大鉄人戦記   作:雑草弁士

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第049話:時間は無いが準備は必要

「……と言うわけで、これは真イーグル号、真ジャガー号、真ベアー号の合体の組み合わせで、空中、陸上、海中の様々な状況に対応し、更には総合戦闘力、超高速、ハイパワーなど等、機体の特性を変える事が可能だ」

 

「わぁ! まるでゲッ○ーロボみたいですね!」

 

「うふふ、タカヤさんったら宇宙一のヲタクさんね」

 

「えへへぇ、照れちゃいますぅ」

 

「「「いや、ゲッターだって」」……だから話聞けよ」

 

 

 ここはサイド1コロニー群の、ロンデニオンにある連邦軍基地。ザンスカールそしてインベーダーとの戦いを終え、我々は今現在この基地に帰還して来ていた。ある事情があってシグコン・シップは艦載機をほぼ全て基地に降ろしているため、まるでここは機動兵器の博覧会会場の様相を呈している。そこへタカヤノリコ嬢が来たものだから、ゲッターチームとの間で前述の様な問答となったわけだ。

 なおシグコン・シップの艦載機を全て降ろしているのは、シグコン・シップは現状その能力を全て工場機能に振り向けており、その内部の格納庫も工房の一部として使用している事が理由である。それは無論の事、シグコン・シップの後継艦であるシグコン・シップⅡを建造するためであった。

 

 シグコン・シップⅡの建艦を進めるため、シグコン・シップは艦内工場の機能を全開稼働させて、戦いで出た幾多のデブリとなった残骸などを資材として再生させている。ちなみにデブリの回収には、ゴラオンとグランガラン、及びそれらのオーラ・バトラー隊が、宇宙空間での機動訓練も兼ねて、出向いていた。戦後、彼らバイストン・ウェルの人たちの再就職先として、ジャンク屋稼業などもできるかも知れないな。

 

 閑話休題(まあソレはともかくだ)、『わたし』はノリコ嬢やカズミ女史に、例のハロ型意識端末から話し掛ける。

 

 

『すまないが、ノリコ嬢にカズミ女史。君たちをここに呼んだのは他でもない。一応の修復が完了したガンバスターと、そしてシズラー黒改をテストしてもらうためなのだがね』

 

「ごめんなさい!」

 

「すぐに準備に入るわ」

 

 

 うん、そうしてくれると有難い。ちなみにシズラー黒改なのだが、パイロットであるユング女史がクローン体への脳移植準備のため、今現在入院中で居ないのだ。だから暫定的に、カズミ女史が機体のテストを行う事になっていたりする。

 まあユング女史は、手術が終わって退院しても、すぐには戦いに出られない。クローン体の免疫構築のために山の様なワクチン接種が待っているし、それにクローン体は脊髄反射も真っ白のまっさらだから、当初は歩く事すらもできないはずだ。それを血の(にじ)む様な訓練で身体に焼き付けなくてはならない。

 

 ちなみにユング女史は、なるべく急いで戦場に出るために、可能な限りクローン体の生成を急がせた。結果、20代だった肉体年齢が、10代半ば程度の身体に移植する予定になっている。脳を収める頭蓋骨のサイズがちょっと合わないので、頭蓋はチタン合金製の人工頭蓋を選択した。……まあ肉体若い方が、免疫構築とか脊髄反射構築とか比較的だが容易だし、良いとしようか。

 

 

 

*

 

 

 

 原子炉から縮退炉に動力源を載せ替えたジャイアント・ロボは、予想通りのケタが外れた大パワーを発揮している。ノリコ嬢とカズミ女史が操るガンバスターと、模擬戦とは言えどまともに戦えているからなあ。

 

 

『いけぇ! ジャイアント・ロボぉ!!』

 

 

ガオオオォォォン!!

