大鉄人戦記   作:雑草弁士

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第007話:装備類補給事情

 竜馬のブラックゲッターが、左腕部の大型ゲッターレザーでメタルビーストを真っ二つにする。それと同時に、『わたし』がインベーダーを踏み潰した事で、戦いは終わった。今『わたし』たちは、メタルビーストとインベーダーの混成部隊を相手に、戦いを繰り広げていたのだ。

 アムロ大尉のジェダと、シャア大佐のリ・ガズィ、そしてシロウのヒュッケバインNextがブラックゲッターのところに集まって来る。『わたし』はリ・ガズィが切り離したBWSを拾ってから、同様に彼らのところに歩いて行った。

 

 そこへ上空支援をしていたシグコン・シップがゆっくりと降下して来る。MS(モビルスーツ)2機とPT(パーソナルトルーパー)1機、そしてブラックゲッターはスラスターを()かしてそれに飛び乗った。わたしも同様に翼を開き、『戦闘飛行ワンセブン』形態で飛翔、シグコン・シップ甲板に飛び乗る。

 

 

『お、おい! おい待て貴様たち!』

 

 

 本来のこの地域の防衛部隊であった、簡易量産マジンガーのイチナナ式部隊を指揮していたステルバーという名の特機(スーパーロボット)が、オープン回線で通信を送って来る。おそらくシュワルツとか言うアメリカ人パイロットだろう。たしか前世におけるアニメやゲームの記憶では、竜馬とはあまり性格の相性が良くないはずだ。

 だが『わたし』は仲間たち一同に、そう言った場合は返答しない様に言い含めていた。できるだけ『わたし』たちは、正体不明の一団でいた方がいい、という判断の下にである。

 

 

『待て! 待たないかお前たち! そこの黒いゲッターロボ! まさか貴様……!!』

 

 

 おや? シュワルツ氏、まさか竜馬の存在に気付いた、のか? とりあえず直通回線で、ブラックゲッターに繋ぐとテキストメッセージを送る。

 

 

【竜馬、彼はやけに鋭いな?】

 

『だな。まあ確証は無えだろう』

 

【まあとりあえず、逃げるとしよう】

 

 

 シグコン・シップの主エンジンが唸りを上げる。既に各機とリ・ガズィのBWSは格納庫に戻してあった。『わたし』も『要塞ワンセブン』形態になって、艦橋(ブリッジ)下部に前方からはまり込む。

 

 

『まさか、流竜……!!』

 

 

 本気で鋭いわな。NT(ニュータイプ)能力も無いだろうに。何者だシュワルツ氏。

 『わたしたち』を乗せたシグコン・シップは、最大戦速で現場を離脱した。

 

 

 

*

 

 

 

 シグコン・シップの艦橋(ブリッジ)では、カミーユ君とファさんがお茶の準備をして待っていた。ロボターにでも手伝いをさせたいが、あれは『わたし』の体内からは出られない仕組みになっている。

 

 

「みなさん、ご苦労さまです」

 

「この地域のインベーダーやメタルビーストの群れは、今回のやつで最後ですね。本当は俺も出撃できればいいんですが……」

 

「カミーユ……」

 

 

 ファさんが物憂げな表情になる。カミーユ君が戦いに出たがっているのが、心配なのだろう。

 

 

「ファ、わかってる。でも皆を戦わせて俺だけ蚊帳(かや)の外なのが、もの凄く心苦しいんだよ」

 

「だけど、カミーユはあんなに戦って、あんなに傷ついて……。いえ……。気持ちはわかるのよ。だからカミーユ、もし戦うんなら、わたしもいっしょに出撃するわ」

 

「ファ……。だ、だけど」

 

「心苦しいのは、あなただけだと思ってた?」

 

 

 パンパン、と手を叩く音がした。シロウだ。

 

 

「はいはい、カミーユの負けだぁな、コレは。ただ、俺らとしても、ブランクのありすぎるアンタらを慣れない機体で戦場に放り出すのは、正直胃が痛くなるってもんだぜ。だから、まずはシミュレーターから、な?

