「チッ、起き上がりチートかよ…………!」
スカルライダーの一撃により胴体を真っ二つにされたブリッツガンダム。しかし、その傷は瞬時に再生してしまった。
「爆破したってことは撃墜判定……なんで……?」
レイメイが疑問に思うのはどうやら、あのブリッツガンダムが倒されたはずなのに残ってることだろう。
多分直る機能? みたいなのがあって、それで完全に倒される前に直ったから生きてるんだと思う。爆発は、わかんないけど。
わたしが理由を考えていると、レイメイが応援に行こうと飛び出した。
「レイメイ、行くの?」
「うん。あいつ倒さないと」
「わたしも一緒に行きたい。一緒が良い」
「ふふっ、うん。行こうか」
あぁ、好きだなぁ。
わたし達は、もう馴染み深いガンダムシルヴィーに乗って、アノマロカリスの支援に向かった。
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「あいつら行っちまったぞ……」
「よし! 俺らもあの二人に続いて行くぞ!」
「ブレイクデカールがなんぼのもんじゃー!!」
ってなわけで、アノマロカリスとレイメイ、ビリーヴの3人が先陣を切ったことで始まったこの乱戦。
「ぶっちゃけリンチだろこれ」
「そうでもないよ?」
「え?」
カグラが指を指した方に向くと、そこにSFSやら可変機やらに乗った沢山のMS。あれ全部チーター陣営か、胃が痛くなる。
「あ、ジオン水泳部もいるのです!」
今度はコネコが指さした方に向く。言葉の通りアッガイ、ハイゴッグ、カプール等々水陸両用機体のオンパレード。サンボルのアッガイ作った奴もいるし、なんでチーター側に行っちゃってるんだろうか。
「今ルシファーないんだよなー……。コネコ、機体は?」
「も、持ってきてないのです……」
「カグラ」
「装備色々外してるので飛べませーん」
「じゃあ地上で暴れて。流石にコンポジットシールドブースターはあるでしょ」
「無論」
「私はどうすればいいのです……?」
「オレと一緒に来て」
「え? ルシファーは持ってきてないんじゃ……」
「予備がある」
こういう場合においていきなりPvP仕掛けられた時用に持っている護身用のがある。それを今、出現させて搭乗する。
「コネコ、乗って」
「アトラスガンダム…………なのです」
アトラスガンダム。ジオン系さながらの球体関節と人体に似た構造、加えてサブレッグとレールガンを所持したガンダムタイプのMSだ。
丁度カグラも乗ったことだし……。
「カグラはあの馬鹿達に混ざってきて。オレは水泳部片付ける」
「応援いる?」
「いらない」
「任務りょーかいであります!」
作戦を伝え終え、カグラはブースターを背中に背負って飛び出す。
「あのカスミさん……ひ、1人でやるのです?」
「他に水中いけそうなのいなさそうだし。それにチーター如きに負けないよ」
まぁこの機体、作り込みといえば水圧耐性程度で、それ以外は合わせ目消してヒケ処理して全塗装したってだけなんだけど。
「まぁいける。多分いける。絶対いける」
「…………不安なのです?」
「ソンナコトナイヨ。Leave it to meダヨ」
「はぁ……」
フォース仲間、それも後輩、しかも自分のファンとなればここでカッコつけなければ面子が立たないというもの。
「カスミ、アトラスガンダム。行きます」
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「オラァ!!」
『ハァ! んなもん効くかァ!!』
クソ硬ぇ!! っつーかSEEDはビーム耐性ザルだろうがなんで通んねぇんだよ!!
はー殺す。絶対殺す。愚か者に死を、チーターに垢BANを。
『うおぉっ!?』
「ッ!」
突然ビームがチーターの左腕部を破壊する。あーなんだったっけこいつ…………プ〇ッツみたいな名前だった気が。
「アノマロ、色々応援来たよ! ……あっちも来たけど」
「だろうな。で、お前は愛の巣引っ提げて何しに来た」
「ちち違うわい!! 苦戦してるっぽいから助けに来てやったの!」
「だったら上で肩あっためてる連中倒してこい」
「はぁ!?」
「2人とも喧嘩しないで……」
はぁ、めんどくせ。バカップルのお守りなんてするわけねぇだろ。
「もう、わかった!」
「せいぜい死なねぇようにな」
レイメイの機体が上に浮上していく。
よし、邪魔は消えた。
『畜生……!』
「右やられなくて良かったな。そっち無くなったらお前お終いだろ」
『言ってろ…………チビがァ!!』
相手の右腕から槍のようなものが射出される。バレバレの弾道を避けると、それに同期して相手も移動し、こっちにライフルを撃ってくる。
「チッ、ウザ……」
シールドを構えるその一瞬を見逃さず、相手はチートで強化されたスピードを活かして俺の後ろを取る。どうやらオーバースペックの使い方を少しはわかってるみたいだ。
『これで、終わりだァァァッ!!』
まぁ終わりではある。
俺じゃねぇけどな。
振り返り切る直前で左腕部の盾を接続解除、そのまま上にジャンプして飛び越える。相手が無意味に盾をサーベルで斬ったところを確認しながら着地、こっちもビームサーベルを構えて後ろからグサリと貫く。
『なッ……、盾を囮に……!?』
そのまま横に振り切り切断、はい一丁上がり。
今度は復活なんかさせず一撃KO。爆発と共に消滅を確認する。
「ほーら1人でどうにかなった。さて、こぼれ球潰すか」
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「ひゃっほーい!!」
『ぐわぁッ!』
「それそれー!!」
あーーーー!!!!!
