ガンダムビルドダイバーズ:BR   作:レイメイミナ

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第14話「電子生命体と社会不適合者」feet.B, R

 フェスでの激戦が落ち着いた頃、到着した運営さん達によって暴動を起こしたダイバーは拘束され、その中でもブレイクデカールというものを使用していた人達はアカウントの凍結処分を下された…………らしい。よくわからないけど。

 

「まぁブレイクデカールの負荷ってエグいから残当だと思う」

「若干私怨入ってなかったかあの人」

 

 アノマロカリスが言ったあの人とは多分、青くて小さいガンプラの人のことだろう。ゲームマスター……って言うんだっけ。

 アノマロカリスは誰に対しても変に態度が変わったりしないから、あの人って言うのは少し新鮮だった。てっきり『アイツ』とか呼ぶものかと。

 

「レイメイがあんな顔するの初めて見たなぁ…………。元々戦ってる最中は少し怖くなるけど」

 

 でも戦いを楽しんでるのは伝わったし、実際わたしも楽しかった。でもあの時のはなんか……うん、やっぱり怖いって思いが強かった。

 

「び、ビリーヴ……」

「っ……、レイメイ」

 

 あの時のことを振り返っていたら、ちょうど良くレイメイがわたしのところにやってきた。

 

「やぁ、えと……波乱のフォースフェスだったね」

「うん」

 

 運営と呼ばれる人達は、基本的にGBNの存続が危ぶまれるような事態を除き、基本的にダイバー同士の問題には関与しないらしい。例えその運営さん達が主催しているフォースフェスでも、それは変わらない。

 でも今回は、かつてそのGBNを破壊しかけたというブレイクデカールが使用された緊急事態。運営さんはすぐに修正パッチというものを使って対応したらしいけど……。

 

「あの、私さ…………怖かったよね。あの時」

「………………」

「ごめんね。その、どうしてもっていうか……行っちゃったというか……うん、顔に出ちゃってたよね」

「…………うん、怖かった」

「私のこと…………嫌いになった?」

「なってないよ」

 

 だってそれは、怒ってくれてたんだから。ブレイクデカールを使った人を怒るために、怖い顔してたんだから。怖いのは当然だよ。

 

「ブレイクデカール? っていうのが、この世界を壊しちゃうんでしょ? わたしにとってこの世界は住んでる場所だから、守るために怒ってくれたんだよね」

「……うん」

「だったら嬉しい。レイメイも、わたしとずぅっと一緒にいたいって思ってくれてるんだもん!」

「…………ありがとう、ビリーヴ」

「こっちこそ、ずっと一緒にいてくれてありがとう」

 

 あぁ、これ……キスする流れだ。

 今まであんまり意識したこと無かったけど、こういう空気になると、なんだかちょっと恥ずかしい。

 でも、レイメイがこんなにも愛おしくて、だから、そういうの全部どうでも良くなって、レイメイのことで頭がいっぱいになるんだ。

 

「レイメイ……」

「ビリーヴ……」

 

 お互いの顔が近付こうとした、その瞬間。

 

「あ! キミ、あの時一緒に戦ってくれた人だよね!」

「あうっ」

 

 元気でハツラツとした声の人が話しかけてきた。なんか奥で頭を抱えてるカグラが見えた気がするけど、気のせいかな。

 

「あ、あぁリク、さん」

「あの時はホントありがとう! 粒子残量全然無くてもうダメかと……」

「私からも、リクを助けてくれてありがとう」

「え、えぇあーいや……そのガンダム好きは助け合わないと! ですし!」

 

 さっきの私達と違って明るく感謝を伝えるリクと、その横にいる白い人。

 

 あれ、なんかこの人…………変な感じがする。

 

「えと、レイメイ……リクの隣にいる人は?」

「あぁ、えっとこの人は……」

「サラ、ビルドダイバーズのサラ。この世界に生まれた最初のELダイバー」

「…………です」

「最初の、ELダイバー…………」

 

 だから、こんなに親近感を感じるんだ。なんというか、レイメイとは似てるようで違う温もりを感じる。

 でも最高はレイメイだけど。

 

「あなたもELダイバー?」

「うん、名前はビリーヴ」

「いい名前ね」

「なんか、サラに似てるね」

「確かに、でもビリーヴはビリーヴだよ」

「え、あうん」

 

 ………………あれ?