 アムロ大尉とシャア大佐のOKが出るまでは、駄目だぁな。その頃にゃ、上手く行けばMS(モビルスーツ)の1機ずつも用意できるだろ。な、ワンセブン?」

 

『うむ、今現在アムロ大尉用に、リ・ガズィを複製しているところだ。ちょっと核融合炉の燃料に使うヘリウム3の備蓄が足りないから、確保に苦労しているがね。今思うに、『ブレイン』の演算能力は桁が外れていたな……。『ブレイン』なら、その演算能力で認識した物は完全に創造できるからな。

 わたしは元々は自由には動けない『ブレイン』の、動く分身として超生産能力も持たされて造られたんだが、演算能力という面では『ブレイン』には遠く及ばないからな。結果、超生産能力にも天井がある』

 

「まあ、天井があるってもよ。俺からすりゃ、青天井並に高え天井なんだが。とにかくアムロ大尉のためのリ・ガズィ複製機が完成すればよ、ジェダが1機空くし」

 

『ちなみにヘリウム3の確保のため、『わたし』の体内工場による超生産能力はすべてそれに割り振っている。MS(モビルスーツ)の複製や予備部品の製造は、現状は超生産能力が関わりない艦内工場でなんとかなる。……どうしたね? アムロ大尉、シャア大佐』

 

 

 アムロ大尉とシャア大佐の目が、点になっていた。何かしら驚くべきことでも、あっただろうか。

 

 

「あ、いや……。木星まで行かなくても、ヘリウム3が手に入るのか……」

 

「生産量次第では、革命的な事だぞ……」

 

『先ほども言った通り、『わたし』の超生産能力には演算能力という(かせ)がはまっている。天井は諸君らが思うよりも低いんだがね』

 

 

 2人は複雑そうな表情のままだったが、なんとか頷いてくれた。このまま2人が仲良くなってくれるといいんだが、まあそう上手くはいかんだろうなあ。

 あ、そうだ。

 

 

『ところでシャア大佐。アムロ大尉の複製リ・ガズィが完成してからの話なんだが』

 

「む?」

 

『よければシャア大佐のリ・ガズィを赤で塗装しようか』

 

 

 一瞬考え込んだシャア大佐だったが、やがて首を左右に振る。

 

 

「いや、万が一の身上バレを防ぐ意味でも、やめておこう。苦労してリ・ガズィを手に入れて来た意味が無くなる」

 

『識別の意味でも、何か両機を違うカラーリングなりにしておきたいんだがね』

 

「だったら俺の機体を、標準の色じゃなく、白系の色にしてくれないか」

 

『了解した、アムロ大尉。そうだな、白をベースに青でアクセントを入れようか。艦内工場に指示を出しておく』

 

 

 しかし、そうだな。あちこちに派遣している探査機(プローブ)の数を増やすべきかな。情報収集手段は、多くて困る事は無い。特に軍関係の施設とかは、クローズドの外部に繋がってない内部ネットワークが多い。そこに侵入して接続できれば、色々と情報を()れる。

 正直、リ・ガズィ以上の強力なMS(モビルスーツ)の設計データとか欲しいんだよな。リ・ガズィはそこそこ強力だが、しかしながら強力機という(くく)りの中では低いランクだ。上の上、というレベルの機体相手にはつらい程度でしか無いとも言える。

 

 それに……。ヒュッケバインNextについても、出来得るならば詳細情報が欲しい。実機を調査した結果、封印状態の主機はどうやらブラックホール機関ではないか、と予想がついている。今は補機のプラズマエンジンで稼働しているが……。

 ブラックホール機関の大出力が得られると仮定した場合、駆動系にそれだけの大出力を流し込めば、シミュレーションの結果から言って……。化ける。あの機体は、化ける。今ですらも充分な高性能機ではあるのだが……。そんなレベルでは無いだろう。

 

 それとヒュッケバインNextの操縦系周り……。あの機体は操縦士(パイロット)であるシロウにかけられていた、第13NT研の洗脳をさっくり解除している。さっくりと、だ。あっさりと、解除してしまったのだ、あの七面倒くさい洗脳を。

 単なる実験の被験者である、オーガスタ研から救出してきた面々。あの者たちの洗脳を解除するのに、今『わたし』は非常に苦労している。それよりも強固なはずの強化人間向け洗脳を、あのヒュッケバインNextはいとも簡単に解除している。

 

 更に言うならば、あのヒュッケバインNextはシロウ以外の操縦士(パイロット)を受け入れない様になっている。アムロ大尉が試しに乗ったら、ぴくりとも動かなかった。制御盤(コンソール)の電源すらも入らなかったんだ。完全に、あの機体はシロウ専用になってしまっている。おそらくは、シロウを受け入れたその瞬間から。

 

 しかし、いったいヒュッケバインNextについての情報は、どこを調べれば手に入るやら……。

 

 

『ううん、やはりもっと演算能力を強化するべきかな』

 

「ん? どうしたんでえ」

 

『いや、な。色々と調査をするにも、超生産能力の天井を上げるにも、『わたし』が馬鹿なままだとなあ、と思ったんだ』

 

「てめえが馬鹿だったら俺なんざ、ちょー馬鹿だろうがよ」

 

 

