小型ミサイル装備の戦闘ポッド・リガードに、グラン・ガラン隊のボチューンが撃墜されそうになる。それをシロウのヒュッケバインNextが、敵機を撃墜して救った。
『あ、ありがとう!』
『いいって事よ! それより、お前らはオーラ・バリアがあるんだから、ノーマルタイプの奴と戦え! あと複数で少数の敵にあたる事、忘れんな!』
ノーマルのリガードは、基本的にビーム砲しか武装が無い。つまりオーラ・バリアを持つオーラ・バトラーは相性が良いのだ。オーラ・バトラーたちは素直にその言葉に従い、敵の大多数を占めるノーマルのリガードに向かって行く。それを見て、デューク・フリードがしみじみと語った。
『オーラ・バトラー隊の中でも、ズワァースMMの働きが凄いな』
【いちおうオリジナルではなく、手を加えてあるからズワァースMM改と呼んでいるんだがね】
『どちらにせよ、正式名称では無いのだろう? ……スクリュークラッシャー・パンチ!』
そしてまた1機の、大型ミサイル装備リガードが撃破される。そこへ北斗少年と銀河少年が叫んだ。
『うわぁ! こ、こいつ
『く、くそ! 疾風三……駄目だ、逃げられた!?』
電童の相手をしているのは、クァドラン・ローだ。メルトランディ軍の上級機タイプのパワードスーツだ。そこへ電童を巻き込む様にしてビームの乱射が降り注ぐ。それを撃ったのは、ゼントラーディ軍のパワードスーツ、ヌージャデル・ガーである。クァドラン・ローは直撃を受けて爆散する。一方の電童は、かろうじて攻撃を
『え!? 同士討ち!?』
『って言うか、味方巻き込んでこっちを撃とうとしたってのかよ!?』
【2人とも。奴らはそれぞれ別の陣営だ。どっちも我々からすれば敵だが、奴ら同士も敵対関係だ】
『『ええっ!?』』
驚きの声を上げてはいても、電童は動きに動揺は見られない。彼らも相応に成長している様子だ。ただ、戦士としての成長が彼らの幸せに繋がるかと考えると……。少々気が重くなる。
それはそうとして、だ。今ここには、我々『スタイシュッツ』と、ゼントラーディ軍、メルトランディ軍の3つの陣営が混在して戦闘を繰り広げている。疎開民船団に攻撃を仕掛けて来た2つの小艦隊だが、それぞれがゼントラーディとメルトランディの艦隊だったのだ。
そうなると、なおさらに敵の思惑が分からなくなる。小艦隊2つですらも、こちらを相手取るには中途半端な戦力であったのだが、それぞれの小艦隊が別の勢力であったとなると……。中途半端どころではない。まったく戦力が足りていない。まさか威力偵察か? それが、ゼントラーディ軍とメルトランディ軍で、威力偵察部隊が偶然かち合ったのか?
と、マスタ・アジア師匠のマスター・ガンダム
『ワンセブン! このままでは疎開船団にまで被害が出かねぬぞ!』
【師匠、それは『わたし』も懸念していた。どうにかしたいところだが……】
『こちらラー・カイラム! ブライトだ!』
そのとき、ブライト准将の指示が飛ぶ。
『マスター・アジア隊は5時方向に展開しているゼントラーディ艦隊を、ガンバスターは8時方向に展開しているメルトランディ艦隊を叩け! 特に遠距離攻撃に適している、砲艦タイプを優先して撃沈するんだ!
できれば旗艦も沈めて欲しいところだが……。砲艦タイプで疎開船団を狙われたら、それはこちらの敗北と言っても過言ではない! 繰り返す、砲艦タイプを狙え!』
師匠たちも、カズミ女史も、即座にそれに従う。
『こちらマスター・アジアだ。ワシらは了解ぞ。最低限砲艦タイプは全部撃沈してくれるわ』
『こちらガンバスター、アマノです。こちらも了解しましたわ』
そしてガンバスターがメルトランディ軍の小艦隊へと吶喊して行く。一方で師匠とジャイアント・ロボ、ウラエヌスはゼントラーディー軍の艦を沈めるべく左方向へと突進して行った。
*
戦闘は乱戦の様相を呈していた。幸いなことに火星疎開民の船団は、わずかばかりの差でどうにか逃げ延びている。……しかし、本気で妙だ。奴らは疎開民の船団に対する攻撃は、さほど熱心では無かった様に見える。いや、ゼントラーディとメルトランディによる攻撃がかち合ったせいで、相互の戦闘に熱中してしまったため、こちらへの攻撃が
と、そこへ唐突に思念が響く。これはジュドー君の声、だな。
(えっ! お、おい! ルー、だろ!? ルー! 生きてたのか! よかった!)
