シュラク隊のガンイージ全てをガンブラスターに
目的は、サイド2のコロニー国家であるザンスカール帝国への直接攻撃だ。だが我々は、この作戦に裏の意味がある事を知っている。ザンスカール帝国はその中枢が、インベーダーに乗っ取られているのだ。ただしこの情報は、クロノクル・アシャー氏の証言しか証拠が無く、それ故に公開情報とはなっていない。
だが我々はクロノクル氏を信じている。少なくとも彼は、敵中枢にインベーダーの走狗、いや厳密には完全にインベーダーと化したコーウェンが居る事を知っていたし、信じるに値する情報であった。彼の血の涙は、真実の証であろうとも思うが、別にそれだけで決めつけたわけでも無いのだ。
インベーダーに乗っ取られたザンスカール帝国を打倒して、今度こそインベーダーを太陽系から駆逐しなくてはならない。前面にガルファ帝国との戦いが待っている以上、後背にも敵を抱えてなどいられないのだ。
ちなみに今回マスター・アジア師匠、ノリコ嬢、カズミ女史、ユング女史ら機体が無い面々はロンデニオンの連邦軍基地に留まってもらった。更に大作少年のボディーガード役の鉄牛は付いて来たが、村雨もまたロンデニオンに居る。
実は師匠と村雨には、あちらの基地に置いて来たシズラー黒改とガンバスターを見張っていてもらう事をお願いしてある。万が一にも縮退炉の機密を、何処かの誰かに盗まれるわけにはいかないのだ。
『さて、仕掛けて来るか?』
「クロノクルからの情報にあった、大砲
『ちなみに『わたし』の何時もの『不確定情報』によれば、普通なら艦載用の大出力ビームシールドですら、防御不可能な威力のはずなのだがね。今回は、例外がある。シグコン・シップの艦首ビーム・シールドは、こちらも特別製だ。並のパワーじゃない。艦首にしか展開できないがね』
そう、桁外れの射程と威力を誇るザンネック・キャノンを装備する、
『ただ、一発二発敵の攻撃を受ける事ができたとしても、だ。こちらからの攻撃ができない以上はじり貧だ』
「確か
『故にこちらが攻撃を受けている間に、『彼ら』に頑張ってもらう』
相手が超々遠射程での敵捕捉照準用のサイコミュ・センサーを使うなら、こちらは
「けどその情報の兵器に関しては、可能ならば並行異世界間誤差とやらで存在していない方がありがたいんだがな」
『違いない。……!?』
『わたし』の頭の中に、鈴の音が響く。それに乗って、明らかに読み取れる攻撃意図。『わたし』はシグコン・シップのコントロールを瞬時に掌握し、艦首ビーム・シールドを最大出力で展開すると共に、艦の向きをその攻撃意図に正対させた。
『
『こちら格納庫! 来たな!』
『超遠射程用ファンネルミサイル、発射! 頼むぞ4人とも!』
そう、艦首ビーム・シールドが文字通りの盾であるならば。矛は今回のためにわざわざ用意した、推進剤を大量に積んでいる多段式ロケットで敵陣に送り込まれる、ファンネルミサイルだ。これは先に述べた4人がその
ただしそこまで超々遠距離でファンネルミサイルを操作するには、4人が完全に精神を同調させる必要があり、それは彼らにとって相当な負担となる。そうそう多用できる兵器では無い。それ故に、生産した数も多くは無いが。
そして敵の強大なビームが、こちらの艦首に命中する。『わたし』は艦首ビーム・シールドに、ぎりぎりまでパワーを注ぎ込んだ。強烈なエネルギーとエネルギーのぶつかり合い。
やがて本当に危ういところで、艦首ビーム・シールドがシグコン・シップを護り抜く。だが本当にぎりぎりだった様だ。艦首ビーム・シールドは、破られる寸前であり、発生装置もジェネレーターも悲鳴を上げている。
『なんとかなったか。
『こちら
『任せた。頼むぞ』
しばし後に、
『
『了解だ。同調を解除してくれ。出撃は、できるかね?』
『大丈夫、疲労は許容範囲だ』
『それならありがたい。諸君ら4人が出られないと、正直厳しいからな』
そして、あらかじめ打ち合わせていた通りにブライト准将の檄が飛ぶ。
『全艦に告ぐ! 最大戦速で前進せよ! 一分一秒でも早く、敵の迎撃艦隊を
敵本国の機動要塞……。エンジェル・ハイロゥの事だ。なんとしても、早急にアレを片付けてしまわないといけない。
我々の艦隊は、全力の速度で突進した。
*
