これによって技術は進むし素材は増えるしでガイア連合としては嬉しい限りだし、ショタオジも異界下層の処理が少しは楽になると中々に順調だったりしております。
…まぁそんな風に内側が余裕を持って見れるようになったのなら、今度は外側に目が行くもので…という話の少し前が今回の話となっております。
「やってくれましたねぇ…ブーストニキさん…」
「は? 何の事だミナミィネキさん?」
本日本体が来たのはそろそろ消費アイテム生成しておいて備えておくかという事で、エドニキ達が担当している工作班に来ていたのだが…何故かミナミィネキから詰め寄られている件について。
正直ユエが拗ねてるオーラ出してるからやめて欲しいんだが?
ってか一応美人さんの筈なのになんでこの人からは寒気みたいな物を感じるんですかねぇ? 周りの【俺ら】も一部の奴等は俺の事哀れなヤツを見る様な目で見てくるし…なんか実はヤバイ人だったりするのか?
「あの【詰め合わせパッチ】の事ですよ、あれが出たせいで『個別で売ってる汎用スキルカードはオワコンだ』とかいう風評被害が出ているんです」
「大分値段する事になった筈だから大丈夫なんじゃないのか?」
提出した実物と術式見て高くなりそうみたいな事をあの時の制作班は言ってたけど、目論見が外れたのか?
「実は術式自体複雑に見えて意外と習得難易度は低かったので、造るのはとても簡単だったんです。それでいて汎用スキル自体は元からお安めだから【詰め合わせパッチ】も相対的に一万五千マッカ程と安くなり、結果として『容量食う汎用スキルを細々と買うより【詰め合わせパッチ】買った方がお得だ』って話になり、汎用スキルカードが大量にダブりかねなくなったんです」
「成る程なぁ…まぁ、俺自身作る術式はなるべく初心者でも覚え易い様に心掛けてるし、それで簡単に作れるならそっち作った方が資源が無駄にならずに済みそうだしな」
まぁでも結局個別で汎用スキルカードを制作する需要はなくなりはしなさそうだけどな、あれ自体の容量はパッチに比べたら当然少ない上に値段もそれ相応にクソ安いし。
…何よりコミュ障の奴とか寧ろ会話したくないとかで【会話】のスキルカードを入れないとかやってそうだしな。
「それに幾ら習得難易度が低いとはいえ、普通にスキルカードを作るよりも難しい為通常のスキルカードを作って練習する過程で汎用スキルカードは増えてしまいます」
「そうなったら不良在庫で倉庫を圧迫してしまう…か」
「えぇ、最終的にはマッスルドリンコなんかに変換してしまえますが、流石に対比効果が釣り合わなさ過ぎてタダでさえ少ないスキルカード製作をしてくれる【俺ら】が居なくなってしまい兼ねませんよ」
「だったら統合すれば良いじゃん」
「…へ?」
俺の一言で熱くなりかけていたミナミィネキが一気にクールダウン、ポカンとした表情になるが美人はそんな表情でも美人なんだというのが良く分かるな。
「………」デュクシデュクシ
「痛い痛い、やめろユエ」
…やめなされやめなされ、嫉妬で横腹ど突くのはやめなされ…。
「…あらあら、これは可愛らしい…じゃなくてブーストニキさん、統合するとは一体?」
「いや、そのまんまの意味でダブりそうなスキルカードを製作者が解けば、そのままあの術式に使う資材として再利用出来るだろ?」
それ位の遊びはあの術式に持たせてあった筈だぞ?