 なんか、おかしい。

 

「キミの機体、ガンダムシルヴィーだっけ。凄くいい機体だよね!」

「え? あ、ありがとうございます。シルヴィーは私の最高傑作で……」

「サバーニャを白兵戦仕様にするっていう発想のガンプラはたくさんあるけど、GUND-ARMとNT-Dを持ってるのは聞いたことないよ!」

「私もログで見たけど、あなたのガンプラを大好きだっていう思いがとてもよく伝わったわ」

 

 サラの周りを、2匹の丸い生き物が回り出す。

 …………ねぇ、わたしは? レイメイ、リクのことばかり夢中になってない?

 

「あっそうだ! 今度俺のフォースとバトルしようよ! シルヴィーとバトルしてみたいんだ!」

「えっ、いいんですか!? まさかあのビルドダイバーズとバトル出来るなんて……うちのフォースも喜ぶと思います!」

 

 ダメだよ、レイメイ。

 レイメイとずっと一緒にいるのはわたし。わたしなの。

 他の人に夢中になっちゃダメだよ。

 

「じゃ、じゃあフレンド登録とかも……」

「ぜひぜひ! シルヴィーのこともっとよく聞きたいし!」

「そ、そうですか? じゃあ──んっ!?」

 

 レイメイの後頭部に手を回して、その唇を奪う。

 見せつける。レイメイはわたしのものだって、レイメイの最高はわたしなんだって。

 

「えっ!?」

「あら……」

「んぁっ、ちょ……」

「……なんでも言うこと聞くって言った」

「言ったけど、今はちょっと──!」

 

 抵抗しないで。今はわたしがレイメイのこと、好きにできる。

 好き、大好きだよ。レイメイ。だから他の人の好きなんて受け取らないで、わたしの好きでいっぱいになって。わたしはレイメイの好きでいっぱいだもん。だから。

 

「わああああぁぁぁぁぁ!!!? すみませんうちの子達がホントにもう!!!」

「え、え?」

「ほら行くよ2人とも! ほんっとにもう場所選ばないんだからバカップル共めー……」

「カグラ、邪魔しないで──」

「接触禁止令出すよ」

「…………わかった」

 

「さ、サラ。あれって……」

「うん…………」

 

────────────────────

 

「はああああぁぁぁあっっっぶなかったー…………!! 健全なリクサラがとんでもないことになるところだった…………」

 

 私がリクとサラと親しげに話しているのに嫉妬したのか、ビリーヴがいきなり私の唇を奪って中々ディープ寄りのキスをかましてきた。

 まっっっじで恥ずかしかった。いや、キスすることは嫌じゃないしもう何度も人前でやっちゃったから慣れてるんだけど、流石に憧れの人の前でするのは気が気でなかった。本当にもう、今回ばかりは割って入ってきたカグラに感謝するしかない。

 

「カグラ、なんで邪魔したの」

「ビリーヴちゃんさー、愛情表現をキスしか知らないの?」

「だって、キスするのが一番の愛情表現だもん」

「そうだけどね? 普通はね、普通はキスって2人きりの時にするもんだよ? それをいきなり人前でさー…………。少しはリクサラを見習えってもんだよ」

「はぁ…………」

 

 ごもっともなんだけど………………なんかダメな予感がするぞ?

 

「ほんっとリクサラは君達と違ってド健全ですからねー、ほんっとにもうプラトニックで純粋で…………」

 

 推しカプに変なこと吹き込んで欲しくなかっただけだこれ。

 ふざけんな! 今まで散々ビリーヴに吹き込んできた癖に! いやキスのこと教えたの私だけどさぁ!!

 

「え、えっと……レイメイ、ごめん」

「ううん、いいよ。でも今度からは控えてくれると嬉しいな、羞恥心で爆発しちゃう」

「…………わかった」

 

 なんでそんな不服そうなんですか。

 

「お前ら、ものっそい勢いでエントランスから出てったけど何?」

「聞いてよアノマロカスミ〜! このバカップルがリクサラの前で…………」

「「あっそう」」

「軽いよぉ!?」

 

 私達を追ってきたカスミとアノマロがカグラといつものような漫才を繰り広げる。相変わらず仲良いなこの3人。

 

「あれ、コネコは?」

「コネコはもう夜遅いからってログアウトしたよ」

「へぇー、そうなんだ」

「それよりちょっと気になる話がある。あのチートに関してな」

「ちーと……?」

「ブレイクデカールのことだと思う」

 

