とりあえずバイストン・ウェル勢の敵対勢力は、ビショット軍、ドレイク軍共に片付ける事ができた。その遺物とも言える残骸や遺棄された機材、それに鹵獲されたオーラ・マシンなどだが、それらはすべからく近隣の連邦軍基地に欠片一つ残さずに回収されている。
まあそれらは異世界の技術の産物でもあるわけだし。いかに向こうの世界の地上界におけるロボット工学とかが基礎になっているとは言え。ちょっとしたオーパーツじみた扱いになっている。
その他にも、例のマシンキメラ-001の問題もある。奴にこれら残骸とか鹵獲品とか喰われた暁には、何処ぞの並行異世界と繋がれて何かしら召喚しかねない。なので充分な防衛力を持つ連邦軍基地に、それらは収容されているわけだ。
マシンキメラ-001は、捕捉が非常に困難だ。どうやったのか分からないが、おそらくはその手の機材を何処かで取り込んだのだろう、ある程度の強度のステルス性を獲得している。その上で、奴は必要とあらば地下に潜行して移動する事も可能だ。
その上に奴は、頭も悪くはない。どんな事をしても生きのびる事に拘っている。そのためならば、せっかく異世界から召喚した捕食対象を捨て去り逃走する事も、自分自身の分身を見捨てる事も、辞さない。おそらく、全ては自己を進化させるために。
奴は誕生当初は、
今現在、マシンキメラ-001の餌になりそうな物で危険度が高い物は、イチナナ式あたりか。あれの超合金Zメッキ……合金Zに超合金Zをメッキした装甲板とか、他にも光子力エンジンとか喰われたら、ちょっとヤバい事になるかも知れない。
他に喰われたら脅威度が高い対象は、何だろうな? 何か失念している気がする。
*
やられた。完全に失念していた。マシンキメラ-001が、日本地区の新宿に現れた。そこで奴は、警察署を襲撃したのだ。何故に警察署を襲ったかと言うと、そこに奴が求める物が……。奴が求める『者』が居たからだ。
警視庁のブレイブポリスが現場に急行した時には、奴は目的を果たして撤退済みだった。まあその方が良かったかも知れない。万が一、ブレイブポリスの1体でもマシンキメラ-001に喰われていたらと思うと、血の気が引く。いや、『わたし』に血など最初から流れていないと言う突っ込みは、無しにして欲しい。
奴が喰らったのは、警察署に収監されていた1人の犯罪容疑者だ。強盗殺人の容疑が掛かっているその容疑者の写真を見て、ビルバインの
『バーン! バーン・バニングス!!』
『やはりバイストン・ウェルの人間かね? あるいは向こうの世界の『地上人』とか?』
いや、アニメ知識で正体は知っているのだが。ショウはその事は知らないからな。あまりその事に関して、知る人間を増やしたくも無い。
『いや、バイストン・ウェルの
『そうか……。そのズワァースとか言うオーラ・バトラーの残骸は回収されて北京基地に送られたそうなんだが……。
その件については、そこまでこちらに話を通さずとも良いだろうと言う現場の判断で、こちらには聞こえてこなかった。結果、そのバーン・バニングスがマシンキメラ-001に喰われて、奴が並行異世界からの召喚と対象物の捕食を成功させた事に繋がった』
『そうか、バーンが……。喰われた、か。……マシンキメラ-001は、何を召喚したのか判明しているのか?』
『型式不明のロボットだ。中破状態だったが、形は保っていたらしい』
『その性能次第じゃ、ヤバいな』
ああ、ヤバいよ。一応弁慶には、『いつもの未確定情報だ』との申し送り付きで、そのロボットの機能について話してある。……『機動戦艦ナデシコ』というTVアニメに敵ロボットとして登場する、ダイテツジンという機動兵器だ。よりによって、なんて名前だ。
機動兵器と言っても、機動力は低くそちら方面ではたいした性能は持たない。問題は、ソレがデストーション・フィールドというバリアを持っている事と、相転移エンジンという動力源を持っている事、
おそらくこれを喰らった事で、マシンキメラ-001にはレーザーはまったく効果を持たず、ビームにも強力な防御効果を発揮する事になる。実体弾兵器に対しても、これまで以上の防御力を持つ様になるはずだ。相転移エンジンに関しては、周囲が真空中でなければそこまで脅威とは言えないが……。真空を相転移させてエネルギーを取り出すエンジンだからな。
他の機能として、ある種の
