プロデューサーはじめました。   作:テラリウムA

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44話 みりあ is NUMBER ONE(6)

 

 

 お風呂からあがったみりあたち4人は、牛乳瓶のキャップを外し、腰に手を当てて口を付ける。喉がごくんごくんと鳴り、さきほどまで冷やされていた牛乳が体内にじんわりと広がっていく。

 

 ちなみに、この牛乳はプロデューサーからの奢りで、250mlで税抜き298円というまあまあ高いものだ。

 

「「「「ぷはぁ~」」」」

 

 瓶から口を離し、4人ともに満足げに吸いすぎた息を吐き出す。

 

「んまぁい! やっぱ風呂あがりはこれですなー!」

「なにこれほんと美味しいじゃん★ 初めてかも」 

「ほんとだー! なんでいつもより美味しいんだろう?」

 

 みりあは首を傾げつつ、また1口飲む。やはり美味しい。お泊まり会豪華だろうか。

 

「これはね、牛乳の風味が残ってるからなんだよ」

 

 美波がみりあに説明する。湯上がりでほんのり紅潮した姿が色っぽい。ちらりと覗く谷間もそれに拍車をかけている。

 

「ふうみ?」

「そう。普段の牛乳パックだと、紙のパックが風味を奪っちゃって味が落ちちゃうんだ。でも、瓶だとそれがないからいつもより美味しく感じるの」

「へぇ~、美波お姉ちゃん物知りだね!」

 

 みりあは一気にそれを飲み干した。

 

「みりあちゃん、いい飲みっぷり! こりゃ私も負けてられませんなぁ!」

 

 張り合うように未央も飲み干した。

 

「……んぐんぐんぐ……っ! ぷっはぁー!」

 

 あまりにも勢いよく傾けたからか、牛乳で白いひげがうっすらとできていた。それを見た美嘉が噴き出しかけてむせる。

 

「ちょ、未央……! んふふ、ごほごほっ……! もぅっ、なんなのそれ。ふひっ」

「あーっ、未央ちゃんおひげできてるーっ!」

「なんと! ……にやっ」

 

 未央が口角をあげ歯を見せるようにニッと笑うと、美嘉の笑いのツボにきれいに刺さってしまい、彼女が口に含んでいた牛乳を毒霧のごとく噴き出してしまったのだった。

 

 

 

 

 時刻はちょうど23時になろうとしている。見慣れない天井の下で、みりあたちは川の字になって就寝中だ。みりあは一番端で隣は美嘉である。

 

 美嘉の牛乳噴き出しやその後のちょっとしたお菓子パーティも終わり、歯磨きをして布団入りしたのが10分ほど前だ。普段のみりあならすでに寝ているが、テンションが抜けきっておらず、まだ眠れていない。

 

「美嘉ちゃん、その、まだ起きてる?」

「うん、起きてるよ~。もしかして枕が変わると寝れない?」

「あ、ううん、そうじゃなくてね、さっき聞けなかったことがあって。今、聞いてもいい?」

「もち。いいよ。こっちおいで。あ、未央と美波さんは寝てるから小声でね」

 

 美嘉は快諾した。みりあは小声で会話ができる位置までもぞもぞと布団を移動する。

 

「あのね、莉嘉ちゃんに意地悪しちゃったって言ってたでしょ。何したのかなって」

 

 みりあは小声で尋ねる。

 

「あー、お風呂での?」

「うん」

「あれはいくつのときだったかな……正確には覚えてないけどまだアタシが幼い時の話。あのときの莉嘉はアタシにべったりでさ、いや今も似たような感じだけど今以上にね。どこへ行くにも遊びに行くにも金魚のふんみたいに後ろを付いてくるし、ママもパパも莉嘉ばっかり気にかけてるように見えて、ある日嫌気が差して公園に置き去りにしたんだ」

「えぇっ!? 大丈夫だったの!?」

 

 驚いて思わず声が大きくなるみりあ。

 