敵味方の機動兵器が、次々に爆散する。激しい消耗戦だ。だが最初っから数的な優位を保っている連邦軍とリガ・ミリティアの部隊の方が、優位に事を進めている。我々の部隊は、戦場の火消し役としてあちらこちらを駆け回っていた。
敵陣の向こうには、円環を組み合わせたような巨大構造物が宇宙空間に浮かんでいる。あれがエンジェル・ハイロゥだ。あれを破壊するのが、本作戦の表の目的なのだが……。裏の目的はエンジェル・ハイロゥともども、ザンスカールの上層部に寄生しているインベーダーを殲滅する事だ。なんとしても、表も裏も目的を達成しなければならない。なんとしても。
ちなみにウッソ君のV2アサルトバスターガンダムが、先ほど大砲を失ったザンネックを撃破したのだが、そのパイロットが別機体、おそらくはゲンガオゾと思われる
『坊や、あたしを放っておいて、何処へ行こうっていうのさ? あまりに女に対して、失礼じゃないのかい?』
『敵との必要以上の交信は、軍法違反、軍規違反なんですよっ!!』
『ウッソ・エヴィン君! 無事か!?』
『あんた、裏切り者のクロノクルだねぇ!? よりによって、その機体で出てくるかい!』
ああ、やはり彼女……ファラ・グリフォンはクロノクル氏を裏切り者と見ているか。つまりは少なくとも彼女レベル以下のザンスカール帝国兵たちは、インベーダーに寄生されておらず騙されているだけなのだろう。
……だが、だからと言って手を抜いてやるわけにはいかない。
【ウッソ君とクロノクル氏が、厄介な相手に絡まれている。デューク・フリード、済まないが頼めるかね?】
『任せてくれ! グレンダイザーで支援に入る! スピンソーサー!!』
『邪魔をおしでないよぉ!!』
ファラ・グリフォンの怒声がオープン回線で響き渡る。だがグレンダイザーの宇宙合金グレン製の装甲は、
あちらは任せておいて、大丈夫だろう。『わたし』は他の戦場へ
やむを得まい、ここは敵側面から圧力を掛けるべきだろう。わたしはブライト准将にテキストメッセージを送る。
【ブライト准将、ムバラク大将の艦隊とその指揮下にあるリガ・ミリティアが苦戦している。その
『む、ワンセブンか。マジンカイザー、グレートマジンガー、マジンガーZのマジンガーチーム、そしてヒュッケバインNextが、比較的手が空いている。だが、可能な限り早目に戻して欲しい。
しかしムバラク大将たちとやりあっている敵と言うと……あれか。あれの指揮官は、ドゥカー・イクだったな? ザンスカール、ベスパの中では良将として知られている。充分気を付けるんだ』
【ありがとう。助かる】
……良将? わたしの記憶では、ドゥカー・イクはバイク好きが高じて直属の部下たちを全てバイク好きで固めると言う、言わば公務にも私情を思いっきり挟むタイプの人間ではなかったか?
ああ、いや。単に能力的な見地から言えば、良将なのやもしれん。後は部下も、自分と相性が良く意思疎通し易い人間を揃えたと考えれば……。部下からの人望も厚くなるだろうし。それにこれは『わたし』の原作知識だ。この世界では大きく違う可能性も……。
とりあえず『わたし』は、マジンガーチームとヒュッケバインNextにテキストメッセージを送る。
【兜甲児、剣鉄也、シロー君、シロウ、済まないがちょっとばかり力を貸して欲しい。ムバラク大将が苦戦している。9時方向の敵に側面から圧力を掛けるのを手伝ってくれ】
『了解だ、ワンセブン!』
『任せてもらおう』
『俺も了解したぜ!』
『へっ、行くぜぇっ!!』
わたしは戦闘飛行ワンセブン形態で、全力で宇宙空間を飛翔する。その後ろに、マジンカイザー、グレートマジンガー、マジンガーZ、ヒュッケバインNextがダイヤモンド編隊を組んで続いてくれた。
そして我々は、前方に布陣しているゲドラフの群れを連続で叩き落とす。その近辺のザンスカール旗艦であるアドラステア級が、向きをこちらに変えた。そいつはオープン回線で怒鳴る。
『おのれ! バイク乗りの魂を見せてやる! 側面の敵は少数だ! まずそちらから潰せ!』
少数だからと言って、そう簡単にやられるつもりは無い。わたしは
『光子力ビーム!!』
『ネーブルミサイル!!』
『サザンクロスナイフ!!』
『あたれぇっ!!』
シロウは技名を叫ばないが、ちゃんとグラビトン・ライフルを連射している。ゲドラフやコンティオが、次々に爆散して行く。ドゥカーは激怒したらしく、オープン回線でこちらを威迫するかの様に叫び続ける。
*
その時、世界が凍った。
*
