友人へ なぜか死んだので神に頼まれ異世界に行きます 作:ASSSr
少年は冒険者が押し上げた怪物を頭の高さを変えずに右足を伸ばし、左足を床と平行に横へ曲げハードル走のように綺麗に飛び越え、速さを変えず通り抜ける。
それを下から見ていた冒険者の思考は吹き飛び空となり目と口を大きく開けて驚きと困惑が混じった顔をして硬直した。
そして少年が床に着地すると同時に硬直した冒険者は左腕と右足首を二匹の怪物の強靭な顎にそれぞれ噛まれ固定された。
冒険者の男が悲痛な叫びを上げる、しかし男を助ける者は誰も居らず、怪物の尻から生えた細い針を胴体に十数回刺され動かなくなったところを噛みちぎられる、近くにいたその冒険者の仲間であろう者も死体へと姿を変え細かく噛みちぎられ怪物に運ばれて行かれた。
それを背にして少年は走る。
黒と黄色の蜂の化物が少年や他のものを襲う、しかし少年はそれらを気にも止めず怪物と組み合う男を飛び越え、かなりの速度で向かってくる細長い四本羽の怪物の下を滑る、パルクールかのように華麗に避けて速度をほとんど落とさず走る。
そして船の木材を噛み砕いて損傷させている蜂似の怪物にそのままの速度で跳び膝蹴りを放ち、その怪物の頭部を凹ました。
怪物はしばらく六本の足と線対称な羽をジタバタと動かし、時間が経つにつれ鈍くなり最終的には動かなくなった。
それを視界に入れながら右膝を床に着け屈み、少年はヒビが入った自分の左膝を手で触りながら観察している。
(凹凸を触ったときのような触感がある、おそらく本当にヒビが入っているな)
ヒビが入った膝を触っている手の力を強めた。
(砕ける気配はない、丈夫なのか繊細なのかわかんないな、だが似たような打撃攻撃はあまりしない方が良さそうだ...ラグがなくて殺りやすかったんだが仕方ない)
そう思考したあと立ち上がり数回小さく跳ね、左足の踵を浮かし膝を凝視して膝を回した。
(治る気配がないな、走れそうだし問題はないか)
少年が視線を膝から周囲へと戻した、その視界には、船の外に広がる陸地の上に色々な建物と森を挟みある程度離れた場所にある大樹が写った。
(もお二、三分経ったのか?ならもうすぐ援護が期待できる、墜落することはなさそうだな)
顔を下に向けると同時にふー、と息を吐いて脱力し、集中をときナマドを探すために辺りをもう一度見渡した。
(居た、あそこか...すごいな)
少し離れた船の端らへんにナマドを見つけた少年はナマドが鎧の上からポニーテールのように垂れている、一本線の後ろ髪を棚引かせながら、三体の蜂の怪物を次々に両断している姿に驚いた。
そしてナマドが怪物の体液を剣から張っていたその時蜻蛉の怪物が目に求まらぬ速さで船の外から接近していた。
黒銀髪の女性がそれに気づき回りに叫けんだ、ナマドはその瞬間に体制を傾ける。
幸いそのお陰で蜻蛉の怪物からの襲撃から逃れたがしかしそのまま体制を崩したナマドは体制を立て直そうと数歩とん、とんと足を着いていく、その足取りは少しずつ速くなり最終的に盛大に転け船の塀に頭を打ち付ける、幼児を船の外に投げ出して。
それを見ていた少年は顎を引いた、頭の中が一面青く染まり左から右へと文字が書き出されていく、時間にして0.01フレーム未満のその思考が終わると同時に少年は体制を前に倒しながら床へとめり込んでいき、少年のからだか平行より頭が少し沈んだその瞬間曲げていた足を伸ばし船内の壁を即座に蹴る。
そして投げ出された幼児目掛けて跳び、幾つもの壁と床を通り抜け、胴体を船の外の空中に去らす、幼児を間合いに入れると透過を解き船の外装に踝から下を引っ掻け、同時に掴み引き寄せ抱える。
「あっぶねー、よく反応できたな俺」
放心状態の幼児を抱きしめ船底から生えるようにぶら下がっている少年に船を包囲している蜂の怪物が少しづつ近づいていく、それを把握し、船底に引っ掻けている自分の足の方に視線を向けた。
そこには、幼児を助けるために起こした推進力と幼児の体重、船が動いているがために掛かる大きな力などによって木材で出来た船底からの生え際のジャージに大きなヒビが入っていた。
(不味いな、落ちたらダメだ、戻ろうとしても落ちるだろう...どうする?)
逆さの状態で呆けている幼児の顔が赤くなっていく、それが少年の思考を少なからず急かす、体が大きく揺れないように少々ゆっくりと、無表情にも見える顔を大きく動かし辺りを何度も見渡す。
しかし少年の頭の中は名案というに近いものを思考するどころかその土台すら立てられる状況になかった。
(不味い、どう考えてもこいつを助けられる道筋が見えない...もう終わりか)
辺りを見渡し必死に回避するための方法を考えていたが急にそれを止めあきらめる、そんな少年の背中に蜂に似た怪物の細い足が腰を挟むようにして二本引っかけられる。
(できる限りのことはやった、仕方ないな)
そう思ったその時、背中の蜂に似た怪物の足の感触と視界にいた蜂に似た怪物がジュと音を立てて消滅していた。
一話を書き直しました。