「まぁ結果的には何事もなかったよ。それで、家に帰ってママに『莉嘉は?』って聞かれて『知らないっ』って答えたらしくて。細かいとこは覚えてないんだ。ただ問い詰められて白状して、ま、お説教だよね。それでギャン泣きしながら公園まで迎えに行かされて。莉嘉は『おねえちゃん!』って目を腫らしながらアタシに抱きついてきたのを覚えてる」

 

 伏し目がちに美嘉は話す。

 

「こうして話してるとアタシ結構エグいことやってるなぁ……あぁ、それでね、家に帰って一緒にお風呂入ってたら莉嘉が嬉しそうにしてるの。なんでニコニコしてるのって聞いたら『おねえちゃんが迎えにきてくれて嬉しかった!』って言われてね、アタシちょっと嬉しくなっちゃってポロポロ泣いちゃった。置き去りにした癖にね」

 

 考えを整理するように息を吐き、美嘉は続ける。

 

「そこからはまあ段々と今みたいな関係になっていった感じかな。今じゃご近所でも評判の仲良し姉妹よ」

 

 美嘉はどのように莉嘉との関係性を作っていったのだろうか? 何か特別なことをしたのか? それとも誰かに手伝ってもらった?

 

「美嘉ちゃんはどうやって仲良しを続けてこれたの?」

「うぅん……どうやって……」

 

 考え込む美嘉はやがて口を開く。

 

「特に何かしたわけじゃないかな。気付いたらそうなっていた感じ。確かに莉嘉がうっとおしいときもあったし、羨ましいと感じるときもあったのは間違いない。ただ、いつの間にか莉嘉がいるということが当たり前になってきて、気にならなくなったんだ。居ることに慣れたともいうかも」

 

 なんだか難しい気がして、みりあの脳はフル回転している。

 

「うーん……わかったようなわかってないような……?」

 

 情報処理中のみりあへ美嘉が話しかける。

 

「みりあちゃん、お風呂のとき妹がとっても可愛いって言ってたよね?」

「うん! 私の指をぎゅって握ったり、お姉ちゃんだよーって言うと笑ってくれるんだ! えへへ!」

「その気持ちがあれば、仲良くできるよ。これはみりあちゃんの先輩お姉ちゃんとして断言できる」

「ほんとっ!?」

「もちもち。特別なことよりもその気持ちが一番大事だから」

 

 みりあにとって、妹が可愛く、そして大切という気持ちは変わらない。

 

「あ、だからといって甘やかす訳じゃないからね。一緒に泣いて笑って喧嘩して、ときにはビシッと叱ることも必要だよ」

「私に叱るなんてできるかなぁ……」

「難しかったらまた相談してね。ふふ、いつでも教えたげる。なんせ莉嘉で鍛えたお叱りスキルがあるからね!」

「おお!」

 

 天真爛漫かつ自由奔放な莉嘉を叱っているのだから、それなりにすごいに違いない。さすがは先輩お姉ちゃんといえる。

 

「えへへ、美嘉ちゃんはカッコいいお姉ちゃんなんだね」

「みりあちゃんもその1歩を踏み出したんだよ」

「なれるといいなぁ……ふぁぁあ」

 

 大きなあくびをしたみりあの瞼がだんだんと重くなってくる。さきほどまではなんともなかったのに、今は錘でも乗せているかのようだ。

 

「ふぁぁぁああ、ん……」

 

 再び大きなあくびが出てしまう。強烈な睡魔が超スピードでやってきて、すぐそこまで迫ってきている。

 

「もう遅いからおやすみ、みりあちゃん」

「みか、ちゃんと、おはなしできて、よかっ……た……んへへ」

 

 1秒も経たないうちにみりあは眠りについた。その顔はどこか憑き物が取れたように穏やかで、子犬のように可愛らしい。

 

「さすがは美嘉ねぇ、いいお話だったなー」

 

 みりあが完全に寝入ったタイミングで、未央がひょっこりと頭を上げる。

 