雑魚共狩るのたんのしいィィィーー!!!
素のウーンドウォートとはいえ常日頃からおっもいコンポジットシールドブースターを持つためにパワフルに出来てるからね、そんじょそこらの連中には到底倒せまい!
と、ビームを撃ったり銃口でぶん殴ったり暴れてる間にあたしの前に立ち塞がっていたのは、グレイズリッター、ガンダムグシオン、ランド・マンロディ、そしてシュヴァルベカスタムの4機だった。
『宇宙世紀の機体はぁ!』
『ビームが主体!』
『だから俺達鉄血機体がぁ!』
『圧倒的有利!』
「はいはいそうですねー!!」
『わーッ!!』
そんな風に名乗り上げた4人をまとめて銃口のビートソードで殴りつける。4人まとめて吹っ飛んでいく姿はめっちゃくちゃ面白かった。
『畜生、こうなったらコイツで……!』
「あ、またチート使う気!?」
グシオンの胴体部に歪な模様が浮かび、全身を禍々しいオーラが包もうとしたその瞬間、空中から巨大な剣を持った機体がそのグシオンの背中をプレスするかのように押し潰した。
「そぉらッ!!」
『グエェッ!!?』
その巨大な重量を前にブレイクデカールで強化されたグシオンといえど耐え切れず、爆発と共にデータに帰った。
……はー、真面目に状況説明すんのめんどくさ。
「あれー? 単身突っ込んでボコされたんじゃないんですかー?」
「ボコしてやったよ」
「ほーん、てわけで行くぞガイコツA」
「黙ってサポートしてろ変態」
というわけで、残った3機もまとめて片付けましょー。(チャンピオンに比べたら全然弱いけど)最強の私と、(チャンピオンに比べたら雑魚同然だけど)割と強いアノマロのコンビならまぁなんとかなる。
「ていうかカグラ、カスミは?」
「コネコちゃん連れてアトラスで単身殴り込みに行ったよ」
「はぁ…………愛の巣2機目」
「ちげぇよ非リア」
ま、あっちはなんとかやるよ。カスミはリアルニュータイプと名高いし。
「はいじゃあレッツ──」
「オラァッ!!」
「合わせろバカ!!」
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駆け巡る風、流れる音楽、吐く息は1人だけのものじゃない。
「はっ、今すごいいい感じの歌詞が浮かんだ!」
「え!?」
流れ流れ吹き行く風、吐く息は1人じゃない〜…………って感じ。なら、でんでんでんでれ、でれでれでー……チープ過ぎるな。もっとゆったりした感じの、BPM113、4? の辺り。もっと遅めでもいいかな? コードはどんなんがいいかな、あー創作意欲が──
「前! 前向いてなのです!!」
「あっ! ごめん……」
「あーいや、謝る程じゃ……」
そうだったそうだった。今考えるのは新曲のメロディじゃなくて迷惑ダイバーを倒すこと。公共のトラブルだし運営が介入してもいいと思うけど、あの人達基本不干渉だしなぁ。それにブレイクデカール使ってるとすれば廉価版とはいえ逆探知に結構手間取るはず。
結局オレらがやるしかないのかー。
「お、着いた」
「全員作り込みはそこまで……? なのです」
「CBのアッガイは割と頑張ってそう。行くぞ」
「はいなのです!」
アトラスガンダムの武装、サブレッグがもたらす短時間飛行能力を使い、味方や敵を踏み台にして飛んでいると、水泳部の皆さんのとこまでやってきた。
ということで、突撃隣の水泳部。全推力を上に回して突撃!