(な、なんでジュドーがここに居るの!?)
(木星がガルファに
(ん、もう! 死んじゃったかと思ったじゃないの! 心配させないでよ!)
(そりゃこっちの台詞……あぶねえ!)
(あ、た、助かったわ。あ、その、ありがと)
……あれは、火星総督府軍の傭兵部隊の機体だな。ルー・ルカ嬢はそこに雇われていたのか。しかしバージムとは、渋い機体に乗っているな。
(ごめん! 今あたしこれでも火星の傭兵隊で、小隊長やってるのよ! 部下の面倒見ないといけないから、後で話しましょ!)
(お、おう。悪い。
(誰に言ってんのよ!)
サイコΖΖガンダムと、バージム小隊は左右に分かれ、それぞれ獅子奮迅の戦いぶりで戦闘ポッドの群れを駆逐し始める。何と言うのか、それまでよりも各々が生き生きとしているな。
そう思ったとき、通信に大作少年の声が響く。
『ロボ! 全力パンチだ!』
ガオオオォォォン!!
そしてゼントラーディー軍の1,500m級中型砲艦が、中央から真っ二つに折れて砕ける。すかさず離脱するジャイアント・ロボ。折れ砕けたゼントラーディ艦は、爆沈した。動力を縮退炉に換装したジャイアント・ロボのパワーは、物凄いとしか言い様が無いな。
一方で、ガンバスターも負けてはいない。ノリコ嬢とカズミ女史の絶叫が宇宙を
『スーパアアアァァァ……』
『イナズマァ……』
『『キイイイィィィック!!』』
こちらは1,800m級中型短射程砲艦が、艦体のド真ん中を
だがその時である。またもジュドー君の叫び声が、思念に乗って
(ルー! てめえら、ルーを何処に連れて行こうってんだ!)
(ジュドー!)
見遣ると、ルー・ルカ嬢の機体と思しき全武器を喪失したバージムが、2体のヌージャデル・ガーに挟まれてゼントラーディ艦隊の方へ連れて行かれるところだった。それをジュドー君のサイコΖΖガンダムが、必死になって追いかけている。だが、まずい。奴らの艦隊旗艦に、バージムが連れ込まれる方が早い。
手助けに行きたいが、こちらも位置が悪い。どう頑張ろうと、一番早いのがジュドー君のサイコΖΖガンダムだ。そして彼ですらも、間に合わないのは明白である。
(ま、に、あ、えええぇぇぇ!!)
ジュドー君が思念で叫んだ瞬間、サイコΖΖガンダムが全身の装甲の隙間から、蒼緑色の輝きを漏らす。サイコフレームの輝きだ。そしてサイコΖΖガンダムの速度が目に見えて上昇した。泡を喰ったかの様に、逃げるヌージャデル・ガーどもも速度を上げた。
そしてヌージャデル・ガー2体、ルー嬢のバージム、ジュドー君のサイコΖΖガンダムは、ほぼ同時に敵旗艦……2,000m級の標準戦艦の開いたハッチに飛び込む。次の瞬間、敵旗艦は虹色の輝きに包まれて、緊急のフォールド航法を行った。
フォールド航法とは、ゼントラーディ軍やメルトランディ軍が用いている、いわゆるワープの様な転移手段である。無論のこと、我々が用いているベガ星連合軍由来のワープとは、原理からして大きく違う物であるらしいのだが……。
だがそれ故に奴らのフォールドは、惑星重力場による転移失敗の可能性がワープに比べて低いのではないか、と推測される。劇場版マクロスに於いて、メルトランディ軍のミリア艦は惑星上で緊急フォールドを行っている描写がある。まあこの世界に於いて、アニメの情報が100%適用されるとは思わない方がいいのだが。
だが少なくとも今この時、ゼントラーディの敵旗艦は、『我々のワープ機関でのワープ可能宙域でない場所』で、緊急のフォールド航法を行って見せたのである。
そして次の瞬間、他のゼントラーディー艦も、展開していた戦闘ポッドやパワードスーツを必死で回収すると、急ぎ緊急フォールドで転移して行く。つまりは……。奴らの目的は、どうにかして捕虜を取る事だったんだ。
『ちくしょう! ジュドーが
『そんな! ジュドーさん!』
『ちっきしょう!』
シロウ、北斗少年、銀河少年が悲痛な声で叫ぶ。だが、ひかる女史がそんな彼らを叱咤する。
『おちつきなさい! ここまでして捕まえた捕虜よ! 下手な扱いをするとは思えないわ! 生きて奪回できる可能性も、まだ充分にある!』
『……そうだ。ひかるさんの言う通りだ、諸君。落ち込んでいる場合じゃない! それにゼントラーディ軍は撤退したが、メルトランディ軍は……!? いかん! まずいぞ!!』