 

 

 ジャイアント・ロボが牽制(けんせい)の通常パンチを繰り出し、それをガンバスターがなんとか(かわ)す。そこへジャイアント・ロボ腰部のスポンソン砲が連続発射。ガンバスターはそれを防御する。

 

 

『バスター……シールドオオオォォォ!!』

 

『サイズが違うのに、何て技量だ!』

 

 

 大作少年が言う通り、ジャイアント・ロボは30m、ガンバスターは全高240mの頭頂高200m。サイズにあまりの差がある。これだけ大きさに違いがあれば、その挙動を見て攻撃を(かわ)すなど至難の(わざ)だ。しかしノリコ嬢は流石の貫禄で、ジャイアント・ロボの攻撃をいなし、(かわ)し、防いでいる。……まあ、今のジャイアント・ロボの攻撃がまともにあたったら、ガンバスターでもえらい事になるのだが。

 

 

『バスタアアアァァァ……トマホオオオウクッ!!』

 

『なんの! 白刃取りだロボ!』

 

 

ガオオオォォォン!!

 

 

『ちょ、避けると思ったのに!? って、嘘! ほんとに受け止めた!?』

 

『あきれた……。凄いパワーね……』

 

 

 うん、『わたし』も驚いた。いや、動力を縮退炉に載せ替えたジャイアント・ロボなら可能不可能で言うならばできるとは理解するがね、大作少年。万が一受け止め損ねたら、どうするつもりかね。あくまでこれは、修理や改修が済んだ事での、あくまで、あくまで様子見なのだよ?

 と言うか、ノリコ嬢もノリコ嬢だ。バスタートマホーク出すとは、やり過ぎだ。君もこれが模擬戦だって分かってないだろう。これは双方にお説教が必要だな。

 

 

 

*

 

 

 

 とりあえずお子様たちへのお説教が済んだ後、『わたし』は今度はマスター・アジア師匠や村雨と、『裏』の話をする事になった。シグコン・シップの艦橋(ブリッジ)で、『わたし』は2人と相対する。

 

 

「ワンセブン、貴様が心配していた通りよ。やはりわけのわからん連中がガンバスターやシズラー黒改に、しつこく手を出しに来よったわ。貴様ら本隊がザンスカール帝国と戦っていた間の話だけかと思うたのだがな。貴様らが戻って来てからの方が、より一層手出しが激しくなりよった」

 

「まあ確かにガンバスターなどだけじゃなく、この部隊には他にも異世界の技術とかヤバい物ばかりが集積されているからな。それらのどれか1つでも手に入れば、御の字なのだろうが。

 しかし潜入して来た奴ら、いったんは捕らえたんだがな……。奴らは自爆用の爆弾を持っていたんだ。残念ながら自爆されてしまったよ。結局は、何処の誰かは判明しなかった」

 

『この大変な時に、本当に迷惑な話だ。何処の勢力の仕業かは不明でも、一番怪しいのはアナハイムあたりかな。BF団は、今現在協力関係を結べているから、真正面から技術供与を依頼されれば何らかの見返りがあれば出さなければならないからなあ。だから彼らは違うと思う。少なくとも、筋は通して来るだろう』

 

 

 ちなみにゴップ議長の方にも、縮退炉他の超技術(オーバーテクノロジー)の理論や製法を出そうかと打診したが、オーラ力関係以外はその大半について、今のところはこちらの部隊で秘匿しておく様にとの答えを貰った。理由は単純。サイコフレームとかと違って、製造ラインとか運用とかの問題でちょっと手に負えないからである。

 ただし地球連邦の側で技術的な準備が整い次第、少しずつゴップ議長とその部下を通して技術資料を提出する事も求められた。見返りはきっちり用意するとも言われたし。

 

 村雨が、溜息を()きつつ言う。

 

 

「ふう……。この件について、国際警察機構の本部に応援を求めたんだがね。エキスパートの一人、公孫勝・一清道人を派遣してもらえるらしい。そしてBF団……いや、民間軍事会社(PMC)『BABEL FORCE』からもC級エージェントを多数、警備に回してもらえるとの事だ」

 

『そのエージェント達の指揮権は?』

 

「本来であれば、イワンになるはずなのだがね。奴は自分のウラエヌスの世話で忙しいからな。何の因果か、俺と一清道人が指揮を執れと……。やれやれ、大作君のボディーガードで手一杯だって言い訳が効く、鉄牛の奴が羨ましい」

