スキルツリーがバグった【俺ら】の現地事情   作:神薙改式

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 一昨日仕事納めで昨日中に書き上げる予定だったのに、大掃除してたら一日が終わっていた…皆も掃除は小まめにしようね?(遠い目)


第七十一話 白い光の中で

「……なんだここ? いつもの死んだ時に来る三途の川じゃない?」

 

 白い、何も無い空間で俺は一人、気がついた時には突っ立っていた。

 

「イザナミ神との交渉中、いきなり全身にヒビが入って身体が軋み出したんだよな…多分感覚的に『自爆』した時に近いものがあったから、あの後バラバラに爆ぜながら死んだ感じか? でもなんで…?」

 

 死に方についてはちょくちょく山梨の修練用ダンジョンで魂取られたりしない様、予めセットしておいた特殊な『自爆』をしているからなんとなくでも分かるのだが、今回そんな事するつもりなど欠片たりとも無かったのに、いきなり爆ぜたのである…マジで意味不明だ。

 

 てか死んでも三途の川が目の前に無い光景が凄く違和感あるな…俺の場合何故か日本である筈の三途の川にカロンが居たり、そんなカロン相手に自動復活するまでの短い間近況報告という名の暇つぶししてたから、そんないつもの光景が無いというのは何とも居心地が悪いものである…。

 

「てかアレが本来の『自爆』みたいな爆ぜ方なんだとしたら…ちと拙い事になってないか…?」

「そうだねぇ…確かに今の状況はちょ〜っとヤバいかもしれないね」

「………」

「おおっと危ない危ない…君ほんっとうに血の気が多いねぇ…」

「ちっ…やっぱりリーチが皆無だと当たらねぇか…」

 

 独り言を呟きながら考えている俺の後ろから、聞く人の神経を逆撫でするかの様なふざけた声に、思わず後ろを振り返りつつも無言の腹(?)パンを喰らわせようとするのだが、武器アリでもギリギリだった俺のリーチでは忌々しい◾️◾️◾️◾️に一撃を浴びせる事は出来ず、それにより悔しがる俺を見て余裕の笑みを見せる◾️◾️◾️◾️。

 

 ショタオジと似た様な雰囲気の笑い方なのに、どうしてコイツのソレは腹が立つ方に振り切れているのだろうか?

 

 …ってかコイツ鳩の姿してのに、なんで俺はちゃんと『笑っている』のだと分かるんだろうか? 普通鳩の表情なんて分からないんだが?

 

「で、お前が出て来たって事は、今回の俺の死因は直接ではなくてもかなりの割合でお前が原因を占めているって理解で良いのか?」

「その通りなんだけど、中々に理解が早いね」

「幾ら嫌っているんだとしても、それだけで敵対している相手の事を見縊って良い理由になんぞならんからな、敵を知るのは己を知る事よりも大事なのは兵法では基礎も基礎だろ」

 

 何せこの世界は敵の事をちゃんと知っておかないと、普通にアッサリ死ぬどころかもっと悲惨な目に逢いかねないメガテン世界なのである、そこら辺の事は山梨に居た時みっちりと教え込まれたさ。*1

 

 …それと正直これについては余り言いたくは無いのだが、何と言うか似てるんだよな…ショタオジと◾️◾️◾️◾️の雰囲気というか超越者の気配みたいな感じのソレが…多分言ったらショタオジ不機嫌になるか精神的に大ダメージ受けかねないから絶対に言わないけれど。

 

「で、結局何をやらかして俺は死ぬ事になったんだ?」

「それじゃあ前提の話になるんだけど、君が死んでた時、外がどうなっていたかを知ってるかい?」

「外がどうなっていたか?

 そんなの終末関係のアレコレで大騒ぎになってたんじゃないのか?

 ってか、あの大アクマ連中が終末のゴタゴタに乗っかって乗り込んでくるから備えろって言ってたのはなんだかんだで全能神なお前なんだから、忌々しくともちゃんと備えてた俺等がそこら辺分かってない訳無いだろうが」

 

 本当に忌々しいが真面目にカテゴリで言えば全能神なので、そこら辺の能力は疑うべきじゃないんだよなぁ…この平和主義者()を偽装している唯の育児放棄屑野郎が。

 

「うん、ちゃんと時間軸は分かっているようだね。

 それで外の現状なんだけど、君達の言っている過激派の子達が『神霊 エンシェントデイ』君を載せたICBM(いつもの)を東京に打ち込んでてね、これ以上半終末を引き延しにしても反動で更に酷い終末が訪れると判断した神主君が、そのタイミングで細工を施し敢えて地球の地脈にブチ込む事で、世界を緩やかに魔界に軟着陸させた訳だね」

「ちょっとショタオジ無茶し過ぎじゃない?」

 

 絶対これ鳩が端折った部分でヤバい方法使って対処したでしょ、大丈夫? 人の心配してる場合じゃないんだろうけど、普通に死ねる様な手段使ったんじゃない?

 

 復活して連合員の皆とバカやって楽しむ余生過ごす為のプラン組み立ててあるの?