実演する為に【収納ポーチ】に溜め込んでいる資材を幾つか取り出し、其々【水泳】と【食事】のスキルカードを製作してミナミィネキに手渡して確認させる。
「ほい、見ての通り超基本的な【水泳】と【食事】のスキルカードだ」
「えぇ、確かに確認しました」
「そんでこれらをこうして…」
目の前でスキルカードを解いてから術式で一つに纏めて【詰め合わせパッチ】のスキルカードへと精製する。
余分となったスキルカード一枚分は【白紙のカード】として分離され、これもまた新しいスキルカードへと再利用する事が可能である。
「ほい、こんな感じで再利用可能だから、これからも単品で汎用スキルカード作っても問題無いぞ」
「…これやろうと思えば戦闘用スキルカードでも作れたりしますか?」
「おっ、それは戦闘系の資質皆無な俺に対して喧嘩売ってる感じかな?」
「あっ、ごめんなさい…」
尚、ある程度術式を弄れる技量持ちならば、戦闘用の詰め合わせパッチを作れる様に弄れる事は明言してはおく。
「それにしてもここまで使い勝手が良い術式をよく作り上げましたね…」
「つっても元はと言えばただのスキルカード製作術式を少し弄って作っただけだから、体感そこまで難しくはなかった感じなんだよな…てかそれ以上に同じ汎用スキルだからって事で【房中術】入れたらユエが勘違いしちまったし…」
この時俺はやらかしていた事を理解していなかった…飢えた獣の目の前で盛大に良い匂いを漂わせる肉を巻き付けて挑発するが如き行いをしていたという事を…。
「ブーストニキさん【房中術】スキルを取得してらっしゃるので!?」
「え? いや、ショタオジから分身の術教えてもらう時に汎用スキルが足りないからって事で、ガチャのラストワン賞だった『夜の帝王』って名付けられてたスキルカード使って覚えただけだぞ?」
「あ、私が作ったスキルカード使ってくださったんですね、ご当選おめでとう御座います!!」
「「ふぁっ!?」」
ーー
思いっきり目を剥く俺達二人を他所に、ミナミィネキは感動した様に詰め寄り俺の手を取ってきた。
「あの素晴らしいセットを躊躇無く習得して下さるブーストニキを見込んでお願いしたい事があるんですが!!」
「いや、分身の術習得する為に習得している汎用スキル…というか人間味が足りないとかいう理由で丁度手元にあったスキルカードを使っただけなんだけど…」
今にして思い返せば人間味足りないってなんだよって話だよな…頭薩摩とでも言いたいのだろうか?
「いえいえそれでもあのスキルカードが辿り着いたという事こそがある種の運命!! ブーストニキさん、私達の『ガイア連合技術スケベ部』に加入しませんか!?」
「やだよ」
そんな事してるくらいなら地方に行って、現地霊能者に【軍勢変生】掛けてアクマ刈り取らせてる方が万倍マシだよ。
「そんな御無体な!?」
「寧ろなんで快く受け入れると思ったし?」
ただでさえ覚えて間もない分身の術を制御する為のマルチタスクで頭痛めてるのに、なんでもう名前の時点で嫌な予感しかしないグループに入りたがると思ってるんだよ…。
「野良悪魔との人外エッチやメシアン天使の堕天プレイとかやりたいとは思わないんですか!?」
「後者についてはクソ天使相手にやるのは確かに愉しそうだけど、前者についてはそんな事してるよりもドタマかち割るか核潰して資材にした方が遥かに有意義だな」
「ハジメ…そんな趣味あったの?」
「そもそも日本霊能業界がこんな事になってる原因がメシアンだから、それ位の愉悦はしたい」
ショタオジや掲示板の話を聞くにアイツら狂信タイプのイカれポンチらしいから、そんな奴等が快楽堕ちして不可逆の変化起こすのとかめっちゃ面白そうじゃん?
「成る程、それでは友好の証としてこれを…」
「うん? …いや【甘美なる堕天への誘い】ってなんじゃこりゃ…対天使用悪魔変化スキルの複合スキルカードか? いや俺天使仲魔にする位ならフォルマや資材にするだけなんだが?」
「これはただの私からの好意ですよ、気が向いた時にでも…なんならそちらの式神ちゃんとのプレイにでも如何ですか?」
「…ハジメがしたいなら私はいつでもバッチコーイ」
「乗るなユエ、戻れ」
…まぁ、人からの好意はなるべく受け取っておくべきだよな…。
「はいはい、そんじゃあ適当にエログッズなりなんなり改造して欲しい物があったら持って来てくださいな…」
「っ!! 宜しいのですか?」
色々諦めて大人しく貰ったスキルカードを習得し、改めてミナミィネキへと向き直る…このスキルカード結構無駄が多かったな…。
「その『スケベ部』とやらには加入しないけど、なにかしらやれる事があるなら手伝う、それ位の立場にしといてくれ…アンタのテンション微妙に疲れるんだよ…」
「ありがとうございます!! それじゃあ早速持ってくるのでお願いしますね!?」
そう言って資材置き場に駆けて行くミナミィネキの背中には、やる気とエロスに満ちたパワフルさが満ち溢れているのだった。
…尚、この後まさかの一日中エログッズを改造しまくる事になり、報酬もミナミィネキから幾つかのエログッズと共にかなり色を付けて貰えた為、少しばかり心がグラついたのは秘密である…。
という訳で主人公は『ガイア連合技術スケベ部』との伝を入手しました…実は主人公とは性格的にあまり相性は宜しくなかったりするけども、技術的にはかなり(スケベ部にとって)有り難い存在だったりしますね…具体的にはクッソ不安定なエログッズが一気にマトモに使える様になる程度には性能が向上していたりします。
因みに以前のキャラデザシートで書き忘れていましたが、もしも【軍勢変生】が生えなかった場合、主人公の能力は生産系なのは変わらず、殆ど小威力の技ばかりという器用貧乏な感じになる所でした。