シロウとの出会いから、1週間が過ぎた。あれから『わたし』とシロウは、Dr.ヘル時代の機械獣製造プラントを探し出そうと、日々努力している。
まあ
しかしそれでは、機械獣製造プラントを破壊してしまう事にもなる。実は我々が欲しいのは、機械獣製造プラントの設備なのだ。多少機材が壊れていても構わない。超生産能力を持つわたしならば、ロボターモドキの作業用ロボットを量産して、機材を修復する事ができる。だから我々が探しているのは、
いや、別に機械獣を生産して自分たちのために使おうとか、考えてないよ? まあ確かに、そこにある機材とか色々便利に使わせてもらいたいとかは思っているけれどね。
『どうだー、ワンセブン?』
【なんとか見つけたよ。相当に丁寧に、
『そっか! 見つけたか!』
【それじゃ降下するとしようか】
そして『わたし』たちは、地上の山岳地へと降下して行った。
*
見つけた機械獣製造プラントは、非常に巨大であった。通常型機械獣の製造ラインにはさすがに入る事はできなかったが、タイターンG9とかの大型機械獣を造れる様になっている一部設備や、完成した機械獣をしまって置く格納庫部分には入る事ができたのだ。
そこで『わたし』たちは、いい物を見つけた。6機の飛行要塞グールである。無論の事、長年放置されて飛べるような状態では無い。無いのだが、解体して素材にするには充分である。
『わたし』はそのプラントに残されていた資材、資源を用いて、ロボターモドキの作業ロボットを超生産能力で多数造り出す。そして壊れて
そう、シロウによれば彼のヒュッケバインは、正式名はヒュッケバインNextと言うらしかった。どうも地球連邦軍の軍事技術系統からは大きく外れる、なんというかオーバーテクノロジー機体であるらしい。何処からこんなもんが出現したのかは現状不明である。
シロウ曰く、彼がこの機体に乗っていたのは、この機体を扱えるパイロットがほとんど居なかったためらしい。彼を『創った』地球連邦軍の第13NT研究所が、この機体を扱えるパイロットとして軍上層部に売り込んだのだそうだ。
そうして彼はヒュッケバインNextの性能試験中に、『何故か』精神を揺さぶられて研究所による洗脳が解除された。洗脳が解けた彼は、そのままヒュッケバインNextごと逃亡、逐電したというわけである。
……ヒュッケバインNextのコクピット周りとか、色々と調査しておいた方が良さそうだな。いや、シロウの洗脳が強制的に解除された事もそうだが、どうせ機体をメンテナンスする上で、機体の調査は必要になる。一応通常のメンテナンスについては、ヒュッケバインNext本体の記憶装置に、これまでの戦闘データとかと一緒に入ってたんだが。
いや、この機体怪しいんだよな。メインの動力は封印されていて、今は補機のプラズマジェネレーターで
*
6機の飛行要塞グールを解体して素材にし、更に元機械獣製造プラントから吐き出される資材を使って、『わたし』は今現在『わたし』とシロウの移動拠点となる大型宇宙戦闘母艦シグコン・シップを建造中だ。これは以前にも使用したシグコン・ジェットⅡと同様に、『わたし』からリモートコントロールで操作できるメカの1つなのだ。
「すげぇなあ。超生産能力ってのは。宇宙戦艦まで建造できんのかよ」
『いや、この生産速度は補助として、機械獣製造プラントを改造した施設を使えるからこそだね。わたしの体内工場もフル稼働させているが。
わたしを創造した『ブレイン』であれば、一切の補機無くしてもっと早期に建造できるだろう』
「そんで、こいつが完成したらどうするんだ?」
『わたし』は
『『わたし』は世界を見て回りたい。『わたし』には願いがある。……人類には、人間には、どうしようもないクズも多い。『わたし』の創造主である大型コンピューター『ブレイン』は、地球のためには人類は害悪でしかないと判断し、その抹殺を自身の命題とした。しかし『わたし』はそれに逆らった』
「……」
『人類は、人間は、たしかにクズもクソも多いだろう。だがそうでない人間もいるのだ。熱い心、熱い魂を持った、素晴らしい人たちも。優しい心、温かい魂を持った、在り方が素晴らしい人たちも。そういう人々までも十把一絡げに滅ぼしてしまっていいはずが無い』