「よく寝てますなー。しかし美嘉ねぇの意外な過去が明らかに」

「意外ってほどじゃない気がするけど」

「いやいや公園に置き去りは結構ハードでしょ。ちょっと無視したとか、取っ組み合いしたとか、そういうもうちょい軽いのかと思ってたから」

「……やっぱそう思う? アタシもやり過ぎたなって今話してて思った。莉嘉が無事で良かったよ、ほんと」

 

 美嘉は安堵した表情で、今こうして莉嘉がいる幸せを噛み締めるように言う。もしかしたらあの日公園に置き去りにしたせいで残酷な結末になっていたかもしれないと思うとゾッとする。

 

 ──あの頃の自分に喝を入れられたらなぁ。ま、無理なんだけど。みりあちゃんはそうならなそうで良かった。

 

 隣の布団ですやすやと寝息を立てるみりあは、きっといいお姉ちゃんになるだろう。第六感がそう告げている。

 

「てか、未央はなんかやらかしてないの?」

「なんでやらかす前提なの? 私は弟と仲良かったからなぁ、お皿手裏剣選手権やったくらいかな」

「なにそれ」

「食器用のお皿を手裏剣みたいに投げて点数を競う……スポーツ?」

 

 軽く想像するだけで大惨事確定である。掃除も、間違いなく落ちたであろう特大の雷も。

 

「紙皿?」

「ううん。陶器」

 

 ほんの少しだけ存在した『実は紙皿で』という可能性も消えた。

 

「割れたでしょ」

「そりゃあもう、粉々よ。仕事から帰ってきたお母さんの唖然とした顔が阿修羅になっていくのは未だに覚えてる。拳骨喰らってお説教されました」

「未央って子供の頃、結構破天荒だったんだ」

「てへっ♪」

 

 可愛らしく仕草をする未央だったが、美嘉の中でのイメージはちょっと変わったことは言うまでもない。

 

「さて、じゃアタシらも寝よっか」

「えっ? このままコイバナとかしないの?」

「えぇっ!? し、しないって! 夜更かしはお肌の天敵だし!」

「えぇー、せっかくだししよーよー。あ、それとも今ちょうど初恋中かな?」

 

 若干ニヤつきながら未央が言うと、美嘉の顔がみるみる紅くなる。

 

「ハ、ハァッツ!? アタシ、カリスマギャルだからコイバナくらいたくさんあるしぃ!」

「おぉ! ではさっそく聞かせてもらいましょうか……!」

「なっ! みぃーおー!」

 

 やいのやいのと騒いでいると、不意に眠っていた美波が上半身を起こす。2人が呆気に取られていると、バネに弾かれたように顔が90度左に動いて2人を捉える。

 

「そこの2人、早く寝なさい」

 

 一言そう告げると倒れるように布団に横になり、また眠りにつく。いつもの優しい声色ではなく、冷たく重い女王様のようだった。

 

「……寝よっか」

「うん」

 

 美嘉と未央も美波の迫力に圧されて眠りについた。そうして、夜は過ぎていく。後日、この話を耳にしたプロデューサーによって美波は女王様をやらされることになるのはまた別のお話である。

 

 

 * * *

 

 

 あっという間に朝が来て、明お手製の朝食を摂るともう解散する時間になっていた。

 

「お世話になりました! とっても楽しかったです!」

 

 荷物もまとめて、玄関先で靴を履いたみりあは青木家の3人へ礼を言う。

 

「また来ていいからね」

「ありがとう、慶ちゃん! 明さんの朝ごはんも美味しかったです! 麗……さんもありがとうございました!」

「ああ、役に立てたのなら良かった」

 

 唯一この場にいない聖は二日酔いでダウンしている。普段のレッスンだけでなく日常生活もシャキッとしていそうなイメージだったが、今回でだいぶ変わった。

 

「みんな、忘れ物はない? じゃあ、いきましょう。トレーナーさんたちもありがとうございました。久々で楽しかったです」

「美波ちゃんもみんなも、また事務所でね」

 

 明たちに見送られて、4人は青木家を後にした。エレベーターで1階フロアまで降りてきたとき、 

 