 

 

 BF団エージェントの指揮を、国際警察機構エキスパートの彼らが執る……。村雨も、まだ着任していない一清道人も、頭を抱えているんだろうな。まあ、彼らの事だ。任務に私情を挟む事はあるまい。大作少年ですら、イワン殿とも仲良くやっているんだしな。

 

 

 

*

 

 

 

 その後、警備の事で村雨と色々話をした後で、村雨は退出する。ちなみに『わたし』は残ったマスター・アジア師匠と、別件で話があった。無論、師匠のためのMF(モビルファイター)製作について、である。

 

 

『師匠、MF(モビルファイター)なんだが、現在再建した試作実験機が、何時でも乗れる状態になっている。後でそれに乗って、データ取りに付き合ってもらえるかね?』

 

「ふふ、どちらかと言えばこちらの都合に貴様が付き合ってくれているのじゃろうが。ワシは何時でもかまわぬぞ」

 

『そうか。たぶん今回のテストで、必要なデータはほぼ全て揃う事になる。そうしたら、本番の実戦用MF(モビルファイター)建造を開始しようと思うのだがね。機体の名前は、何か要望は無いかね?』

 

 

 師匠はしばらく黙すると、やがて口を開いた。

 

 

「……『マスター・ガンダム』、かのう」

 

『……良いのかね? それは師匠が間違った道を進んでしまった時代の、その過ちの象徴とも言える名前なのでは?』

 

「うむ、だからこそよ。ワシはあの日の過ちを忘れる事はせぬ。忘れてはならぬのだ。可愛い弟子(ドモン)にその間違いを諭され、そして叩き潰された。あ奴(ドモン)は悪党に堕ちたワシを、見ン事叩き潰して制止()めてくれたのだ……。

 この世界でも、ふと思う事がある。人間という物は、救われる価値があるものなのかのう、と。ただ、その度に弟子(ドモン)の言葉と、そして弟子(きさま)の言葉が脳裏に(よぎ)る……」

 

『……』

 

「故にだ。ワシの機体は『マスター・ガンダム』で良いのだよ。そうあるべきなのだ。過ちを忘れぬために。そして二度と過ちを犯さぬために」

 

 

 マスター・アジア師匠は、遠くを見る瞳で語る。『わたし』は(おもむろ)に言った。

 

 

『だが、そのままと言うのも芸が無い。であるならば、『マスター・ガンダム(セカンド)』ではどうかな? 『次のために』立ち上がると言う意味を込めて、『(セカンド)』では。

 あるいは、『新たなる者』転じて『新たなる決意』を表すとして、『ネオ・マスター・ガンダム』では?』

 

「ふむ、そうするとしようかの。では『マスター・ガンダム(セカンド)』にしてもらおうか」

 

 

 そして師匠は最初(はかな)げに、そして数瞬の(のち)に豪快に笑った。呵々大笑(かかたいしょう)した。

 

 

 

*

 

 

 

 今『わたし』はシグコン・シップの会議室の意識端末で、GEARのDr.井上やゲッターチームの神隼人と言った頭脳派連中と、シグコン・シップⅡの仕様について議論をしていた。いや、基本的な仕様については既にしっかり固まっているんだ。だが彼らから、武装とかその他の細かい艤装(ぎそう)について、今更ながら新たな案が色々出されたんだよな。

 

 

『……だから、機動兵器のカタパルトは電磁式にするべきではないかね? あれは技術としても枯れていて、不安定さは無い』

 

「いや、それを言うならば既に重力制御の技術は十二分に使用実績が積まれている。俺たちはカタパルトには重力カタパルトを推す。消費エネルギー量も、電磁カタパルトより実は無駄が少ないぞ」

 

「それに重力カタパルトのシステムならば、艦載機発進後は渦動重力場を敵に投射する、重力波砲(グラビティ・ブラスト)にも転用可能です。射角は固定になってしまいますけれどね」

 