 アノマロから話されたことは、あまりにも衝撃的なことだった。

 

「修正パッチが効かない!?」

「効力がないというよりは使おうが使わまいが変わんねぇって感じだ」

「それってどういうことなの?」

「アレの影響で動作がラグかったりテクスチャに異常が出たりとかはあったが、それは全部サーバー全体にデカい負荷がかかってるからだけだった。要はあのブレイクデカールはクラックエラーによるバグを引き起こさない贋作ってことだ」

「簡単に検閲できたのもそういうこと?」

「ああ」

 

 アノマロに続いてカスミが補足する。IT関係はあんまり詳しくないけど、要するにサーバーに負荷をかけるけどハッキングとかでデータを改竄しないってことか。つまり……。

 

「つまりそれは、ただ単純に強くなるだけのシステムってことなの?」

「ザッツライト。あれはブレイクデカールじゃない、ただのネトゲによくある度の過ぎた違法パッチの域を出ないモンだ」

「でも、ガンプラはあんなに苦しがってたよ……?」

「よくわからないものが埋め込まれてるから、苦しんだりするのは普通だと思う」

 

 もしかして、ダブルオースカイのハイマットフルバーストでクスィーを倒せなかったのは、耐久値の上昇だけじゃなくて、ラグが原因? ラグで直撃したように見えただけで、ただ掠っただけなのなら、あの威力で生きていたのも納得が行く。

 

「……っていうのが運営の見解。サーバーダウンで顧客の不満を溜めないように動き出したらしい」

「ってことで、かくいう俺も運営にエージェントとして雇われた」

「え、エージェント?」

「言ってなかったか? 俺の本業は探偵だ」

 

 え、そうなの!?

 

「アノマロは『大抵なんでもやる』をモットーにした探偵事務所立ち上げてんの! で、引き受けたってことはやっぱりGBN無くなってほしくないんでしょー?」

「別に、金の払いが良かっただけだ」

「やーん素直じゃないのー」

「はっ倒すぞ」

 

 へぇー。仕事との兼用でGBNやってるって言ってたけど、探偵としてGBNや他のネットゲームとかで調査するって感じなのかな。サイバー探偵、なんかカッコイイ。

 

「レイメイ、探偵って?」

「何かを探したり、人のわからないことを一緒に考えてくれる人? 私もアニメとかでしか知らないからなぁ……」

「割と力仕事だぞ。1日の間に関東から九州まで行ったし」

「すご……」

 

 でもこいつ、そんな人助けするようには思えないんだけどなぁ……。悩み事とか自分でどうにかしろって言いそうな気もする。やっぱりお金目的? いや出来高制だろうからそういうわけでもなさそうだし……。どんな人間がどんな職業に就くかって、わからないんだなぁ。

 

────────────────────

 

 その後、全員疲れてすぐ寝たいと言っていたので解散。私もそろそろログアウトしたいと思っていたり。

 

「ね、レイメイ」

「ビリーヴ、どうしたの?」

「あのね、その……」

 

 耳まで真っ赤にしたビリーヴが私の裾を控えめに引っ張ってきたので、開いたメニューを閉じる。

 

「だ、ダイバーって……GBNの中で寝たらログアウトするんだよね」

「うん。事故防止であるシステムだね」

「だからその、どうせログアウトするなら…………」

 

 一緒に寝たい……かな、なんて。

 その言葉に、かなりドキリとしてしまったのは悟られていないだろうか。

 やばい、心臓バクバク言ってる。身体異常で強制シャッドダウンとかされないかな……。

 

「っ…………! い、いい、よ」

「いいの? ……じゃあ、フォースネストまで行こっ」

 

 はち切れんばかりの心臓の音と共にフォースネストに向かう。

 さっきからビリーヴと全然目が合わない。ただ見えるのは、綺麗に赤く染まった耳と、横髪越しに見える林檎のように真っ赤な顔だけ。

 これ、私もなってるのかな。あぁ、見られたくない。

 

「着いた、ね」

「う、うん」

 

 なんだこの空気、さっきのロマンチックな雰囲気に似て非なるような…………まるでこれからあんなことやそんなことをするような…………。

 

「こ、このクッションなら寝やすい……かも」

「あー、うん。そうだね。それで寝よっか」

 

