Revival of the Dead   作:ボルケシェッツェ

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#1-1

 

 思考の海が白波を立てている。さざめく波音が俺から現実を遠ざける。

 それまで粛々と授業を聞き流しているつもりだったが、周囲はとっくに帰り支度を始めるなり、部活に出向いて行くなりと騒がしくなっている。まるで俺の席だけが半透明の薄膜に覆われていたみたいだった。

 

「悪趣味な奴らだよ」

 

 人だかりをぼーっと眺めながら、徐に息を吐いたせいだろう。

 机に寄りかかった山神が言う。

 誰とまでは明らかにしなかったが、する必要もないだろう。学校全体が妙に浮ついていることは、校舎に足を踏み入れた瞬間に誰だって分かったはずだ。

 とりわけ俺たちの学年はそれが顕著だった。皆どうってことはないって、一部はさも哀しげな顔すらしてみせて、異口同音にひとつのニュースについて語る。その目の中にギラついた昏い色を宿しながらじゃあ丸分かりだって言うのに。

 

 昨日。

 若狭悠里とその幼き妹を見舞った悲劇は、鮮烈なゴシップとして生徒たちの耳を駆け巡った。

 

 すっと目を眇めて、「あいつら」と山神は顎をしゃくった。

 

「昨日から舌が回りっぱなしだ。表じゃあんなふうに悲劇の目撃者らしくしてるが、実際はグループラインに現場の動画まで上げてたらしいぜ」

 

 彼の視線の先には二人組の女子生徒が居て、彼女たちには俺も見覚えがあった。フィアットが通るとき、横断歩道の向かいを通りがかった二人組だ。そして彼女らが事故を目にして何をしていたのかも知っている。

 いや、彼女らだけではない。あのとき交差点の周りに居た人間が取った行動にはそれなりの一貫性があった。

 

「俺が潔癖症ってだけか? どう思う」

 

 山神は侮蔑の意を隠そうともしなかった。二人の女子生徒が声高に事故の様相をひけらかし、真面目腐った表情の連中が往来の只中に小さな輪を作る。飛び交うのは決まってがらんどうの同情と無益な憶測だけだ。

 あれに不快感を催すってことは、俺も山神と同程度の倫理観は持ち合わせているのだろう。

 けれど俺に彼らを批判する資格があるようには思えなかった。

 

「いや……」

「どうしたお前。昨日から妙に元気ないけど、この空気に当てられでもしたか?」

「そうじゃない……けど、どうなんだろうな」

 

 諸々の話のタネであるあの交通事故が、俺の心情を苛むファクタの一端であるのは確かだ。しかし俺がここまで困惑しているのは、そこに世界線という冗談じみたスケール感が絡まってくるからだ。

 件の日、若狭悠里の妹が轢死した日。

 俺は一度死んだ。

 そしてもう一度あの現場へ足を運び、今度は生き残った。若狭の妹が赤信号に気づかず飛び出していくところを()()()()ことによって。

 

 この二日間、あまりにも非現実的すぎる現象に見舞われた俺に余裕などがあるはずもなく、頭の中は手つかずの疑問でひしめいていた。

 どうして俺は死んでいないのか。

 どうして時間が巻き戻ったのか。

 どうして俺は、未来を変えることが出来たのか。

 たちが悪いのは、これらはどうやっても存在証明のしようがないことだった。今のところこの現象を観測できているのは俺だけで、実際に俺が"死に戻った"ことを説明する術は一切ない。

 現代において、科学的に裏付けのない事象は敵視されているといっても過言ではない。そんな最中、俺はループを信じることもできないし、ましてや周囲に相談などできようもなかった。適当な病名の記された診断書を貰うのがオチだ。

 

 夢か、幻覚か、それとも現実か。

 あらゆる疑心暗鬼に囚われた俺の自意識は、もうズタボロだった。

 

「あんとき、俺も見てたんだよ」

 

 そうやって溢してしまったのは、抱え込んだジレンマを少しでも和らげたかったからだ。

 

「考え込んでるのはそれとは別なんだが……まあ、どうしてるのが正常なんだろうかってのは思うよ」

 

 それは目撃者になったことへの苦悩に見せかけた、自分自身への疑問視の科白に違いなかった。

 だが懐の深い山神は真剣に受け取ってしまったようで、首をさすりながら注意深く言葉を選んでいた。

 

「ん……ありきたりに答えりゃ、正解なんてないんだろうけどさ。たとえお前がどう感じていたって……お前はああやって触れまわってるわけじゃない。そういうことじゃないのか」

