友人へ なぜか死んだので神に頼まれ異世界に行きます 作:ASSSr
透過して天井を蹴り、船内の構造を無視して突き進み船体に足を引っかけた少年は一瞬にして姿を消した蜂の化物を幼児を抱きしめながら探していた。
それと同刻、船の上では気を失っているナマドの前に彼女の二倍以上の大きさの大剣を背負った巨体な何者かが立っていた。
それにもかからず手が隠れるほどブカブカで端がボロボロな、若干汚れている白いローブを羽織っているせいでその素顔所か肌すら見えなかった。
その者は船の上に居た多くの者達の視線を集めていた。
なぜならこの者は先程、蜂の怪物が船の周りを飛び荒れている中。
近くの浮島から何もない空中を踏み締めるかのようにドス、ドスと船の上に居たものにも聞こえるぐらい大きな音を立て歩き、船に飛び込こんできた。
そして船の上に到着するや否や背中の鞘に収まっている三メートルほどの大剣の柄を右手だけで掴み、完全に抜くとほぼ同時。
剣を構えバットのように内から外へと横に振った。
その瞬間船を囲っている大群の蜂の怪物ばかりか遠くからこちらを窺っていた蜻蛉の怪物をもジュッと言う音を立てて跡形もなく消え去っていた。
そんなある意味怪物のような白いローブの者が気絶しているナマドの前にたたずんで居た。
「大剣持ち、援軍のものか?」
その白いローブの者に後ろ側から声がかかった、白いローブの者は後ろに振り返り声の主の方にフードのせいで暗くて見えない顔を向けた。
それはケルセだった。
「ん...治癒はできない」
白いローブの者は質問を肯定したあと、声を掛けてきたケルセが肩を貸している血まみれの黒銀の女性に一瞬だけ顔を向けたあと次に言われるであろうことにそう先手を打った。
「回復薬もか?」
「ん」
白いローブの者が再度肯定と取れる返答をした。
引き下がっていたケルセはその者の強靭な胸板より斜め下の少しばかし膨らんだ腰辺りを少しだけ見た。
その者を疑うように目を細めながら視線をフードで隠れた顔に向けた。
そして自分の肩に手を回している黒銀髪の女性に声をかけ、白いローブの者には何言わずに離れていった。
白いローブの者はケルセを監視するかのようフードで隠れた顔だけ動かし、しばらくそのまま動かなかった。
「...
白いローブの者はいきなりナマドの方に体ごと素早く振り返えった。
舷に寄りかかっている目を開けたナマドに駆け寄り膝をついた。
「平気?」
白いフードが少し傾き、ブカブカのローブで隠れた両手がナマドに伸びナマドの各所を軽く流れるようにさわる。
フードがゆっくりと縦横無尽に動き時おり、ナマドの表情を確認するために顔の方にもどってはナマドが微笑んだ。
(ミニは無事だ、とりあえず助けてくれ)
しかしいきなりナマドの頭のなかに突然少年の低い声がこだまし、驚いたナマドが表情を険しくした。
白いローブの者が表情を崩したナマドの体をまさぐっていた手を離し、オロオロとし始めた。
ナマドはそんな白いローブの者の片手をあわてて両手で包みにこやかにありがとう、と感謝を伝えた。
(聞こえてるか?何か反応してくれ)
再度ナマドの頭のなかに少年の声が響びいた。
ナマドは最初に頭のなかに響いた少年の声が頭を打ったための錯覚でも幻聴でもないことを確信して白いローブの者から顔を背け、首を傾げた。
(アレの力であることはわかったけど、反応してくれと言われてもどうすればいいの?)
(ああ、俺の力だ、ちゃんと聞こえてるみたいだな)
(アミは無事なのね?)
(ああ、無事だ)
(そう、今どこにいるのあんた)
(船底の外装から生えるようにしてぶら下がってる)
目を大きく開き口からは?、とこぼし
ナマドは自力で立ち上がり。
正面に見えている色々な色で構成された活気溢れる町を囲んだ緑生い茂る島を背に向け。
黒と黄色が混合した怪物がいなくなった所々白い青々とした涼しい景色が見える。
自分が寄りかかっていた舷に手をつき、顔を船の外装に向けた。
船の底からはひとつの手首が出ていた。
(船の上から手が見えてるんだけどあなたの?)
ナマドが少年に確認を取るためそう聞くとその手はピースの形に変わった。
(指は何本立ってる?)
(左手で、人差し指と中指の二本)
(ああ、俺であってる)
(ならあとちょっと待ってて)
(なるべく速く頼む)
ナマドはもう一度振り返り白いローブの者の片手を両手で掴んだ。
「
白いローブの者は頷き、ナマドの両手に挟まれていた片手をゆっくりと抜く。
数歩後退したあと両足で床を蹴って船を揺らし、バトミントンの羽のように頭を下にして船の外に落ちていった。|