 

「うん、普通に死んじゃうレベルの事やった上、大アクマによって魂を魔界に囚われちゃってるね」

「オイィィィッ!? 何やってんだショタオジィッ!?」

「まぁ、ソレについてはこれからぼくが戻れる様手助けしに行くから、君は別に気にしておかなくても良いし、君は君自身の心配をするべきじゃないかな?」

 

 ショタオジがとんでもない自己犠牲をかましていた事を知って思わず絶叫してしまったが、そんな俺に対して顔色(?)一つ変えずに話を戻す鳩。

 

 …既に超越者ってのはそんなもんだという事は分かりきっているのだが、敢えて言わせてもらいたい…人の心とか無いんか?*2

 

 取り敢えず色々思うところはあれど、そんなすぐどうにかなる話でも無いので、言われた通り自分の事について考える事にする。

 

「いつもの死んだ時なら三途の川に辿り着いている筈なのに、今回に限ってはこの薄寒さすら感じる白い空間に来てしまった。

 そして今回の死因は不明だが、死に方については以前不用意に使ってしまった『通常の自爆』に酷似している。

 …もしかして俺完全に死に掛けてるのか?」

 

 実は俺の使う『自爆』は本来のモノとは異なるものへと改造しており、簡単に説明するならば『デスルーラ』とでも言うべきモノであり、戦闘中に普通ならば逃げられない相手であっても、己に蓄積されたMAGと肉体を犠牲にする事によって盛大な目眩しを行い、事前に登録しておいた場所へ生還する形となっているのだが、本来の『自爆』は全く違うモノである。*3

 

 本来の『自爆』は己の何もかもを犠牲にして放つモノであり、ちゃんとした蘇生の準備しておかないとマジでそのまま本当の意味での死を迎える事になりかねないのである。

 

「序でに言えば魂が崩壊するレベルのダメージが原因だね」

「序でにで流して良い話じゃないっ!?」

 

 ホンマにコイツはホンマッ!!?!(錯乱)

 

「いやぁ…やる夫くんに干渉して来た時君が出張って面倒起こしてくれたから、その罰としてICBMの影響をターミナルのネットワークに受けてもらって、その修復に東奔西走する事でチャラにしようと思ったんだけどねぇ…」

「うん? 確かに俺が大体管理しているターミナルネットワークが破損したら復旧にはドタバタする事になるだろうけど、流石に死に掛けるまでにはならない筈だろ?」

「そうなんだけど、どうやら元々地脈に接続するタイプだったのが災いしたみたいでね、元々ICBMの影響が地脈だったのも災いしてダメージが各ターミナルに隔離保存されている領域まで及んでしまい『君がターミナルに厳重に保存してたデータ諸共』消し飛んじゃったんだよね」

「……………は?」

 

 ちょっとまって?

 

「あの? そのデータってもしや?」

「うん、君が半終末前から厳重に取ってた日本各地のデータだね、ほぼ自分一人分の血肉まで使って強固にプロテクトしてたからこそ、そのデータが今回の件で吹き飛ばされ、感応効果によって保護していた君の魂が大きく傷付いたというのが事の真相だね」

「お、俺の終末後に建ててた予定が…」

 

 来るであろう終末後の多忙に息抜きする為に、電脳異界のベースとして大事に保存しておいた過去の残照…。

 

「まぁ、君の終末後に考えてた娯楽なんかはどうでも良いんだけど、仮にもぼくが原因で黒札ヤっちゃってたなんていうのはよろしくないからね、今回だけは特別に魂の崩壊を元に戻してあげようじゃないか」

「お前この状況元を辿れば全部お前の怠慢が原因だっての分かって喋ってる? なに? その鳩の姿になってたら思考レベルまで鳥と同じにでもなるのか?」

 

 身勝手な鳩の言葉に恐らく青筋立てまくりながら、例え届かなくともぶん殴ってやろうとした瞬間身体が光に包まれながら浮かび上がった。

 

「まぁ、なっちゃったものはなっちゃったんだから深く考えてもしょうがないさ。

 それにお詫びと言っては何だけど、君の歪んだ霊質をある程度元通りにして上げるから、それで終末後の環境も乗り越えられる様になるだろうさ」

「ちょっと待て!? お前さっき歪んだ霊質って言ったがそれ『軍勢変生』の事だろうが!? もうそれ元通りにされる方が困るんだぞふざけんな!!?!」

「もう仕方ないなぁ…それじゃあ大特価サービスでぼくからの【加護】も与えようじゃないか」

「詫びみたいに言いながら粗大ゴミ投げつけてんじゃねぇ!! あっクソ、意識が遠のいていきやがる…」

 

 そこそこ経験した事のある復活の兆しに意識を遠のかせながらも、恨み辛みを重ねようとした時、鳩からトンデモない言葉が掛けられ、思わず意識に空白が出来てしまった。

 

「あ、そうそう…近々君達の言う穏健派と神主君との間に子供が出来る予定だから、幼少期の受け入れよろしくね〜」

「………は?」

 

 

 ─────

 

 ───

 

 ─

 

 ───

 

 ─────

 

 

 

 夜も更けた山梨支部の病室にて、弾け飛んだ肉片を集めて形だけ何とか戻したブーストニキが横にされていたベッドから、鳩によって復活を果たしたブーストニキが上体を起こした。

 

 死に掛けていた状態から既に三日経過していたのに、復活したばかりとは思えない程自然と動けているというのは、あの鳩も腐っても四文字の一側面だからという事なのだろう。

 

 …但し当の本人は側からの最後の言葉で宇宙ネコ状態な訳なのだが…。

 

「………は?」

*1
但し舐められたら終わりなヤクザ的な立場でもあるので、必要ならば蛮勇を振るう事も辞さない模様

*2
そもそも人の心があったら普通未熟な天使達をネグレクトとかやってない

*3
因みに一応死んではいるので魂はあの世に引かれ、結果として三途の川に毎回顔を出す事になっているのである




 そんな訳でブーストニキたった一話で復活で御座います。

 …まぁ、色々ロクデモナイおまけを喰らった形ではありますが…(汗)

※尚、鳩からの【加護】についてはまとめサイトに新しく増えた『天使と鳩の言い分』参照だったり…。

 遠目に見たら鳩の得にしかなってない? そりゃ鳩だって神と呼ばれててもアクマと大差無いんだから、面倒なヤツの弱体化狙えるんだったら遠慮なくやるよね? って話ですな…。
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