「あーあ、もう終わっちゃったなー」

 

と未央が背伸びをしながら名残惜しさにそうこぼす。

 

「家に帰るまでが、って言うっしょ」

「それはそうなんだけどぉー。楽しい時間はあっという間でさー」

「またこういう機会もあるんじゃないかな。むしろ、地方でお仕事だとホテルに宿泊なんてことも増えてくるかもしれないよ」

「「ああ~、確かに」」

 

 未央と美嘉の声が被る。

 

「あの!」

 

 3人の後ろを行くみりあが呼び止める。足が止まり、彼女たちは振り向く。

 

「美嘉ちゃん、未央ちゃん、美波お姉ちゃんのおかげでとても楽しかったです! 本当にありがとう!」

「ちょ、いきなりどうしたん?」

「えへへ、ちゃんとお礼言っときたくて!」

「そっか。びっくりしたぁ。ま、そーいーことならオールオッケー! こういうのは楽しんだもん勝ちだからね!」

「いい子のみりあちゃんには未央ちゃん印のんまぁい棒を進呈しよう」

「それ、昨日の夜の残り?」

「んーん、鞄にあった何時のものかわからないやつ」

「そんなもんあげんなっ!」

 

 美嘉が賞味期限不明のんまぁい棒を回収する。未央はすかさずもう1本取り出した。

 

「みりあちゃんが楽しめたのなら私も来た甲斐があったかな。私も楽しかったし──ちょっと2人とも、あまり騒ぎすぎないようにね」

 

 そこへ迎えにきたプロデューサーがふらりと現れる。

 

「どうやら問題なく終わったみたいだな」

「あ、プロデューサー! あのねあのね! とっても楽しかったよ! えへへ!」

「それは良かった。少しは整理付いたか?」

「うん! 美嘉ちゃんも未央ちゃんも美波お姉ちゃんもいっぱいお話したんだから!」

「ならばよし。さて、じゃ、全員送っていくからな」

 

 美嘉、未央、美波は駅まで、みりあは自宅までである。

 

「はぁーい!」

 

 みりあは元気よく返事をして、プロデューサーの隣を歩き始めた。 

 

 

 後日、龍ノ宮動物園でのプレオープン時に招待される子供たちのガイド役のオファーがみりあにあり、彼女はそれを二つ返事で引き受けた。

 

 

* 【6】 *

 

 

 本日の346プロダクションも、いたって通常営業だった。アイドルたちの何人かは絶賛レッスン中である。

 

 さて、そんな中プロデューサーは椅子の背もたれに体を預けながら、1枚の紙を目で追いながら読んでいる。事務作業は現在休憩中となっている。

 

「何読んでるんですか? あ、コーヒーどうぞ」

 

 ちひろが覗き込むように話しかけた。その手には自分の分とプロデューサーの分のコーヒーを持っている。

 

「ありがとうございます。これですか。以前みりあが書いていた宿題ですよ。『将来の自分について考えてみよう』っていうやつです」

「あー、なんかやってたような気がしますね。うろ覚えですが」

「それがこれです。選ばれて発表もしたそうですよ。みりあは恥ずかしがっていましたけど」

 

 プロデューサーはコーヒーを一口啜る。

 

「読んでみます?」

「いいんですか?」

「ええ。事務所のみんなに意見を聞いて書いたから読んでもいいよとのことでしたから」

「なら、ちょっとだけ」

 

 ちひろは彼からその原稿用紙を受け取り、黙々と読み進めていく。プロデューサーはクッキーの小袋を引き出しから適当に取り、1枚つまむ。チョコチップだった。

 

「ふぅ」

 

 プロデューサーが2袋目に手を伸ばそうとしたとき、ちひろが読み終わる。

 

「どうでした?」

「すごく勢いがありますね。こう、目的に向かって一直線!みたいな。あ、そのクッキー、私にもください」

 

 プロデューサーが「どうぞ」と答えるとちひろはバタークッキーを手に取った。彼女が食べる姿は意外と可愛らしい。

 