『うおっ!?』
『なんだ!?』
「控えよ控えよ、カスミ師範代のお通りなのです!」
「全員公務執行妨害で逮捕だ」
『はぁ!?』
やべ、ノリでコネコに合わせたけどこれ結構恥ずいな。
『ガンダム!?』
『なんの機体だよ!』
『知るか!』
「こいつら、ガンダム詳しくないのです?」
「ほほー、ゲーマーのガンダムエアプ勢と見た」
『チッ、アトラスかよ!』
お、CBアッガイの人は流石に知ってる。じゃあ先に倒すか。
「おやすみ」
『何──』
相手が反応する前に接近し直後レールガンをゼロ距離でぶっ放して即K.O.。情報持ちは先に倒すのがセオリーだ。
「あ、あっという間に……」
「さ、お前らの
『ッ……! 徹底抗戦に決まってんだろ!! テメェら行くぞォ!!』
あーあ、生け捕りにしたかったんだけど。
まぁ無理なら無理で、全滅させるだけだ。
「行くぞコネコ、水中に潜るから捕まってろ」
「え!? 水陸両用機相手にそれは無茶じゃ……」
「英雄は水中用MA相手でも打ち勝った。いける」
助走をつけて高くジャンプ。海に向かって高速巡航形態へ移行しながら潜水。これでアイツらが追い掛けて来るはずだ。
『待ちやがれ!』
『この野郎ぶっ殺してやる!!』
「おーこわ、FPSとかにいそう」
「いそうというか、いるんじゃないのです?」
「かもね」
「というか、これ不味いのです!? 袋の鼠ってやつじゃあ……!」
「まぁまぁ、ちょっと際どいけど勝てるよ」
オレ達はこのままアトラスで海底まで潜行中、それを上から水泳部連中が追いかけて来ている構図。ちょっと危ないけど、やれる。
「わわっ、わっ!」
「あーウザ」
『オラオラどうしたどうしたァ!!』
「うるさいなぁ」
相手側がメガ粒子砲をポンポン撃ってくる。ウザイなぁ。しゃーない、銃口にアサルトライフルぶち込んで大人しくしてもらうか。
『うわぁ!?』
『銃口に弾を!?』
『どんな技量してんだあいつ!!』
構造知ってりゃ後は位置を把握してスイッチオン。簡単簡単。
「簡単なわけないのです……」
「心読めるとはエスパー?」
「カスミさんはわかり易過ぎるのです!」
「コネコもビルリバの空気に慣れて来たね」
「っ……! そ、そう……かな」
「語尾」
「あ、なのです!」
「ははっ、コネコって面白いな」
あれ、心做しかコネコの顔が赤い気がする。熱籠ってんのかな? GBNなんだからそんなこと無いと思うけど……オレはちっとも暑く感じないし。おま環?
「しちゃダメ、しちゃダメ、ファンと推し、ファンと推し…………」
「限界深度まで後ちょい。あっちも数機リタイアしたし、もうちょい詰める!」
「あ、はっはいなのです!」
限界深度まで残り80m。この調子ならあと数秒。
『もう少しだ! 速度上げろ!』
「あと50……」
残り50m。敵の接近をアラートが伝える。
「残り30……」
「お、追いつかれちゃうのです!?」
残り30m。視界横にアイツらの頭頂部が見える。
「残り…………ここ!」
『追いつい……ってえぇっ!?』
限界まで残り10mのところで、サブレッグを逆噴射させて上に浮上する。それに伴い、全身に重い圧力がかかった。
「うっ、ぐぐ…………! まさかここまで来るのが……!?」
「狙いだ。ここまで来りゃ流石のマスダイバーでも脚を取られて身動きは取れない、だがオレは違う」
シールド内部から仕込んでいたメデューサの矢を放ち、ズゴックEとジュアッグの視界を封じる。
『グアッ! なんだこれ!?』
『前が見えねぇ!!』
「ワン、ツーで、ドン!!」
生まれた隙を逃さず、肩部からビームサーベルを取り出して二連斬。残り3機。
『く、クソォ!!』
「効くか、よッ!!」
メガ粒子砲をひたすら放つゾックにシールドで体当たり。そのまま頭上の砲門にサーベルを刺して誘爆、撃破。残り2機。
『う、うおおおおッ!!』
『オイ、待て!!』
ヤケクソで突っ込んでくるカプールを見遣り、シールドで防御。
『ぐッ!!』
シールドを手放し、高速で後ろに回り、サーベルをもう一本取り出してクロス斬り。
残り、1機。
「さ、お前だけだ」
『あ、な、やめ……やめろォォォ!!!』
────────────────────
「か、勝っちゃった……のです」
最後に残ったハイゴッグを串刺しにして撃破、ここまで感嘆を飛び越えて無心になってしまう程に鮮やかだった。
これがトップG-tuber、カスミの実力。他の者達から師範代と呼ばれる所以。私は、こんな凄い人と同じフォースにいるんだ。
「ふぅ…………やっぱサンボルといえばジャズだな」
「え、あ、はいなのです」
そしてこの人は、実力や佇まいに反して、結構天然寄りの性格…………なのです。
次回、レイメイVSマスダイバー!
視点多すぎて見づらい、すまぬ