「……そうか、山神がそう言うならそうだな」

「お前の中の俺の扱いどうなってんだ?」

 

 山神は口角を引き攣らせた。俺は手をひらひら振って誤魔化す。

 そのとき、ある思いつきが降って湧いたのは、重い腰を上げるのに好都合だった。

 

「帰んのか?」

「ああ」

「お前、たまには部活に顔出せよ。そんな頻度の高いトコでもないだろ、写真部」

 

 だからこそ幽霊やってんだろうけど、と山神は付け加える。

 俺の脳裏をよぎったのはいつかの出来事───それが実際に起きたか定かではない───で、柚村が口にしていた提出期限のことだ。

 

「分かった、たまには出てみるよ」

「うわ、不気味だな。急に前向きなってんの」

 

 俺は苦笑した。

 

 

 

 

 

 

 俺はでたらめに望遠レンズの倍率をいじりながら、グラウンドや貯水槽にフォーカスしてみては、手応えのなさに肩を落とす。

 どうせなら手っ取り早く終わらせてやろうと思って、俺は市のコンテスト用の写真を校内で撮影することにした。

 部室へはその旨を伝え、撮影機材を借りるために久方ぶりに顔を出したのだが。顧問を含め、部員たちの珍獣を見るような目つきにさらされた俺は、針の筵に座らされたかの如き気分を味わった。

 

 一旦カメラを構えるのを止めて、欄干を背もたれ代わりに屋上を見渡す。

 教室棟の屋上はさして広くもないが、狭くもないといった具合の広さで、その半分を園芸部が育てる植物のプランタが占めていた。

 

 そういえば。いつだったか、若狭は園芸部所属だと話していたような。

 

 繰り返し時間が巻き戻ったことの弊害なんだろう。あれ以来、俺の記憶はめっきりと混濁しやすくなった。

 俺は手すりから身を乗り出して下へ顔を向ける。

 階下まではざっと十ニメートルといったところか。仮にここから落ちれば、難なく死ぬことができるだろう。

 俺は逡巡していた。

 さながら三回目の死を経験した後のキリヤ・ケイジのように、先任からハンドガンを借りて自分の頭を撃ち抜くかどうか。ここにはそんなものはないから、飛び降りるなり、電車に飛び込むなり、何か別の方法を考えなければならないのだが。

 

 だから、市コンの写真を学校で、というのは半分口実だった。

 俺は一番最初に思いついた"楽に死ねそうな"場所に足を運ぶための適当なワケが欲しかっただけだ。

 しかしこうして葛藤している時点で、最初から俺に自殺を試みる気など有りはしなかったのかも知れない。

 くだらない悪夢だと思っていたあの死に方(感染エンド)を含めると俺は都合二度死んでいることになるが、その死はどちらも予期し得ぬもので、死に親しくなれるようなものではなかった。

 ようするに、俺は自殺なんて冗談でしか言えないくらいに怖がっている。

 

「そこで何をしているんですか」

 

 振り返る。いつの間にか通用口の扉が空いていて、そこから教師がこちらを伺っていた。

 声音が少し固い。

 そういえば今の俺は欄干に手をついて前のめりになっているわけだから、ひょっとすると飛び降りるんじゃないかとでも思われたのかも知れない。実際検討はしていたから、あながち杞憂でもないんだが。

 

「写真撮影です」

 

 俺は首から提げた一眼レフを掲げてみせる。

 

「写真ですか?」

「写真部っす」

 

 自分で言っていて全く口に馴染んでいないのが分かった。

 教師───佐倉先生だったか───は大して訝しんだりはせず、ただ傍まで寄ってきて手すりから乗り出すなと注意した。口うるさく小言を重ねられるのかと身構えていたがそうでもなく、彼女は興味深そうに俺の手元を見た。

 

「どんな画を撮るつもりなの?」

「いやそれが、目途は立ってないんですよ」

「そう……品評会に提出したり?」

「巡ヶ丘市の同好組合がやってるコンテストです。そんなに畏まったもんじゃないですよ」

 

 品評会なんてとんでもない。勝ち抜いたところでWEBと、地元の広報誌と、役所と商店街の掲示板に控えめに張り出されるくらいの、コンテストというのもちょっと過剰な表現なんじゃないかと思うような、小さな催しだ。