それ以前のデストーション・フィールド、相転移エンジン、
*
その後は、マシンキメラ-001に関しての続報は聞こえて来ない。『わたし』たちはとりあえず、グラン・ガランとゴラオンの改修完了を待つ間、アムロ大尉とシャア大佐の新型
『これは……。凄いな。反応が打てば響く様だ。というか、何と言うのかな? まるで手足の様に動く、いや、手足が……身体がもう1つ増えたかの様だ』
『これが、フル・サイコフレーム機か……。サザビーとすら比較にならんな』
『一通り動かしたら、兵装試験に移ってくれ。アムロ大尉、
隊内通信ではあるが、一応
なお新型機の兵装は、今のところはカートリッジ式のビームライフル、バズーカ、これにもサイコフレームを仕込んだシールド、シールド裏に装備されたミサイルランチャーとビームキャノン、両手首に仕込んだビームガン兼用のビームサーベル、手の甲のグレネードランチャーがある。その他にも、目立たないが後ろ腰のハンドグレネード、左右こめかみ部分にあるバルカン、拳の打突部分に装備されているナックルダスター、指の付け根にあるトリモチランチャーにデコイ発射機など。
更にオプション武装として、ランドセル脇に装備するインコム・ユニット、背面に装備するフィン・ファンネル・ユニット、肩装甲の上面に装備する大型ファンネル・ユニット、背面ランドセル後ろに懸架するハイパー・メガ・バズーカ・ランチャーもある。更には後ろ腰のハンドグレネードと交換する形にはなるが、ファンネルミサイルも搭載できる。また専用装備でこそ無いが、V2ガンダムの物を解析して改良したミノフスキー・ドライブ・ユニットも、オプションで搭載可能だ。
ちなみにミノフスキー・ドライブ・ユニットは、サイコΖΖガンダム、ヒュッケバインNextにも装備する予定である。サイコΖガンダムに関しては、ウェーブライダー形態で自力飛行が可能なので、別のオプション装備を使った方が良いとの判断になった。ファさんの百式Rは、操縦技量が若干低目な事もあり、推力を機体本体のスラスターに頼る代わりにコントロールし易い改良小型ミノフスキー・クラフト・ユニットを載せる事にしている。
なおミノフスキー・クラフトの改良も、ミノフスキー・ドライブの改良も、なんか画期的なレベルではないか、と言われた。だが性能面、機能面では画期的でも、実際の運用にはわたしの体内工場や、シグコン・シップの艦内工場と言った、『現場における常識外れの工業力』が必須である。故に我々以外ではちょっと使い様が無いだろう。
『流石に全部のオプション武装を載せると、反応性や追随性はともかく単純に重量で機動性が食われるな』
『フィン・ファンネル・ユニットと大型ファンネル・ユニットは、無理に両方載せないで選択装備にするべきだ。ファンネルミサイルはいいな。ユニットがハンドグレネードと交換装備なのはちょっと残念だし、重いが。だが交換するだけの価値はある』
『ただ、これは機密装備の部類だからな……。ファンネルミサイルを使い切ったからと言って、ユニットを切り離して捨てるのは
『あー、2人とも。ファンネルミサイルのユニットは、万一切り離した場合は確実に破壊、処分してくれ。できるならフィン・ファンネル・ユニットや大型ファンネル・ユニット、インコム・ユニットについても同じ事が言える』
『わたし』はアムロ大尉やシャア大佐と意見交換をしながら、最終的な機体のバランス調整チェックリストにチェックを入れて行く。機体本体はもうこれで完成だが、武装やオプションに関してはもう少し調整が必要かもしれないな。
そしてアムロ大尉が、
『いや、本当に良い出来だよワンセブン』
『ああ、いやいや。概念設計はアムロ大尉だし、基礎設計にはアムロ大尉、カミーユ君、甲児、『わたし』の全員で掛かったじゃないか』
『実機を組んだのは、ワンセブンだろう? このサイコΞ(クスィー)ガンダムは』
うん。そうなんだ。機体名称は、サイコΞガンダムにした。アムロ大尉はサイコΞガンダムA、シャア大佐はサイコΞガンダムCが識別名だ。これは偶然だが、シャアもクィグも頭文字はCなのだよな。
この名前はキャンベル大将を通してゴップ議長の後押しを得て、正式に登録している。これはちょっとした願掛けの意味もあるんだ。そう、マフティー・ナビーユ・エリンつまりはハサウェイ・ノアだ。彼の
