友人へ なぜか死んだので神に頼まれ異世界に行きます 作:ASSSr
日が落ちて暗くなった、様々な物が転がっている馬車の中で少年は、目の前にある木の板をジーっと見つめながら首をかしげ、顎に左手を当て唸っていた。
(なんでこの馬車まで戻ってきたんだ?)
そんな疑問が少年から生まれたのは先程、見張りを尾行しようと複数の冒険者風の男達の後を姿が見えない状態でついていこうとして森の少し入ったあたりでなぜか馬車にもどされていたからであった。
(どうせ考えたってわかんねえか)
少年は、しばらく唸りながら考えた後そう思い、ため息をつきながら顎に当てていた左手で首を掻き、考えるのをやめた。
少年は、考えるのをやめたあと馬車の中を見渡し五つの檻の一つから光る視線を見たあとそれを無視し、壁に寄りかかり寝ようとした、しかし馬車内の光景は少年の目には視界が写り続けていた。
(これじゃ寝れねえじゃねえか)
少年が維持でも寝ようと顔を触り目蓋を閉じようとしたとき少年は、違和感を感じた、そして同時に幼児の家の廊下で鏡を見て覚えた違和感のことを思い出した。
少年は、違和感の答えを確かめるために目蓋のしたにある眼球を指で触り無機物であることを確かめた。
(...人形みたいだなと思ったがホントに人形だとわ、思わなんだ)
少年は、さらに自分が出した答えから恐らく今の体では寝て時間を潰すことはできないと悟りため息をつき床に倒れ蹲った。
(まじか、ダル)
その状態のまま少年は、置物のように動かずボーとなにも思考せずに夜が開けるのを待った。
揺れる馬車の中で日光の熱を感じながら幼児が起きるのを悪魔は、気を張りながら待っていた。
(はー、歩かなくていいのわ楽でいいが昨日の夜から退屈だな)
少年は、そう思いながら馬車の中で寝ている同乗者の肩に透過を手のひらだけ解除して触れ、横に揺さぶった。
少年に睡眠を妨害された同乗者が目を覚まし、触れられた肩の方に顔を向け、何もいないことに鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。
「おい、今誰か俺のこと起こしたか?」
「何言ってんだ、寝ぼけやがって」
馬車に乗車していた少し渋い顔の男の気の抜けた質問にしばらくしてから馬車の後ろ側を護衛をしてたひとりの人間が馬車に近づき、中を覗き込みて先程まで寝ていた護衛に軽くそう怒鳴った。
「うるさいな、そんな怒るなってー」
「仕事をサボってるやつが何言ってるんだ」
「いやどうせこいつら逃げ出せないって」
(確かにこの幼児と檻の中のやつらが護衛に勝てるとわ思えんしな)
先程まで寝ていた少し渋い顔の男の意見に少年も五つの檻と幼児を見てからそう心の中で賛成した。
「可能性の話をしてるんじゃない、仕事をサボるなって言ってるんだ」
馬車の中にいた少し渋い顔の男は、少し口から舌を出してそっぽを向き、態度でその説教に返答を示した。
その態度に馬車の外で怒鳴っていた男は、ため息を付き、馬車に触れていた手を放し元いた場所へと後退って行った。
「いやー、めんどくさい副隊長だなー」
(せやなー...副隊長?)
