ガンダムビルドダイバーズ:BR   作:レイメイミナ

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今回よりChapter2突入!
あ、ちなみに今回からガッツリNL(ノーマルラブ・男女恋愛)が入ってきます。百合だけ見たい人は注意してくれなはれ


Chapter.2「白犬御曹司と黒猫令嬢」
第15話「婚約者、なのです!」feet.N


 秋の程よく涼しい風が吹く昼下がり、いつものように私は学校の廊下を歩いている。

 

「コナミさん、今日も1人でお昼食べるの?」

「はい、あんまり食事中に人と話すということに慣れていなくて」

「ええー? 勿体ないよぉ、今度私達と一緒に食べよ?」

「まぁそれは、気が向いたらご一緒させていただきます」

 

 私の斜め前を歩くクラスメイトからお昼のお誘いを受けたが、断った。私にそのような交流は親から求められていないから。

 

 いつも教えられてきた。『模範こそが正義。強い影響力を持つ者が人々の模範となり、その行いこそが善となる。故、常に規律に沿った人間でなくてはならない』と。

 だから私は勉強は常に首位でなければいけない。交流も、有益に繋がるもの以外は持ってはならない。私はそれが嫌で、ガンプラバトルに手を出した。

 放課後を彩る夕焼け。赤い日に照らされた道を進む私は、一体どんな表情をしているだろう。

 

「ただいま」

「お帰り、ネコ。話があるからリビングに来なさい」

 

 自宅に帰ると、玄関で母が待ち伏せていた。

 どうやらリビングに来て欲しいようなので、靴を揃えてから母と共にリビングに向かい、テーブルの椅子に対面で座る。

 

「ネコ、貴女に許嫁(いいなずけ)を付けることにしました」

「…………え? お母さん、それはどういう……」

「わかっているでしょう、ネコ。貴女はあのGBNとやらを始めてから明らかに成績が下がっている。娯楽の一環で許可はしましたが学業に支障をきたすようなら許しません。なので、貴女を正しく導いてくれる方を用意した方がいいと思ったのです」

「ま、待って……! 私まだ高校生だよ!? それなのにもう結婚相手なんて──」

「”もう”高校生なんです。あと2年半もすれば貴女は晴れて成人の身、いずれこの家を継ぐことを忘れてはなりません。『コナミグループ』の長女として恥じない人間になりなさい」

「そんな…………」

 

 そんなの横暴だ。私は……趣味も管理されて、勝手な理想を押し付けられて、あまつさえ将来のパートナーまで選ばせてくれない。

 

「こちらの男性です。有名企業のご子息さんで、貴女と同じ頃には既に優秀な才覚を持っていたという話よ。目を通しておきなさい」

「『キリサメ クロート』さん…………」

 

 作曲家として活躍している人……IT系にも精通しているらしい。

 でもこの顔、どこかで見たような……。

 

「では、本日の夕食は7時からです。今日1日、GBNで遊ぶことを禁止にしますので、勉強に務めなさい」

「………………はい、わかりました」

 

 私は、1秒の自由も許されない。

 今日はGBNに触れること無く、ただ参考書の問題を意味も無く解き続けた。

 

「ストライク…………私はどうすればいいのです……?」

 

────────────────────

 

「頼む!! お見合いに出てくれ!!」

「…………うわぁ」

 

 こんな形で親の土下座を見たくなかった。

 この親父、勝手に息子の家に押し掛けておきながら茶を飲んで菓子食ってお見合いに出ろと額を床につけて頼み込んでいる。親といえどすげー図々しいなホント。

 

「相手はコナミグループのお嬢さんなんだぞ!? 受けてくれないと俺の胃が……!」

「えぇ…………だって結婚するんだろ? 嫌だよワガママお嬢様のお守りとか」

「いや、コナミ家の令嬢は清楚でお淑やかと噂の超優等生だ。ほら、イチカちゃんみたいな……」

「……ここでその名前を出すのは許しておいてやる」

 

 イチカ、という名前はオレの親友二人が地雷踏みかねない。でも今日はいないしまぁ、許す。オレもちょっと思うところあるけど。

 

