各種勢力へ対抗する力として、お貸し願いたい』こと。2つ、『あなた方のオーラ・マシン関係の技術者半数を、オーラ・マシン及びオーラ(ちから)研究目的で当方に派遣願いたい』こと。3つ、『技術者半数を派遣いただいた代わりに、こちらから科学者、技術者をその代替として派遣するので、受け入れて欲しい』こと」

 

 

 ……なるほど。ようやくゴップ議長の狙いが分かった。彼の狙いは、オーラ・マシンをこの世界で自力生産する事、だ。いや、それだけではない。それはあくまで表面的な事だ。

 彼の本当の狙いは……。オーラ(ちから)を……単価が極めて安く、しかも良質で、更に無尽蔵に近いこのエネルギーを、ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉の代替物として欲しているんだな。

 

 なるほど、一般の電気自動車(エレカ)や家庭用の電化製品など等が、現在の電力使用の物からオーラ・マシンに置き換われば……。必要な電力は大幅に削減できる。ヘリウム3が、それほど要らなくなる。場合によっては、ヘリウム3の民間使用分を全て光子力とオーラ(ちから)に置換できるかも知れない。

 そうすれば、木星圏の奪還が多少なら遅れても、どうにかなる可能性は高い。そして当面は、ザンスカールへの攻勢に全力を注ぐことが可能になる。その前に、ドレイク軍やビショット軍の問題があるが。

 

 

「オーラ・マシン、オーラ(ちから)の研究……。幸いにもゼット君という人材が転がり込んで来てくれたが、ね。1人では絶対的にマン・パワーが足りない。いざとならば、最悪の場合戦力は要らぬ。しかしながら、技術者の相互派遣は何としても呑んでいただきたい。

 ……エレ女王陛下。何か言いたげだが、言いたいことは仰っていただけないだろうか?」

 

「あ……」

 

 

 エレ女王陛下は一瞬視線をシーラ女王陛下に向ける。シーラ女王陛下は、頷いて見せた。ここは胸襟(きょうきん)を開いて語り合うという姿勢を取るためにも、言わせてしまった方がいいだろうと、『わたし』も思う。

 そしてエレ女王陛下は話しだした。

 

 

「……オーラ・マシンは悪の存在です。悪意を増幅する存在です。オーラ・マシンがバイストン・ウェルに広まった事により、かの地では戦乱の嵐が吹き(すさ)びました。議長閣下は、この地でもその過ちを再生産しようと仰るのでしょうか」

 

「反論させていただいても、良いだろうか。オーラ・マシンは悪意を増幅する機械であるかも知れない。しかしそれは、この世界のMS(モビルスーツ)を始めとした兵器にも言えること。この地では、血で血を洗う戦乱が絶えなかった。

 しかし、この地にはオーラ・マシンなど無かった。いや、MS(モビルスーツ)など無かった時代に於いても、戦乱は時折起こり、途絶え、また起こった。違うのですよ。オーラ・マシンが悪なのではない。それを使う人類の心そのものに、悪は潜んでいるのだ。そしてオーラ・マシンではなくとも剣や矛であっても、いや、握りしめた単なる拳ですらも。それは悪意を増幅するのです」

 

「!!」

 

「武器を放棄すれば、戦乱は起こらない? 幻想だ。ファンタジーだ。人類は、たとえ拳と棒きれと投石だけでも戦を起こす事ができる。悪意を持つことができるのです。……そして今ここで武器を放棄すれば、人類は踏みにじられる。それぐらいであるならば、わたしは、わたしたちは、自らの悪意を制御できる可能性に賭けて、武器を手に取る。

 ブライト・ノア大佐」

 

「はっ!?」

 

 

 唐突に話を振られたブライト大佐が、多少焦った顔つきで声を上げる。ゴップ議長はにっこりと微笑んで言った。

 

 

「わたしと、わたしの協力者たちは、今現在ジオン共和国や姿を隠しているミネバ・ラオ・ザビ殿下と交渉し、サイコフレームの研究開発と使用を禁じる協定の執行停止を提案している。外宇宙からの侵略に対し、人類の手に余るからと言って力を放棄し、それ故に敗北する愚は犯せない。