馬車の中にいる少し渋い顔の男がそう言い放った瞬間馬車の中、目掛けて鉄の槍が飛んできた、その槍は中にいた少し渋い顔の男の顔をかすり少年の足元にあった本の山に刺さった。
少年は、投げられた槍に反応できず本の山に刺さったあとの槍を見て驚き、ゆっくりと一、二歩後ずさり槍を投げた男を警戒した。
(こっっわ、ヤバ、アブネ)
そしてすぐに少し渋い顔の男が少年の足元に刺さっている槍を軽々と引き抜いた。
「いやー危ないッスね、当たったらどうするんですか?、一さ~ん」
槍を持った調子に乗っている男に馬車の外にいた男は真面目な顔で言葉を返した。
「俺は、お前のように練習や仕事をサボるような人間ではない」
「それ理由になってないんすよー」
そう言い馬車に乗車している冒険者風の男が槍から手を放したが槍は浮いていた、そして一と呼んだ男に向けて少年の足元にあった本の山から引き抜いた槍を飛ばし返した。
一は、飛ばされた槍の刃の部分を掴み、受け止めたその手から紅い液体が垂れることわなかったがその顔からは、見れば見る程わかる、真っ赤な雰囲気が伝わりそれは一の辺りを漂い馬車に乗っている男達へと低い声と共に押し寄せた。
「おい、...喧嘩を売っているのか?」
槍を不思議な力で飛ばした男は、一の表情から危機感を感じたのか目を泳がせていたがそれでも調子に乗りながら返答した。
「いやー、そんなことないッスよ」
「ちゃんと仕事しろよ」
一は、馬車に乗っている男の返答のあと少し沈黙保ち、ため息をつきそう発した。
そして槍を持ち直し馬車から離れて行き持ち場であろう馬車の少し後ろへと着いて歩いた。
(ある程度遠くに言ったなあの男)
そのあとしばらくして少年と冒険者風の男、それとその他もろもろを乗せた馬車が停車した。
(お、着いたかどれどれ)
少年は、馬車の運転席側へと行き、暖簾のように垂れている白い布を通り抜けて外に顔を出した、目の前には、色々な形の馬車や人の行列ができており、その先には、白く汚れの全くない大きな門が立っていた。
(おー、でっケー壁だ、スゲェ)
少年は、馬車が門の寸前まで行き、護衛らしき人物達が門の中に入る手続きをするまでジーと門に見とれていた。
(おっと、さてとそろそろ起こすか)
少年は、馬車から出た顔を引っ込めて中にある荷物を掻き分け幼児を探した、その間檻から若干聞こえた呻き声を無視して少年は、馬車の地べたに倒れている幼児を見つけた。
少年は、幼児を左右に揺らしたあと起きてないことを確認し、幼児のお腹に軽く蹴りを入れたがしかし呼吸が少し乱れるだけでそれ以外に反応がなかった。
(ダメだな、どうするべきか?)
悪魔は、少し考えこの世界に来るときの光の鳥籠に包まれた時のことを思い出し、馬車の中を見渡し見張りがいないことを確認したあと床に寝そべっている幼児に触れられることを確認すると幼児を抱き抱え、馬車の屋根まで跳躍した。
(とりあえずここである程度、この町の地理を見とくか)
すでに馬車は、門の中へと入っており、ゆっくりと流れる雲を視界の端に入れながら少年は、町のレンガなどで作られた建物や人をいつでも素早く動けるような体制で観察した。
馬車は、悪魔を上に乗せたまま色々な人々で活気溢れている大きな道をユラリ、ユラリと進んでいく、その間馬車の回りでは幼児がいなくなったことで一悶着あったが少年が肩を揺らして起こした少し渋い顔の男が説教をされ修まった。
(いやー、賑わってるなー祭りか?それに格好が、かなり昔のどっかの国のそれだな)
そう思いながら少年は、再度町の風景を博物館の展示物を見かのように軽く、ジッとしばらく見とれていると馬車が恐らく少年が山の隙間から見たであろう城のある、開けた場所へと出た。
(うへー、金持ちが好んで建てそうな城だな)
馬車は、城に表情を変えずに嫌悪を表している少年を乗せながら城の回りを通り、人のほとんどいない静かな通りへと入った。
そして静かな通りをしばらく行き、明かりもついていない物静かそうな建物の前で止まり、馬車の回りにいた護衛が馬車の中にある人のような何かが入っている檻を運び出した。
(やっぱ、奴隷商かそこらだったか)
少年が檻を運んでいる護衛達を見ていると腕に抱えている幼児がゴソゴソと動き出した。