 いや、シロウは経歴の割には聡明だと思うぞ。過去の記憶は無いが、それでも機動兵器に関わる知識は十全に備えているし。

 

 

『いや、しかし『わたし』の演算能力がもっともっともっともっともっともっと高ければ、一瞬でアムロ大尉やシャア大佐、カミーユ君、ファさんの乗る高性能MS(モビルスーツ)を設計開発できたはずなんだ。かつてのνガンダムやサザビーにも匹敵する高性能機を』

 

「いや、どんだけ『もっと』だよ」

 

「νガンダム級とは言わなくても、せめてバイオセンサー搭載機が欲しいな」

 

「本音を言えばフル・サイコフレーム機体が欲しいところだが……。今の時代だと、製造しただけでお縄になるからな」

 

『黙って製造してる奴らは、居そうだと思うんだがね』

 

 

 やはりアムロ大尉やシャア大佐も、今の機体には不満を持っていたか。サイコフレームかあ。『わたし』が解析して『認識』できれば、超生産能力で『創る』のも不可能とは思わないんだがな。具体的にどんな代物なのかまったくわからん現状では……。論文ぐらい手に入れば、時間はかかるが演算して『解』を割り出し、それに従って実物を生成するのも……。

 

 まあとりあえず、忘れないうちに探査機(プローブ)の増産を指示しておこう。そんでもって、あちらこちらにバラ撒いて情報を集めないと。

 

 

 

*

 

 

 

 とりあえず、リ・ガズィの複製機1機とジェダの複製機1機が完成した。カミーユ君とファさんは、必死になってシミュレーター訓練に勤しんでいる。

 もともとのアムロ大尉機だったジェダは、本来であれば各部デチューンしてカミーユ君に渡すつもりだったんだが。シミュレーターではカミーユ君、アムロ大尉機のピーキーな機体特性のまま、乗りこなしてるねえ……。というわけで、傷んでるところとかヘタってるところとか修理して、そのまんま彼に渡す事になった。

 

 そしてジェダ複製機なんだけど……。それを任せるファさんはそこまで操縦技量は高く無い……低くもないが。彼女はせいぜい一般のパイロット程度で、彼女の持つ弱いNT(ニュータイプ)能力を加味して『ちょっと使えるパイロット』程度ではある。

 だもんで、攻撃を(かわ)すよりは耐える方がよさそうである。MS(モビルスーツ)なんだけど、特機(スーパーロボット)的な運用になる。幸いに、ジェダはジェガンに比してフレーム、装甲厚、装甲配置が頑強だ。まあそのせいで正式採用には二の足を踏まれたんだが。そして彼女のジェダは、装甲アップを中心にチューンされる事になった。

 

 そしてカミーユ君とファさんのMS(モビルスーツ)を編制に加えて、初の実戦を何処でやるかと言う話になって……。南米からいったん太平洋に出て、アラスカを目指した。アラスカには野良機械獣も若干出没するが、南米に次いでインベーダーの類の密度が濃い。今現在の『わたし』たちの行動原理は、まずは竜馬に協力することを優先順位の先頭に持ってきているからな。

 

 

『……と思ったらよ。インベーダー野郎じゃなく、なんで自称ネオ・ジオンのジオン残党が居やがるんだ』

 

『ふん、敵にゃ違いねえ。インベーダーを倒して回りゃ、自然と早乙女のジジイとも出会うかとも思ってたんだがよ。居ねえならしょうがあんめえ。いつもインベーダー狩を手伝ってもらってるからな。今日は俺が手伝ってやらあ』

 

 

 竜馬はやる気はある様だな。しかしこんなアラスカの北端の氷原に、こいつら何の用だ? いや氷に埋もれる様にして、あそこにあるのは建物、か? ……『わたし』のセンサーでは、何がしか金属の反応があるが。

 奴らはあそこを目指していた様な行動を取っていたな……。あそこに何が……。ほう、こちらを迎え撃つ態勢を取ったな。まあどちらにせよ、ジオン残党軍はテロリストだ。倒しておくに越したことは無いさ。

 

 

【あちらさんも、やる気満々だ。各機、カタパルトで順次発艦してくれ】

 

『『『『『了解!』』』』』

 

 

 そして『わたし』たちは氷原に展開し、敵を迎え撃った。




主人公たちの兵站は、全部が全部ワンセブンに頼っています。いや実はシャアも色々便利に使える伝手は持ってはいるんですが……。その伝手は便利に使うと便利に使われてしまうので。
でもまあ、シャアはアムロを助けに来たときのリ・ガズィの調達とか、アムロとカミーユ、ファの情報を手に入れるのとで、そちらに借りを作ってしまっていますからね。後々、その分は返さないといけませんね。
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