 ……好きにやりたまえ。ブライト・ノア准将」

 

「はっ! あ、い、いえ。わたしは大佐ですが」

 

「今、軍の方にも根回し中だ。だが事実上、本決まりだとも。辞令が下りるのを、楽しみにしていたまえ」

 

 

 ブライト大佐は近いうちに昇進、我々の艦隊の提督に就任、か。そうなると、今の副長メラン中佐がラー・カイラム艦長かな? そしてブライト大佐が『わたし』のサイコフレーム関係の開発を黙認していたのは、バレていたか。サイコΖガンダムの戦闘記録でも、()られたかな?

 ゴップ議長は改めて、2人の女王陛下に向き直った。

 

 

「そして我々からそちらに提供できる物ですが。まず戦闘報酬としての連邦通貨。これは当然ですな。そして食料、弾薬、その他必要な物資のほぼ無制限での供給。そして更には。

 現在補修が進んでいる、中古の開放型スペースコロニーを、お二方に1基ずつ2基。根回しは、済んでおります。名前は『ナ』でも『ラウ』でも、お好きなように」

 

「「「「「『!!』」」」」」

 

「……」

 

 

 その場のほぼ全員が、絶句した。スペースコロニー2基は、椀飯振舞(おうばんぶるまい)だろう。まあ、現行の法の中で地球上に土地を与えるよりは、ハードルは低い、か? だがシーラ女王だけはにっこり笑って言う。

 

 

「スペースコロニーとは、宇宙島……ここよりはるか空の彼方の『宇宙』に浮かぶ人工の大地でしたね。我々の部下は軍隊です。ですので男女比率が圧倒的に男性に偏っています。よろしければ、そのスペースコロニーへの女性中心の移民を募りたいのですが。

 更に言わせていただければ、職業訓練校などこの世界での教養を与えるための施設、及び住民を食べさせるための産業の誘致も」

 

「よろしいでしょう。議会を通じて働きかけます。合意を得たと見て、よろしいですかな?」

 

「わたくしには、心ならずもこの地へ連れてきてしまった、配下の者たちへの義務と責任があります。彼らもわたくしも、死してすらもバイストン・ウェルには帰還することは(あた)わず。であるならば、彼らを生かす道をわたくしは選びます。

 死すればバイストン・ウェルに戻れるのであらば、われらが命をもってして全てを浄化する覚悟もありました。ですがそれは叶わぬこと。であるならば、生きて戦い抜き、わずかでも悪しきオーラ力を浄化し続けましょう」

 

 

 シーラ女王陛下は、ゴップ議長に力強く頷く。やれやれ、一段落ついた、か。

 

 と、唐突にゴップ議長は、弁慶へ話し掛ける。

 

 

「それと車弁慶少佐」

 

「はっ!」

 

「君のところに、シャイアン基地から『出向中の』アムロ・レイ大尉だが。明日付けをもって、君の下に正式配属になる。更に……今はシロウ・サハラ君だったかな。彼も少尉任官だ。

 それとカミーユ・ビダン君、ファ・ユイリィ君、ケイン・マクラウド君、ジェイミー・マクスウェル君、アヤメ・サンプソン君、フィリス・ウォルドロン君、バージル・キャンピアン君。彼らも君らのところに居るのだろう?」

 

 

 弁慶とブライト大佐の顔色が土気色になる。キャンベル大将も、表情を強張らせた。だがゴップ議長は、しれっとした風情で言葉を続けた。

 

 

「彼らについても正式な軍人ではないものの、申請があれば上は少佐待遇から下は少尉待遇まで、佐官から尉官待遇の地位を与えよう。きちんとした給与も支給される。と言うか、是非に申請してくれる様、諸君らから説得したまえ。

 ああ、それとオーガスタ研、第13NT研究所がその違法性を追求されてね。他の類似した研究施設共々、廃止されたよ。関係していた軍人や議員、いずれも重い処罰を受けた。軍人は軍籍はく奪の上、軍刑務所送り。議員は議員辞職に追い込まれ、これも訴えられて有罪判決は間違い無い」

 

「「「!!」」」

 