「でもお見合いに出るつもりはさらさらないからな。オレはガンダムのアニメ企画に参加しててスケジュール詰めまくってんだよ。その場のノリでキャラデザだけじゃなくて主題歌の作曲も担当することになったし」

「それお前が悪いだけじゃ…………」

「とにかく、無理だ。don'tじゃなくてcan't!」

「Could youー!!」

 

 決着つかねぇ…………。

 どうするか、このまま押し問答しても仕事に支障が出るだけ、でもお見合いって今週の土曜だろ? その日は不味い、新作ガンプラを組んでレビュー動画の編集をしなければならない。

 

 ………………しゃーない、明日にしよう。ニチアサは、編集しながら見る。

 

「…………わかった、行くよ。代わりに日曜の競馬代はガンプラに使うためにもらうから」

「おっしゃあああぁぁぁ!!!」

 

 うるせー。

 

「とりあえず、相手の情報くれ」

「ああ、ええと──」

 

 親父から聞いた話によると相手の名前は『コナミ ネコ』、16歳の高校生。

 成績優秀で才色兼備、運動も強いラノベみたいな人。…………略すとコネコだ。

 いやいや、なわけ。だってこの令嬢さんのの家は鋼どころかガンダリウム合金もビックリのかっっったい家系だぞ? ガンプラとかただでさえ老害ビルダーから子供のお遊戯扱いされてるのに許されるわけないから。

 はぁ、この家の人間と結婚するのかぁ。教育弾けてリリーナみたいなやつかもしれん。いや、そんなことないか。

 

「まぁとりあえず、会ってみないことには何もわからんだろう! アマネくんだってそうじゃないか」

「ま、そうだけど」

 

 ただ、こういうのを無かったことに出来ないのはオレの悪い所だ。今日この日、オレは結婚することが決まった。

 ゴールインがあまりにも早すぎる…………社会人1年目なんだけど!?

 

────────────────────

 

 お見合い当日。

 家が広いということで、私の家ですることになった。今は自分の部屋で、使用人を追い出して呼吸を整えている。

 

「ふぅ…………オールマイトストライク、私に力を貸してほしいのです」

 

 何も答えは返ってこない。そりゃそうだよね、私はELダイバーじゃないから、都合良く解釈するしかない。

 だとしても、ガンプラがいてくれるだけで少しの元気は湧いてくる。

 

「…………よし、いってきます」

 

 リビングに向かい、テーブルの椅子に座る。母はもう座っていて、相手を待っている様子。

 

「ネコ、くれぐれも粗相のないように」

「そんなのわかってる」

 

 あぁ、まるで私は、親のペットのよう。

 私の存在は母にとってアクセサリーでしかなくて、私の成績は母の成績で、私の理想は、母の理想。全てが母から与えられたものに過ぎなくて、私自身は何も生み出せていない。

 

 からっぽだ。私。

 

「お母様、ネコ様、お見えになりました」

「通して頂戴。お茶を淹れるのも忘れずに」

「承知いたしました」

 

 やがて入ってくる2人組。

 1人は若干痩せ細っているが雰囲気は明るく元気な中年男性で、もう1人は…………。

 

「っ…………!?」

 

 証明に照らされて輝く金色の髪に、明るくもミステリアスな雰囲気を感じさせるライトグリーンの瞳の青年。

 その姿は、明らかに私が出会ったことのある人のそれだった。

 

(カスミさん…………!? どうしてここに……)

 

「本日はお見合いの件、引き受けて下さり誠にありがとうございます」

「いえいえ! こちらこそうちの息子を呼んでくださって感謝しています! 何せクロートはそういうのに無頓着で……」

 

 母の社交辞令に対し、私の相手の方の父親は素直に答える。その当人は出された紅茶を啜っている。

 

「そちらの息子さんは音楽家としてご活躍されているようで…………」

「はい、クロートの曲は私も大好きでして! 今度大型プロジェクトに主題歌として作ることも決定しているんですよ!」

「まぁ! それはおめでたいことですね!」

 

