友人へ なぜか死んだので神に頼まれ異世界に行きます 作:ASSSr
少女に睨まれながら少年はどうやって誤解を解こうか顎を触り頭の中でシュミレーションなどをしていろいろと考えていた。
「あんた何が目的なの?」
そう聞かれた少年は目を空けたまま顎に手を触れた状態で硬直していた。
それを見た少女は声に変えて発散したはずのイライラが込み上げていき、また大きく息を吸った。
「聞いてんの!このノッポダサやろー!」
そして怒りと共に声を石像のように固まっていた少年に向かって再度吐き出した、その声は少年の身体に響いた。
だが少年はそれが静まったあと何事もなかったかのように反応した。
「すまない、なんだ?」
少年は顔だけを少女に向け少女とは対照的に落ち着いた小さな声でそう少女に返答した。
その返答は少女の怒りに油を注ぎ、肥大化した怒りは、少女が少年に近づきワイシャツの襟を掴み小さい自分の方向へと身体を向けさせるための原動力となった。
それに少年の身体はつられるも表情は何一つ変えず、引き寄せた少女の顔を何も言わずに直視していた。
少女も襟を掴み至近距離で睨んでいたがそのうち眉間のシワを緩め舌打ちしたのち軽く少年の胸を殴り、幼児の方へその小さな身体を持ち上げた。
「あんた、私を檻から出したとき弟に頼まれたって言ってたわよね、それ信じてあげる」
少女は幼児を抱え、少年に近づきながらそう言い少年の間合いに入ったぐらいで立ち止まった。
「...ありがとう?」
それを聞いた少年はどう返答しようかしばらく考えたのち首をかしげながら少し慎重に疑問系でそう返し少女の顔色を伺った。
「ええ、弟から聞いたかもしれないけど私の名前はナアマイド・シュチュアルよ、よろしく、ナマドでいいよ」
「ああ、よろしく」
「...あなたの名前は?」
「ない」
「あなたそっち側の人?」
ナマドた名乗った少女は目をそらし、少し申し訳なさそうに少年にそう訪ねた。
「何がだ?」
「あ、何でもないわ、とりあえずこの島から逃げましょう」
「?ああ、わかった」
「じゃあとりあえず船乗り場にいきましょう」
「それは、どこにあるんだ?」
少年の言葉に少女はまた眉間にシワを寄せえ?、と驚いたあと困惑した。
「何で知らないの?」
「知らないから知らん」
その言葉を聞き少女はポカンとしたあとため息を吐き少年に哀れんだ視線を送った。
「...とりあえず船乗り場に行きましょ、案内する」
「ああ、助かる」
「あとさっきのは使わないでね」
「もちろんだ」
少年は幼児にお姫様抱っこをしたあと少女に背中を向けしゃがみ、ナマドをおんぶし透過した。
「見えないんだけど」
「ん?」
「アミとあんたは見えるけど景色が見えない」
「...まじで?」
「嘘言うわけないでしょ」
「あ、はい...これで見える?」
「見える」
「ならこれで」
そう言い少年は肩側から顔を出しているナマドの道案内を頼りに船乗り場へ向かうために野原を走り出した。
そしてしばらくして日がかなり傾いたころ少年達は船乗り場がある村が見える山まで来ていた。
「なあ、一つ聞いて言いか?」
少年は走りながら、自分の首に手を回してぶら下がっているナマドに疑問系でそう聞いたした。
「?別にいいよ」
「もしかしなくともこの島浮いてんの?」
「え、ええ...もちろん」
ナマドはその質問に驚き少し引きぎみにそう答え、少年を哀れんだ。
それを聞いた少年は浮いている島の端に位置する村に向かうために走りながらいろいろなことを思考した。
(どうやって浮いてんだ?この島...この世界に重力はない?イヤじゃあ、何で走ってる?...いや考えても仕方ないか)
集中していて回りの見えていない少年の首がいきなり圧迫され、重心が後ろに傾き足が体制を整えるために走るのをやめた。
「なにしやがる?」
「もうすぐ着くから、透明化解除して」
「なるほど、了解」
少年はナマドに言われたとおり透過を解除して体勢を立て直そうと腹と首にちからをいれたが体勢は後ろに傾いたままだった。
「一瞬にして太ったかお前?」
「ば、なに言ってんの?ただ足が地面に埋まってるだけよ」
「ん?そうなのか」
そう言い少年はナマドの足を中心に透過して腹と首に力を入れ体勢を立て直した。
そして山の麓から村の門まで幼児達を担いで運んでいった。
「着いた、案内ご苦労」
「どういたしまして、アミは起きた?」
ナマドは少年の背中から降り少年の前に移動してそう聞いた。
「アミ?...誰だそれ?」
少年はアミという名前を出され一瞬誰だと頭のなかでハテナを浮かべ考えたが、結局何も出てこず首をかしげた。
「...そう、じゃあ取り合えずついてきて」
ナマドは弟の名前を知らない少年に驚き振り返ったが少しの沈黙のあと村の方を向き少年を手招きした。
そうしてナマドと幼児を抱えた少年は日がほとんど落ちて、少し明るい村へ足を踏み入れていった。