「あんの天災逆光眼鏡なんつう厄ネタ作ってやがる…!?」
スティーブンが俺のプライベート電脳空間に不法侵入してきてから数日後、俺はショタオジから「もしかしたら必要になるかもしれないと思って『彼』から貰ってきたんだけど、出来れば『コレ』の解析とか安全装置とか作っておいてくれないかな?」という事で渡された一つのシステム。
注意しつつ調べてみれば出て来た『悪魔召喚プログラム』という厄ネタな単語に一瞬意識が遠のいたが、マジで取り組まなきゃヤバいという事でガイア連合での時間全てを『ショタオジからの秘匿依頼だから』と言って他の緊急性の高い依頼以外を断りながら*1分身全員で並行しながら解析を進めていたのだが、これが滅茶苦茶厄介で面倒な代物だった。
「なんでよりにもよってファッキンマザーファッカー由来なんだよー…認知度で言えば妥当なんだろうけど、それ位ならこの世界のメシアン見てれば作らない方がマシだと分かるだろ常識的に考えて…」
この通り、なんせ根幹部分にクソ四文字の【加護】が関わっており、この【加護】をさっ引いてしまえばそもそもの*2悪魔召喚が安全性の面から行えなくなり、精々がインストールした機械に『悪魔召喚可能という神秘』を宿した事による微弱な対終末耐性を獲得させる程度の効果しかない。
それにしたってクソッタレの【加護】有りの時に較べれば雲泥の差であり、現状のガイア連合が作り上げれる対終末耐性を有した機械の方がマシなレベル。
【加護】有りのやつに比べれば大型船なんかにも対応出来るようには改造したが、ハッキリ言えばコイントスレベルの確率で動けば良いね程度の運ゲーというゴミ具合である。
「一応両方掛け合わせればなんとかほぼ確実に稼働出来る程度にはなるが、最近の大量生産に連合仕様のモノ自体が耐えられんし、耐えれたとしてもなるべく不安要素は排除したいんだけど、肝心の神性の宛てが無いんだよなぁ…」
言ってしまえば自他共にアンチメシアンだと自覚している俺からすれば腹立たしい事この上ないのだが、この四文字の代わりに入れられるような神性が見当たらない為どうしても不完全な代物にしかならないのである。
大体何処の神格であっても『我』が強いものであり、こんな悪用し放題なシステムに当て嵌めようものならやりたい放題して大惨事待った無し、ならば『我』が強くない神格入れれば良いじゃんと思うかもだが、そんな奴は大抵何処ぞの神話の二番手以下であり、そんな奴を添えようものなら確実に上の奴に好き勝手される事間違い無しである。
…ってかそもそもの話として悪魔召喚についても『その神話が現代でもちゃんと信仰されてる必要がある』上に『その土地で信仰されてる(というか知られている)度合いがどれ位かによって稼働率も変わる』という、まるでfateの認知度補正みたいな前提があるんだよな…少なくとも無神論者ばかりの日本じゃあ稼働しないのがデフォのゴミ待った無しだな。
そんな訳でどこぞの神性を当て嵌めても現段階ではロクに機能しないというオチが待っているのである。
まぁ、終末にでもなればアクマ共が地上に出て来るから当人(当悪魔?)達が信仰を稼げばまだ使い道は有るんだろうが、そんな中途半端に終末が来る確率よりもある程度から一気に終末が来る確率の方が高いだろうから、その時使えるようになっても側の機械がダメなってるだろうから優先度の低いサブプランでしかないんだよなぁ…。
「いや…寧ろ効果範囲を限定する機能を付けて信仰がされてる地域限定で使える様にすれば、その分認知度補正も上がるから高位の分霊を呼ぶ事も…いやいや、そんな事やったらGP激増待った無しだろうが…でも対決戦仕様として考えれば割と外国の霊能組織的にはアリな仕様なのか?」
他にも祀っている神社の境内に信心深い氏子だけにしてその場限定で使えば、日本でも神霊の高位分霊が呼べるかもしれない?
