友人へ なぜか死んだので神に頼まれ異世界に行きます 作:ASSSr
幼児は、地面のように固く冷たい感触を感じながら少年の片腕に支えられた状態で目を覚まし、少年の腕の外にたれていた手を顔に引き寄せ目を擦った。
その幼児に少年は、幼児の顔を見づに、聞こえるかもわからないほどのか細い声で話しかけた。
「起きたか、あまり声を出すな」
その声が聞こえたのか幼児は、少年の目が見えるぐらいまで顔を動かし大きく頷き、両手で自分の口を塞いだ。
その反応を視界の端で見た少年は、能力を駆使して馬車の中に一旦戻り檻が運ばれて行った建物に扉を通り抜けて中へと足早に入って行った。
建物の入り口に受付らしき小窓があったが少年は、それを知らん顔で素通りして檻を運んでいく男たちに置いていかれないように看板を持っている腕の方を全力で振り、後を追っていった。
いくつものドアがラスボス前の通路のように左右に均等に存在する長い廊下を小走りで檻を運ぶ者たちを二回りぐらい後ろで追いかけた。
そしてその者たちの歩みが遅くなっていくのを確認して少年もスピードを落としていき、廊下のあと少しで行き止まりと言うところで立止まった。
(どした?こんなところで立ち止まって?)
少年がそんなことを思ったが、その疑問は少し後に地面の一部が消え下に続くための魔法陣が書かれた扉が現れたことによって打ち消された。
(なるほどな、魔法のタグいたろう...どういう原理だ?)
そう少年が思考に陥いっていると胸の辺りで何かに叩かれる感触とコンコンという音が静かに鳴った、それによって我に戻った少年が胸の辺りを見下ろすと片手で口を塞いでいる幼児がもうひとつの手で、男たちが梯子で降り終わり今にも閉まりそうな扉を指差していた。
少年は、それに気づきヤベッと呟き、瞬時に加速しギリギリのところで閉じかけの扉をすり抜け下の階のホコリを上に飛ばして静かに着地した。
(少しぐらい音が立つと思ったが案外立たないものだな)
少年は、そう思ったあと抱えていた幼児を一瞥してなんともないことを確認したあと少し前にいる檻を片手で持った男たちを追いかけた。
道中少年は、虫を踏んだとしても気にせず走りながら左右を見ていた、そこには牢屋があり、耳の長い子供や獣の特徴が埋め込まれた子供などがその中には入っていた。
少年が左右を興味津々に見渡しながら走っていると少し先で足早に移動してた男たちが幾つもの通路が繋がっている開けたところに出て止まった、それと同時に少年も止まり様子を見ながら横へとずれていった。
檻を運んでいた男たちは鎧を着ていて顔の見えない者の前に運んできた檻を置いていき敬礼をしたあと、来た道とは違う道へと走り、どこかに消えていってしまった、鎧を着ている者は目の前に並べられた檻を確認したあと持ちあげ見える範囲に動かした。
少年は、それを絶好のチャンスだと思い、幼児を背中に移したあと姉の特徴を聞き出してその檻の側へ行き、看板を口に咥えその情報と合致した少女の檻の中に手を入れた。
檻から引っ張り出した少女は、少年が予想していた服装より立派な服装をしていた。
檻から引っ張り出された少女は驚き、声が出たが回りに聞こえる寸前で少年に口元を塞がれた、どうやら鎧を着た者も他の檻を運んでいて気づいていない様子だった、それを確認した少年はもと着た通路へと走り出した。
瞬時のことで理解のできていない、少年の両腕に抱えている少女に少年は通路を引き返しながら命令した。
「静かにしへろ、この国から逃がる」
その言葉に少女は、唖然としていたがそれを気にせず少年は、この世界に来てから上がった運動能力を駆使して降りてきた梯子を足だけでかけ登った。
少年は天井をすり抜け外へ出るとそこは、色々の大きさの鎧と木刀などの練習用と思われる武器がある何処かの訓練場だった。
そのことに少年は、少し驚いて首をかしげたがすぐ我に戻り建物の外へと一直線に走り出し壁をすり抜けて行き、外へと出た。
外へ出た少年は、顔を斜め上に傾けながら辺りを見渡し、建物より高い外壁と少年が嫌悪を感じたおとぎ話に出てきそうなほど大きな城の位置を確認した。
そして大きな城とは真逆の位置にある外壁を目指して全力で走り始めた。
「あなた誰?どういう状況なの?」
少年が進む方向を確認し数十秒たった位だった、少女が静かに少年にいま自分がおかれている状況を確認した。
「弟ばお前ぶぉ助へろほ言っひゃ」
その問いに腕に抱えた少女を見ることもなく少年は簡潔に答えた。
その答えに少女は首をかしげたあとしばらくして理解し、一瞬少年を疑ったがすぐに少年の肩からヒョコッと顔を出した笑顔の幼児の姿を目の当たりにして驚きへと置き換わった。
「お姉ちゃん」
「アミ」
姉弟がお互いを呼びあった瞬間重力が異様にかかったかと思えば体制が真横になり、かと思えば大きな衝撃と、共に幼児が少年の背中から吹き飛ばされた。