ほんとにハサウェイが、マフティーにならずに済むと良いんだがな。
*
甲児が、組み上げ中の新型マジンガーを前に語る。
「ようやくここまで来たか……」
「おめでとうございます。ですが、マスターと一緒に戦場に出られなくなるのは、少し寂しいです」
「リサ、俺と一緒にマジンガーZに乗ってくれてもいいんだぜ?」
「シローさん、ごめんなさいです」
「ははは、ふられちまったな」
失笑したシロー君だが、彼もまた新マジンガーを見上げた。
「兄貴、こいつの名前は、何てのになるんだ?」
「
「マジンカイザー、か。すげぇな……」
「概念設計は、俺のオリジナルじゃない。おじいさんの遺産だ。それを元に、今の時代に合致する様に整え直して、アムロ、ワンセブン、カミーユにまで手を借りて、俺が中心になって基礎設計をやった。
俺はまだまだ、おじいさんにも、お父さんにも及ばない。研究者としても、戦士としても、もっと頑張らないとな」
シロー君は、ちょっとばかり苦笑する。そして冗談交じりに言葉を吐き出す。
「ちぇ、軍人に専念している俺が、未だ兄貴にも鉄也さんにも追い付けてない事への皮肉かよ」
「ははは、違う違う。お前は十二分に、立派な戦士さ。だが、俺も鉄也もそう簡単には追い付かせないし、しばらくは絶対に追い越させなんかしないからな」
「へっ、言ってやがれ。あっと言う間に周回遅れにしてやるからよ」
「その意気だ」
そして甲児は、再度マジンカイザーを見上げる。
「……ワンセブン。ザンスカール戦には、間に合わせられるか?」
『おそらくは、の但し書き付きだがね。おそらくは間に合うだろう。ただ、戦況は常に流動的だ。マジンカイザーどころか、我々の部隊の参陣を待たずに、戦端が開かれてしまってもおかしくは無いね』
「そうか……。やばい、な。急がなくちゃな」
そう言って、甲児は顔を
*
マシンキメラ-001が、妙な行動に出た模様だ。奴め、北京基地に機械獣から得た地中潜行能力を使って侵入し、そしてそこに収容されているオーラ・バトル・シップであるゲア・ガリングの残骸を、一部切り取って持ち去ったのだ。
これまでの奴の行動からすると、奴がバイストン・ウェルから来た存在を喰らうのは、既に直接の自身のパワーアップのためでは無いと思われる。奴がバイストン・ウェルの兵器なり人員なりを狙うのは、あくまで予想でしか無いのだが、それを触媒として並行異世界の存在を召喚するのが目的であろう。
だが奴は今回、ゲア・ガリング残骸を一部切り取って持ち去っている。これまでの例ならば、現場でソレを喰らって、そのまま召喚を行うのが普通であったと言うのに。奴に知能が無いわけでは無いのは、充分に分かっている。
奴め、何を企んでいる……?もしや、まずは触媒になる存在を確保して置いて、邪魔の入らない場所で喰らい、召喚をするつもりなのか?
考えていてもどうにもならないのだが、しかし不安は渦を巻く。だがまずは、奴の対処よりもザンスカールの対処が先決ではある。しかしながら、マシンキメラ-001を放置しておくのは、いかにもまずい気がする。
苛立ちが、つのった。
マシンキメラが色々と、頭を使う様になりました。これまでは、逃走には頭を使っていましたが、それでも本能的な行動の方が圧倒的に多かったのですがね。
アムロとシャアの機体、一応の完成です。名前はνの次でサイコΞガンダム。でも本来のΞガンダムとは、まったくもって似ていない機体です。どちらかと言うと、若干小型化したνガンダムに近い感じですか。νが22.0mだったのですが、こちらは頭頂高21.0mですね。
本文中でも語られていましたが、Ξの名前を使ったのは、ワンセブンの願掛けです。ブライト准将が、息子に悩まされませんように、って言う願掛け。Ξガンダムの名前を、この機体で塗りつぶす事で、あの事件がバタフライ効果的に起き無くなる事を願っているのです。
ちなみにミノフスキー・ドライブ・ユニットとミノフスキー・クラフト・ユニットは、強化パーツです。
マジンカイザー、あとちょっとです。予想ではたぶん間に合います。でも予想は予想、未定は未定なのです。いや、著者の予定表にはしっかりどうなるか書かれてますので。間に合うにせよ、間に合わないにせよ。作中キャラクターの視点では、『たぶん間に合うけど、もしかしたら……』な感じですね。