 会話の弾む2人の様子を眺めながら紅茶をちびちび飲む。少しだけクロートさんの方に目を向けたら、あっちも私を見ていたので慌てて目を逸らした。

 

(まだ決まったわけじゃない。他人の空似の可能性だってある……でも、声なら)

 

「クロートさんは、何故今回の縁談を受けてくださったのですか?」

 

 丁度いいタイミングで、母がクロートさんに話を振った。クロートさんは少し間を置いてから話し始めた。

 

「えーっと……、そちらの娘さんは文武両道の優秀な方と聞いてます。お姿も見目麗しい様で……。自分も周りからそのように評価されていた分、周りとの隔たりというものがあって……なので、同じ評価を受けているもの同士話が合うと思ったのがきっかけです。まぁ身も蓋もない言い方をすれば、かの名高いコナミ家の一人娘と結婚出来るなら是非……という感じですけど」

「そうなんですね。私もきっと娘と話が合うと思っています」

 

 クロートさんは若干困った笑顔で理由について詳しく話し、その言葉は充分に母の機嫌を良くした。

 それよりも、声までまるでカスミさんそっくりだ。大型プロジェクトに参加してて、音楽家で、この見た目…………ほとんど間違いない。

 

「そういうそちらこそ、どうして今回の縁談に踏み切ったのですかね?」

「あぁ、私は──」

「お母さん、1度お相手さんと2人きりで話したいと思ったんですが、宜しいですか?」

「…………ふふっ、いいでしょう。では我々は席を外すとしましょうか」

「そうですね。結婚するのはその2人なので私達ばかり話し込んでしまうのは……。クロート、くれぐれも失礼の無いように」

 

 父親の頼みにクロートさんは何を言うでもなく頷くだけだった。

 双方の親がリビングを出て、私とクロートさん、2人きりになる。

 

「…………あの、もしかしたら違うかもなんですけど」

「ん…………?」

 

 肩の力を抜いて菓子に手を伸ばしていたクロートさんに話しかける。

 

「もしかして…………カスミさん、ですか?」

「………………」

 

 私の問いかけに、クロートさんは目を丸くして反応する。やがて伸ばしていた手を引っ込め、困ったように顎に手を当てて何か考えてから私に話しかけた。

 

「えっと、Gつべの視聴者?」

「と、いうか…………その……」

 

 ええい、ままよ!

 

「わ、私! ビルドリバイバルのコネコです!!」

「………………」

 

 思い切った私の宣言に、クロートさん……いや、カスミさんは再び目を丸くした。

 

「…………語尾」

「え?」

「語尾」

「え、あっなのです!!」

「よし」

 

 語尾を求め確認を取ったあと、カスミさんは伸びをして机に突っ伏した。

 …………え?

 

「はぁー…………あー疲れた。というかコネコ、コナミ家のご令嬢だったのかよ」

「ま、まぁ……」

「まだ高校生なのに許嫁つけられるとはねぇ…………。相手オレなんだけど」

「えと、カスミさんはこういうの嫌なのです?」

「んーん、そういうわけじゃないけど。ただ同情というかなんというか…………親に人生好き勝手されて苦しそうだな、って」

「苦し、そう…………?」

 

 カスミさんから言い放たれた言葉に、疑問を覚える。私が苦しんでる……? それって一体、どういう。

 

「だってコネコ、親の前だと何も言わなかったじゃん。『私は母の所有物です』みたいな感じで。そういうのがなんか、人生生きづらそうだなと思った」

「そ、そんな風に思われてたのです……?」

「うん。だから婚約どうこうとかは一旦交流を持って様子見するって形で保留にしたい。あの母親の人となりが知りたいから」

「……どうして、私のためにそこまでしてくれるのです? リアルで会ったの、今日が初めてじゃないですか」

 

 カスミさんは多分私の母をどうにかして、私の人生をあれこれ決めるのを止めさせるつもりなんだと思う。

 だからこそ率直に疑問を投げかけた。GBNでフォース仲間とはいえ、リアルで初めて会った人間にそこまでする義理がない。

 

