友人へ なぜか死んだので神に頼まれ異世界に行きます 作:ASSSr
ナマドに助けを求めた少年がテレパシーでの会話を終えて、乾くことのない瞳でほとんど雲のない辺り一面の晴天を、綺麗ダナーと眺めていた。
そんな逆さまな景色が突如として少し揺れ、視界外から白くてお大きい何かがギリギリ目視できる速度で昇てきた。
少年はそれに首をかしげ一瞬疑問を持つも気のせいだと再度無心で景色を眺め、少女からの助けを待った。
しかし少年が見ていた景色はドスンドスンと大きな音を立てて頭上から近付いてきた白いローブに遮られた。
そして白いローブの者は少年と暗くて見えない顔を会わせると目の前でトランポリンを使ってるかのように上下に大きく跳ね、停滞した。
それでいてその者が着ている白いローブは空気抵抗やその他諸々の現象を無視するかの如くその巨体を随時覆い、肌を露出させなかった。
(なんだこいつ?物理現象を無視しているような違和感をかなり感じる、関わらない方がいいな)
そのような感想をもった少年は白いローブの者が空中でどこぞのゲームキャラクターのように高く跳び跳ねている白いローブの巨体を直視したまま言葉を頭の中に思い浮かべた。
(変人がいる、なるべく速く助けてけてくれ)
(変人?わったわ、もう白いローブを着た人を救助は向かわせたから、その変人とはなるべく関わらないで)
それを聞き少年は脳内での通話を止め、自分の目の前で上下に跳び跳ねている者を目で追った。
(救助の人員ってこいつかよ)
(ちょと、ねえちょと、あんた聞いてんの!もう救助のための人は送ったからアミを無事にこっちに戻してよね!)
唖然としていた少年の頭のなかにナマドの金切り声が響いた。
それが失くなると少年はこれはおまえのせいだろう、と思いながらも念じずにため息混じりにナマドにはい、と返した。
そして少年は口を開き目の前にいる白いローブの者に向けて言葉を発した。
「なあ、白いのお前は赤髪に頼まれて俺らを助けに着た奴か?」
ゆったりとした口調のその質問にたいして白いローブの者は小さく、んと発しそれ以外なにも反応を見せない。
そのため少年達とその者の間にしばしば静寂が訪れたあと少年が再度口を開いた。
「そうかなら、こいつを赤い奴のところまで持っていけ」
少年がその言葉のあとに抱えていた、自分とは逆向きの幼児の脇に手をいれて白いローブの者の方に腕を伸ばし幼児を近付けた。
白いローブの者はそれを一瞬だけジーと眺めながら少年より少し下に落ち。
そのあと片膝を大きく曲げ空気を床のように蹴り、飛び上がりすれ違いざま下から掬い上げるように幼児を回収した。
そして今まで静かだった船の側面で再度、ドスンドスンという体に響くほどの足音を立てて船の上まで昇っていった。
(アミは無事だった...あ、ありがとう、そしてごめんなさい私が原因なのに...)
その轟音が聞こえなくなったと同時にナマドの声が頭のなかで聞こえた。
それはどこか照れているような柔らかい口調での感謝とそのあとの音階の低くなった小さい声での大きな謝罪と反省だった。
(どちらも言われる筋合いがない、これからは言うな返答するのがめんどい)
感謝と謝罪を聞いた少年はため息を吐きそれらをどうでもいいと言わんばかりに機械のように安定した声で少女の頭のかなに返した。
(...わかった、ちなみにあんたはアミと離れすぎるとアミのとこに移動できるんでしょ?)
(ああ、何でだ)
(えっと、これ以上目立つのはちょと不味いのよ)
少年はその発言を聞き少し首をかしげた。
しかしすぐに脳裏に幼児を船の上に運んだ白いローブを着た者の異様な脚力と大きな足音を思いだし納得した。
(...確かに目立つな白い奴)
(うん、もう別れたけど、けど待っててくれない?)
(いや、危険だ戻る)
(え、絶対にダメ!)
少年の予想外の返答に驚いたのかナマドの間抜けな声が漏れたと思ったらすぐに少年が歯を噛み締めるほどの大きな声が
脳内に響いた。
(なぜ?)
そして嫌気を表すかのように一単語で返した少年のその言葉はナマドにとって今までの安定した声とは違い少し不機嫌な声に聞こえた。
(その、あんたも目立ってるから)
(俺がか?)
(うん、あんた何人か見殺しにしたでしょ)
(ああ、効率がいいと思た)
(そのことで今あんたは反感を買ってるの)
(確かにいい顔はされないか、わかったここに止まってよう)
(うん、今船を降りてるから合図を出したらこっちに来て)
(わかっ、ん?悪いんだg...)
船を降りているナマドを止めようとした少年だったがそれを言うより前に幼児との距離が限界値に達した。
そのせいで少年は同じ船に乗っていた多くの冒険者がいる船乗り場に姿を表してしまった。
「これは任意で発動できないんだ」
ワープしてきた少年は一度辺りを見渡したあとナマドの方に振り返り安定した声色でそういい瞬時に透過を開始した。
しかし全身の透過が完了するより前に何処からか刃物が飛び、その方向に背を向けていた少年の右肩を貫いた。
赤い液体が体制を前に傾けた少年の白いワイシャツに染み込み、腕を伝い手から垂れ地面に水滴が落ちた。
「おい、変な格好をした弱虫!」
そんな少年の背中側からそのような逞しい怒号が響き渡り、それに驚いて歩みを止めていた人々をそれを発した者が掻き分ける。
その者は少年より二回り程度大きい裸の上半身に少しの防具をつけた男だった。
そしてその男は右肩に剣を刺している少年の後ろに立った。