「それが若さですよ、ちひろさん」

「まだまだ若いので……って言いたいですねぇ。はぁ……」

「ちひろさんまだ24歳でしょ。充分若いって」

「お肌のハリとかなんかなくなってきたような気がするんです。あとは小じわとか」

「確かに」

「ん? 今──」

 

 ぽろりと出てしまった単語にちひろは素早い反応を見せたので、プロデューサーは慌てて誤魔化す。

 

「カニカーニレストラン今日も絶賛営業中!」

「──そういうことにしといてあげます」

 

 美容とかアンチエイジング関連の話題には気を付けなければならないと心に誓うプロデューサーだった。

 

「はぁ、みりあちゃんくらいの勢いでこれから生きていきたいです」

「──『ナンバーワンのトップアイドルで、ナンバーワンお姉ちゃんを目指します!』ですからね」

 

 みりあの作文は、真っ直ぐに突き進むアクセル全開のものでみりあらしさに溢れていた。

 

「どっちも大切で手放したくないから両方目指す、なんてなかなか書けないですよ。私ならついどちらかに絞りそうです」

「年取ると選択しがちですけど、案外あれもこれも両方目指すってのも悪くないのかもしれないですね」

「大人になってリスクを理解しちゃっているのも要因でしょう。子供の頃は怖いもの知らずでしたが、思い返せば大胆なことやってたなぁって率直に驚きますもん」

 

 ちひろはしみじみと言う。何か爆発させたりぶっ壊したりしたのだろうか。

 

「……なんかひどいこと考えてませんか?」

 

 プロデューサーは首を横に振って否定する。

 

「それならいいです。さて、とりあえず仕事に戻りましょうか。終わらない仕事ほど怖いものはありませんから」

「あ、私ひとまず終わらせてるんで、このまま休憩続行しまーす」

「ええっ!? それなら私の仕事ちょっと手伝ってくださいよぉ、プロデューサーさぁん!」

 

 ちひろに懇願されている中で、プロデューサーのスマホが通知音を鳴らした。

 

「お、これは」

「どうしました? ──あぁ、こういうのなんかいいですよねぇ」

 

 確認すると、送信者はみりあでキリンをバックに家族団欒の自撮り写真を送ってきたようだ。メッセージも添付されていて、

 

『ナンバーワンお姉ちゃん目指して頑張ってるよ♪』

 

とあった。

 

 プロデューサーはgoodのスタンプを送ると、ちひろに手伝うことを伝えた。

 

 

 * * *

 

 

 同時刻の龍ノ宮動物園にみりあはいた。父と母、そして妹と一緒である。今日はお仕事もレッスンも休みだ。

 

 晴天に恵まれた中、みりあと家族はたっくさんの人で賑わう龍ノ宮動物園に来ている。プレオープンでのガイド役の仕事の際に“1日ファミリーパス”を頂いたため、今回は来園客として訪れたのだ。

 

 プロデューサーからの返信のスタンプを確認したみりあはスマホをしまい、次のエリアを先導切って説明する。

 

「あっ! 見てみて! ここはゾウさんのエリアだよ! あの長い鼻を上手に使っていろんなことをするんだ!」

 

 家族に、とりわけ妹にも向けて説明する。言葉で説明してもまだ理解できる年齢ではないが、とりあえず喜んではいるようで、キャッキャッと笑っている。

 

「2頭のゾウさんがいてね、名前はライメイって言うんだよ! もう1頭はライテイ!」

「よく知ってるのね」

「えっへん!」

 

 プレオープンの際のガイド役で得た知識を総動員しているのだから、それなりに知ってはいる。

 

「じゃあ今日は1日みりあがガイドさんね。ふふ、楽しみだわ」

「うん! まっかせて! お父さんにもお母さんにも、そしてさりあにもここの魅力、たっくさん教えてあげるからね!!」

 

 みりあは満面の笑みでそう答えた。まぶしく輝く太陽のように明るい笑顔だった。

 

 

 

 

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