 二年前には廃部になりかけていたことから分かるように、ウチの写真部は強豪だの弱小だのというメジャーで測れるようなレベルではない。いくつかの公式的な大会には参加するが、主な活動として挙げられるのは地元のPRや学校行事での撮影ぐらいなものだ。

 

 俺はそんな部の中で幽霊をやっているようなやつだから、腕前の方はお察しだった。

 

「機材の持ち出し申請するのも面倒だったんで、どうせなら高校の中で撮ろうと思いまして……ただ結局、何を撮るか全然決まらなくて。そうだ、先生なら何にピントを合わせますか?」

「え、わたしですか? んー…………」

 

 佐倉教諭は両の人差し指と親指でフレームを作ると、片目を瞑って覗き込む。

 唸りながら、彼女は腰を捻ってアングルを試していた。虚空に投影されたレンズが放課後の校舎の風景を順番に映していく。

 身も蓋もないようだけれど、ずいぶんとあざとい仕草だと思って俺は笑ってしまった。

 

「わたしならやっぱり……」

 

 それから彼女の手は俯いた角度で、黄色く反射するグラウンドと空を映し出して止まった。

 

「青春の一コマ、っすか」

「あはは……学校って学生のシンボルだけど、その逆も然り、かなって」

 

 眼下では陸上部員たちが部活動に勤しんでいる。元気よく声を挙げた女子生徒がOBらしき男性にアイコンタクトを送って駆け出していく。どこかでホイッスルが鳴り、誰かが怒号と激励を飛ばす。

 

「大人になって、学び舎の形は思い出せても、そこに誰が居たのかを思い出すことができなくなっていって……わたしなら、そういうのを写真に残しておきたいかなあ……」

 

 遠い記憶を思い起こすふうに言う佐倉教諭に俺はどう返せばいいか分からず、「なるほど」と苦し紛れにつぶやいた。

 砂の香りがする風が吹き、彼女の長い髪を吹き上げていく。

 それにつられて目をやれば、彼女はなびいた髪を抑えながら、寂しげな瞳でプランタの列を見つめていた。

 佐倉教諭にそういう意図はなかったのだろうが、俺には彼女の言葉が若狭の妹のことを指しているように思えてならなかった。

 そのせいで、俺はあえて考えないようにしていた可能性に思い至ってしまった。

 

 昨日。その早朝。

 俺が部屋で覚醒する瞬間が"写真"(リスポーン地点)であるならば、俺は絶命するたびにその思い出の中へ入っていけるということになる。

 俺には引け目がある。

 あのとき俺が足を竦ませず、上手く行動できていたならば、若狭の妹は死なずに済んだんだ。

 そして俺は一度、無自覚に最良の結果を掴み取っていた。

 

 だからこんなふうに思うんだ。彼女を助けるためにもう一度死んでやり直すのが、俺の義務なんじゃないのかって。

 

 それはあまりにも偽善じみた思考だった。

 でも、俺が本当に死に戻れる力を持っているとすれば、物語の主人公みたいな傲慢だってきっと押し通せてしまうんだ。

 

 唇を噛む。

 誰も教えてくれやしないのに。俺は一体どうすればいい。そればかりが頭の中で渦巻く。

 

 

 

 

 

  創作/雑談スレ
 

PSのキリ子 今日0:07
リビングデッド! ボクは大好物だよ!

茅ヶ崎在住(大嘘) 今日0:09
ナイト・オブ・ザ・リビングデッド見返してたら色々と捗りまして……

YMS-15G ギャン太 今日0:11
まあ、お前はそういう方面だよな

茅ヶ崎在住(大嘘) 今日0:11
んで色々と妄想してたんですけど、仮に現実に生ける屍が現れたとして、みなさんならどう対処されますか? よろしければご意見を頂戴したいんですが……

PSのキリ子 今日0:13
対処っていうと具体的には避難先とか戦い方の話になるのかな?

茅ヶ崎在住(大嘘) 今日0:14
そうですね。こういうシチュエーションならこういう道具が役に立つとか、そういった豆知識や個人的にアツい展開なんかも募集してます

YMS-15G ギャン太 今日0:15
脚本でも書くのか?