「嫌なんだ。知り合いとか、友達が辛い顔をするのが。ずっとそれを見てオレも苦しんできたから」

 

 その言葉に私は、妙な重みがあるのを感じた。そして、その目はどこか遠い昔を見ているようにも。

 

「お察しだと思うけど、オレは昔事故で母親と弟を亡くしてる。その時アノマロとカグラもいたけど、どっちも両親を失った。それが原因でみんな死にたくなるくらい辛い思いをしたんだ」

「御三方にそんな過去が……」

「最愛の妻を失った父親も葬式の日に泣いたよ。初めて見た、大の大人が……それも大企業の社長が、理不尽な現実を前にただ泣きじゃくることしかできない姿を。それを見てたオレは胸が締め付けられるみたいだった」

 

 俯きながら過去を話すカスミさんの背中は萎縮していて、いつも見ている憧れを向けられる背中とは見る影もない。

 でもそれが、『キリサメ クロート』という1人の人間の正体なのだろう。

 

「…………ごめん。こんな辛気臭い話して」

「いえ、今までよりカスミさんの、クロートさんのことを知れて良かったのです。だからその…………」

「…………?」

「こ、今度でいいですけど、もっとクロートさんのこと教えてください…………なのです」

 

 私の言葉にクロートさんは一瞬きょとんと呆気に取られたような顔をしたが……。

 

「……ふふっ、コネコって面白いな」

「な、なんで笑うのです!?」

 

 すぐに頬を緩ませて、明るい照りつくような笑顔を私に向けてくれた。

 

 これは、私が彼の”知らない”ことを知っていく物語である。

 

────────────────────

 

 お見合いの夜、自宅に帰ってきたオレは開口一番に叫んだ。

 

「…………オレ、彼女通り越して結婚相手できたんだけどぉぉぉぉっ!!!??!?」

 

 この後近所迷惑になってないか机に突っ伏しながら一瞬心配になったものの、家全体に防音加工をしている(作曲過程でギターを鳴らすため)のを思い出して胸を撫で下ろした。

 

「はぁ、ビルリバのみんなになんて言えばいいんだ…………」

 




次回、婚約関係となった2人は一体……。
許嫁(いいなずけ)」という言葉ですが、男のクロートに使うのはおかしいのでは?と思った方ご安心ください。この言葉は男性に対しても使います。

キャラ解説ver.2

コネコ/小南(コナミ)ネコ
日本経済の一角でありGBNにも一部投資した大企業、『コナミグループ』が誇る一人娘。
品行方正、才覚兼備、文武両道etc……と絵に書いたような完璧人間だが、その実態はアニメとガンプラをこよなす愛す隠れオタク。性格は率直で素直、偶に歯に衣着せぬ正直な物言いもするリアルな善人で、イチャイチャカップルのビリーヴとレイメイには呆れつつも、自分もああいう恋愛がしたいという等身大の憧れも持っている。
使用機体はパーフェクトストライクを一部仕様変更し、動力源を核エンジンに変更した「オールマイトストライク」。最近は日時改良を続けている。
※コナミグループは現実の会社とは一切の別物です。

カスミ/霧雨《キリサメ》クロート
日本IT業界の革命家、『キリノシステム』代表取締役の息子。
クォーターと白人との間に生まれた6割外国人のハーフで、その髪は光り輝くような金色となっており、瞳も発色の良い緑色。
音楽家として機械音声を用いた楽曲を投稿しており、イラストレーターとしても活躍。またG-tube内ではGBN初心者から玄人までタメになる動画を投稿しているため『師範代』と呼ばれている。
過去に重い何かを抱え込んでいるが、その正体を知るものは地球上でたった二人である。
使用機体は両腕にアームドアーマーDEを携え、様々なオプションを切り替えて戦う銀色のユニコーン、『ルシファー』。

chapter.1完結!この段階で一番好きなキャラクターは?

  • レイメイ/アカツキノ ミナ
  • ビリーヴ
  • コネコ/コナミ ネコ
  • カスミ
  • カグラ
  • アノマロカリス
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