 ELダイバーは寝ても寝なくてもいいらしいけど、目を瞑れば数時間寝たりは出来るらしい。それで強制ログアウト機能などは発揮されない。

 

「うん。じゃあ…………おいで? レイメイ」

「ッ……!」

 

 やっば、これ。

 自制心が、歯止めが効かなくなる。

 全身がガタガタ言って骨の1本や2本折れそうなのに、身体は正直に動いてビリーヴの隣に横たわる。クッションの感触が気持ちいいとかそういうのもうどうでもよくて、私はもう、ビリーヴのことしか考えられなくなってる。

 

「えっと、これがして欲しいこと……なの?」

「うん。誰かと一緒に寝るのは初めて?」

「昔お母さんが私を寝かしつける時に一緒の布団に入ったことはあるけど…………そうだな、本当の意味で一緒に寝るのは、ビリーヴが初めて」

「そっか、嬉しい」

 

 そう言ってはにかむ彼女の顔が凄く綺麗で、まるで満月でも見ているかのような気持ちだ。私の、私だけの月。私だけを愛でてくれる人、ビリーヴ。

 

「ビリーヴ……」

「レイメイ、ん……」

 

 ビリーヴの腰に手を置いて、自分に引きつけるようにして唇を重ねる。なんだかんだで、私からしたのは最初のを除いて初めてかもしれない。

 ビリーヴの唇はとても柔らかくて、それでいて確かな弾力のあるそれは、ほとんどリアルと変わりない。きっとビリーヴがリアルにいてくれたら、私はリアルでも頑張っていけたのかな。

 

 唇を離す。お互いの愛を確かめるように、その顔を見つめて、もう一度重ねる。

 そうしていく内に、かなりの時間が経っただろう。時間なんて数えてない。1秒数えるよりも、この最愛の人を愛することに神経を注ぎたいから。

 

「っ、は……」

「はぁ、レイメイ……」

 

 上目遣いで私を見るビリーヴは、とても扇情的だった。ここがGBNじゃなかったら今すぐ…………始めてしまいそうなほどに。

 

「レイメイ、わたしね。レイメイが戦ってるのをただ見るだけじゃいやなの」

「え……?」

「わたしも、わたしも一緒に戦いたい」

「…………ごめん、それだけはだめ。だって私は、ビリーヴを1人で危険な目に遭わせたくない」

「うん。わたしも1人で痛い思いはしたくない。だから、ずっと一緒にいよ? わたしの事、レイメイが守って。代わりにわたしも、レイメイが危険な目に遭わないように守るから」

 

 あぁもう、この子は。ずるいなぁ。

 私が気軽に言えないような事を、この子はすらすら言えちゃうんだ。

 

「……言っとくけど私、結構強いよ? そうそう私がピンチになることなんて無いと思うけど」

「ふふ、そっか。じゃあ安心だ」

「っ……!」

 

 やられた、これを言ってしまったら……もうビリーヴの言葉を肯定するしかなくなってしまう。

 まったく、ホントにもう、ずるいや。

 

「はー、敵わないなぁ」

「わたしをこうしたのはレイメイ」

「うん、それは嬉しい」

「ふふっ」

 

 あぁ、眠たくなってきた。もっと話していたいのに、この幸せを、私の生理現象が終わらせてしまう。

 

「レイメイ、眠いの?」

「ん…………」

「……おやすみ」

 

 うん、おやすみ。

 そう言う前に、私は眠りについてしまった。

 

 私はこのGBNで、かけがえのない人と出会った。

 わたしはこのGBNで、かけがえのない思い出と巡り会った。

 

 (わたし)はこの、夜明けの光にも似たこのときめきを、信じていたいと思う。

 




2人の物語は一旦ここで終わり、そして、次の舞台へ──!
次回から第2章入ります

キャラ解説

サラ(初出:『ガンダムビルドダイバーズ』)
GBNにおける最初のELダイバーで、『BUILD DIVERS』のメンバー。
誰にも優しい聖母のような性格だが、ガンプラバトルでは無類の強さを発揮する。
後見人であるリクとの関係に注目されているが、本人達は至ってそんなことはない…………はず。

chapter.1完結!この段階で一番好きなキャラクターは?

  • レイメイ/アカツキノ ミナ
  • ビリーヴ
  • コネコ/コナミ ネコ
  • カスミ
  • カグラ
  • アノマロカリス
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