「あとは車少佐も属しているゲッターチームなのだがね。流竜馬君だが。近いうちに弁護士を送る。早乙女博士の殺人容疑で有罪判決を受けてA級犯罪者として収監された件だがね。早乙女博士は当時生きており反逆したわけでもある。きちんと再審を請求して、無実を証明しておくべきだな。

 更に言えば、連邦政府に対して損害賠償請求を訴え出るべきでもある。間違いは、きちんと正されねばならない。今後も戦いは続くであろうから、実際の裁判はどちらも戦後になるだろうが。だが絶対に訴えは起こすように、君から説得したまえ、車少佐」

 

「は、はっ!!」

 

 

 ほっと息を吐いた弁慶だったが、まだゴップ議長のターンは終わっていない。

 

 

「それと車少佐。クワトロ・バジーナ、ではなかったね。なんと言ったかな? 彼は? その彼に、今現在MIAもしくは誤ってKIAとなった連邦軍人の書類を精査しておるから、『彼の情報が見つかったら』軍籍を復活させる、と伝えてくれたまえ。

 ……良いね?」

 

「は、はあっ!!」

 

 

 やめてやれ。弁慶のMP(メンタルポイント)はもうゼロだ。クワトロ・バジーナとはシャア大佐のかつての偽名だ。つまりゴップ議長は、シャアが我々の部隊に所属している事まで掴んでいるわけだ。やれやれ、隊内通信で、『シャア大佐』とか『アムロ大尉』とか『カミーユ君』とか呼んでいるのを、傍受されたのかな。それ以外に考えられないものな。

 何にせよ、こちらの部隊の現状をきっちり認めてやるから、働け……という事なんだろうな。尻尾もきっちり掴まれてしまっているし。本当に、やれやれだ。

 

 あと、ゼット・ライトも気の毒だな。出番が終わったのなら、退出したい、と顔にでかでかと書いてある。だがゴップ議長はそれを許可しない。忘れているのかもしれない。

 

 と、ゴップ議長の視線がこちらを向いた。今度は『わたし』の番か。ため息が出そうだが、物理的に不可能だしな。

 

 

「さて、待たせてしまったな。ワンセブン君、でいいのだね? 本体では無いだろうが」

 

『このハロは単なるリモコンではなく、意識端末だ。あなたからすれば滑稽(こっけい)に思うかもしれないが、本体と同じつもりで話し掛けてもらって大丈夫だよ』

 

「そうか。では……。ジェイムズ、彼……いや、アレを運んできてくれ」

 

「はっ! 了解です!」

 

 

 先ほどゼットを呼んで来た秘書が、急ぎ部屋の外へ出て行ったかと思うと、少ししてキャスターの上に1つの木箱を載せて運んで来た。ゴップ議長はソファから立ち上がると、その木箱に歩み寄る。そして(フタ)を開けると、中からバスケットボールほどの金属の球体を取り出した。

 誰かがポツリと呟く。

 

 

「……ハロ?」

 

 

 だが『わたし』はソレが、ハロでは無い事に気付いている。銀色の金属の球体。ちょっと見にはロボットの顔にでも思えるような造形になっており、額の部分には『96』とナンバーが振ってある。目の部分はシャッターになっており、だがそれは今現在閉まっていた。

 ちょっと待ってくれ。何故これがここに存在する? 今は稼働していない様だが、なんでこれがこの世界に? まさか『わたし』同様に、元の世界から転移してきたとでも言うのか?

 

 ……間違いない。『地球防衛軍テラホークス』という人形劇による特撮SF番組に出て来た兵卒ロボット、『ゼロイド』であった。




というわけで、唐突にショット・ウェポンとミュージィ・ポー脱落です。ゴップ議長、恐いよ(笑)。だけどゴップ議長は自分が欲しいものは、しっかり手に入れました。ゼット・ライト君です。
そしてシーラ女王陛下とエレ女王陛下、エレ女王陛下はまだまだですが、シーラ女王陛下はゴップ議長の善意(?)に甘える形で、ちゃんと欲しい物を手に入れました。ゴップ議長も、決して損はしていません。Win-Winです。

そして唐突にラストに登場した、テラホークスのゼロイド。続きは次回!
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