「いやいやいやいや、現状考えれば現地民のレベルは低いんだから、召喚した瞬間氏子が干からびて終了だろうが、何考えてんだ俺…」
なんかもう色々煮詰まっているせいでアホな思考に囚われて仕方が無いな…てか、こんなに悩む羽目になってるのも何もかんも『ヤツ』が悪い。
「まっさか、メシア教に『N』が関わってるとか世紀のクソとゴミの最低タッグかよ…」
しかもソイツと思わしきイケメン神父が『悪魔召喚プログラム』の開発を引き継いでいるだろうというのが大まかな予測なのだとか、どう考えてもアカン事になる未来しか見えないんですがそれは…。
アイツの事だから絶対『悪魔召喚プログラム』インストールしてるヤツを強制起動させて、無理矢理MAG吸い尽くした挙句高位分霊召喚させて暴れさせるテロとか、そもそも天使ですらない魔人なんかを召喚させるとか平気でやりかねないし。
「くそぅ…こうなりゃ、あのぺ天使共にも異種返しとして『十戒』元にした強制プログラムでも作って、ガッチガチに不利押し付けてやるのも有りか?」
…寧ろ微妙に内容が違う『セーフティープログラム』を作っておけば『十戒プログラム』を使う奴はメシアン認定出来るし、対過激派メシアンが相手になった時とかの罠に出来るかも?
…いや流石に似た様なプログラム一緒に出してたら、流石のメシアンでもおかしい事に気が付いて罠を看過したりはしないか…いやでも本当に? だってメシアンだぞ? 天使の大半が人型なのに何の疑問も持たない上に、神の声が聞こえているのかどうかすら分からない天使の言う事ホイホイ聞いちゃう様な頭空っぽの連中だぞ? 途中で切り替え可能とかにして『汎用性のセーフティーと神性系の十戒』みたいな感じで差別化したら、普通に名前の印象で騙されたりしそうだぞ?
「…取り敢えず両方作ってみるか…」
普通に有り得そうだから妥協して『十戒プログラム』も『セーフティープログラム』も両方作ってみる事にした、最終的な判断はショタオジ達上層部に任せておく事にする。
「さて、そうとなれば後はインターネットでメシアン側の『悪魔召喚プログラム』をウチのに強制アップデート出来る様にしておけば、いざって時にこの前聞いたスティーブンが並行世界でやらかしたらしい『悪魔召喚プログラム』のネット拡散みたいな大惨事での被害は抑えられるな」
一人延々と作業場の隅でノートパソコンを叩いていたのだが、漸く一段落したデータを纏めてショタオジに渡しに行こうと前を向けば、何故か目の前に立っているミナミィネキ…。
「…防音や覗き見防止の為に結界張ってたからパソコンの中は見られてないだろうとは思うけど、何時からそこに?」
「一応ブーストニキさんがパソコン叩いている間はすぐ近くで他の作業をしていましたよ? ただ少し前から一段落した様な気配を見せていたので、ほんの十分程度立っていただけですよ?」
つまり俺が色々纏めれる算段が付いた辺りから立ってたって事ですか…。
「あー…それで一体全体何の用があるんだ? 一応ショタオジから頼まれた依頼の報告してこなくちゃならんのだが…」
「それに関してはそれが終わってからでも構いませんが…ブーストニキは私に『借り』がありますもんね?」
「うぐっ…」
コレに関しては言うまでもなく、以前の相談*3の借りを取り立てに来たという事なのだろう。
「分かった、それじゃあ何をすれば良いのか教えてくれて、あまりにも無理じゃない範囲でならある程度の損も呑んでやる」
「ありがとうございます、頼み事についてなのですが…ブーストニキさんの改造に関しての技量、あれって異界に対してはどれくらい出来るのかを先に聞かせてもらって良いですか?」
「異界に対して? まぁ、ギミックがあるならそのギミックを外から弄れる程度にはあるぞ?」
実際そうやってダークゾーンだらけの異界を外から全部マグネタイトへと解体してやった事もあるし。
そう答えるとミナミィネキはまるで我が意を得たりとばかりに勢い込んだ。
「それ程出来るのなら是非とも頼みたい事があるんです!! 丁度良い感じの異界を現地民から勝手に処理してくれって任されたので、ブーストニキさんにはその異界を【肉欲界】へと作り変えて欲しいんです!!」
「」
出来なくもないのがまたアレな感じの依頼が来たなぁ…。
てな訳で、次回はブーストニキVS頭退魔忍の頭が痛いお話です!! …その内エロゲニキとか呼ばれそうな展開で書いてる自分が草ですわ。
まぁ、単純にミナミィネキならどんな依頼するかまとめサイト見てたら見つけちゃったので、ネタとして使う事にしただけなんですけどね…。