茅ヶ崎在住(大嘘) 今日0:15
いや、単にパンデミックについて妄想してたら他の人の話も聞きたくなっただけだ

PSのキリ子 今日0:16
んー、やっぱり一番に思いつくのは自宅に籠城だよね この手のクリーチャーは人の多いところ=生存確率の低下だし

茅ヶ崎在住(大嘘) 今日0:17
やっぱそうですよね。帰れる状況なら俺もこれだなあと思ってました

PSのキリ子 今日0:18
ただライフラインが停止して、水と食料の確保は難しくなるから、立地については考えものかな

YMS-15G ギャン太 今日0:20
人口密集地帯だと塀のない平屋はまずアウトなんじゃないですかね。ガラス窓の防御力が低すぎるので

PSのキリ子 今日0:21
高低差や構造を考えるとマンションの方が堅牢ではあるねえ アクセスの悪さが"ご近所さん"とのシナジーを発揮しやすそうな点は見過ごせないけど

茅ヶ崎在住(大嘘) 今日0:23
ほとんどの住人が感染者になってるとしたら、リスクと引き換えに食料の類は一軒家より手に入れやすかったりもするのかな

YMS-15G ギャン太 今日0:24
ベランダの窓ぶち破って入るか

PSのキリ子 今日0:25
ベランダの中に避難はしごが設置されてるタイプなら階段よりいくらか安全に移動できるかもねー 上の階に居ないと意味ないけどさ

茅ヶ崎在住(大嘘) 今日0:25
消費か……パンデミック環境下でサバイバルする上で重要なのは糧食を得られることと感染しないこと、おおよそこの2つだと思うんですが、自宅以外で都合の良い場所がなかなか思いつかなくて……

YMS-15G ギャン太 今日0:26
まあ、社会一般に食べもんがあると分かるところには人が来やすいように作るしな

PSのキリ子 今日0:27
特に騒動によって供給が止まるから、食べられるのは保存の効く食料に限られてくるからねー そういうのが備蓄されてるのは、お店か緊急避難先になるし

YMS-15G ギャン太 今日0:28
その学校や役所には真っ先に人が集まる、と

PSのキリ子 今日0:29
スーパーやショッピングモールは言うまでもなくデンジャーゾーンだろうね

茅ヶ崎在住(大嘘) 今日0:33
高低差と区画分けを活かせるならモールなんとかなりませんかね? 防火扉とか

PSのキリ子 今日0:34
うーん……うまくやれば要塞化できるだろうけど

YMS-15G ギャン太 今日0:36
その区画分けが仇になるんじゃないか? やつらが高いところに昇りづらいと仮定して、上の階で生活したとしても、食料は下から取ってこないといかん

茅ヶ崎在住(大嘘) 今日0:37
あ、そうか

食品売り場って基本的に1FかB1Fだもんな

PSのキリ子 今日0:40
ホームセンターや家電量販店、家具屋なんかが入ってるぶん、バリケードの設置とか武器の入手はしやすいし、悪くはないんだけどねー……食糧不足になったらどうせ突入しなきゃいけないのもそうだし

素ミコ 今日0:44
そして真に心を留めるべきはヒトの業、というわけだね

PSのキリ子 今日0:44
あ、はぐれメタル!

素ミコ 今日0:45
小生は人様に経験値を与えるほど物事を知悉してもいなければ、フィジカルに長けているつもりもないが……

YMS-15G ギャン太 今日0:46
まじん斬り! ……ヒトの業というのは?

茅ヶ崎在住(大嘘) 今日0:46
一閃突き!

PSのキリ子 今日0:47
メタルむそう!

素ミコ 今日0:48
寄って集って仕留めようとするのは止め給え! ……なに、先程ギャン太殿がレスされていたことだよ。糧あるところにはヒトが集うように作られているとね

YMS-15G ギャン太 今日0:50
あー……

PSのキリ子 今日0:52
生存者同士が出会ったとして、って話か

素ミコ 今日0:55

些末事で生死が分たれる修羅場の中でこそ、真の人品骨柄が顕になる。群衆というのは特に、一見性根を覆い隠すヴェールのようで、その実は正味をあけすけにするリトマス紙のようなものさ

素ミコ 今日0:55

人智を超えた化け物が闊歩する中で、真の怪物はヒトだった……なんて、ロメロやマシスンの言わんとするところにも通ずるものがあるじゃあないか

茅ヶ崎在住(大嘘) 今日0:56
そっか、そりゃ母数が多いほど生き残りのグループも増えやすいですよね

PSのキリ子 今日0:57
「グール対策をする」「他の生存者に気を付ける」「両方」やらなくっちゃあならないってのが「生存者」の辛いところだな

YMS-15G ギャン太 今日0:59
覚悟はいいか? 俺は出来ない

PSのキリ子 今日1:03
しかし、むーん、サバイバーはともかく、連中のスペックがもっと詳細に設定されていれば対処法が考えやすいんだけど、ホラーである以上はねえ……