『ふむ……。確かに利点は多いが……』

 

 

 そんなこんなで、我々がその他にも色々ディスカッションをしていたら、突然ドアのインターホンが鳴る。『わたし』が意識をそちらに向けると、そこには北斗少年と銀河少年、そしてエリス嬢が映っていた。その周囲には、ユニコーンドリル、レオサークル、ドラゴンフレアと言ったデータウェポンたちが実体化している。

 『わたし』はドアを開き、彼らを迎え入れる。何か彼らは怪訝そうな、神妙な面持ちであった。

 

 

『どうかしたのかね? 何かしら、緊急の用件なのかね?』

 

「あ、いえ、その……」

 

「俺たちにも、なんかちょっとわけわかんねえんだよ……。こいつらが……」

 

 

 銀河少年は、レオサークルたちデータウェポンに、顔を向ける。

 

 

「こいつらが、なんか俺たちをこっちに引っ張って来たんだ」

 

「それで、何事かあるんじゃないかって……。データウェポンたちの事だから、流石にわたしたちも気にしないのはまずいんじゃないかって思って……。何があるのかは、わからないんだけども……」

 

 

 エリス嬢も、歯切れが悪い。まあ、そんなわけなら仕方あるまい。隼人はちょっと不機嫌そうな顔をしているが、それは何時もの事でもあるし、それこそ気にしても仕方ない事だ。

 と、データウェポンたちはちょこちょこと部屋の中を動き回ると、隼人が使っていたデスクトップPC(パソコン)の周囲へと集まった。隼人はますます不機嫌そうな顔になる。いかにも邪魔だと言わんばかりだ。

 

 

「神隼人……さん? あの、ちょっとPC(パソコン)見せていただいても、構わないでしょうか?」

 

「……少しだけだ。ファイルをいじるなよ」

 

「その……ありがとうございます」

 

 

 エリス嬢は隼人が脇に退いてくれたので、デスクトップPC(パソコン)の前に腰掛ける。……その次の瞬間、その場にいる人間は皆、驚愕した。

 

 隼人の使っていたデスクトップPC(パソコン)から、もう1体のデータウェポンが()いて出た様に出現したのである。それは鼻先が大型のガトリング砲になっている、猪型のデータウェポンであった。

 

 

『……ガトリングボア。たしか(つかさど)る属性は、『創造』だったか……』

 

「銀河! は、早くファイルセーブを!」

 

「お、応! ファイルセーブ、ガトリングボア!」

 

 

 銀河少年が突き出したギアコマンダーに、ガトリングボアが吸い込まれてその紋章が表示される。子供らは喜び騒いだ。

 

 

「や、やった! 新しいデータウェポンが!」

 

「やったわね! 属性が『創造』って事は、創造性とか創造力とか、かしら!?」

 

「隼人さん、さっすが頭良さそうなだけはあるぜ!」

 

「失礼でしょ! 頭良さそう、じゃなくて、頭良いのよ!」

 

 

 子供らから賞賛された隼人は、ますます不機嫌そうになる。ダイナミックな顔つきで不機嫌そうになると、物凄く凄い迫力だ。だが子供らは何ら気にせずに隼人に(まと)わり付いて褒め称える。……いいから君ら、隼人を解放してやれ。

 

 それと、隼人に創造性とかで負けたっぽいDr.井上が悲しそうにしているんだが、そちらも少し気を使ってやった方がいいと思うぞ、少年たち。




今話は閑話的なストーリーですね。ただちょこっとだけ進展と言うか、新規データウェポンが入りました。ガトリングボアです。
でも隼人って、初期隼人(テロリスト時代)は創造ってよりも破壊って感じでしたよね。テロリストなんですから。目だ! 耳だ! 鼻ぁ!! 後期隼人は、色んな作品で色んなゲッター作るし、創造性も高いですよね。

でも今話で一番書きたかったのは、『まるでゲッ○ーロボみたいですね!』『タカヤさんったら宇宙一のヲタクさんね』『えへへぇ、照れちゃいますぅ』『『『いやゲッターだって』』』のくだりだったり。
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