いや、あくまで比喩的な例えだ。だが、そうとしか言い様のない雰囲気が、戦場全体に満ちている。この場の戦闘は、一切が完全に停止してしまった。敵も味方も、一切が動かない。
……アムロ大尉が呟く。
『なん……だ? この感覚は……。これ、は、『死』……なのか?』
そしてそれに応じるかの様に、
『……『死』、だと? いや、違う……。ちが、うっ!! これは、喰われ、て、だ、駄目、だッ!!』
カミーユ君が半狂乱になり絶叫する。
『あ、あ゛、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! やめろ、やめてくれっ!! 駄目、駄目だ!! 駄目なんだ!!』
これは……! わたしにも、『何か』に捕食、吸収され寄生され、融合される精神的イメージが感じられる!! まずい、これは……。
今、アムロ大尉たちが狂乱しつつあるのは、彼らがニュータイプ能力者であるが故だ。精神的な感受性が強いため、この侵略的なイメージをまともに正面から受けてしまっているのだろう。
だがそれは、『わたし』にも言える事だ。『わたし』の精神は、どうやらニュータイプ的な発達を遂げているらしい。それはこれまでの折々で、自身でも気が付くぐらいに片鱗はあった。まずい……! 『わたし』は必死に精神の『扉』を閉じようと試みる。だが完璧にはいかない。このサイコウェーブは、一般人をも狂乱させかねない威力で放たれている。まずい、『わたし』ですら動けない。
間違いない。エンジェル・ハイロゥが起動している。間に合わなかったか……! そして『わたし』は必死で彼方にある、エンジェル・ハイロゥに
メタルビースト・エンジェル・ハイロゥって、何の冗談だ。本来エンジェル・ハイロゥは安らぎのイメージを送り込む事で、人類を死滅させる機能を持っていたはずだ。しかしこれは……。
インベーダーによる寄生、融合のイメージ、か。安らぎのイメージとは違うが、どちらにせよ表面的な効果は同じ。安らいで行動停止になるか、恐怖と嫌悪感で動けなくなるかの違いでしか無い。
『わたし』は必死で全身の
だが、敵もそうは問屋が卸さなかった様だ。
『フフ、ハハハハハハ! 愚かだねえ! 皆、みんな、喰われっちまえばいいのさ! そうすれば、幸せになれる!』
あれは……。出撃してきたあの機体は、ゴトラタン! カテジナ・ルースか! だがアレから感じられる気配は、既に……。
カテジナはオープン回線で大声でがなりつつ、苦しみもがく電童を蹴り飛ばし、動けないウラエヌスをビーム・トンファーで殴り飛ばす。奴はこのサイコ・ウェーブの嵐の中、まったく影響を受けずに動いている。
……おそらく、カテジナ・ルースは既にインベーダーに寄生され、同化されているのだろう。『わたし』は周辺全機に、テキストメッセージを送る。
【後退できる者は、下がれ。下がるんだ。『わたし』はこれよりメタルビースト・エンジェル・ハイロゥへ突撃する】
そして『わたし』は鈍った動きで、それでも全力の速度でメタルビースト・エンジェル・ハイロゥへと向かう。しかしその進路上に、ゴトラタンが割り込んで来る。
『どこへ行こうってのさ!』
そうとだけ叫び、カテジナは機体頭部のビーム・カッターを起動、『わたし』に斬りかかって来る。まずい、
シグコン・ジェットⅡはしょせんはジェット・ロケット両用とは言え偵察機に過ぎない。あっさりと撃破される。しかし最低限の目くらましには、なってくれた。『わたし』は腕部からミサイルパンチを連射する。ゴトラタンはたまらず後退した。
なんとか攻撃をいなした『わたし』だが、このままではじり貧だ。なんとか、どうにかしなければ。『わたし』は焦った。
*
そして焦った『わたし』は、『わたし』の背後でヒュッケバインNextのカメラアイが、燃える様に輝くのを見落としたのである。
前回の更新で少し休んだら、その直後に持病のうつ病が悪化して、行動不能になってしまいました。最近なんとか持ち直して来ましたので、今後は亀更新になるかと思いますが再開いたします。ゆっくりでも書き続けていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願い致します。
さて、我らが大鉄人
この窮地をどうやって乗り越えるかは、次回を待っていただきたいと思います。続きも頑張りますので、よろしくお願いします。