茅ヶ崎在住(大嘘) 今日1:05
現実的に考えるとあいつらエネルギー管理はどうなってるんですかね? 咬まれて増えるというのと喰われるというのじゃあ矛盾してる気がしますし

PSのキリ子 今日1:06
ウィルスや細菌、宇宙線を原因にするとして、身体の中に既存の循環器系とは全く異なるシステムが築かれているのは間違いないだろうね 頭部が壊されないと……ってのは宿主への依存度が低い証拠だ

素ミコ 今日1:10

小生も以前少しだけこういった考察を読んだことがあるよ。新たにカロリーを摂取せず、身体中の内臓、筋肉、脂肪を分解し尽くしたとして、単純計算で長くても一ヶ月弱程度しか動いていられないらしい

YMS-15G ギャン太 今日1:11
おおよそでもタイムリミットが設定されているなら色んなハードルが下がるな

素ミコ 今日1:13

ときに、海上に脱出するなんて択はどうだい? 海賊塗れになるかも知れないが、屍食鬼はまずやって来れない。汚染されていなければ海産物で食事を賄うこともできるね

PSのキリ子 今日1:06
なるほど! あらかじめタイムリミットが推測できるなら、わざわざ危険の多い陸地で過ごす必要もない、か 困るのは飲料水の調達だけど、いざとなれば雨水で凌げるか……?

YMS-15G ギャン太 今日1:11
下手に貯めるとボウフラ湧きそうっすけどね

素ミコ 今日1:13

苦労して雨風を凌ぎ、海賊から逃れ、期を見て地上に戻るとそこには闊歩する連中の姿が……というのも王道だね

PSのキリ子 今日1:14
短期間で進化するのもパニックホラーのクリーチャーにとってはセオリーだよねー

YMS-15G ギャン太 今日1:15
泳げない代わりに海底を占拠するグールとか出てこねーかな

PSのキリ子 今日1:15
まさかサメと格闘するアンデッドが!?

YMS-15G ギャン太 今日1:16
そしてやつらを喰らったサメが感染して……

茅ヶ崎在住(大嘘) 今日1:16
唸るチェンソー! 迫りくるアンデッドシャーク! 飛び散る血飛沫!!

YMS-15G ギャン太 今日1:17
いかん、一気にB級映画になっちまった

茅ヶ崎在住(大嘘) 今日1:18
このままじゃチェンソーが最強武器になっちまう〜!

PSのキリ子 今日1:20
今となっては、どんな組み合わせでも少なくとも"アレ"よりはマシだろうと思えるけどね……

素ミコ 今日1:22
聞こえるか? 俺はもう無敵だ! オカルト殺法を食らえ!

YMS-15G ギャン太 今日1:23
ちょw スミコさんもあの映画観たんすかww

素ミコ 今日1:23
ミスティック・シールド!

PSのキリ子 今日1:24
やめて お腹痛い

茅ヶ崎在住(大嘘) 今日1:25
メタルマンと凌ぎを削る超大作来たな

素ミコ 今日1:26
人生における70分の使い方を考えさせられる映画だったよ……

PSのキリ子 今日1:27
あれでハウスシャークより40分短いってのが本当に信じられないよ

YMS-15G ギャン太 今日1:28
苦行極めすぎでしょw マジで尊敬しますわ

PSのキリ子 今日1:31
ボクが運営してる別のサーバにク○映画同時視聴耐久チャンネルってのがあってね……

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「あれ、何を聞こうとして……」

 

 眉間を揉んで時計を見た。短針がⅢの字に差し掛かっている。

 いつか山神に紹介してもらったディスコードのチャンネルにはその後も様々な話題が書き連ねられていたが、徐々に俺が求めた返答からは遠ざかっていった。

 

 一ヶ月後にリビングデッドで世界が滅ぶだなんて、事故で死んで時が巻き戻るよりも大それた話だ。

 だが何もせずにいるよりは、今は馬鹿げた妄想に本気で打ち込んでいる方が楽にしていられる気がした。

 ずっと、あのときの若狭の慟哭が耳に焼き付いて離れないんだ。

 

「……やってらんね」

 

 俺はラップトップの画面を閉じて湿気たベッドに倒れ込んだ。

 まぶたを下ろすと、押しとどめていた眠気がなだれ込んでくる。

 

 意識が水底に沈む前の一瞬、何故か柚村のすすり泣く声が若狭のそれに重なっていた。

 

 

 

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