シロウが『わたし』を見上げている。『わたし』は力強く言った。
『今、人類は
だがその方法が分からない。だから『わたし』は旅に出たい。地球や月を含む地球圏、火星圏、木星圏まで人類の生存圏を旅して、その方法を求め、見つけたいのだ』
「……そっか。ワンセブンは別の世界から来たんだっけ? その心構えがあるんなら、その『ブレイン』とかみたいな結論には至らねえだろな。世界のために人類を抹殺しないといけねえ、とかってよ。
あと、人類をAIの下で管理しないといけねえ、とかって事にもなりそうも無いな。んな事したら、素晴らしい心や美しい魂、ってのがすり減っちまう」
『その通りだ。だからこそ、難しい』
シロウはにやりと笑って、言葉を
「よし! んじゃあその旅、俺もつきあってやらあ!」
『それはありがたいな』
わたしは右手でサムズアップを形作ると、それを突き出した。
*
完成したシグコン・シップに資材や物資その他を積み込めるだけ詰め込み、発進ゲートを開いて地上へと出す。全長1,000mにも達する巨大な宇宙戦闘母艦だ。艦内には『わたし』の超生産能力を応用した艦内工場も存在する。更には元機械獣製造プラントの設備類も、かなりな部分をこの艦内に移設した。
あとは元機械獣製造プラントだったこの施設を、下手にどこぞの連中に利用されない様に、きっちり封印処置をする。
「おっし、大体済んだな。んじゃあ出発するかあ!」
『ヒュッケバインNextは、既に積み込んである。乗艦してくれ』
「おう!」
シロウが乗艦したのを確認し、わたしはいったん『飛行ワンセブン』形態になってシグコン・シップの艦橋部分に飛ぶ。そしてその部分に前方から着艦。そのまま『要塞ワンセブン』形態で、なかば艦体に埋め込まれる様な形でドッキングした。
『……シグコン・シップ、発進!!』
ゴオン、ゴオン、ゴオン……。
フイイイィィィン……。
シグコン・シップはゆっくりと浮上すると、大空へと飛翔する。ブリッジに上がったシロウが口を開いた。
「とりあえず最初は、北米だったか?」
『ああ。どうやらジオン残党軍とザンスカールが各々部隊を派遣して、シャイアン基地を襲うという情報を掴んだ。連邦軍のネットワークに
なお連邦軍は動く様子が無い。腐った連中は自分の身と自分の利益を守ることに
「ひでぇな……。シャイアン基地の連中がどうなろうと知った事じゃない、ってか」
思わずため息が漏れそうになる。肺も気道も声帯も無いと言うのにな。
『シャイアン基地は左遷された将兵や退役間近の連中が押し込められる場所だそうだからな。それでも連邦軍には、心ある将兵もいるんだが……。彼らには情報が回らなかったり、自分の手が届く人々を護る事で精一杯だったり、ひどい場合は有形無形の妨害を
「……なあ。なんでジオン残党軍とザンスカール連中は、シャイアン基地なんか襲うんだ? 左遷されたり退役間近の連中が押し込められる場末の基地なんだろ?」
シロウの問いに、『わたし』は答える。自分の事ながら、その声音にはやりきれない想いが込められていると、そう感じた。
『シャイアン基地には、『シャアの反乱』、『第二次ネオ・ジオン抗争』でアクシズ落としを防いだ英雄、アムロ・レイ大尉が幽閉されている可能性がある。いや、情報収集の結果では、ほぼ確実だ。
身を捨ててまで地球を護った英雄に対する扱いが、これか……。しかも彼に危機が迫っているにも関わらず、その周囲の者たちごと見捨てようとしているとは……』
「……ワンセブン、急ごうぜ」
シロウは言葉少なに言った。その短い言葉には、
『わたし』は応えた。
『ああ。シグコン・シップ、機関出力上昇! 最大戦速!』
艦尾の噴射口から、青白い光が噴き上がる。シグコン・シップは北米大陸に向けて、弾道軌道を取った。
シグコン・ジェットⅡとかシグコン・シップとかのシグコンって単語は、『シグナルコントロール』の略語です。他にワンセブンには、シグコン・タンクⅡとかも搭載されてます。
でもって主人公たちが最初に拾いに行く『大鉄人