デューク・フリードが叫んだ。グレンダイザーが指し示すその方角では、5機の火星軍の
それに気付いていたのは、我々だけでは無かった。カミーユ君のサイコΖガンダムがウェーブライダー形態で突っ込み、インコムとファンネルを駆使して2体のクァドラン・ローを撃墜、ハイザックを自由にする。アムロ大尉のサイコΞガンダムAがファンネルミサイルで別のクァドラン・ロー2体を撃破し、ネモを救出する。
『わたし』とシロウもまた、なんとかクァドラン・ローに追いすがって鉄拳を見舞い、あるいはビーム・ソードで斬りつけて、どうにか
そしてその標準戦艦は、瞬時に緊急フォールド航法に入る。更にはメルトランディ軍の残存部隊も、機動兵器を回収するとフォールド航法で転移して行く。つまりはメルトランディ軍の目的も、こちら側から捕虜を取る事だったわけだ。
【してやられた、な】
『くっそ……。どちくしょうめ……。ジュドーをどうやって取り返せばいいんだ……』
【ジュドー君もそうだが、他にも
『そう、か……』
シロウは悔し気に呟いた。今回の戦いに於いて、こちらはなんとか勝利条件を達成している。疎開船団には傷一つ無いのだ。しかしながら、こちら側と敵側では勝利条件がまったく違った。敵側の勝利条件は、こちらから数名でも捕虜を取る事……。
ゼントラーディ艦隊もメルトランディ艦隊も機動兵器を多数撃破され、あげくに双方とも砲艦1隻を撃沈されている。しかしながら敵は双方とも、捕虜を確保して逃げ去ってしまった。つまり奴らは奴らで、勝利条件をかろうじて満たした事になる。
そして我々は、とても勝ち戦とは思えない悄然とした雰囲気のまま、各々の母艦へと帰艦の途に就いた。
*
シロウが咆える様に叫ぶ。
「ワンセブン! 敵の機動兵器搭乗員を捕虜にしたってぇ!?」
『ああ。戦闘後にいくらかでも敵の事を知る事ができないかと、ある程度形の残った残骸を回収したのだがね。そのうち4つ、搭乗員が生きている物があったんだ』
「どんな奴らだったんでぇ。なんか、デューク殿下の言う事にゃ、ゼントラーディもメルトランディも、巨人型だってぇ話だがよ? 3mぐらいか?」
『いや、10mだ』
うん、デューク・フリードたち宇宙共栄連合も、ゼントラーディやメルトランディが巨人型異星人だとは伝え聞いてはいたんだが。だが具体的な情報は宇宙共栄連合に届く前に
そのため巨人型異星人だという事は知ってはいたが、彼らの常識内で考えたためか、10mというのは誇張されたサイズだろうと思い込んでいたらしいな。で、今回確保された捕虜を見て、デューク・フリードも驚いた様だったが。
「じゅうめーとる? マジで?」
『マジだ。今現在格納庫のうち空いているものを閉鎖して、そこに留置している。……シグコン・シップⅡを建艦していて、本当に良かったよ。格納庫の空きがあったからな』
「言葉は通じんのか?」
『今のところ、まだ駄目だ。だが幾つかの単語、いくつかのフレーズは確認できている。今シグコン・シップⅡの
とりあえずブライト准将からも、見込みは薄いが捕虜交換の可能性もあるかも知れないとの理由で、丁重に保護しておく様に言われている。流石に相手が10mの巨体であるため、
「なあ……。
『1人はジュドー君の彼女だ。ルー・ルカと言って、木星圏でケンカして行方知れずだったらしいんだが、火星圏で傭兵
「うへぇ、すげぇ女傑だな」
『次は火星総督府軍の正規
こんなところに居たのか、コウ・ウラキ。わたしコウ・ウラキのファンだったんだよな。どうも左遷に継ぐ左遷を繰り返し、火星と地球連邦が和解した際に火星軍まで流されて来たらしいんだが。しかしどうして彼は、こうも運が無いんだ。
シロウは溜息の様に言葉を漏らす。
「なんとかして……。全員無事に助け出してえよな……。ジュドーは特に、だけどよ」
『ああ。なんとかしないとな……』
『わたし』はセンサーで、艦外の宇宙空間を
ジュドー、ルー・ルカと再会したとたんに、諸共に
そしてコウ・ウラキ。ええ、コウ・ウラキ。そう、コウ・ウラキ。大事なキャラなので3度(ry 彼は役割的にちょっと可哀想ですが、やはり出て欲しかった……!!
ジュドーとルーが
さて、次回はまたゼオライマー組の事も書かないとなあ。